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復讐。その先に
大人のキス
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Side-芙美
――伊藤に見られた?
店内の喧騒で全く気付かなかった。
心臓が早鐘を打つ。
「大丈夫か? 酔った?」
伊藤の口調は優しかった。
よかった。気付かれてはいない。
ほっと胸を撫でおろし、頷く。
「少し酔ったみたい」
背後にいる泉君が、どんな表情をしているのかはわからない。
振り返って確認するのが怖い。
「トイレ?」
背後から、泉君の声が、私を通り過ぎた。
「ああ。梨々花ちゃん一人だから、早く戻ってやれよ」
「ああ、そうだな。ありがとう」
泉君が私と伊藤の横を通り過ぎ、フロアに戻って行く。
伊藤は目尻を下げ、ニヤニヤと笑いながら私を抱きすくめた。
全身が総毛立つ。
気付かれないようにさり気なく後ずさりしたが、そこは行き止まり。
壁に背中を押し付けて、伊藤との距離を取ろうと試みるが無理だ。
「芙美ー、早くお前を抱きたいよ。この後、ホテル、行くだろ?」
アルコール交じりの吐息が、鼓膜を不快に震わせた。
「酔ってるの?」
「いや。酔ってない」
そう言いながら、首筋に唇を這わせる。
――いや! 気持ち悪い!!
唇が触れないよう、思い切り顔を反らした。
「ああ、芙美……。抱きたい。早くお前を抱きたい」
「やめて。こんな所。誰かに見られたら恥ずかしいわ」
必死で胸板を押すが、伊藤の体はびくともしない。
「キスしよう……」
いよいよ、息の荒くなった伊藤の唇が迫って来る。
ワンピースの裾から侵入する手。
抑えても退けても、回避できない。
内ももを這いずりまわる、湿り気を帯びた生ぬるい感触。
その手が下着をかすめた。
――助けて。助けてよ、大牙……。
いよいよ、ねっとりとした唇が、口元を覆った。
押さえつけられ、無理やり性器を喉の奥まで押し込まれた記憶がフラッシュバックして、全身が拒絶反応を起こした。
――イヤ!!!!
「ぐおふっ!!!」
反射的に膝が跳ね上がり、伊藤の股間にクリーンヒットしてしまった。
無意識に膝蹴りしてしまったらしい。
苦痛に顔を歪ませ、股間を抑えながら、膝から崩れ落ちる伊藤。
「あっ、ごめんなさい。大丈夫?」
慌てて、背中をさする。
伊藤はこちらに手のひらを見せて、小刻みに頷いた。
「つい、体が反応しちゃって……」
これは事故よ。
引き続き、小刻みに首を上下させる伊藤。
これは、別に気にしないでという意味だろうか?
顔は真っ青だが――。
数分後、壁に手を付きながら、ようやく立ち上がった。
「あーー、死ぬかと思った」
そう言いながら垂直にジャンプしている。
「ごめんなさい。本当に」
「ああ、気にするな」
そう言って、引きつった笑顔でフロアの方に親指を向けた。
席に戻れという意味だ。
「うん。先に行くね」
席に戻ると、心配そうにこちらを見遣る泉君。
指で丸を作って、『大丈夫』と合図した。
「私もトイレ行ってこようかな。あ、こういう時はお化粧直しっていうのよね?」
梨々花はバッグの中から小さなポーチを取り出した。
「うん。行ってらっしゃい」
泉君は弾むような口調で梨々花を見送った。
彼女は背中で長い巻き髪を揺らしながら、伊藤がいるあの通路へと消えて行った。
泉君と視線が交差する。
伊藤は今、セックスしたくてたまらないはずだ。
「ねぇ、泉君。男性が、股間を強く打った場合、性欲に何らかの影響があるかしら?」
「え? なにそれ?」
「いや、何でもないの」
さすがに変な質問だった。
「う~ん、程度にもよると思うけど?」
「そう。参考になったわ。ありがとう」
Side-梨々花
トイレに行こうと狭い通路に差し掛かると、壁に両手を突いて俯く伊藤さんが見えた。
「伊藤さん? どうしたの?」
「へ? ああ、君か。別に何でもないよ。大丈夫だ」
「もしかして具合悪いの?」
「いやいや、ちょっと酔っただけだ」
優しそうな視線がこちらに向く。
私はそっと彼の背中をさすった。
なんだかとても具合が悪そうに見えたから。
「ありがとう、優しいんだな、君って」
褒められるともっと頑張りたくなる。
「お腹が痛い?」
そう言いながら、お腹も摩ってあげた。
彼はその手をそっと掴んだ。
次の瞬間、ひゅっと体に引力を感じて、伊藤さんの両腕の中にいた。
「本当に、君は可愛いなぁ。泉なんかにはもったいないよ」
彼の手が、私の髪を梳く。
ぞわっと血がざわめいた。
私は、その手に頬を寄せてみた。
この後、どうなるんだろう?
