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【第二章 ハズレモノ旺盛編】
030「告白と呼びかけ」
しおりを挟むん?
んん?
今⋯⋯何でもするって言ったよね?
俺は吾妻のその言葉にピコーンと閃いた。
「なるほど。あいわかった。それじゃあ許そうじゃないか⋯⋯広い心を持って!」
ここで古河が、俺の突然の変化に怪訝そうな顔を浮かべた。しかし、
「いい⋯⋯のか?」
吾妻は俺の言葉を聞いてそのまま嬉しそうな反応を返す。⋯⋯少し笑みが溢れている。
「ああ。ただ正直⋯⋯⋯⋯心の底からお前を許しているかと問われればそんなことはない」
「⋯⋯あ、ああ。そう⋯⋯だよな、当然だ」
吾妻は一瞬笑みを浮かべるも俺の言葉にシュンとする。
そりゃ、そうだろ? 俺がこれまで吾妻から受けたいじめはそんな簡単に許せるほどのものじゃない。吾妻もそれはちゃんとわかっているはずだ。むしろ、逆にわかっていなけりゃどうしようもないがな。
しかし⋯⋯しかし⋯⋯である!
まあ、これはこれで⋯⋯⋯⋯今の俺にとっては大変都合の良い状況と言える。つまり、
『吾妻翔太、利用し放題』じゃないか!
そんな、どこぞのスマホ会社の『謳い文句』のようだと思いながら、俺は吾妻に『いじめられていた立場』というアドバンテージを最大限に利用しようと頭を切り替える。
「ただ⋯⋯もしも、お前が俺に対して本当に『何でもする』と言うのなら、早速協力してほしいことがある!」
「きょ、協力?」
「その前に⋯⋯」
そう言って、俺は古河を見た。
「おい、古河」
「な、なんだ、突然⋯⋯っ?!」
「突然じゃねーよ。お前は何しにここにきたんだ?」
俺は古河にそのままの疑問をぶつける。そう⋯⋯吾妻がここにくる理由はわかるが、こいつがなぜ俺のところに来たのかが全くわからないのだ。
「ふむ。私はお前に⋯⋯⋯⋯ダンジョンでの出来事について本当のことを教えて欲しいと思ってこの部屋にきた。吾妻と一緒なのはたまたまだ」
「ダンジョンについての本当のこと⋯⋯だと?」
「ああ、そうだ。日下部君、君は嘘をついているね?」
「っ!?」
な、なんだ、古河美咲っ?! 何のつもりでこんなことを言っているんだ⋯⋯?
「これはあくまで主観⋯⋯ではあるが、日下部君がダンジョンで命を落としかけた件について、実は柊木たちが何かしたのではないかと私は疑っている」
「何か⋯⋯とは?」
「⋯⋯⋯⋯日下部君を殺そうとしたんじゃないかってね」
「な、何っ?! 柊木たちが⋯⋯? そ、そんなバカなっ!?」
古河の言葉に、横で吾妻が激しく動揺した。⋯⋯無理もない。なんせ『クラスメートを殺そうとした』って話だからな。
「日下部君⋯⋯⋯⋯いや瑛二君。どうなんだい?」
あれ? なぜ古河までもが『名前呼び』を? そんなに俺の苗字⋯⋯読みにくいってこと? そ、そんな⋯⋯⋯⋯くっ?! べ、別に、傷ついてなんかないぞ!
「⋯⋯古河。もし、俺がその質問を肯定したら⋯⋯⋯⋯どうするつもりだ?」
「どうもしないよ。仮にそれが本当だとしても特に何かする気はない。というより『何もできない』というのが正しいかな?」
古河は、その理由として「城の人に真実を話したところで、まともに相手になんてされないか、下手すれば、柊木たちに言い包められた城の人たちに変な目で見られる。もしくは⋯⋯⋯⋯最悪、柊木たちに殺される?⋯⋯なんてね」と意味深な説明をする。
どうやら古河は俺と同じ感覚で、『ダンジョンの件』や『現状』を把握しているようだ。⋯⋯これなら、
「⋯⋯古河。それはつまり、お前自身はあいつらが俺に行った殺害行為が本当なら許せないと?」
「当たり前だ! そんなの許されてたまるか!」
古河がキッと俺に向かって睨みつけながら激しく言及する。
「瑛二⋯⋯本当なのか!? ダンジョンでお前が崖から落ちることになったのは⋯⋯あいつらの仕業だってのか!?」
古河と吾妻が怒りの形相で激しく言葉をぶつける。
ふむ、これなら大丈夫そうだな。
「⋯⋯ああ、そうだ。古河の言っていることは本当だ。俺を崖から落として殺そうとしたのは魔物じゃなく、柊木、小山田、吉村たち三人の策略によるものだ」
「「⋯⋯っ!?」」
二人が俺の言葉に絶句する。
********************
俺は二人に『崖から落ちるまで』の話をした。
「何てことだ⋯⋯。クラスメートを⋯⋯同級生を⋯⋯本当に殺そうとしただなんて⋯⋯」
「う、嘘だろ? 柊木が⋯⋯ていうか小山田や吉村まで⋯⋯」
古河と吾妻が俺の言葉にショックを受けている⋯⋯⋯⋯が、しばらくすると、
「⋯⋯殺す。俺が今からあいつらのところ行って⋯⋯⋯⋯殺してやるっ!」
そう言うと、吾妻が勢いよく部屋から出て行こうとしたので、俺は吾妻の手を掴んで止める。
「離せ、瑛二! 心配するな、俺があいつらにお前以上に酷い目にあわせてやるっ!!!!」
そう言って、吾妻は力づくで無理矢理俺の手を振り払おうとした⋯⋯⋯⋯が、
「え? ふ、振り払え⋯⋯な⋯⋯い⋯⋯?」
吾妻は、今度は両手を使って、俺の掴んだ手を全力で外そうとするも、それでもビクともしないことに「え? え?」と動揺を露わにした。ちなみに、俺の横で見ていた古河も吾妻と同じく動揺している。
「吾妻、そんなことしなくていい。ていうか、正直⋯⋯いい迷惑だ」
「えっ?!」
「俺がなんでお前らに『真実』を話したかわかるか?」
二人が「わからない」とふるふる首を振る。
「それはな⋯⋯『俺流ざまぁ』を柊木たちに味わわせたいからだ」
「「お、俺流⋯⋯ざまぁ?」」
俺は二人に、至極丁寧に『俺流ざまぁ』を説明した。
「「えぐっ」」
普通に引かれました。
あっれー? ハクロには好評だったのにな~。
などと、一人ちょっとショックを受けていると、
「何じゃ? だらしないのぉ~」
「げぇっ!!!!」
「「えっ!?」」
ハクロが隠れていたクローゼットからひょっこりはんして出てきた。
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