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神と貴方と巡る綾
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しおりを挟むそうか、羞恥心。この人、俺を恥ずかしがらせたいのかもしれない。……やっぱり変態だ。
「……待てって。久々だから……」
Tシャツの裾を握り込んで、恥ずかしいみたいに視線を逸らして目線を落とすと、視界の端で徹さんが目を細めるのが見える。
脱ごうとして肋骨が見えるくらいまで裾を上げてから、今視線に気が付いたフリで服を戻して「あんま見んな」と庇うように背を丸めると、股間の下の徹さんのブツがムクムクと大きくなったのを感じた。うわ、反応はっや。
「焦らしてるつもりか。似合わねぇぞ」
「してねぇ。……つか、触んな。手つきがエロい」
どうやら俺の予想は正解らしく、モタモタしてと脱ごうとしない俺を徹さんは言葉の上では責めつつもドアポケットの灰皿で煙草を消してTシャツの上から撫でてきた。胸の突起の上あたりを爪で引っ掻くようにされて、咄嗟に声は我慢したけれど身体が大きく跳ねて股間に血が集まる。
「……や、めろ、って」
「優しくしてくれるんじゃねぇのかよ」
「…………するから、まだ、触んないで。久々だから、触られたらすぐ出そう」
実際、胸を少し撫でられただけで俺の肉はガチガチになってしまった。苦しくて下のソレをジャージから取り出そうとして、くく、と低い声に笑われる。
「上脱ぐのは恥ずかしいのに、チンポ出すのは恥ずかしくないのかよ」
「う……」
ごもっとも。しかし、一旦火が点くと俺の身体は勝手に燃え始めてしまって、今すぐどうにかしてしまいたくなる。
出すなと言うならそうするしかなく、けれど我慢出来ず徹さんの首に腕を回して唇を合わせた。舌を入れて中を舐めると、苦くて煙い味がする。珍しく逃げようとする舌先を軽く噛んでから、吸って引き寄せ、舐り回す。
唾液を吸い尽くしてぬるつきの少なくなった口内を諦めて舌から直接強請るように吸うと、叱るみたいにがぶりと噛まれて呻いた。
「んっぅ」
「……お前も寄越せ」
クラクラする。徹さんの唾液で酔ったみたいに視界がぐらついて、目を瞑って舌先から唾液を出して渡す。深く唇を合わせたまま腰を揺らして、勃起した股間同士を擦り付けるように動くと呻く声が聞こえた。口の中から声がするけれど、それがどちらのものだかはっきりしない。たぶん俺のだろう。鼻息荒く徹さんの口腔内を舐め回し、気持ちいいのを追いかけて腰を振る。
「んんん……っ」
びく、と腰が跳ねて、温かい感触が広がった。息荒く、夢見心地でしなだれかかろうとすると、腰を掴まれて動きを止めるなと叱られた。
「う……ん、ぁ……っ、ま、って……徹さ……俺、今」
「俺ぁまだなんだよ。どうせまだまだイけんだろ、しっかりおっ勃てろ」
いくら連射がきくとはいっても、達したばかりで敏感になっているソコは布地に擦られると痛いくらいだ。
俺の腰を鷲掴んで乱暴に揺する徹さんの動きの合間になんとか二人分の陰茎を取り出して、肌同士で密着するように握ると徹さんも先端から白濁を吐いた。びゅる、と勢いよく出たそれが俺のTシャツと指を濡らして、粘つく感覚に身震いしてそれでまた擦り出す。
「馬鹿、待て」
「やだ、さっき俺が待ってって言っても聞いてくれなかったじゃん」
「満足するまでヤッて欲しいならあんまがっつくんじゃねぇよ」
「……挿入れてくれんの?」
「は? この状況でヤらせねぇつもりか?」
暫し見合ってお互いに呆けて、首を傾げた。
「だって……もうずっと挿入れてくれないじゃん。飽きたのかと思ってた」
「…………あ~……」
今日はそういう気分になった、って感じなんだろうか。
長い相槌に、言いたくなさそうな雰囲気を感じてまた手を動かした。
「待てって」
「いーよ、別に。志摩宮もそうだし、俺だって別にヤらなきゃ死ぬわけでもないし」
「違ぇって。……つーか、マジで気付いてねぇのかよ」
