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【4―クロードの家で】前編
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「だっ、だって、何も避妊してないのに……!」
ユリウスの下から転げ出て、アリシアは床に無造作に置かれていたショーツをはきながら叫んだ。
「えっ、準備すればいいの?」
「やっ、そっ、そもそも婚前交渉とか私はぁ……!」
「えっ、結婚したらいいの? してくれるの……!?」
「んんっ!? というか、王子の相手は魔法の才能がないとダメでしょ……!」
同じく無造作に置かれていたズボンをはきながら説教めいた説得をすると、ユリウスはやけにキリッとしてうなずいた。
「うん、だからたくさん魔力を注いで、きみの魔法に変化があるか確かめたいんだ」
「っ~~~!?」
いつの間にか、結婚相手として想定されていたうえに実験まで始まっていた。
◇ ◇ ◇
家にいる間、度々ユリウスが期待を込めた瞳でこちらを見つめてくる。軽いものならと口づけに応じたり応じなかったりしていると、ユリウスが完全に調子に乗った。
週明け、魔法管理局でアリシアがパソコンに向かっていると、これから任務に出る彼がぎゅむっと抱き着いてくる。
「アリシア! それじゃあ行ってくるね!」
「は――はい、いってらっしゃい」
アリシアの隣の席には、クロードが座っているにも関わらず、だ。
(うわぁ……見なくてもわかる、クロードが物凄い顔してそう……)
実際、舌打ちが聞こえてくる。
ユリウスが事務室を出て行ったあと、アリシアは言い訳するのも怖くてひたすらキーボードを叩いていた。
(まったく、ユリウスもめちゃくちゃなんだから……。確かに魔力は馴染んでるけど、王族の結婚相手として許されるほど変わるとは思えないし)
かと言って他に結婚したい人もいないので、やはり一人で生きていけるよう仕事に邁進するのみだ。アリシアは任せてもらった作業――本部の依頼データベースからディオール支部に合うものを選定し、各員に割り当て――を高速で完了し、ほうきで床を掃いているフランツを見やる。
「支部長、次は何をすればいいですか?」
「あっ、もう終わった? 今日の事務作業はおしまいだね~帰ってもらおうかなぁ」
「えっ? さっき、お昼食べたばっかり……」
「あっはっは、今日はクロードもいるし、おかげさまで捌けてるからさ。任務に出られるなら残ってもらうんだけど、無理は禁物だよ」
フランツは優しいが、やる気が宙ぶらりんになってしまった。
(やっぱり、魔法が使えないとここではちゃんと役に立てないよね……。この二日、たくさんキスしたから、実は魔力残ってるんだけど……病院で食い下がればよかった)
朝はいつもの総合病院の手伝いに行ったので、アリシアの魔力量を把握している看護師から「おつかれさまです!」と言われ事情も説明できず帰ってきたのだ。
「……じゃあ、お先に失礼します」
仕方なく帰り支度をしていると、電話を取ったフランツが叫んだ。
「エッ、トラックの下敷きぃ!?」
この復唱は出動指示も兼ねているらしく、クロードが立て掛けてあったロングソードを取って淡々と廊下へ出て行く。フランツがスマホ片手に社用車の鍵を取ろうとすると、一言「直帰するからいい」と声をかけてあっという間に行ってしまった。
(交通事故ってこと?)
状況を把握すると同時に、アリシアは立ち上がった。現場の住所をつぶやきながらメッセージを送っているフランツの隣を通って、窓を開ける。
「回復魔法、まだ使えます!」
「えっ、なん――いってらっしゃい!?」
上司の許可は得た。窓の外、すでに駐車場で黒のセダンに乗り込もうとしていたクロードが、物凄く不服そうにしながらも両腕を広げて駆け寄ってくれたのでアリシアは窓枠に足をかけて二階から飛び降りた。
背後、頭上からフランツの悲鳴が聞こえる。
(魔力を、体の保護に――!)
