19 / 52
過去は変えられる
失踪
しおりを挟む
メルセデスのクーペを、伊藤の実家に向けて走らせる。
できるだけ渋滞を避け、最大限のスピードで――。
右手に視線を落とすと、親指にあの時の傷跡が今も残っている。
アイフォンには衣装屋での彼女のウェディングドレス姿の写真が、全て保存されていて、僕は確かに時を超えたのだと教えている。
車を走らせながらも、どんどん上書きされていく記憶の断片を拾い上げる
2014年の僕に、未来の記憶はなかった。
保坂に未来からやって来たのだと告白したあの瞬間に、未来の記憶は消えてあの場に茫然と立っていた。
一体何があったのか? そんなモヤモヤとした気持ちを抱えながらあの時代の流れに身を任せたのだ。
2014年3月20日から24日までの4日間の記憶は曖昧で、暮らしや仕事場の痕跡、交友関係、スマホの履歴から予測しながらやり過ごしてきた。
特にスマホに残された、保坂のウェディングドレスの写真は役に立った。
そこに幸田さんが写り込んでいたからだ。
僕なりに4日間何があったのかを調べたくて、幸田さんに連絡を取った。
幸田さんは、保坂はDVを受けているかもしれないと言っていた。
貸衣装の予約をする際、僕は幸田さんに『和装のみの披露宴の予定だから、新婦にドレスを着せたい』とお願いしていた。
保坂の事を大事な友達だと悟った幸田さんは、ドレスをプレゼントする事を提案してくれたのだ。
伊藤の機嫌を損ねないよう、複数の同級生からのプレゼントという体を取ったのも幸田さんの助言だった。
凛空に伊藤を見張るよう忠告したのは、DVの可能性があったからだ。
凛空はDVの証拠こそ掴む事はできなかったが、不倫の証拠は掴み、何度も保坂を説得したが、彼女が伊藤と離婚する事はなかった。
彼女が離婚を決断する事ができなかった背景には、いろんなしがらみがあったのだという。
伊藤と梨々花が怪しい関係になり始めたのは、梨々花が17歳の時。
積極的にアプローチしたのは梨々花の方だったようだが、常に僕の上のポジションを取りたがっていた伊藤は、喜んで梨々花の遊び相手になった。
僕は、伊藤の妻である保坂を懸念して、梨々花との結婚を前提とした付き合いを選んだのだ。
僕が彼氏になれば、伊藤なんかとはすぐに別れるだろう。
保坂のために、僕は別れさせ屋的な役割を買って出たのだ。
伊藤よりも僕の方が梨々花を幸せにできると、マウントを取りたかったという本音もある。
そこも、前回とは大きく変わった部分だ。
以前の僕は、心から梨々花を愛していたのだから。
僕と付き合い出してからの梨々花は、しばらく伊藤とは距離を置いていたようだが、結局、結婚前のお披露目パーティで、二人は再会し再び付き合いが始まっていた。
それでも、僕が彼女と結婚したのは、使命感だったのかもしれない。
新しく上書きされた僕のこれまでの人生は、梨々花と伊藤を別れさせるための物だった。
それが保坂にとっての幸せだと思っていたのだから。
交際の段階から、僕と梨々花の熱愛はテレビやネットニュースで大々的に取り上げられ、家族や会社関係にも知れ渡っていたから、そう簡単に破談というわけにはいかなかったというのもある。
未来の記憶さえあれば、もっと上手く立ち回れたのに。あの時、タイムリープさえしなければ――。
苛立ちから、ハンドルに強く拳を打ち付けた。
「クソっ!!」
国道を反れ、田舎道に出ると遠くに伊藤の実家が見える。
逸る気持ちを抑える事もできず、アクセルを踏み込み、急ハンドルを切って敷地に乗り込んだ。
長閑な農家の風景が映る。
白黒の幕はない。
間に合った!
僕は急いで車を降りて、玄関横のブザーを押した。
何度も何度もブザーを鳴らす。
「はーい。どなた?」
この声は、伊藤の母親だ。
ガラガラっと引き戸が開けられて、色黒の意地悪そうなババアが顔を出した。
「保坂……、いや、芙美さんいますか?」
怪訝そうに僕の顔を眺めた後、上から下まで何度も視線を行ったり来たりさせる。
「芙美? あなた、どなた?」
「同級生です。伊藤君と芙美さんの。泉といいます。芙美さんはいらっしゃいますか?」
「芙美は朝から出かけたよ」
「どこへ?」
「さぁね。菜花の出荷で忙しいってのに、仕事もほっぽりだして、一体どこをほっつき歩いてんだか」
まずい!
