見るだけの簡単なお仕事

浜柔

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 オレが見ている今の状況が声の主の記憶なら、印象深い単語だけを翻訳できるのも不思議ではない。
 声の主の記憶からしか情報が取れてないのだから。
 だからと言ってこの状況でそれは不都合が過ぎる。
 言葉が解らなければ他人の考えも何も判らない。
 声の主の記憶に縛られるのの何と不便なことか。
 それでいて視界だけはぼやけもせずに隅々までくっきり見える。
 ……ん?
 考えてみるとこれはおかしい。
 映像だけこんなに精細に記憶できるものか?
 むしろ過去の光景を直接見ているかのよう。
 だとするなら老人達の声だって直接聞けても良さそうではないか。
 ……それだけじゃないな。
 視界も声の主のものでしかなく、言葉以上に縛られている。
 この縛りを失くすには……勇者から抜け出たままになったのと同じようにしたらいいのかも知れない。
 あの時は……確か勇者が眠っている間に抜け出して探索していたら戻らなく? 戻れなく? なったんだった。
 ただそれと同じようにとなると、声の主が眠るのを待つしかない。
 いや、待てよ?
 トモの記憶を見た時は眠っている時間は時間が飛んでいた。
 ここで声の主が眠るのを待ったら時間が飛ぶだけではないか?
 声の主の記憶に基づきながらもその認識からは外れなければならない。
 できるか? ……ではないな。
 やらなければ。
 眠った勇者から抜け出した感覚で試して……あ、何かが外れた感じがあった。
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