回す暇もなく、クロードが跳んで落下衝撃なしにアリシアを受け止める。そして、着地と共にため息をついた。
「……俺でもやらない」
「ごめん……急ぎかと思って」
肩をすくめる彼と共に、アリシアは車に乗り込んで事故現場へと向かった。
歩道まで乗り上げ横転した大型トラックと、片脚の先を荷台に挟まれ動けない男性。レスキュー隊は到着しており、トラック撤去の打ち合わせが行われている最中だった。
ただ一言「魔法管理局だ」と断りを入れて人々の合間を行き、クロードは両手をわずかな隙間に差し込むと、身体強化の魔法のみでトラックを男性の上から退かせた。どよめきが起こる中、アリシアは自分の役割のために気を張り続ける。
救急車の前まで運ばれる男性。少しでも足を元の状態に近付けるために、彼女は全力で回復魔法を使った。
(まだ……まだ、もっと、もっと――)
急速な魔力の消費で目眩がする。傍らに立っていたクロードが、優しくも呆れたような声で言った。
「なあ、応急処置でいいんだぞ」
「でもっ、早く歩けるようになった方が――」
「待たせてるだろ、救急車」
そこまで考えが至らなかった。
「あ……ごめんなさい」
誰にともなく頭を下げて、アリシアは一歩身を引く。男性だけではなく、色んな人に礼を言われたけれども、上手くできない自分が情けなかった。
遠ざかるサイレンを聞きながら手を握りしめていると、クロードから頭をくしゃくしゃになでられる。
「一応仕事だけどな、あんまり役に立とうとか思うな。魔法はもう、今の人類には過ぎたものなんだよ」
「……それは、そうかもしれないけど……」
「だから二階から飛び降りるような真似二度とするなよ、身体強化なんて出来ないんじゃなかったのか? さっきのも一体どこから魔力を工面してるんだ? まさか、あいつから魔力供給を受けてるんじゃないだろうな」
「……………………」
雲行きが怪しくなってきた。本当のことなんて口が裂けても言えない。
しかし完全な嘘もつけなくて、アリシアは苦し紛れに答える。
「て、手を……繋ぐやつは……した……」
「そ れ だ け か ?」
「……ソレダケ」
「ふーん……?」
視線に耐えられず、そっぽを向く。
すると、何やら頭上から鈴を転がすような声が聞こえた気がして、アリシアは本当に雨雲が流れてきた空を見上げた。
(これは……笑い声……? 幻聴……?)
ぽつぽつと雨粒が落ちてくる。クロードは「ああ、降ってきたな」とつぶやくだけで、声には言及しなかった。聞こえていないらしい。
雨足はすぐに激しさを増し、謎の音がかき消える。
(さすがに疲れてるみたい)
「おい、帰るぞ。しばらくうちで休んでいけ」
「え、あ、うん……!」
クロードに促され、アリシアは急いで車に乗り込んだ。
到着したのは、十五階建ての、なんだか高そうな品の良いマンションだった。いま住んでいるアパートと同じ“最上階の角部屋”に招かれるが、こちらは一人暮らしには広すぎる3LDK。ダークブラウンのフローリングに、家具は大体が暗色で全体的に落ち着いている。
夏だから雨で風邪などそうそう引かないだろうと思いつつも、クロードに言われるまま温かいシャワーを浴びる。浴室から出ると、脱いだ服は乾燥機に入れられていて、代わりに爽やかなチェック柄のワンピースパジャマなど、謎の着替え一式が置かれていた。
(おっ、おぉ……下着まである……)
子ども用か? と思わないでもない、白の可愛らしい下着だった。着替えを終えて、アリシアはそろりとリビングに顔を出す。
「クロード……これ、どうしたの?」
「お前がいつ来ても良いように揃えた」
ダイニングテーブルで紅茶を淹れていたクロードが、平然と答えた。
「あ、ありがとう……」
さすがにやりすぎだとか、色々と言いたいことはあるが、他に言葉が思い浮かばない。
