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第18話『呪いの勇者は、聖剣の行方を誤魔化したい』

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 「カケルさん。二人きりで話したいことがあるので屋敷に入れて下さい」

 首狩りの王との戦いを経て屋敷に帰り、眠りについた早朝のことだった。本能がそう言ってるので、間違いないだろう。俺はアクアやギルドに、聖剣がどうなったかの報告をしていないのだ。

 マジでやべえよ、どうしよう。聖剣はダンジョンが崩壊したので無くなっちゃいましたー、何て言ってみろ。間違いなく説教どころではない。

 聖剣なんてどこにも無かったと、シラを切るにしたってバレバレだ。ギルド本部は、確かに聖剣があのクリスタルのダンジョンにあるって、把握してるんだからな。

 もうどうなってもいいやと思い、アクアを応接間に案内して二人だけで話したいと言う、その内容について聞くことにした。

 「ズバリ聞きます。聖剣はどうしたんですか?」

 「聖剣? あぁ、俺のエクスカリバーのこと? そんなの決まってんだろ、もうギンギンだよ」

 力強いビンタでした。こっちだって、無くなりましたなんて言えないんだよ。察して欲しいところです。

 「冗談は結構です。大丈夫ですよ、怒らないので。どうせダンジョンが消失して聖剣まで無くなったって言うオチなんでしょう?」

 「分かってるなら平手打ちしなくても良かっただろ!」

 「セクハラしてきたので何となくやりました」

 分かってくれたみたいで安心した。だけど、こんな話しわざわざ二人きりで話す内容でもないような気がする。何か他に、伝えたいことがある筈だ。

 「そんなことを話しに来たのではありません。カケルさんは知らないでしょう? 聖剣以外に魔王を討伐する武器があるんです」

 「何だそれ。そんなのあるなら俺らは必要無かったんじゃないか?」

 「むしろアナタ達、勇者が必要だったのです」

 意味深な発言に、どうも腑に落ちなく困惑するばかりです。アクアさんの言っている意味がよく分かりません。誰か助けて下さい。
 
 俺はまるで分かったかの様な振る舞いをして、この場を誤魔化そうと試みた。厄介事に巻き込まれるのは、もう御免だからな。どうやってでも、俺やエリクシア達にスローライフさせてやりたく無いのだろうか。

 ギルド本部の思惑は、俺にはちっとも理解出来ないでいた。

 「つまり、俺は勇者パーティから追放されたから関係ないって話しですよね!? 確かにそうだ! 俺は勇者じゃない、元勇者何ですからねー! ハハハハ!」

 「何言ってるんですかカケルさん。本当に馬鹿なんですから。ギルド本部は聖堂教会で召喚されたアナタ方、五名の事を言っていましたよ? だから、元勇者とかそういうの無いんです」

 誰が俺を召喚したんだよ、ふざけやがって。こんな世界に呼ばれる様な、大層な人間でもないのにこの仕打ちはあんまりだ。

 そりゃ、この世界で大切な仲間に出会えた事は、何より嬉しい事何だが俺の日常を壊さないで欲しい。これも、呪われた勇者である俺の運命なんですかね。

 面倒すぎて、あくびすら出ません。この先俺は、どうすれば良いのでしょうか。

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