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月曜日。仕入のついでに屋台まで休業と定休日変更を告知する貼り紙をしに行ったら、パン屋さんはもう開店の準備をしていた。
「おはようございます」
「お、今日は早いね」
「いえ、今日は休業するので、その告知の張り紙をしに来たんです」
「休業って、何か有ったのか?」
パン屋さんは驚く顔をした。
「単純に、仕入の都合で月曜の営業が難しいだけなんです。だから、定休日を水曜から月曜に替えるつもりです」
「その日の朝に仕入れてたんじゃないのかい?」
「それなんですが、調理の時間が掛かるので、前日に仕入れたものを使うようにしました」
「魚だろ? 前日のじゃ危ないだろうに」
「氷で冷やしていますから、1日くらいなら大丈夫です」
「氷ねぇ……。魔法が使えたんだな?」
「え、あ、はい。初級だけですが」
ちょっと迂闊に話しすぎた……。こんな気温の高い町で氷なんて、魔法を使わないと使えないもの。
「生活するだけなら初級が使えれば十分さ。まあ、魔法ができるなら大丈夫だな」
あまり深くは突っ込まずに済んで助かった。パン屋さんは初級だけってことで納得してくれたらしい。
今日この後は、魚を氷室に入れて、チーズの買い出しに行くだけだ。
◆
何事もない日々が過ぎて、週末の土曜日。
今日は魚の仕入れをしないので、その時間分だけ開店を早めるとしよう。
薩摩揚げを300個ずつと、チーカマを500個用意して、屋台に着いたのは朝7時半。
びっくりした。8時半頃に比べても人通りが多い。パン屋さんが朝の七時頃から準備をする筈だ。
手早く開店準備を済ませて、8時前に開店。直後からお客さんが来始めた。殆ど途切れずにお客さんがやって来る。
「チーカマを20個ね」
「はい、ありがとうございます」
「チーカマを30個だ」
「はい、ありがとうございます」
チーカマが特に売れる。今週はずっと300個を用意していたけど、昨日は売り切れそうになっていた。
今日は9時頃までに300個以上売れた。薩摩揚げもそれぞれ100個くらいは売れているけど、チーカマはその3倍以上。
やっぱり、チーズの味が珍しいからかな?
今一つ理由が掴めないけど、売り上げが増えるのはいいことだよね!
だけど、いつもの開店時間より早い時間の方が売れたんだよね……。だからって、営業時間は今より早くできないからなぁ。もっと早くしようと思ったら、屋台で揚げたり焼いたりしなきゃならないもの。
屋台で魔法なんて使ったら、また冒険者ギルドやら何やらがしゃしゃり出て来かねないから使えないんだ。
10時頃には一仕事終わった感が溢れて来た。薩摩揚げはまだ100個ずつ程残っているけど、チーカマは20個も残っていない。チーカマの増産は必須みたい。
それと意外にも、今日は乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマも売れた。ミクーナさんとその仲間達以外じゃ初だ。ただ、そのお客さんも魔法使いの冒険者風の人だった。
◆
それからまた1週間。土曜以外も1日に400個作るようにしたチーカマが売り切れる日が出始めた。お客さんには魔法使いの人が多くなったかも。
「よう、久しぶりだな」
「あ、リアルドさん、いらっしゃいませ」
彼は大荷物を背負っていて、薄汚れた感じが有る。旅からの帰りかな?