まるでモデルルームから機能的でないものを取っ払ったような統一感のある部屋で、アリシアは黒のマグカップの隣にあるファンシーな花柄のカップを覗き込む。こちらだけミルク入りで――彼女はあまりストレートで紅茶を飲まない――そういえばクロードが実家にいた頃はたまにこうして作ってくれていたし、自分の下着もこんな感じだったなと思いつつ、やっぱり恥ずかしいので手で顔を扇ぎながら着席した。
二人で向かい合って静かに紅茶を飲んでいると、クロードがなんの前触れもなく言う。
「あんまり、あいつの魔力あてにするなよ」
「え……あ、うん、そうだよね。やっぱり、自分の力で活躍しないと」
マグカップの中に視線を落として、
(あぁ、この色、ミレーヌさんの髪と同じ色だなぁ……。やっぱりクロードも、ああいう優秀な女性がいいのかなぁ……)
だなんて、ほとんど脈絡のない気落ちの仕方をしてしまう。思ったよりも劣等感を抱いていたようだ。
しかし、クロードは眉を寄せてマグカップをテーブルに置く。
「そうじゃなくて。あいつの魔力は瞬発力があるだろ。扱いが難しい上に衝動性が出る」
「あ……行動にまで影響するんだ」
確かに、普段は急いでいても二階から飛び降りる気にはならない。納得したアリシアは、クロードの身体強化のパワーとスピードを思い出しながらこくこくとうなずいた。
「じゃあ、クロードがユリウスに剣を向けたのも魔力のせいだったんだね」
「いや、俺のは量で押し切ってるだけで性質は普通だぞ」
「え、じゃあアレはなんだったの」
「単に気に入らねぇから……」
「気に入らないから……」
むしろ、そちらの方が問題な気がした。
しばらくの沈黙。クロードが、わずかに眉を寄せたまま、まっすぐに見つめてくる。
「……だから、あいつじゃなくて俺にしろよ」
「――え、」
アリシアは、二の句が継げなかった。
彼の瞳も声色も、家族を案じるだけに留まらず、奪い返したいという気持ちが滲んだ重みを持っているように思えたから。
ユリウスの下から転げ出て、アリシアは床に無造作に置かれていたショーツをはきながら叫んだ。
「えっ、準備すればいいの?」
「やっ、そっ、そもそも婚前交渉とか私はぁ……!」
「えっ、結婚したらいいの? してくれるの……!?」
「んんっ!? というか、王子の相手は魔法の才能がないとダメでしょ……!」
同じく無造作に置かれていたズボンをはきながら説教めいた説得をすると、ユリウスはやけにキリッとしてうなずいた。
「うん、だからたくさん魔力を注いで、きみの魔法に変化があるか確かめたいんだ」
「っ~~~!?」
いつの間にか、結婚相手として想定されていたうえに実験まで始まっていた。
◇ ◇ ◇
家にいる間、度々ユリウスが期待を込めた瞳でこちらを見つめてくる。軽いものならと口づけに応じたり応じなかったりしていると、ユリウスが完全に調子に乗った。
週明け、魔法管理局でアリシアがパソコンに向かっていると、これから任務に出る彼がぎゅむっと抱き着いてくる。
「アリシア! それじゃあ行ってくるね!」
「は――はい、いってらっしゃい」
アリシアの隣の席には、クロードが座っているにも関わらず、だ。
(うわぁ……見なくてもわかる、クロードが物凄い顔してそう……)
実際、舌打ちが聞こえてくる。
ユリウスが事務室を出て行ったあと、アリシアは言い訳するのも怖くてひたすらキーボードを叩いていた。
(まったく、ユリウスもめちゃくちゃなんだから……。確かに魔力は馴染んでるけど、王族の結婚相手として許されるほど変わるとは思えないし)
かと言って他に結婚したい人もいないので、やはり一人で生きていけるよう仕事に邁進するのみだ。アリシアは任せてもらった作業――本部の依頼データベースからディオール支部に合うものを選定し、各員に割り当て――を高速で完了し、ほうきで床を掃いているフランツを見やる。
「支部長、次は何をすればいいですか?」
「あっ、もう終わった? 今日の事務作業はおしまいだね~帰ってもらおうかなぁ」
「えっ? さっき、お昼食べたばっかり……」
