【R18】無能王子の傀儡計画 怠惰に寵姫たちと暮らしたいだけです

白鷺雨月

文字の大きさ
14 / 44

第十四話 立太子の儀

しおりを挟む
 四月十五日、僕の兄王子シリウスの立太子の儀が行われた。
 国内の有力貴族や名士、諸外国からも王侯貴族らの要人が招かれていた。
 当然ながら僕も出席する。僕はエルディア王族の一員だからね。
 立太子の儀はつつがなく行われた。
 神聖教会ヴァルストリアからマザラン枢機卿が招かれ、立太子の儀の立会人となった。
 神聖教会ヴァルストリアはこの大陸でもっとも信者の多い七聖教の総本山だ。前世でいうところのバチカン市国に近いイメージを僕は持っている。
 
 ロバート王から雷帝剣インドゥラがシリウスに授けられた。これで兄のシリウス王子は王太子となる。
 これは公式には発表されていないが父上は来年にはシリウスに王位を譲るとのことだ。

 兄王子のシリウスは豪奢な獅子のたてがみのような金髪を持つ偉丈夫だ。身長は百九十センチメートルと僕よりも十センチメートルは高い。
 エルクよりもシリウス王子のほうが身長が低いけどエルクは巨人族の末裔だからね。
 凛々しくも頼もしい姿をしたシリウスはまさに次世代のリーダーにふさわしいと誰もが認めるところだ。
 彼が王となればこの国は安泰だろう。
 僕も愛姫たちと子作りに専念できるというものだ。


 立太子の儀が無事に終わり、各国の有力貴族や要人、さらにわが国の有力貴族も参加するパーティーが催された。
 当然それにも僕も参加する。どちらかといえば堅苦しい儀式よりもパーティーの方が好きだ。
 時刻は夕暮れ、王宮の大広間には豪華な料理が数多く並んでいる。
 僕はジルとエルクを伴い、大広間で各国の大使や貴族に挨拶する。こういうのは疲れるがやっておかないとといけないんだよね。本当は怠惰に暮らしたいんだけどね。王族としての最低限の仕事はこなさなくてはいけないのだ。
 この日、ジルはメイド服ではなく赤いドレスをきている。大きく胸元が開いていてかなりセクシーだ。
 今日はメイドではなく僕のパートナーとしての役割を担ってもらっている。
 こういうパーティーでは男女一組になるのがしきたりらしい。前世なら絶対参加出来ないな。
 
 エルクは騎士の礼服を着ている。デザイン的にはナポレオン帝政時代の軍服に近い。かつて勇者ハヤトがデザインしたもので古式ゆかしいものだ。
 背の高いエルクはこのナポレオン時代の軍服がよく似合う。
 僕がかっこいいよとほめると褐色の肌の頬を桃色に染めてエルクは照れていた。
 まったくかわいいな。今夜はエルクをベッドでかわいがってあげようかな。
 そんなことをかんがえていたらシャンパングラスを手に持つ小太りの青年に声をかけられた。
 小太りで一重の眠そうな顔をしたおかっぱ頭の青年だ。身長は百六十センチメートルぐらいだろう。ずんぐりむっくり、そんな言葉がよく似合う。
「やあやあシオン殿下、ごきげんうるわしゅうございます」
 甲高い声で挨拶された。
 この青年は僕と同い年の従兄弟でヨーゼフという。
 ヨーゼフ・バハムートだ。
 彼は王弟のマキシリアンの一人息子だ。何を思ったかヨーゼフは王位継承権を返上して、臣籍降下した。
 そして王家よりバハムート姓をもらい、公爵の地位についた。
 僕には彼が臣籍降下した理由がわかる。
 王位継承権なんかあったらいつ神輿として担ぎ出されるかわからない。失敗したら待つのは死だからね。
「ああ、ヨーゼフか」
 ヨーゼフの後にはほっそりとした美しい女性がお淑やかに控えていた。二人とも似た顔をしている。そして二人ともとびっきりの美人だ。
 ただ欠点をいえばその胸が控えめであるということだ。
 二人の顔はよく似ているが髪の色が違う。
 たしか黒髪の方がクロネで白髪の方がシロンだ。
 彼女たちの特徴がもう一つある。その両耳が笹の葉のように尖っているのだ。
 そうクロネとシロンはエルフなのだ。この世界で樹霊族と呼ばれている。南方異大陸の出身だということだ。

「シオン殿下、我が家臣の美貌はどうですかな?」
 ヨーゼフは背後の二人を自慢する。
 エルフというのは確かに魅力的なんだけどおっぱいが小さいんだよね。まあ、向こうからエッチなお誘いがあれば別だけどね。
「確かに美人だね。でも僕はジルのほうが好みかな」
 僕が言うとジルは目を伏せて、照れていた。こういうところがジルのかわいいところなんだよね。
「ふむ、確かにその宝石のような赤い目は惹かれるものがありますな」
 僕は見逃さない。そのヨーゼフの言葉を聞いたシロンとクロネがむっとしたような顔をしていた。
「だかまあ、我が配下のシロンとクロネには敵いますまいて」
 ヨーゼフは自慢気だ。
 彼はほっそりとして清楚な女性こそがもっとも美しいと考えている。僕は逆にむちむち巨乳巨尻がタイプだ。彼とは美について相容れることはない。
 でもヨーゼフのことは不思議と嫌いにはなれない。


 僕たちがくだらないことで張り合っていると黒髪の巨乳美女が話しかけてくる。
 セリーナ・ムーンウィ男爵夫人だ。
「こんばんはシオン殿下、ヨーゼフ様」
 深くセリーナはお辞儀をする。深い谷間が魅力的だ。まあ手は出さないけどね。年上の巨乳お姉さんの役割はエルクにになってもらっているから十分だ。
「新しい殿下の家臣もこんばんは」
 セリーナは僕の右肩で寝ているリリム猫に話しかける。リリム猫は惰眠を貪っていた。

 その時だ。
 大広間の中央がざわめきだした。
 いったいぜんたい何だというのだ。
 僕はジルとエルクを連れて、その騒ぎの中心に向かう。

 そこには兄のシリウスがとある女性に剣の切っ先を突きつけていた。王位の象徴たる雷帝剣インドゥラではなく普通のサーベルであった。とはいえ女性に剣を突きつけるなんてただ事ではない。
 そのシリウスに剣を突きつけられているのは桃色がかった金髪の美しい女性だ。ジルほどではないが僕好みの良い巨乳をしている。
 それはエレノア・ハルトムート公爵令嬢だ。
「エレノア・ハルトムートよ。お前との婚約を破棄する!!」
 シリウス王子あらためシリウス王太子は声だかに叫んだ。
 えっ何言ってるのこいつ……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...