魔法道具はじめました

浜柔

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閑話 累造のいない日

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「これは何ですの?」
「朝食です」
「それは、判ってますの。何故、カチカチのパンと茹で汁に入ったエンドウ豆の塩茹でなんですの?」
「茹で汁とは失敬な。エンドウ豆のスープです」
「こ、この塩味しかしないものの、どこがスープですの?」
「えー? これが普通じゃありませんか」
「ちょっと待ってくださいの。どこの普通ですの?」
「この雑貨店の?」
「ええ?」
「累造君が来て直ぐの頃までは干し肉とエンドウ豆のスープが当たり前だったんです」
「あの、これには干し肉も入ってないですの」
「てへっ、入れ忘れました」
「忘れたって……。ちょっと手を抜きすぎだと思いますの」
「だって、累造君が居ないと張り合いが出ませんから」
「それにしても、このパンもどうにかなりませんの?」
「それ? 売れ残りを処分してるだけだから、しょうがないですね」
「ええ? 最近、こんなパンが食卓に並んだ事はなかった筈ですの」
「そりゃそうです。沢山お金を出してくれている累造君に出せる筈がありません。あ、でも、私が噛んで柔らかくしたのを累造君に口移しで食べさせるのって、有りかも。ぐへへ」
「いやいや、それはありませんの。累造さんどん引きですの」
「じゃ、私が食べさせて貰う方で」
「いよいよ、どん引きですの」
「そう?」

  ◆

「すーはーすーはー、ぐへへ」
「まったく、毎度毎度、洗濯物に顔を埋めるなんて、変態ですの」
「もう! なんでしょっちゅう見に来るんですか!?」
「やはり、変態を放置してもいられませんの」
「変態、変態、って、匂いを嗅ぐくらい普通じゃないですか!?」
「全く普通じゃありませんの。一体どこの誰の普通ですの?」
「んー、私の?」
「救いようがありませんの」

  ◆

「すーはーすーはー、うふん、あはん」
「洗濯物が無くなったら、今度は累造さんのベッドで悶えるなんて、変態も突き抜けてますの」
「放っといてください! 累造君成分を補充してるんですから」
「変態を拗らせるくらいなら、累造さんを押し倒していれば良かったんですの」
「それは駄目だって、前に言ったじゃありませんか」
「これだけ変態になったら、どう見ても結果は同じですの」
「そう思いますか?」
「割りと、本気で」
「判りました。考えてみます」
「だけど、どうしてそんなに累造さんに入れ込んでるんですの?」
「気付いたらこうなってたんですから、判りません」
「累造さんが一番近くに居ただけだったのでは?」
「う……、だけど、あなただって出会いなんてないでしょう?」
「否定はしませんの。だけど、チーナほど飢えてませんの」
「飢えてるように見えます?」
「かなり」
「累造君からも?」
「おそらくは」
「どん引き?」
「累造さんですから、そうでもないかも……」
「にへへー」
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