「あっはっは、今日はクロードもいるし、おかげさまで捌けてるからさ。任務に出られるなら残ってもらうんだけど、無理は禁物だよ」
フランツは優しいが、やる気が宙ぶらりんになってしまった。
(やっぱり、魔法が使えないとここではちゃんと役に立てないよね……。この二日、たくさんキスしたから、実は魔力残ってるんだけど……病院で食い下がればよかった)
朝はいつもの総合病院の手伝いに行ったので、アリシアの魔力量を把握している看護師から「おつかれさまです!」と言われ事情も説明できず帰ってきたのだ。
「……じゃあ、お先に失礼します」
仕方なく帰り支度をしていると、電話を取ったフランツが叫んだ。
「エッ、トラックの下敷きぃ!?」
この復唱は出動指示も兼ねているらしく、クロードが立て掛けてあったロングソードを取って淡々と廊下へ出て行く。フランツがスマホ片手に社用車の鍵を取ろうとすると、一言「直帰するからいい」と声をかけてあっという間に行ってしまった。
(交通事故ってこと?)
状況を把握すると同時に、アリシアは立ち上がった。現場の住所をつぶやきながらメッセージを送っているフランツの隣を通って、窓を開ける。
「回復魔法、まだ使えます!」
「えっ、なん――いってらっしゃい!?」
上司の許可は得た。窓の外、すでに駐車場で黒のセダンに乗り込もうとしていたクロードが、物凄く不服そうにしながらも両腕を広げて駆け寄ってくれたのでアリシアは窓枠に足をかけて二階から飛び降りた。
背後、頭上からフランツの悲鳴が聞こえる。
(魔力を、体の保護に――!)
回す暇もなく、クロードが跳んで落下衝撃なしにアリシアを受け止める。そして、着地と共にため息をついた。
「……俺でもやらない」
「ごめん……急ぎかと思って」
肩をすくめる彼と共に、アリシアは車に乗り込んで事故現場へと向かった。
歩道まで乗り上げ横転した大型トラックと、片脚の先を荷台に挟まれ動けない男性。レスキュー隊は到着しており、トラック撤去の打ち合わせが行われている最中だった。
ただ一言「魔法管理局だ」と断りを入れて人々の合間を行き、クロードは両手をわずかな隙間に差し込むと、身体強化の魔法のみでトラックを男性の上から退かせた。どよめきが起こる中、アリシアは自分の役割のために気を張り続ける。
救急車の前まで運ばれる男性。少しでも足を元の状態に近付けるために、彼女は全力で回復魔法を使った。
(まだ……まだ、もっと、もっと――)
急速な魔力の消費で目眩がする。傍らに立っていたクロードが、優しくも呆れたような声で言った。
「なあ、応急処置でいいんだぞ」
「でもっ、早く歩けるようになった方が――」
「待たせてるだろ、救急車」
そこまで考えが至らなかった。
「あ……ごめんなさい」
誰にともなく頭を下げて、アリシアは一歩身を引く。男性だけではなく、色んな人に礼を言われたけれども、上手くできない自分が情けなかった。
遠ざかるサイレンを聞きながら手を握りしめていると、クロードから頭をくしゃくしゃになでられる。
「一応仕事だけどな、あんまり役に立とうとか思うな。魔法はもう、今の人類には過ぎたものなんだよ」
「……それは、そうかもしれないけど……」
「だから二階から飛び降りるような真似二度とするなよ、身体強化なんて出来ないんじゃなかったのか? さっきのも一体どこから魔力を工面してるんだ? まさか、あいつから魔力供給を受けてるんじゃないだろうな」
「……………………」
雲行きが怪しくなってきた。本当のことなんて口が裂けても言えない。
しかし完全な嘘もつけなくて、アリシアは苦し紛れに答える。
「て、手を……繋ぐやつは……した……」
「そ れ だ け か ?」
「……ソレダケ」
「ふーん……?」
視線に耐えられず、そっぽを向く。
すると、何やら頭上から鈴を転がすような声が聞こえた気がして、アリシアは本当に雨雲が流れてきた空を見上げた。
(これは……笑い声……? 幻聴……?)
