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本屋わわわ
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「あー、やっとやっと開店」
とも子は、ふわーっと大きな息を吐き出すと空を見上げた。朝からまぶしい夏空が広がっている。
目線を下げると、青い三角屋根、白い壁の小さな店。そのガラス戸に貼られたロゴが見える。
黄色の本に『本屋わわわ』とプリントされているお気に入りだ。
『わいわい』『わくわく』『わぁ~』いろんな声と『平和・会話・環っか』の『わ』、自分の想いのありったけを込めた。
(うわっ、感慨に浸っている場合じゃないわ。忙しい一日になりますように)
そうつぶやきながら、しーんとした店に入った。
しばらくして、ベビーカーに幼いお子さんを乗せたお母さんが、ガラス戸をそっと開けた。
「こんにちは。本屋さんですよね」
ちょっと戸惑いながらも足を進める。
「いらっしゃいませ」
とも子はショートカットの頭をていねいに下げて、とびきりの笑顔を向けた。
「はい、赤ちゃんの絵本もたくさんあります。どうぞごゆっくりなさってください」
「あらー、靴を脱ぐんですね」
よちよち歩きのぼうやがきょろきょろしていたと思ったら一冊の絵本を取って座り込んだ。
「よろしいですか?」
そう言って、お母さんはぼうやを膝に乗せると、顔をくっつけて本を読み始めた。その声がやさしく響く。
(ああ、このシーンに憧れてたんだよねえ)
とも子はあふれるうれしさをかみしめた。
どの本も自由に読めるようにゆったりと並べている。傷むけれども、お客さまが手に取れない本を置いていても意味がない。そう思ってきた。
店内は木を基調にして、スツールも切り株仕様にした。
(イベントもやりたいなあ)
お客様を眺めながら、改めて思う。
お気に入りの絵本をうれしそうに抱えたぼうやとお母さんを送り出して、ルンルンと本を整理していると、一人の青年がそっとドアを開けた。
「すみません、児童文学置いてますか?」
「いらっしゃいませ。色々ありますが、このコーナーをどうぞご覧ください」
『岩波少年文庫』などを並べている本棚を案内する。彼は、少しはにかみながら熱心に背表紙を目で追っていく。
「僕、児童文学が好きなんです。変ですよね。なんかいい店だなあと、思わず入ってきました」
「ありがとうございます。どうぞご自由にお手に取ってくださいね」
そう言いながらトモ子の心は沸き立った。若者の来店は想定外だったのだ。
(よかった。あまり人気はないと思ったけれど、定番のこのシリーズはどうしても置きたかったもんね)
自分にガッツをした。スツールに座って本を手に取っていく青年をあまり見ないようにしながら、ふと、これまでの道のりを想った。
とも子は、なんの変哲もない地味な少女だった。小さい頃から本を読むのが好き、雨の日には父の本棚から取り出した本を部屋の隅っこでじっと読んでいた。
成長するにつれてどんどん活発になり、サークルも楽しみ、友人も増えた。相変わらず本は好きだったが、本とはかかわりのない仕事に就いた。
結婚して、二人の子育ての中でまた、たくさんの絵本とまた出会った。
仕事をしながら、平凡な主婦の暮らし。でも、何かやりたいという、心の奥の疼きのようなものは次第に大きくなっていった。
十年以上前、ひとまず興味のある『読み聞かせ講座』に申し込んだ。面白かったがもっと深めたくて、県の『絵本の伝道師養成講座』の受講。それからボランティアでの保育園や児童館そして、図書館での読み聞かせを始めた。
そんなとき、『JPIC』と出会った。それは、出版文化を盛り上げようという法人が運営しているもので、とも子は『読書アドバイザー養成講座』を受講した。家族は呆れたが
『どうせ止めても言うことを聞かない人』ととらえていたので、特に反対はなかった。
(やったね。みんなありがと。いいものつかんでくるよ)
そう心の中で約束した。
月に一度、東京へ通い、宿泊も含めて八回の講座の中味はとても濃いものだった。系統だった講義だけでなく、たくさんの本好きの人との交わりにテンションが上がった。
それから、あちこちで『読み聞かせ』の回数が増えるにつれて、充実感と共に焦燥感も生まれた。勤務しながらの準備はたやすいものではなかったけれど、職場での体験も大きかった。事務管理職として勤めていた高齢者施設が『ともに学び楽しむ』イベントを数多く開いていて、事務方は忙しくて大変だったが楽しかったのだ。その中で『ひと箱古本市』があり、本を仲立ちに会話が弾んだ。
次第に(本屋を開きたい)という妄想が膨らんでいった。
(それにはまずは貯金だ)と決心した。妄想はどんどん膨らむが、こちらは少しずつ少しずつ。勤務しながらの準備はたやすいものではなかった。その中でも、あちこちに依頼した不動産屋との交渉は、とても疲れた。足を運ぶ度に徒労に終わり、がっくりとうなだれて帰ってくる。そんなことがずっと続いた。
世間は『感染症』で萎縮している。既存店さえ閉店を余儀なくされている中、心が萎えていった。
(もうやめよう!)