「黒いのを40個貰おうか」
「はい、ありがとうございます」
意外と、筋肉質な人が鰯の薩摩揚げを好んでいるような気がする。
「もっと早く買いに来たかったんだが、護衛の依頼で北の方に行ってたもんでな」
「遠くまで行かれてたんですか?」
「片道12日程度だから、それなりにな」
「それは大変でしたね」
「そうも言ってられない。俺の仕事だからな」
「あの、北の方はもう寒かったりするんでしょうか?」
「おう。朝晩は冷えるようになってきていたな」
リアルドさんが何か思い出したような顔をする。
「北で思い出したが、メプサカスで騒動が有ったとか噂になってたな」
「メプサカスの噂ですか?」
「ああ。何でも、左大臣が処刑されたとか」
「左大臣が!?」
「おおっ!」
つい声が大きくなってしまって驚かれてしまった。
「処刑って、またどうして?」
「理由までは判らん。だが、第1王子が廃嫡になって、第2王子が王太子になったって話も有ったから、その辺の絡みじゃないか?」
「それは大騒動ですね」
「だろ? ついでに、その第1王子が配下と一緒に逃亡したとも言われているから、暫くは北に行かない方が良さそうだ」
兵士がピリピリして捜索しているから、変に睨まれでもしたら大変な目に遭わされてしまうと言うことだ。
「その王子って、この国に逃げ込んでるかも知れないんですか?」
「そうらしい。メプサカスは一体何をしてるんだかな」
帰ったばかりで疲れているらしいリアルドさんは、ここで話を切り上げて帰って行った。
左大臣と第1王子が居なくなったのなら、クーロンスに戻っても大丈夫になったのかな?
だけどもう今更だよね。ここでの生活にも馴染んで来たし、商売も軌道に乗り始めた。何よりここには味噌や醤油も有る。
それにどうせもう、クーロンスの家は荒らされていると思う。左大臣が押し入らなかったとは考えられないもの。
荒らされた家を見るなんて辛すぎる。
今日は土曜日なので、閉店後の作業は売れ残りをフリーズドライにすることだけだ。
そんな訳で、今日の夕食は宿屋の食堂で。たまにはこの世界の魚料理も食べたい。
「あら? 代理人さんじゃない」
「今晩は」
ミクーナさんとその仲間達だ。2週間ぶり。
「ここには良く来られるんですか?」
「いいえ。ここで食事をするのは、これで2回目ね」
「それは奇遇です。あたしもここに来るのは久しぶりなんです」
「そうなの?」
「はい。いつもは自炊で簡単に済ませてますので」
「ほんとに奇遇なのね。それはそうと、乾燥しているものの在庫って今どのくらい有るの?」
「全部で2000個くらいです」
「前に比べると、半分だけなのね」
「はい。お陰様で売り上げが少しずつ伸びていて、売れ残りが少なくなっています」
「そう」
ミクーナさんは少し考え込んだ。
あたしが首を傾げて彼女の仲間達を見たら、レクバさんは首を横に振る。
待っていても何なので、あたしは席に着いて食事の注文をした。
「代理人さん。その在庫をまた全部買ってもいいかしら?」
「はい?」
食事のことを考えていたことも有って、一瞬何のことか判らなかった。
「乾燥チーカマと乾燥薩摩揚げよ」
「あ、はい。全部じゃなくてもいいですか?」
「それならそれでも良いのだけど、在庫が無い方がいいんじゃなかったの?」
「実は、乾燥薩摩揚げや乾燥チーカマも少しずつ売れるようになったんです」
何故かミクーナさんが唖然とした表情になった。
「それって、どんな人達?」
「はい。ミクーナさんと同じで、魔法使い風な感じでした」
「魔法使いって貴女……。魔法士と呼んで頂戴」
「魔法士、ですか?」
「そうよ」
「判りました。気を付けます」
きっとこだわりが有るんだろうから、合わせた方が無難だものね。
「だけど、他の魔法士が気付いたのは痛いわね」
「あの、どう言うことなんでしょうか?」
「どう言うことって何が?」
「乾燥薩摩揚げと魔法士の関係について、ですが……」
気付いたら、またあたしは「がおぅ」って仕草になってしまっていた。癖って抜けない。
「知らなかったの? 貴女の薩摩揚げとチーカマには、魔力回復の効果が有るのよ?」
「ええ!?」
「はあ!?」
レクバさんが何故か驚いている。