保坂が仕事を放棄するなんて考えられない。
もしかしたら――。
嫌な予感が頭をもたげる。
「伊藤は?」
「優作かい? 優作も今日は都心の方に出るって言って、車で出かけたね」
梨々花と逢うのだ。
なかなか上書きされないあの記憶が脳裏に浮かぶ。
車内で艶めかしく体を絡め合う、醜い二人の映像が――。
ふと、目線を上げると、正面の壁に立てかけてあるホワイトボードの文字が飛び込んできた。
『レポックカシェ』
「レポックカシェ……」
僕はその名前を反芻する。
「ああ、これかい? 出荷先の店だけど、これがどうしたんだい?」
「あ、ああ、いえ、何も」
あのレストランの野菜は、伊藤んちが卸してるのか。
過去に戻った時、彼女と行ったっけ。
あれ? なんで行ったんだっけ?
僕はお礼も言わず、再び車に乗り込んだ。
敷地に車を停めたまま、スマホで凛空に電話をかける。
もしかしたら一緒にいるかもしれない。
何かしらの前向きな決断をしたのかも。
離婚とか家出とか。
呼び出し音を聴きながら、無理にポジティブな思考に切り替える。
『もしもし、泉さん』
「凛空。保坂さんと一緒にいる?」
『ううん。どうして?』
「どこに行ったかわからない? 家にいないんだ。連絡取ってみてくれないかな。僕は連絡先知らないから」
僕の不安定に焦る声で、凛空は何かを察したのか
『わかった。すぐに連絡してみる』
そう言って通話を切った。
どうか無事でいてくれ。
早まらないでくれ。
そう願いながら凛空からの連絡を待つ。
5分と経たない頃、スマホが震えて着信を知らせた。
「もしもし」
『凛空です。お姉ちゃん、電話が繋がらない。弟たちにも連絡してみたんだけど、誰も行先を知らないって』
今にも泣き叫びそうな凛空の声に不安が高まる。
「どうした? 何かあった?」
『お姉ちゃん、癌なの。末期癌で……。それで、この頃いつも死にたいって泣いてて……』
目の前に暗雲が立ち込める。
「手分けして探しそう。弟たちにも手伝わせるんだ。行きそうな場所に心当たりがあればメッセージで僕にも共有してほしい」
『兄弟のグループチャットに泉さんを招待していい?』
「ああ、そうしてくれ。その方が効率がいい」
できるだけ渋滞を避け、最大限のスピードで――。
右手に視線を落とすと、親指にあの時の傷跡が今も残っている。
アイフォンには衣装屋での彼女のウェディングドレス姿の写真が、全て保存されていて、僕は確かに時を超えたのだと教えている。
車を走らせながらも、どんどん上書きされていく記憶の断片を拾い上げる
2014年の僕に、未来の記憶はなかった。
保坂に未来からやって来たのだと告白したあの瞬間に、未来の記憶は消えてあの場に茫然と立っていた。
一体何があったのか? そんなモヤモヤとした気持ちを抱えながらあの時代の流れに身を任せたのだ。
2014年3月20日から24日までの4日間の記憶は曖昧で、暮らしや仕事場の痕跡、交友関係、スマホの履歴から予測しながらやり過ごしてきた。
特にスマホに残された、保坂のウェディングドレスの写真は役に立った。
そこに幸田さんが写り込んでいたからだ。
僕なりに4日間何があったのかを調べたくて、幸田さんに連絡を取った。
幸田さんは、保坂はDVを受けているかもしれないと言っていた。
貸衣装の予約をする際、僕は幸田さんに『和装のみの披露宴の予定だから、新婦にドレスを着せたい』とお願いしていた。
保坂の事を大事な友達だと悟った幸田さんは、ドレスをプレゼントする事を提案してくれたのだ。
伊藤の機嫌を損ねないよう、複数の同級生からのプレゼントという体を取ったのも幸田さんの助言だった。
凛空に伊藤を見張るよう忠告したのは、DVの可能性があったからだ。
凛空はDVの証拠こそ掴む事はできなかったが、不倫の証拠は掴み、何度も保坂を説得したが、彼女が伊藤と離婚する事はなかった。
彼女が離婚を決断する事ができなかった背景には、いろんなしがらみがあったのだという。
伊藤と梨々花が怪しい関係になり始めたのは、梨々花が17歳の時。
積極的にアプローチしたのは梨々花の方だったようだが、常に僕の上のポジションを取りたがっていた伊藤は、喜んで梨々花の遊び相手になった。
僕は、伊藤の妻である保坂を懸念して、梨々花との結婚を前提とした付き合いを選んだのだ。
僕が彼氏になれば、伊藤なんかとはすぐに別れるだろう。