陰茎を擦る手を掴んで止められて、下から寄ってきた唇が合わさる。ちゅ、と吸うだけで離れた徹さんは、眉をハの字に下げた珍しい表情で俺の尻を揉んで、後ろの窄まりを指で撫でた。俺の手を掴んだ時についただろう徹さんの出した精液を滑りに、そのまま俺の中に指先が埋まってきて小さく声が出てしまう。
久々の……、久々の筈なのに、一年ぶりの筈なのに、どうしてかそこはそれだけのぬるつきで柔らかく開いていく。
「待っ……、ぁ、指、されると」
中を擦られると、何も考えられなくなってしまう。ゆっくり抜かれていった指に熱い吐息を漏らして徹さんの頭を抱えるように縋りつくと、またやわやわと尻を揉まれた。
「挿入れてなけりゃ、こんなユルユルのわけねーだろ」
「どういう、意味」
「……テメエが寝てる間に、勝手に使わせてもらってたんだよ」
あ? と、自分でも思ったより低い声が出た。
「寝てる間に……?」
「紋で起きねぇようにしてたとはいえ、全く気付かねぇもんか? 後処理はしてたが気付くだろ普通」
呆れたみたいに言われて、俺がおかしいのかと目を剥く。いや、……いやいやいや。それはおかしいだろ。
「勝手に使うな! つか、……つーか、なんで寝てる間なんだよ! 起きてる時にしろよ!!」
「物扱いに怒れよ」
冷静にツッコまれて、でも怒り心頭の俺は徹さんの陰茎にベシッと八つ当たりする。
「イッ……てめ、この」
「痛っ」
引っ叩き返されて、お互いに手を上げた状態で睨み合ってから、肩を落として溜め息を吐いた。
「……全然しねぇから、もう俺とヤんの飽きたかと思ってた」
「そりゃお前の方だろ。俺とヤんなくても問題無かったんだろ?」
下ろした視線の先で、俺のは萎えて右に倒れているのに徹さんのは元気なままだ。
「だって、ヤりたいって言って拒否られたら凹むし」
つんつんと指でつつくと、徹さんの肉はぶる、と震えてまた少し大きくなった。え、なんでこれで興奮すんの。
「俺としちゃあ、もう我慢出来ない抱いて♡ ってテメエが言ってくるのを待ってたんだがな」
「それで一年も睡姦してたのかよ。よく飽きなかったな」
寝てる俺としてたってことは、ずっと無反応な体を使ってたわけだよな。そういうフェチがあるのは知ってるけど、つまらなそう、としか思えない。首を傾げる俺に、徹さんはくっくっと喉を鳴らして笑い出した。
「スイカン? ……だってお前、寝てても普通に喘ぐしイくし」
「えっ、マジで」
「マジで。つーか、一年も経ってたか。……そろそろ、起きてるお前とヤりてぇと思ってたよ」
笑ってくれるのは嬉しいけど、その内容は少しいただけない。宥めるように俺の背を撫でてくれるけれど、拗ねて唇を尖らして、徹さんの肉の先端の鈴口を指で撫でる。じわ、と滲んだ先走りが指先を濡らして、ここはすごい素直、と目を細めた。
「もっと早く思えよ。俺はずっとヤりたかった」
「志摩宮とヤッてんじゃねぇのか?」
「挿入れてはない。それに、中に欲しいって思うのは徹さんだけだよ」
溜め息混じりの俺の言葉に、徹さんは睨むように目を眇めて、顔を寄せてくる。
「……それ、優しさのつもりで言ってんのか」
「本音だっつの」
志摩宮とするのは嫌では無いけれど、欲しいとは思わない。だから一年も我慢出来た。……いや、身体の方は俺の意思とは別に満たされていたみたいだから、だからこそかもしれないけれど。
「挿入れて、俺ん中にいっぱい出して」
ちゅう、と唇を吸って、徹さんの顔を掌で包んで囁いた。
間近の徹さんの目がじっと俺を見て、何も言わず俺の口に指が差し込まれる。後ろを解す為の指だろうそれを舐め回すと、目を細めてごくりと唾を飲むのが聞こえた。
「悪い女に騙されてるみてぇだ」
「悪い男、の間違いだね」
「……一生騙しててくれ」
指が抜かれて、もう片方の手にジャージのズボンを下されかけた、その時。
ガチャ、と車のドアを開けて、志摩宮が覗き込んできた。
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