「レクバ、貴方は傍で見ていて気付かなかったの?」
「気付かねぇよ。戦っている間は魔物の方を見てるんだ。休憩の時に食ってるのを見ても、魔力回復なんて誰が思うかよ」
「そうなの?」
ミクーナさんはドラムゴさんに尋ねた。
「いや、俺は気付いたぞ」
レクバさんを除く3人が顔を見合わせた。
「「「はぁ……」」」
「何だよ。気付かなかったのが悪いかよ」
3人が溜め息を吐いたら、レクバさんが拗ねてしまった。
「あの、それで、魔力回復って?」
「そのままの意味よ。下手な回復薬より遙かに回復量が多いわ。いつだったか見せた丸薬を憶えてる?」
「はい」
「あれって、1個が400ゴールドもするのに、回復量は貴女のチーカマの半分も無いのよ。かてて加えて酷い味だしね」
「はい……」
「だけど、貴女の薩摩揚げとチーカマは美味しくて回復量も多いし、何より安いのよ」
「それでお前達はあんなに魔法を乱発していたのか」
レクバさんが渋い顔をして言った。
「楽できたでしょ?」
「まあ、確かにな」
何を今更と言った風情でミクーナさんが言うと、レクバさんは渋い顔のまま同意した。
「それとね、魔力回復だけじゃなくて、薩摩揚げには体力や疲労の回復の効果も有るし、チーカマには魔力を一時的に底上げする効果も有るのよ」
「ええ!? だけど、あたしは薬草みたいなものは入れてませんよ!?」
「食べ物に魔力が籠もるのは、何も薬草ばかりが理由じゃないのよ?」
「はい?」
「魔法を使って料理をすると、その魔力の残滓が料理に残るものなのよ」
「ええ!?」
「料理した本人にとっては取るに足らない程度でしか残らないから、自分で気付くことは殆ど無いでしょうけどね」
あたしは絶句した。
「その様子だと、貴女には好ましくない事態だったようね。だけど、わたしとしてはできれば今のまま続けて欲しいわ」
「はい……」
折角の魚料理だったけど、ショックで味がよく判らなかった。
夕食が済んでから、家から乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマを持って来てミクーナさんに売った。ミクーナさんは乾燥チーカマが少ないことに少し渋い顔をしていたけど。
今日はもうお終い。早く寝てしまおう。
「おはようございます」
「お、今日は早いね」
「いえ、今日は休業するので、その告知の張り紙をしに来たんです」
「休業って、何か有ったのか?」
パン屋さんは驚く顔をした。
「単純に、仕入の都合で月曜の営業が難しいだけなんです。だから、定休日を水曜から月曜に替えるつもりです」
「その日の朝に仕入れてたんじゃないのかい?」
「それなんですが、調理の時間が掛かるので、前日に仕入れたものを使うようにしました」
「魚だろ? 前日のじゃ危ないだろうに」
「氷で冷やしていますから、1日くらいなら大丈夫です」
「氷ねぇ……。魔法が使えたんだな?」
「え、あ、はい。初級だけですが」
ちょっと迂闊に話しすぎた……。こんな気温の高い町で氷なんて、魔法を使わないと使えないもの。
「生活するだけなら初級が使えれば十分さ。まあ、魔法ができるなら大丈夫だな」
あまり深くは突っ込まずに済んで助かった。パン屋さんは初級だけってことで納得してくれたらしい。
今日この後は、魚を氷室に入れて、チーズの買い出しに行くだけだ。
◆
何事もない日々が過ぎて、週末の土曜日。
今日は魚の仕入れをしないので、その時間分だけ開店を早めるとしよう。
薩摩揚げを300個ずつと、チーカマを500個用意して、屋台に着いたのは朝7時半。
びっくりした。8時半頃に比べても人通りが多い。パン屋さんが朝の七時頃から準備をする筈だ。
手早く開店準備を済ませて、8時前に開店。直後からお客さんが来始めた。殆ど途切れずにお客さんがやって来る。
「チーカマを20個ね」
「はい、ありがとうございます」
「チーカマを30個だ」
「はい、ありがとうございます」
チーカマが特に売れる。今週はずっと300個を用意していたけど、昨日は売り切れそうになっていた。
今日は9時頃までに300個以上売れた。薩摩揚げもそれぞれ100個くらいは売れているけど、チーカマはその3倍以上。
やっぱり、チーズの味が珍しいからかな?