そう決めた。
(一介の主婦にとても無理だ。私なにやってんだか。いいじゃないの、『読み聞かせボランティア』続けていけば)
時間は経ち、無事に定年退職を迎え、のんびりとした日が過ぎていった。
子どもたちは独立して家を出ているから気楽なものだ。ずっと手抜きだった料理も気合を入れて作ってみたりもした。
夫任せだった犬の散歩も楽しんだ。飼っているのは、二匹のポラメニアン、『もも』と『たろう』。合わせて『日本一のももたろう』だ。
ある日、夫と犬と大きな公園をブラブラしていたとき、『キッチンカー』でホットドッグを買った。うふふとほおばったとき、
「ああー、これ、これだ!」
とも子は、思わず叫んでいた。
(お店を開けなければ、私が行けばいいんだ! 『車での移動本屋』だ。こんな時だからこそ、子どもだけでなく人と本をつなぎたい)
それからは忙しかった。まず車だ。いろいろな伝手を頼って購入、そしてラッピング。あこがれの『ロゴ』が入ると心が躍った。車内の本箱、看板、ショップカードに名刺。仕入れ先の確保。古本を扱う際の『古物商認可証』の申請、インスタ、フェイスブックへのアップ、などとすべきことは山のよう。毎日があっという間に過ぎていった。
車での販売をしていると、
「大変でしょう?」
そう、よく言われるけれど、楽しいのだ。
(本の好きな人に悪い人はいない)
確信しつつあちこちのイベントに車を動かす。ただ、本は重い!
(いつまでもは無理だろうなあ)
とは、さすがに、とも子も心が波立つ。
イベント会場の公園で車を止める。横のドアを開け、本棚が見えるように。後ろのドアからは出入りができるようにしている。
「ねえ、もう帰ろうよ。おかあさん、しんどいわ。暑いし」
そういうお母さんを無視して、狭い車に乗り込み夢中で本を読む小学生。とも子は我が意を得たりと笑ってしまう。こういう場面が、また次の会場に車を走らせるエネルギーに代わる。
そうしている間に、突然の急展開。店を借りられることになったのだ。
(やったー!)
そこは、私鉄の駅からも徒歩3分。家賃も格安。リノベーションはほとんどせず、本箱を配置するだけにとどめた。そこで本の販売だけでなく、『読み聞かせ会』や『読書会』それも大人向けをやっていきたい。絵本好きさんが集まって『読み合わせ会』なんかできたらいいなあ。妄想も、現実に地に足の着いた夢に代わった。
自宅のガレージに停めたラッピング車はかなり目立つ。ご近所には一応話してはいるけれど。
(まっ、いいよね、かわいい車だもん)
家に帰ると、『もも』と『たろう』がしっぽを振って迎えてくれる。二匹をなでていると疲れが吹っ飛ぶ。散歩はもっぱらまた夫に任せているのだけれど。
翌朝、車に乗り込み、エンジンを入れる。
三十分弱のドライブ、
(今日の『読書会』来て下さるかな。本も注文しなくっちゃ、あそこの本棚も並べ替えないとね)
そんなことを考えながら店に到着。
バタバタと時間が過ぎ、お昼ご飯を食べる。夫が出社する自分の分と一緒にお弁当を作ってくれる。冷凍食品ばかりだけれど、ありがたくハンバーグをつまみながら、プチ幸せを噛みしめる。
開店して一年が経った。お客様に来ていただき、いろんなイベントも開いた。でも、(もっと勉強したい)というムシがまたもやモゾモゾ動きはじめ、今度は『絵本専門士』の講座を受講しようと決めた。これはかなり狭き門で不安だったけれど、何とか受講許可を得た。また月に一度、週末に東京へ。ハードスケジュールが始まる。
(さあ、新しいステップだ)
そう思いながら、とも子は夫手作りのお弁当、少し甘めの卵焼きをポイっと口に放り込んだ。
とも子は、ふわーっと大きな息を吐き出すと空を見上げた。朝からまぶしい夏空が広がっている。
目線を下げると、青い三角屋根、白い壁の小さな店。そのガラス戸に貼られたロゴが見える。
黄色の本に『本屋わわわ』とプリントされているお気に入りだ。
『わいわい』『わくわく』『わぁ~』いろんな声と『平和・会話・環っか』の『わ』、自分の想いのありったけを込めた。
(うわっ、感慨に浸っている場合じゃないわ。忙しい一日になりますように)
そうつぶやきながら、しーんとした店に入った。
しばらくして、ベビーカーに幼いお子さんを乗せたお母さんが、ガラス戸をそっと開けた。
