イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

033「新屋敷健二・新屋敷セーラ」

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「ケンジさん」
「何だい、セーラ?」

 昼下がりの午後——子供たちは学校に行っており、家の中は久しぶりに二人だけの空間になっていた。

 男の名は『新屋敷健二』、女性の名は『新屋敷セーラ』。ソラの両親である。

「ケンジさんと二人っきりなんて久しぶりだな~⋯⋯と思って」
「はは⋯⋯そうだね」

 二人は庭のテラスでお茶をして寛いでいた。

「⋯⋯ところで、ソラ・・のことだけど」

 ここで、セーラが真顔で健二に話を振る。

「⋯⋯ああ。そうだな」
「もう、あまり時間がないんじゃ⋯⋯」
「ああ。一応必死で『上』を抑えて情報公開を1ヶ月ほど遅らせるように言ってある。だが、それが限界だ。『関東C24のダンジョンボス・トロールオーク単独撃破』『10年ぶりとなる異例の二段階特進』⋯⋯⋯⋯これだけの情報を秘匿するのは僕や勝己さんの力を持ってしてももはや限界だ」
「1ヶ月⋯⋯⋯⋯たったそれだけしか」

 セーラが暗い顔を落とす。

「1ヶ月後にはこの情報が国民・一般市民にもメディアを通じて報道される。そうなると、もう我々はこれまでの生活は送れなくなるだろう」
「⋯⋯そうね。それにマスコミは私たちの過去・・・・・・もきっと暴いて報道するでしょうね」
「ああ。一度世に出た情報から我々の過去が明るみになるのも時間の問題だろう⋯⋯」
「は~あ⋯⋯もう少し『普通の生活』を満喫したかったのになぁ~。たった10年しか満喫できなかったわね」
「そうだね」
「まー、一番驚くのは『ゆず』でしょうね。ソラがまさか『高校生探索者シーカー』なんて聞いたら⋯⋯」
「はっはっは。それを言ったら『二段階特進』なんて聞いたらどういう顔するか楽しみだよ」

 二人は少しはしゃいだ。


********************


「ケンジさん、ソラは今どういう状況なの?」
「とりあえず、今は関東B6でダンジョン活動しているよ。⋯⋯相変わらずデタラメな強さでね」
「ケンジさん。ソラは『賢者ワイズマン』が言っていたアレ・・っていうのは本当なの?」
「⋯⋯わからない。こればっかりは賢者ワイズマンも直にソラに会って話を聞いてみないことには⋯⋯と言っていた。ただ、あのソラのデタラメな強さ、底の見えない魔法やスキルの数、それらを考えるとアレ⋯⋯⋯⋯『並行世界線イフラインに選ばれし転移者』であることは間違いないだろう」
「そう⋯⋯なのね」
「⋯⋯セーラ」

 さわさわさわ⋯⋯と心地よい風が二人の頬をくすぐる。

「まーでも、どうなるかはまだわからないよ」
「ケンジ⋯⋯さん?」
「だって、たかが有名人・・・・・・になるだけで一人の人間には変わらない⋯⋯⋯⋯だろ?」
「え、ええ」
「だから、素直に堂々と生きればいいさ。そうすれば、自ずと『光』は見えると僕は思ってるよ」
「ケンジさん」
「とはいえ、生活環境がガラリと変わるのは仕方ないけどね。セーラ⋯⋯君にはいろいろと苦労をかけるね」
「ううん⋯⋯大したことないわよ、これくらい。あの子たちはワタシが守るんだから!」
「ああ、僕だってあの子たちに何かあったら⋯⋯⋯⋯あの子たちに何かをした存在を僕は決して許さない。たとえ、それが神だろうが悪魔だろうが、だ」
「ええ、ワタシも⋯⋯⋯⋯そのつもりです」

 ドン!

——一瞬、健二とセーラの体から凄まじいオーラが体からほとばしり、それは頭上3メートルほどまで達した。

「おっと! つい、気を張ってしまった。いけない、いけない」
「あらやだ、ホント! おほほほほ⋯⋯」

 そうして、また昼下がりの暖かい日差しが差し込むと、同時に心地よい風が二人の頬を撫でた。



 新屋敷家は今日も平和であった。
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