今一つ理由が掴めないけど、売り上げが増えるのはいいことだよね!
だけど、いつもの開店時間より早い時間の方が売れたんだよね……。だからって、営業時間は今より早くできないからなぁ。もっと早くしようと思ったら、屋台で揚げたり焼いたりしなきゃならないもの。
屋台で魔法なんて使ったら、また冒険者ギルドやら何やらがしゃしゃり出て来かねないから使えないんだ。
10時頃には一仕事終わった感が溢れて来た。薩摩揚げはまだ100個ずつ程残っているけど、チーカマは20個も残っていない。チーカマの増産は必須みたい。
それと意外にも、今日は乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマも売れた。ミクーナさんとその仲間達以外じゃ初だ。ただ、そのお客さんも魔法使いの冒険者風の人だった。
◆
それからまた1週間。土曜以外も1日に400個作るようにしたチーカマが売り切れる日が出始めた。お客さんには魔法使いの人が多くなったかも。
「よう、久しぶりだな」
「あ、リアルドさん、いらっしゃいませ」
彼は大荷物を背負っていて、薄汚れた感じが有る。旅からの帰りかな?
「黒いのを40個貰おうか」
「はい、ありがとうございます」
意外と、筋肉質な人が鰯の薩摩揚げを好んでいるような気がする。
「もっと早く買いに来たかったんだが、護衛の依頼で北の方に行ってたもんでな」
「遠くまで行かれてたんですか?」
「片道12日程度だから、それなりにな」
「それは大変でしたね」
「そうも言ってられない。俺の仕事だからな」
「あの、北の方はもう寒かったりするんでしょうか?」
「おう。朝晩は冷えるようになってきていたな」
リアルドさんが何か思い出したような顔をする。
「北で思い出したが、メプサカスで騒動が有ったとか噂になってたな」
「メプサカスの噂ですか?」
「ああ。何でも、左大臣が処刑されたとか」
「左大臣が!?」
「おおっ!」
つい声が大きくなってしまって驚かれてしまった。
「処刑って、またどうして?」
「理由までは判らん。だが、第1王子が廃嫡になって、第2王子が王太子になったって話も有ったから、その辺の絡みじゃないか?」
「それは大騒動ですね」
「だろ? ついでに、その第1王子が配下と一緒に逃亡したとも言われているから、暫くは北に行かない方が良さそうだ」
兵士がピリピリして捜索しているから、変に睨まれでもしたら大変な目に遭わされてしまうと言うことだ。
「その王子って、この国に逃げ込んでるかも知れないんですか?」
「そうらしい。メプサカスは一体何をしてるんだかな」
帰ったばかりで疲れているらしいリアルドさんは、ここで話を切り上げて帰って行った。
左大臣と第1王子が居なくなったのなら、クーロンスに戻っても大丈夫になったのかな?