「こんにちは。本屋さんですよね」
ちょっと戸惑いながらも足を進める。
「いらっしゃいませ」
とも子はショートカットの頭をていねいに下げて、とびきりの笑顔を向けた。
「はい、赤ちゃんの絵本もたくさんあります。どうぞごゆっくりなさってください」
「あらー、靴を脱ぐんですね」
よちよち歩きのぼうやがきょろきょろしていたと思ったら一冊の絵本を取って座り込んだ。
「よろしいですか?」
そう言って、お母さんはぼうやを膝に乗せると、顔をくっつけて本を読み始めた。その声がやさしく響く。
(ああ、このシーンに憧れてたんだよねえ)
とも子はあふれるうれしさをかみしめた。
どの本も自由に読めるようにゆったりと並べている。傷むけれども、お客さまが手に取れない本を置いていても意味がない。そう思ってきた。
店内は木を基調にして、スツールも切り株仕様にした。
(イベントもやりたいなあ)
お客様を眺めながら、改めて思う。
お気に入りの絵本をうれしそうに抱えたぼうやとお母さんを送り出して、ルンルンと本を整理していると、一人の青年がそっとドアを開けた。
「すみません、児童文学置いてますか?」
「いらっしゃいませ。色々ありますが、このコーナーをどうぞご覧ください」
『岩波少年文庫』などを並べている本棚を案内する。彼は、少しはにかみながら熱心に背表紙を目で追っていく。
「僕、児童文学が好きなんです。変ですよね。なんかいい店だなあと、思わず入ってきました」
「ありがとうございます。どうぞご自由にお手に取ってくださいね」
そう言いながらトモ子の心は沸き立った。若者の来店は想定外だったのだ。
(よかった。あまり人気はないと思ったけれど、定番のこのシリーズはどうしても置きたかったもんね)
自分にガッツをした。スツールに座って本を手に取っていく青年をあまり見ないようにしながら、ふと、これまでの道のりを想った。
とも子は、なんの変哲もない地味な少女だった。小さい頃から本を読むのが好き、雨の日には父の本棚から取り出した本を部屋の隅っこでじっと読んでいた。
成長するにつれてどんどん活発になり、サークルも楽しみ、友人も増えた。相変わらず本は好きだったが、本とはかかわりのない仕事に就いた。
結婚して、二人の子育ての中でまた、たくさんの絵本とまた出会った。
仕事をしながら、平凡な主婦の暮らし。でも、何かやりたいという、心の奥の疼きのようなものは次第に大きくなっていった。
十年以上前、ひとまず興味のある『読み聞かせ講座』に申し込んだ。面白かったがもっと深めたくて、県の『絵本の伝道師養成講座』の受講。それからボランティアでの保育園や児童館そして、図書館での読み聞かせを始めた。
そんなとき、『JPIC』と出会った。それは、出版文化を盛り上げようという法人が運営しているもので、とも子は『読書アドバイザー養成講座』を受講した。家族は呆れたが
『どうせ止めても言うことを聞かない人』ととらえていたので、特に反対はなかった。
(やったね。みんなありがと。いいものつかんでくるよ)
そう心の中で約束した。
月に一度、東京へ通い、宿泊も含めて八回の講座の中味はとても濃いものだった。系統だった講義だけでなく、たくさんの本好きの人との交わりにテンションが上がった。
それから、あちこちで『読み聞かせ』の回数が増えるにつれて、充実感と共に焦燥感も生まれた。勤務しながらの準備はたやすいものではなかったけれど、職場での体験も大きかった。事務管理職として勤めていた高齢者施設が『ともに学び楽しむ』イベントを数多く開いていて、事務方は忙しくて大変だったが楽しかったのだ。その中で『ひと箱古本市』があり、本を仲立ちに会話が弾んだ。
次第に(本屋を開きたい)という妄想が膨らんでいった。
(それにはまずは貯金だ)と決心した。妄想はどんどん膨らむが、こちらは少しずつ少しずつ。勤務しながらの準備はたやすいものではなかった。その中でも、あちこちに依頼した不動産屋との交渉は、とても疲れた。足を運ぶ度に徒労に終わり、がっくりとうなだれて帰ってくる。そんなことがずっと続いた。
世間は『感染症』で萎縮している。既存店さえ閉店を余儀なくされている中、心が萎えていった。
(もうやめよう!)
