イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
92 / 157
第三章

092「チヤホヤされたい?」

しおりを挟む


——2025年1月中旬

 日本で初となる世界の探索者シーカーギルドの名だたる探索者シーカーやギルドマスターといった顔役が集まる世界会議。⋯⋯『探索者世界会議《シーカー・ワールド・フォーラム》』が開催される。

 探索者シーカーの大規模イベントの一つでもあることから、探索者シーカーだけでなく、一般市民も含めて現場では年が明けて少ししてすぐに『お祭り』のための会場設営が急ピッチで進められていた。

 そんな中——、

「おおっ! やっぱ日本の本場の寿司はサイコーだねー!」
「イエス! さすが日本! 食って食って食いまくるぞぉー!」
「おおー!」

 と、開催一週間前あたりから各国の有名探索者シーカーたちがすでに日本入りし、『日本の探索者シーカー調査』という名の観光を楽しんでいた。

 そして、そのおかげで外国探索者シーカーと国内探索者シーカーによる乱闘事件や、一般人とのトラブルなども増え、警察だけでなく、探索者シーカーギルドでもその対応に追われるなど、良くも悪くも『探索者世界会議《シーカー・ワールド・フォーラム》』の開催が刻一刻と迫っていた。


********************


「よく来てくれた」

 現在、ソラたち『新進気鋭アップスタート』は探索者シーカーギルドの炎呪の部屋に呼び出されていた。そして、そこには不知火不師斗しらぬいふしとと、もう一人——、

「はじめまして。副ギルドマスターをやっている橋爪茶涼はしづめさりょうと申します。以後お見知りおきを」

 探索者シーカーギルド日本本部にて副ギルドマスターをしている橋爪がソラたちに挨拶をする。

「初めまして。新屋敷ソラです」
「唐沢利樹です」
「胡桃沢星蘭です」
「ご丁寧にありがとうございます。今後もいろいろとよろしくお願いします」

 そんな、一連の形式的な挨拶を済ませると炎呪の口から今日の本題が語られる。

「さて、3日後に探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラムがいよいよ開催されるのだが、今回我々はホスト国となるのだが、今回まず君たち『新進気鋭アップスタート』の三人は壇上で紹介されることとなる」
「「え? えええええええええええええ~~~っ!!!!」」
「ど、どうしてですか?! 私たちデビューしてまだ1年も立たない新人ルーキーですよぉ!」
「だからだよ?」
「え?」
「だって、デビューして1年も満たない新人ルーキーが次々とランク昇格のスピード記録を叩き出して、現在はB級ランカーだよ? 逆の立場で考えたら、それって異常でしょ?」
「「⋯⋯あ?」」

 炎呪に言われて気がつく唐沢と胡桃沢。

「そうだぞ。二人はもう少し、自分たちの成長速度を見極める必要がだな~⋯⋯」
「「いや、お前ソラにだけは言われたくないわっ!!」」

 二人が絶妙にシンクロしてソラにツッコむ。ツッコまれたソラも「良いテンポだ」と一人うんうんと感心している。

「はいはい、おちゃらけはその辺にして。さて、クランもそうだけど、それ以上にソラ君は特に注目されているからね?」
「え?」
「二人にさっき『成長速度を見極める必要が⋯⋯』なんてエラソーに言ってたんだ。当然、君も自分のしでかした規模・・・・・・・は理解してるよね?」
「⋯⋯も、もちろんだ(※もちろん、理解していません)」
「うん、理解していないようだね。まーいいや。でね? 今回、壇上に登ったらいろいろと各国の探索者シーカーギルドの人たちから質問がくると思うんだ」
「うむ」
「で、もしかするとだけど⋯⋯⋯⋯もしかすると、そこで『ちょっと腕試ししようぜー!』みたいなノリになることがあるかもしれないんだ。ていうか、あると思ってて欲しい」
「⋯⋯え?」
「⋯⋯『魔物暴走スタンピード単独鎮圧』がね~。だいぶ目立ってるんだよね~」

 そう言って、炎呪が「お前のせいやで」「身から出た錆やで」とジト目を向ける。

「別にいいですよ? 腕試し⋯⋯」
「え? いいの?」

 炎呪はまさかソラが了承するとは思っていなかったようで驚く。

 しかし、ソラ的には「これからはどんどん目立ってチヤホヤされるよう頑張るぞいっ!!」と、極めて健全なよこしまな想いを今年の抱負としていたので、炎呪へすぐに了承の意を伝えたのは当然と言えば当然の結果だった。

「ああ、もちろん。ぶっちゃけ、今後はチヤホヤされるよう頑張ろうと思っているからな」
「え? チヤホヤ⋯⋯?」
「そう、チヤホヤ」

 炎呪が意外にもだいぶ動揺したのか、フラッとよろめいた。さらに、

「ちょ、ソラ!」
「ん?」
「い、今、チヤホヤされたい⋯⋯って言ったのか?」
「うむ」
「ソ、ソラ君? 正気?」
「ん? もちろんだ」
「ど、どうして、いきなりそんなことを⋯⋯?」

 唐沢と胡桃沢が心配そうにソラへ確認を取る。

「いや、これから俺たちは社会人⋯⋯自営業としてやっていくだろ? だったら、今後は表舞台に立つことがあれば目立ったほうが、ダンジョン探索以外にも仕事が入るかもしれないだろ?」
「! な、なるほど⋯⋯」
「! た、たしかに⋯⋯」

 唐沢と胡桃沢がソラの言葉に大きくうなづき感心する。

 しかし、当然、ソラの意図はそこではない。

 字面そのまま⋯⋯単にチヤホヤされたいだけである。

(ふっふっふ⋯⋯完璧だな)

 唐沢と胡桃沢を完全に誤魔化すことができたソラは、一人愉悦に浸っていると、

「いや、たぶん、ソラ君は単純にチヤホヤされたいだけだと思うよ? もっと言ったら、今の正論のような理由も後付けマシマシだと思うけどね?」

 炎呪がニコニコ笑顔でそんな俺の『誤魔化し』を見事看破した。

 そういうの、口に出すのよくないと思いま~す。



 そんなこんなで、3日後——『探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラム』の開催日となった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件

☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。 もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。 俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。  選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。  だが、ある日突然――運命は動き出す。  フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。  「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。  死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。  この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。  孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。  そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。

処理中です...