保坂のために、僕は別れさせ屋的な役割を買って出たのだ。
伊藤よりも僕の方が梨々花を幸せにできると、マウントを取りたかったという本音もある。
そこも、前回とは大きく変わった部分だ。
以前の僕は、心から梨々花を愛していたのだから。
僕と付き合い出してからの梨々花は、しばらく伊藤とは距離を置いていたようだが、結局、結婚前のお披露目パーティで、二人は再会し再び付き合いが始まっていた。
それでも、僕が彼女と結婚したのは、使命感だったのかもしれない。
新しく上書きされた僕のこれまでの人生は、梨々花と伊藤を別れさせるための物だった。
それが保坂にとっての幸せだと思っていたのだから。
交際の段階から、僕と梨々花の熱愛はテレビやネットニュースで大々的に取り上げられ、家族や会社関係にも知れ渡っていたから、そう簡単に破談というわけにはいかなかったというのもある。
未来の記憶さえあれば、もっと上手く立ち回れたのに。あの時、タイムリープさえしなければ――。
苛立ちから、ハンドルに強く拳を打ち付けた。
「クソっ!!」
国道を反れ、田舎道に出ると遠くに伊藤の実家が見える。
逸る気持ちを抑える事もできず、アクセルを踏み込み、急ハンドルを切って敷地に乗り込んだ。
長閑な農家の風景が映る。
白黒の幕はない。
間に合った!
僕は急いで車を降りて、玄関横のブザーを押した。
何度も何度もブザーを鳴らす。
「はーい。どなた?」
この声は、伊藤の母親だ。
ガラガラっと引き戸が開けられて、色黒の意地悪そうなババアが顔を出した。
「保坂……、いや、芙美さんいますか?」
怪訝そうに僕の顔を眺めた後、上から下まで何度も視線を行ったり来たりさせる。
「芙美? あなた、どなた?」
「同級生です。伊藤君と芙美さんの。泉といいます。芙美さんはいらっしゃいますか?」
「芙美は朝から出かけたよ」
「どこへ?」
「さぁね。菜花の出荷で忙しいってのに、仕事もほっぽりだして、一体どこをほっつき歩いてんだか」
まずい!
保坂が仕事を放棄するなんて考えられない。
もしかしたら――。
嫌な予感が頭をもたげる。
「伊藤は?」
「優作かい? 優作も今日は都心の方に出るって言って、車で出かけたね」
梨々花と逢うのだ。
なかなか上書きされないあの記憶が脳裏に浮かぶ。
車内で艶めかしく体を絡め合う、醜い二人の映像が――。
ふと、目線を上げると、正面の壁に立てかけてあるホワイトボードの文字が飛び込んできた。
『レポックカシェ』
「レポックカシェ……」
僕はその名前を反芻する。
「ああ、これかい? 出荷先の店だけど、これがどうしたんだい?」
「あ、ああ、いえ、何も」
あのレストランの野菜は、伊藤んちが卸してるのか。
過去に戻った時、彼女と行ったっけ。
あれ? なんで行ったんだっけ?
僕はお礼も言わず、再び車に乗り込んだ。
敷地に車を停めたまま、スマホで凛空に電話をかける。
もしかしたら一緒にいるかもしれない。
何かしらの前向きな決断をしたのかも。
離婚とか家出とか。
呼び出し音を聴きながら、無理にポジティブな思考に切り替える。
『もしもし、泉さん』
「凛空。保坂さんと一緒にいる?」
『ううん。どうして?』
「どこに行ったかわからない? 家にいないんだ。連絡取ってみてくれないかな。僕は連絡先知らないから」
僕の不安定に焦る声で、凛空は何かを察したのか
『わかった。すぐに連絡してみる』
そう言って通話を切った。
どうか無事でいてくれ。
早まらないでくれ。
そう願いながら凛空からの連絡を待つ。
5分と経たない頃、スマホが震えて着信を知らせた。
「もしもし」
『凛空です。お姉ちゃん、電話が繋がらない。弟たちにも連絡してみたんだけど、誰も行先を知らないって』
今にも泣き叫びそうな凛空の声に不安が高まる。
「どうした? 何かあった?」
『お姉ちゃん、癌なの。末期癌で……。それで、この頃いつも死にたいって泣いてて……』
目の前に暗雲が立ち込める。
「手分けして探しそう。弟たちにも手伝わせるんだ。行きそうな場所に心当たりがあればメッセージで僕にも共有してほしい」
『兄弟のグループチャットに泉さんを招待していい?』
「ああ、そうしてくれ。その方が効率がいい」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる