見るだけの簡単なお仕事

浜柔

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 一旦ベッラの町に寄航したところでお姫様が言った。

「この際ですからナペーラ王国に向かおうと考えています」
「手を付けたばかりのベストール王国の調査が中断されますがよろしいのでしょうか?」

 ビル・ビルズは朝食の席でお姫様が言った今後の方針に疑問を呈した。

「それに襲撃者の元締めについてもまだ何も判っていませんが……」

 ビル・ビルズはルーナをチラッと見たが、ルーナは置物のようにしている。
 いつも通りだ。

「ベストール王国についてはお姉様の方が情報を得てらっしゃるようですし、リスクに見合った価値は無いでしょう」
「リスクと仰いますと、見る者が見れば船の外観から素性がある程度予想できてしまう件でしょうか?」
「その通りです。このままではうかうかベストール王国内を航行できませんし、改装も乗り換えも困難でしょう」
「その事でござりますが、案外ベストール王国が護ってくれるやもしれませぬぞ」
「ルビアン卿、その心は?」
「ベストール王国内で姫様が危害を受ければラカシヤ王国は混乱するどころか一致団結してベストール王国に臨みましょう。それが判らぬベストール王国でもありますまい」
「却下だ。万が一にも姫様に危険が及ぶのは容認できん」

 ドルネス・ルビアンの推察はガレシア・ガンダレナにばっさり斬り捨てられた。

「ガレシア、ルビアン卿のそれは思考実験のようなものですからそう無下にするものではありません」
「はっ! 失礼しました。赦されよ、ルビアン卿」
「謝罪受け取りましたぞ」

 ドルネス・ルビアンもそうだが騎士達も苦笑気味。
 ガレシア・ガンダレナの前では少なくともお姫様を囮にするような作戦は採れそうにない。
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