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第三章
104「世界最強再び/第四試合『ゲオルグ・シェフチェンコVS新屋敷ソラ』②」
しおりを挟むドン⋯⋯!
ゲオルグ・シェフチェンコがソラへと襲いかかった。
「速いっ!⋯⋯⋯⋯⋯⋯くっ?!」
ガキィィィィィィィィィィィィィ~~~~っ!!!!!!
ソラはゲオルグの鋭く放った右拳を両腕をクロスして何とか防ぐ。
「まだまだぁぁぁぁ~~~~っ!!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド⋯⋯っ!!!!!!
先ほどの第三試合のようなラッシュを放つゲオルグ。
ソラは防御してはいるもののすべては捌ききれず、腕や顔に少しずつ傷を作っていく。
「そらそらそら~! ギアを上げてくぞぉぉ~~!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド⋯⋯っ!!!!!!
ゲオルグのラッシュがさらに激しさを増す。
この時点で、ソラはゲオルグの拳や蹴りをまともに何発か浴びるようになっていた。
ドゴォォォォォォォォン!!
ゲオルグの右拳の重い一撃はソラはガードしたものの、そのまま10メートルほど体ごと吹き飛ばされた。
「ソラ君!」
「ソラぁぁ~!!」
舞台袖からは唐沢と胡桃沢が必死に声をかける。
「どうだ~! そろそろ限界かぁ~?」
「⋯⋯⋯⋯ふぅ、なるほど。すごいな、やっぱ」
「ガッハッハ! そうだろ~? 身体強化のスキルを使っているようだが、それでもこれだけの差はあるということだ」
と、満足げなゲオルグはマウントを取ってきた。
「ちなみに、私も身体強化のスキルを使っているがまだ『身体強化/初級』のみだ。使おうと思えば『身体強化/特級』も使える。それが、どういうことかわかるかな?」
「⋯⋯『あと、変身を2回も残しているフ◯ーザ』って感じかな?」
「イエス! そのとおり! ちなみに私は悟◯よりフ◯ーザ派だ!」
「知らんがな」と心でツッコミつつ、
「まーでも『身体強化/特級』って言っても大した変化はないでしょ?」
「何?」
「正直、これ以上さらに圧倒的に速くなるなんて人間の体じゃあり得ないでしょうから」
「フ⋯⋯フフフ⋯⋯。どうやらソラ君は何も分かっていないようだね」
「いやいやいや、見なくてもわかりますよ。『身体強化/特級』なんて⋯⋯」
「ほう? じゃあ、試してみるか?」
「え?」
「⋯⋯『身体強化/特級』」
ドン!
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~⋯⋯。
ゲオルグがそう言うと、体から一瞬魔力のような青色の光が迸ると、その後、体中から湯気が昇り出す。
「では、行くぞ?」
「え?」
フッ⋯⋯。
「消え⋯⋯っ! ぐはぁぁっ?!」
ソラは目の前のゲオルグが一瞬消えたように見えた⋯⋯⋯⋯と思った瞬間、右頬に痛みが走るとほぼ同時に、先ほどの再現VTRかのように体が10メートルほど吹っ飛ばされた。
しかし、今回は前回と違ってゲオルグの動きを認識できなかったソラは、その勢いを殺すことができず右頬に激痛を伴いながら地面を転がされた。
「う、うぐ⋯⋯⋯⋯い、今のは⋯⋯⋯⋯肘⋯⋯か⋯⋯?」
「そうだ。まー死なん程度に軽くコツン⋯⋯とな」
そう言って、余裕の笑みを浮かべながら上から見下ろす世界最強の男⋯⋯ゲオルグ・シェフチェンコ。
「い、今のが⋯⋯⋯⋯特級スキル⋯⋯の⋯⋯」
「そうだ。これが『身体強化/特級』だ。どうだ? 全然違うだろ? ガッハッハ⋯⋯!」
「あ、ああ⋯⋯そうだな。あんたの言う通りだ⋯⋯」
「まー、とりあえず、これでソラ君も私との力量差はわかっただろ? であれば、そろそろこの辺で⋯⋯⋯⋯」
「ふぅ⋯⋯⋯⋯複製完了っと」
「! コ、複製⋯⋯?」
「⋯⋯『身体強化/特級』!」
「何っ?!」
ドン!
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~⋯⋯。
「そ、そんな⋯⋯⋯⋯バカ⋯⋯な⋯⋯っ!!!!」
ゲオルグは目の前で『身体強化/特級』を発動し、一度魔力が放出されたあと、体から自分と同じように湯気を昇らせているソラをワナワナと震えながら凝視していた。
「あ、新屋敷ソラ⋯⋯⋯⋯き、君が今やったのはもしかして⋯⋯⋯⋯私のスキルの複製かっ?!」
「う~ん⋯⋯そうでもあるし、そうでもない、というか⋯⋯。まー少なくとも、今、ゲオルグさんの『身体強化/特級』を見て複製したのは確かかな」
「そ、そんな能力⋯⋯⋯⋯聞いたことない⋯⋯⋯⋯」
「あ! あと、別に『複製』だけが俺の能力じゃないですけどね?」
「なっ?!『複製』だけじゃない⋯⋯だとっ!? そ、それは一体どういう意⋯⋯」
「はい、お話終了~! これ以上は企業秘密ですぅぅ~!(憎たらしいほどの満面な笑み)」
この瞬間——完全にマウント返し&イニシアチブを取ったソラであった。
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