48 / 52
【第二章 ハズレモノ旺盛編】
049「ご主人様登場」
しおりを挟む「ま、まさか⋯⋯あのリーゼが後ろを取られるなんて⋯⋯」
「う、嘘⋯⋯? 私が⋯⋯後ろを取られるだなん⋯⋯て⋯⋯」
俺が桃色ツインテールちゃんの咄嗟の攻撃をかわした上、尚且つ、後ろを取ったことに周囲のみんなが驚いていた。
ちなみに、セインはその様子をニヤニヤと眺めている。⋯⋯あ、こいつ、こうなることを予想していたな? やっぱ、こいつ『食えないヤロー』認定だな。気をつけよう。
俺がセインの評価を『食えないヤロー』として注意しようと考えていると、
「おい⋯⋯いい加減、離せ」
「え?」
桃色ツインテールちゃんの言葉に一瞬『?』が浮かんだが、
「あ!⋯⋯し、失礼しました」
そう言って、俺はさっきからずっと桃色ツインテールちゃんの両肩を掴んでいたことに気づき、慌てて離す。
すると、桃色ツインテールちゃんがクルッと俺の方に向き合うと、
「私の名は『リーゼロッテ・ジオガルド』。ジオガルド公爵家の娘⋯⋯」
「ジオ⋯⋯ガルド?」
はて? どっかで聞いたことあるような⋯⋯?
「エイジ・クサカベ⋯⋯⋯⋯決闘よっ!!」
「え?」
「お、おいっ!? 待て、リーゼロッテ!」
すると、珍しく少し焦った様子で間に入ってきたのは、
「⋯⋯ケイティ先生」
「リーゼロッテ。それはさすがに洒落にならん。⋯⋯ダメだ」
ケイティ先生は真剣な顔でリーゼロッテを止める。
「どうしてですか?」
「わかるだろ?! お前は『四大公爵』なんだぞ!!」
「⋯⋯⋯⋯」
リーゼロッテはケイティ先生の言葉に口をつぐむ。
「気持ちはわかるが『平民』と『四大公爵』が決闘となるのは聞いたことがない。それに、そうなるといろいろな所、人に影響を及ぼしかねん。よって、その『決闘』は却下⋯⋯」
「お待ちください、ケイティ先生!」
「っ?!⋯⋯⋯⋯セイン⋯⋯クリストファー⋯⋯」
今度はケイティ先生とリーゼロッテの間にセインが乱入してきた。
「先生の言っていることはわかりました。では、『決闘以外』のやり方ではどうですか?」
「何?」
「あくまで『手合わせ』ということでどうでしょう?⋯⋯しかも『正式な場』で」
「⋯⋯何を考えている、セイン・クリストファー」
「今度、城から『救世主様たちの実力試し』の一貫として『模擬戦』をする場がありますよね?」
「っ!?⋯⋯なるほど、そういうことか」
「はい。現在の救世主様がエイジが減って六人となりましたので、『模擬戦』ではこの学園の代表者六人との対戦となります。そこで、エキビジョンマッチということで『リーゼロッテVSエイジ・クサカベ』ということで組んでみてはいかがですか?」
「ほう?⋯⋯それは面白そうだな」
ケイティ先生がセインの提案にニチャァと笑って乗っかった。
「そういったわけだ、エイジ。⋯⋯楽しみにしているぞ」
「いや、チョロすぎだろ、先生っ!!!!」
マズイ。俺の都合はまったく無視して話が進んでいる。
危機感を抱いた俺は、ここで何か上手いこと言って、二人が画策する『エキジビジョンマッチ』を断る・もしくは有耶無耶にすることはできないか考えていると、
「ちょっと待ったーーーっ!!!!」
突然、遠くのほうから『今朝ぶりの声』が響いた。
「その話、ちょっと待ってもらいますよ! セイン様、ケイティ先生!」
この場の『異様な空気』にまったく怯むことなく特攻してきたのは、我が主人⋯⋯ジョルジオ・マッケラン伯爵、その人である!
「ご主人様ぁぁぁーーーっ!!!!」
俺はジョルジオの登場に全力で感謝の意を込めて叫んだ。
********************
「少し、おかしくないですか、セイン様」
ジョルジオがそう言って、身分的には上であるはずのセイン・クリストファーに『異』を申し立てる。
「あと、ケイティ先生も面白がって何やっているんですか!」
さらに、ジョルジオはケイティ先生にも注意をする。
え? 何、このイケメン? 抱かれてもいいぞ!
そんな、まさかのジョルジオの登場に驚いたものの、俺の言葉を代弁してくれるかのようなセリフでセインとケイティ先生にツッコミを入れてくれる。⋯⋯頼もしい。しかし、
「ジョルジオ・マッケラン。なぜ、貴様がこの場にしゃしゃり出てきた?」
セインが突如『冷めた目とトーン』でジョルジオに迫る。
「それは、私がエイジの主人だからです!」
「「「「「え? えええええええええっ!??????」」」」」
そう言って、ジョルジオが腰に手を当てドヤァ~とすると、周囲はおろか、セインでさえもジョルジオの言葉に驚きの表情を見せた。
「そ、それは、本当かい?⋯⋯⋯⋯エイジ?」
「ああ、本当だ。昨日から俺はジョルジオ様の子分だ!」
俺は、ジョルジオの頼もしさに『乗っかろう』と決意し、ここぞとばかりにセインの質問に堂々と答える。⋯⋯ていうか、公爵であるセインには『様付け』しないで、セインよりも身分の低い伯爵であるジョルジオに『様付け』するという、何とも異様な光景が広がっていた。
「そうか。ジョルジオの言っていることは本当⋯⋯なのか⋯⋯」
「ああ、そうだ。主人のジョルジオ様もああ言ってるし、俺だって『手合わせ』だの『模擬戦』だのは参加する気はない! だから、ここは諦めてく⋯⋯」
「「ふむ。だったら丁度いい」」
「え?」
「丁度いい」だと?
しかも、セインとケイティ先生がハモりながら?
あれ? あれ?
何とも嫌な予感が⋯⋯。
10
あなたにおすすめの小説
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる