異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ

文字サイズ
小 中 大 特大
55 / 206
第一章

055「オメガ様ガチつよ勢」



「あーーーー! 思い出したぁー!『オメガ様』だぁーっ!!」
「⋯⋯オメガ? ああ、どっかで聞いたことあるなと思ったらあの炎上中のDストリーマー!」
「オ、オメガ様が、デスマスクを⋯⋯! か、かっこ⋯⋯いいっ!!」

 渚、有紀、琴乃がそれぞれ異なるリアクションを見せる。そんな3人を見て、

「え? オ、オメガ⋯⋯『様』? オメガ君のこと、みんな⋯⋯知ってるの?」

 と、亜由美が3人に恐る恐る聞いてみると、

「もちろん! ていうか、亜由美知らないの?!」
「ええ?! 知らないのかよ!」
「えっ!? 亜由美ちゃん、知らないの!」

 3人から「嘘でしょ?」とかなり呆れられてしまう亜由美。特に普段そこまでテンションが高くない琴乃がここまで派手に驚くのを見た亜由美は、自分が『オメガ様』を知らないことがよっぽど世間知らずなことだったんだと認識する。

「しょ、しょうがないでしょ!? 先週は階層ボス攻略の作戦を考えていてそんな暇なかったんだから⋯⋯!」

 と、3人の「嘘でしょリアクション」に抵抗する亜由美。

「そ、それは、ありがたく思ってるけど⋯⋯。でも先週の『オメガ様炎上』ってかなり騒がられてたわよ?!」
「炎上した探索者シーカーがいたってことは知ってたけど、で、でも、名前までは⋯⋯知らなかった⋯⋯のよ」

 特段、悪いことをしたわけではないが『オメガ様』を知らなかったことに居心地が悪くなった亜由美の声が小さくなっていく。しかし、

「て、ていうか! それじゃあんたたちは何で『オメガ様炎上』を知っててオメガ君を見た時にすぐに気づかなかったのよ!」

 と、再度自分を奮い立たせてファイティングポーズを取る亜由美⋯⋯だったが、

「だって、先週はその真っ白いお面なんてかぶってなかったし」
「だって、先週はこんな黒い服装やマントなんてしてなかったし」
「え? あ、そ、そう⋯⋯なんだ⋯⋯」

「なるほど、それならわからないのは仕方ないか」と有紀と渚の返答に納得してしまった亜由美。事実上の敗北であった。そんな3人への抵抗を早々と諦めた亜由美は直接タケルに問いかける。

「先週はこんなお面や黒い衣装じゃなかったの?」
「あ、はい。先週はサングラスと口元をマスクで隠していただけだったので。なので、このデスマスクの仮面と衣装は今日が初お披露目なんですよ~」
「へ~そうなんだぁ~」

 亜由美とタケルのやり取りが何ともほのぼのとしたものだったので、それだけ見るとダンジョンの⋯⋯しかも下層最深部であることを忘れてしまうような⋯⋯そんな空気が流れていた。

「で、先週Dストリーマーデビューして初めての配信だったんですけど、その第1回目の配信でやらかしまして⋯⋯」
「ああ、炎上したのよね?」
「はい。それで今日は炎上以来の配信になるんですけど⋯⋯。で、この格好は今日からだったのでそれで渚さんや有紀さん、琴乃さんがすぐに俺とわからなかったのは無理ないんですよね⋯⋯ははは」
「あ~たしかにそうだよねぇ⋯⋯⋯⋯んんんんっ?! ちょ、ちょっと待って!」
「はい?」

 これまでのほのぼのとしていた空気が一変する。

「え、え~と⋯⋯今日が2回目の配信で先週が初配信ってことは、それって探索者シーカーとしてダンジョン探索したのも先週からってこと?」
「はい。ほら、さっきも見せましたけど、俺はまだ『F級探索者シーカー』になったばかりの新人探索者シーカーですから。Dストリーマーのことだってあまりよくわかってないペーペーなんですよぉ~⋯⋯ははは」

 そういって、首から下げているF級探索者シーカーの『鉄の登録証』をプラプラと見せるタケル。すると、

「え、F級⋯⋯探索者シーカーぁぁぁっ!!!!」

 タケルの言葉を聞いて思わず大声を上げる亜由美。だがそんな亜由美を見て、

「いや、それさっきオメガ様が救出に来た時言ってたじゃん」
「そうだよ亜由美ちゃん。オメガ様ちゃんと『鉄の登録証』見せてたでしょ」

 と、渚と琴乃が冷静にツッコむ。

「い、いや、あの時は命の危機を救われたのと⋯⋯まだどうなるかわからない状況で冷静じゃなかったから⋯⋯だからそのことをすっかり忘れてて。ご、ごめんなさい、オメガ君」
「い、いえ、そんな⋯⋯! 別に謝れるほどのことじゃないので気にしないでください。っていうか頭上げてください、亜由美さん!?」

 頭を下げて謝罪する亜由美を見て、タケルは慌てて頭を上げるよう促す。

「で、でも、今冷静になって、オメガ君が『F級探索者シーカー』っていう事実を突きつけられると、オメガ君がいかに異常な存在であるかを⋯⋯やっと実感したわ」

 そんな一人『オメガ様』を知らなかった亜由美が告白すると、

「「「うんうん、わかるぅぅ~~~!!!!」」」

 と、3人が腕組みしながらうんうんとうなずき、そして、

「「「ようこそ! オメガ様の世界へ!!」」」

 満面の笑みで亜由美を迎える3人であった。


********************


「どうやら、ようやく亜由美も私たちと『同じ土俵』に立てたようね。歓迎するわ!」
「え? あ、うん⋯⋯」

 こうして『オメガ様』を共有することができた亜由美に渚がドヤ顔で上から言ってきたが、亜由美は「とりあえず、このまま渚のノリについていこう」と決め、特に渚にツッコむことはなかった。

「ということで、これからオメガ様にいろいろと質問したいんだけど⋯⋯その前にオメガ様は今配信はしてるんですか?」
「な、渚さん! オメガ様ってやめてくださいよ!! 最初みたいに『オメガ君』でいいですから⋯⋯」
「いえダメです。それは却下です。だって私も『オメガ様ガチつよ勢』ですから」
「え? ガチつよ勢?」
「あ、そこは気にしないでください。それよりも『オメガちゃんねる』は今配信されてるんですか?」
「え、あ、はい。一応⋯⋯」
「そうですか。ちなみに今もチャット機能は⋯⋯」
「オフのままです」
「⋯⋯そうなんですね。実は今、私たち『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』の同接視聴者と、あとDストリーマー掲示板の住人たちが私たちのチャンネルとオメガ様の『オメガちゃんねる』を視聴しているんです」
「え? 俺のチャンネルも⋯⋯ですか?」
「はい。なので恐らくオメガ様のチャンネルもバズっていると思いますよ」
「い、いや~、さすがに無いと思いますよ。戦乙女ヴァルキュリーさんたちのこのチャンネルはバズっているかもしれませんが、俺のチャンネルなんてチャット機能オフにしたダンジョン探索をただたれ流しているだけの配信ですから。だからバズってるなんてそんなこと⋯⋯」
「どうぞ、オメガ様」
「え? ちょ⋯⋯琴乃さんっ?!」

 すると、今度は琴乃が横に来てタケルにスマホを差し出す。⋯⋯膝をつきながら。

「ひ、膝ついて何やってんすか!」
「⋯⋯大丈夫。私も『オメガ様ガチつよ勢』。そしてオメガ様はそんな些細な小事気にしなくていい。それよりもスマホを観てください」

 何を言っても膝を崩すことをやめないようだったので、タケルは仕方なくそのまま琴乃が差し出したスマホの画面を観てみた。すると、

「⋯⋯え?」

——————————————————

93:Dストリーマー名無し
おーい、オメガ様~~!
観てますよ、オメガちゃんねる!!

94:Dストリーマー名無し
強いオメガ様、かっこいい~!

95:Dストリーマー名無し
オメガ様ぁぁ!!!!

96:Dストリーマー名無し
かっこよかったです、オメガ様!

⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯

——————————————————

 そこには『Dストリーマー掲示板』が映っており、掲示板住人たちによる『オメガちゃんねる観ています』といった書き込みがいくつもあった。
感想 8

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった 表紙

貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった

貞操観念が逆転した現代日本。大学生の佐伯恒一は、金のない生活を変えるため、男性セラピストが女性を施術する「メンズエステ」で働き始める。 そこで待っていたのは、個性的な先輩セラピストと、どこか怪しい女性オーナー、そして一癖も二癖もある女性客たち。 普通の大学生だった恒一は、次第にメンズエステの世界へとのめり込んでいく。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数 119,032
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】 表紙

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数 118,065
無限ガチャの転生者 ~毎日引いてスキルを集め、育てて最強になる~ 表紙

無限ガチャの転生者 ~毎日引いてスキルを集め、育てて最強になる~

働きづめの果てに、会社員・田島悠はあっけなく死んだ。 目覚めた異世界で、神を名乗る存在から授けられたのは――現代日本の感覚で「ガチャ」と呼ぶしかない、奇妙な能力。 一晩眠るごとに一回、スキルが引ける。他の誰も持たない、増え続ける力。 引いて、集めて、使い込んで育てる。 普通の会社員だった男が、無限のガチャを手に冒険者として成り上がる異世界TUEEE譚。
ファンタジー 連載中 長編
文字数 275,758
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~ 表紙

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ファンタジー 完結 長編
文字数 84,231
実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~ 表紙

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。
ファンタジー 連載中 長編
文字数 49,646
ユニークスキル『箱庭ガチャ』でハーレム&スローライフ!〜集まったのはなぜか子供と老人とおっさんでした〜 表紙

ユニークスキル『箱庭ガチャ』でハーレム&スローライフ!〜集まったのはなぜか子供と老人とおっさんでした〜

ここ現代日本では100人に1人の確率でスキルなどを得られた人のことを“覚醒者”と呼ぶ。 社会人三年目の俺、高梨春樹は24歳になっても覚醒者になることはなく、日々ブラック企業で働く毎日。 そんなある日、朝目覚めると目の前には覚醒者にしか現れないスキル画面が! スキル名は……『箱庭ガチャ』? これはブラック企業で働きずて、疲れた心を綺麗なお姉さんに癒されてハーレム&スローライフだ!と意気込むが実際にはおっさんと老人と子供しか集まらないお話。
ファンタジー 連載中 長編
文字数 202,423
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。 表紙

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

高校二年生の高木華音(たかぎかのん)は、夏休み前のホームルーム中にクラスごと異世界へ召喚される。 神から与えられた使命は魔王討伐。 しかし帝国で行われた適性検査の結果、華音だけが存在しないはずのEランク判定を受けてしまう。 さらに召喚時に身体を女性へ作り替えられていたことでクラスメイト達から偽物扱いされ、危険地帯《死の森》へ追放されてしまった。 そこで待っていたのは絶対的な死。 ――だが、死んだはずの華音は再び召喚前の時間へ戻っていた。 発動した固有スキルは、神すら紛失した超規格外のEXランクスキル【無限増殖】。 その能力は《残機無限》。 何度死んでもやり直せるという、常識外れの死に戻り能力だった。 さらに死ぬたびに知識とスキルは蓄積されていく。 鑑定。 魔術眼。 テイム。 神のミスによって本来なら他の勇者へ与えられるはずだった能力までも獲得していく華音。 一方、彼を偽物として切り捨てた帝国は知らない。 自分達が追放した存在こそ、世界最強の勇者候補だったことを――。 無限の命と無限の試行錯誤で最強へ至る、追放×死に戻り×成り上がりファンタジー開幕!
ファンタジー 連載中 長編 R15
文字数 102,550
【隠しスキル100個持ち!?】無能と勘違いされダンジョンに置き去りにされた貴族の六男、最深部で王国を築く。  表紙

【隠しスキル100個持ち!?】無能と勘違いされダンジョンに置き去りにされた貴族の六男、最深部で王国を築く。

46話に加筆修正をしました。 王妃である実の母から「無能」の烙印を押され、ダンジョンへ置き去りにされた貴族の六男シオン。 だが彼には誰にも言えない秘密があった。 それは――100個もの隠しスキルを持っていること。 追放されたことで毒親の支配から解放されたシオンは、ダンジョンでの自由な生活を満喫しようと決意する。 家を作り、食料を確保し、モンスターと交流するうちに、彼はある夢を抱く。 「このダンジョンに、誰もが自由に暮らせる国を作ろう」 ミノタウロスの小太郎をはじめとした仲間たちと共に始まる、迷宮国家建国ファンタジー! 月水金土 11時更新です。 ※今作は表紙とあらすじにAIを使用しております。 構成や内容には使用しておりません、作者の完全オリジナルです。
ファンタジー 連載中 短編
文字数 116,173