そう決めた。
(一介の主婦にとても無理だ。私なにやってんだか。いいじゃないの、『読み聞かせボランティア』続けていけば)
時間は経ち、無事に定年退職を迎え、のんびりとした日が過ぎていった。
子どもたちは独立して家を出ているから気楽なものだ。ずっと手抜きだった料理も気合を入れて作ってみたりもした。
夫任せだった犬の散歩も楽しんだ。飼っているのは、二匹のポラメニアン、『もも』と『たろう』。合わせて『日本一のももたろう』だ。
ある日、夫と犬と大きな公園をブラブラしていたとき、『キッチンカー』でホットドッグを買った。うふふとほおばったとき、
「ああー、これ、これだ!」
とも子は、思わず叫んでいた。
(お店を開けなければ、私が行けばいいんだ! 『車での移動本屋』だ。こんな時だからこそ、子どもだけでなく人と本をつなぎたい)
それからは忙しかった。まず車だ。いろいろな伝手を頼って購入、そしてラッピング。あこがれの『ロゴ』が入ると心が躍った。車内の本箱、看板、ショップカードに名刺。仕入れ先の確保。古本を扱う際の『古物商認可証』の申請、インスタ、フェイスブックへのアップ、などとすべきことは山のよう。毎日があっという間に過ぎていった。
車での販売をしていると、
「大変でしょう?」
そう、よく言われるけれど、楽しいのだ。
(本の好きな人に悪い人はいない)
確信しつつあちこちのイベントに車を動かす。ただ、本は重い!
(いつまでもは無理だろうなあ)
とは、さすがに、とも子も心が波立つ。
イベント会場の公園で車を止める。横のドアを開け、本棚が見えるように。後ろのドアからは出入りができるようにしている。
「ねえ、もう帰ろうよ。おかあさん、しんどいわ。暑いし」
そういうお母さんを無視して、狭い車に乗り込み夢中で本を読む小学生。とも子は我が意を得たりと笑ってしまう。こういう場面が、また次の会場に車を走らせるエネルギーに代わる。
そうしている間に、突然の急展開。店を借りられることになったのだ。
(やったー!)
そこは、私鉄の駅からも徒歩3分。家賃も格安。リノベーションはほとんどせず、本箱を配置するだけにとどめた。そこで本の販売だけでなく、『読み聞かせ会』や『読書会』それも大人向けをやっていきたい。絵本好きさんが集まって『読み合わせ会』なんかできたらいいなあ。妄想も、現実に地に足の着いた夢に代わった。
自宅のガレージに停めたラッピング車はかなり目立つ。ご近所には一応話してはいるけれど。
(まっ、いいよね、かわいい車だもん)
家に帰ると、『もも』と『たろう』がしっぽを振って迎えてくれる。二匹をなでていると疲れが吹っ飛ぶ。散歩はもっぱらまた夫に任せているのだけれど。
翌朝、車に乗り込み、エンジンを入れる。
三十分弱のドライブ、
(今日の『読書会』来て下さるかな。本も注文しなくっちゃ、あそこの本棚も並べ替えないとね)
そんなことを考えながら店に到着。
バタバタと時間が過ぎ、お昼ご飯を食べる。夫が出社する自分の分と一緒にお弁当を作ってくれる。冷凍食品ばかりだけれど、ありがたくハンバーグをつまみながら、プチ幸せを噛みしめる。
開店して一年が経った。お客様に来ていただき、いろんなイベントも開いた。でも、(もっと勉強したい)というムシがまたもやモゾモゾ動きはじめ、今度は『絵本専門士』の講座を受講しようと決めた。これはかなり狭き門で不安だったけれど、何とか受講許可を得た。また月に一度、週末に東京へ。ハードスケジュールが始まる。
(さあ、新しいステップだ)
そう思いながら、とも子は夫手作りのお弁当、少し甘めの卵焼きをポイっと口に放り込んだ。
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