だけどもう今更だよね。ここでの生活にも馴染んで来たし、商売も軌道に乗り始めた。何よりここには味噌や醤油も有る。
それにどうせもう、クーロンスの家は荒らされていると思う。左大臣が押し入らなかったとは考えられないもの。
荒らされた家を見るなんて辛すぎる。
今日は土曜日なので、閉店後の作業は売れ残りをフリーズドライにすることだけだ。
そんな訳で、今日の夕食は宿屋の食堂で。たまにはこの世界の魚料理も食べたい。
「あら? 代理人さんじゃない」
「今晩は」
ミクーナさんとその仲間達だ。2週間ぶり。
「ここには良く来られるんですか?」
「いいえ。ここで食事をするのは、これで2回目ね」
「それは奇遇です。あたしもここに来るのは久しぶりなんです」
「そうなの?」
「はい。いつもは自炊で簡単に済ませてますので」
「ほんとに奇遇なのね。それはそうと、乾燥しているものの在庫って今どのくらい有るの?」
「全部で2000個くらいです」
「前に比べると、半分だけなのね」
「はい。お陰様で売り上げが少しずつ伸びていて、売れ残りが少なくなっています」
「そう」
ミクーナさんは少し考え込んだ。
あたしが首を傾げて彼女の仲間達を見たら、レクバさんは首を横に振る。
待っていても何なので、あたしは席に着いて食事の注文をした。
「代理人さん。その在庫をまた全部買ってもいいかしら?」
「はい?」
食事のことを考えていたことも有って、一瞬何のことか判らなかった。
「乾燥チーカマと乾燥薩摩揚げよ」
「あ、はい。全部じゃなくてもいいですか?」
「それならそれでも良いのだけど、在庫が無い方がいいんじゃなかったの?」
「実は、乾燥薩摩揚げや乾燥チーカマも少しずつ売れるようになったんです」
何故かミクーナさんが唖然とした表情になった。
「それって、どんな人達?」
「はい。ミクーナさんと同じで、魔法使い風な感じでした」
「魔法使いって貴女……。魔法士と呼んで頂戴」
「魔法士、ですか?」
「そうよ」
「判りました。気を付けます」
きっとこだわりが有るんだろうから、合わせた方が無難だものね。
「だけど、他の魔法士が気付いたのは痛いわね」
「あの、どう言うことなんでしょうか?」
「どう言うことって何が?」
「乾燥薩摩揚げと魔法士の関係について、ですが……」
気付いたら、またあたしは「がおぅ」って仕草になってしまっていた。癖って抜けない。
「知らなかったの? 貴女の薩摩揚げとチーカマには、魔力回復の効果が有るのよ?」
「ええ!?」
「はあ!?」
レクバさんが何故か驚いている。
「レクバ、貴方は傍で見ていて気付かなかったの?」
「気付かねぇよ。戦っている間は魔物の方を見てるんだ。休憩の時に食ってるのを見ても、魔力回復なんて誰が思うかよ」
「そうなの?」
ミクーナさんはドラムゴさんに尋ねた。
「いや、俺は気付いたぞ」
レクバさんを除く3人が顔を見合わせた。
「「「はぁ……」」」
「何だよ。気付かなかったのが悪いかよ」
3人が溜め息を吐いたら、レクバさんが拗ねてしまった。
「あの、それで、魔力回復って?」
「そのままの意味よ。下手な回復薬より遙かに回復量が多いわ。いつだったか見せた丸薬を憶えてる?」
「はい」
「あれって、1個が400ゴールドもするのに、回復量は貴女のチーカマの半分も無いのよ。かてて加えて酷い味だしね」
「はい……」
「だけど、貴女の薩摩揚げとチーカマは美味しくて回復量も多いし、何より安いのよ」
「それでお前達はあんなに魔法を乱発していたのか」
レクバさんが渋い顔をして言った。
「楽できたでしょ?」
「まあ、確かにな」
何を今更と言った風情でミクーナさんが言うと、レクバさんは渋い顔のまま同意した。
「それとね、魔力回復だけじゃなくて、薩摩揚げには体力や疲労の回復の効果も有るし、チーカマには魔力を一時的に底上げする効果も有るのよ」
「ええ!? だけど、あたしは薬草みたいなものは入れてませんよ!?」
「食べ物に魔力が籠もるのは、何も薬草ばかりが理由じゃないのよ?」
「はい?」
「魔法を使って料理をすると、その魔力の残滓が料理に残るものなのよ」
「ええ!?」
「料理した本人にとっては取るに足らない程度でしか残らないから、自分で気付くことは殆ど無いでしょうけどね」
あたしは絶句した。
「その様子だと、貴女には好ましくない事態だったようね。だけど、わたしとしてはできれば今のまま続けて欲しいわ」
「はい……」
折角の魚料理だったけど、ショックで味がよく判らなかった。
夕食が済んでから、家から乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマを持って来てミクーナさんに売った。ミクーナさんは乾燥チーカマが少ないことに少し渋い顔をしていたけど。
今日はもうお終い。早く寝てしまおう。
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