ぽつぽつと雨粒が落ちてくる。クロードは「ああ、降ってきたな」とつぶやくだけで、声には言及しなかった。聞こえていないらしい。
雨足はすぐに激しさを増し、謎の音がかき消える。
(さすがに疲れてるみたい)
「おい、帰るぞ。しばらくうちで休んでいけ」
「え、あ、うん……!」
クロードに促され、アリシアは急いで車に乗り込んだ。
到着したのは、十五階建ての、なんだか高そうな品の良いマンションだった。いま住んでいるアパートと同じ“最上階の角部屋”に招かれるが、こちらは一人暮らしには広すぎる3LDK。ダークブラウンのフローリングに、家具は大体が暗色で全体的に落ち着いている。
夏だから雨で風邪などそうそう引かないだろうと思いつつも、クロードに言われるまま温かいシャワーを浴びる。浴室から出ると、脱いだ服は乾燥機に入れられていて、代わりに爽やかなチェック柄のワンピースパジャマなど、謎の着替え一式が置かれていた。
(おっ、おぉ……下着まである……)
子ども用か? と思わないでもない、白の可愛らしい下着だった。着替えを終えて、アリシアはそろりとリビングに顔を出す。
「クロード……これ、どうしたの?」
「お前がいつ来ても良いように揃えた」
ダイニングテーブルで紅茶を淹れていたクロードが、平然と答えた。
「あ、ありがとう……」
さすがにやりすぎだとか、色々と言いたいことはあるが、他に言葉が思い浮かばない。
まるでモデルルームから機能的でないものを取っ払ったような統一感のある部屋で、アリシアは黒のマグカップの隣にあるファンシーな花柄のカップを覗き込む。こちらだけミルク入りで――彼女はあまりストレートで紅茶を飲まない――そういえばクロードが実家にいた頃はたまにこうして作ってくれていたし、自分の下着もこんな感じだったなと思いつつ、やっぱり恥ずかしいので手で顔を扇ぎながら着席した。
二人で向かい合って静かに紅茶を飲んでいると、クロードがなんの前触れもなく言う。
「あんまり、あいつの魔力あてにするなよ」
「え……あ、うん、そうだよね。やっぱり、自分の力で活躍しないと」
マグカップの中に視線を落として、
(あぁ、この色、ミレーヌさんの髪と同じ色だなぁ……。やっぱりクロードも、ああいう優秀な女性がいいのかなぁ……)
だなんて、ほとんど脈絡のない気落ちの仕方をしてしまう。思ったよりも劣等感を抱いていたようだ。
しかし、クロードは眉を寄せてマグカップをテーブルに置く。
「そうじゃなくて。あいつの魔力は瞬発力があるだろ。扱いが難しい上に衝動性が出る」
「あ……行動にまで影響するんだ」
確かに、普段は急いでいても二階から飛び降りる気にはならない。納得したアリシアは、クロードの身体強化のパワーとスピードを思い出しながらこくこくとうなずいた。
「じゃあ、クロードがユリウスに剣を向けたのも魔力のせいだったんだね」
「いや、俺のは量で押し切ってるだけで性質は普通だぞ」
「え、じゃあアレはなんだったの」
「単に気に入らねぇから……」
「気に入らないから……」
むしろ、そちらの方が問題な気がした。
しばらくの沈黙。クロードが、わずかに眉を寄せたまま、まっすぐに見つめてくる。
「……だから、あいつじゃなくて俺にしろよ」
「――え、」
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