「もう、泉とはやったの?」
「え?」
「大人にしてもらった?」
頬が熱くなる。
大牙君とはまだキスだけ。
友達は次々に処女卒業していくのに、私だけまだなんて、恥ずかしい。
だから嘘を吐いた。
「もうとっくに」
「へぇ、何回ぐらい?」
「んーーと」
わざと指を折って数えるふりをする。
「10回ぐらいかな?」
そう言った瞬間、伊藤さんは私を抱きしめた。
首元に顔をうずめて、息をスーハーしている。
「あいつと、どんな風にエッチしたの? 気持ちよくしてもらったの?」
そんな質問になぜかお腹の下あたりがムズムズと疼きだした。
もっと、この続きが見たい。
嘘がバレないように、私は彼の首に軽くキスをした。
こんなの、なんて事ないの。
私はもう、大人なの。
「ふふ、悪い女だな」
伊藤さんは、そう言って私にキスをした。
ねっとりと深く熱い、大人のキスだった。
――伊藤に見られた?
店内の喧騒で全く気付かなかった。
心臓が早鐘を打つ。
「大丈夫か? 酔った?」
伊藤の口調は優しかった。
よかった。気付かれてはいない。
ほっと胸を撫でおろし、頷く。
「少し酔ったみたい」
背後にいる泉君が、どんな表情をしているのかはわからない。
振り返って確認するのが怖い。
「トイレ?」
背後から、泉君の声が、私を通り過ぎた。
「ああ。梨々花ちゃん一人だから、早く戻ってやれよ」
「ああ、そうだな。ありがとう」
泉君が私と伊藤の横を通り過ぎ、フロアに戻って行く。
伊藤は目尻を下げ、ニヤニヤと笑いながら私を抱きすくめた。
全身が総毛立つ。
気付かれないようにさり気なく後ずさりしたが、そこは行き止まり。
壁に背中を押し付けて、伊藤との距離を取ろうと試みるが無理だ。
「芙美ー、早くお前を抱きたいよ。この後、ホテル、行くだろ?」
アルコール交じりの吐息が、鼓膜を不快に震わせた。
「酔ってるの?」
「いや。酔ってない」
そう言いながら、首筋に唇を這わせる。
――いや! 気持ち悪い!!
唇が触れないよう、思い切り顔を反らした。
「ああ、芙美……。抱きたい。早くお前を抱きたい」
「やめて。こんな所。誰かに見られたら恥ずかしいわ」
必死で胸板を押すが、伊藤の体はびくともしない。
「キスしよう……」
いよいよ、息の荒くなった伊藤の唇が迫って来る。
ワンピースの裾から侵入する手。
抑えても退けても、回避できない。
内ももを這いずりまわる、湿り気を帯びた生ぬるい感触。
その手が下着をかすめた。
――助けて。助けてよ、大牙……。
いよいよ、ねっとりとした唇が、口元を覆った。
押さえつけられ、無理やり性器を喉の奥まで押し込まれた記憶がフラッシュバックして、全身が拒絶反応を起こした。
――イヤ!!!!
「ぐおふっ!!!」
反射的に膝が跳ね上がり、伊藤の股間にクリーンヒットしてしまった。
無意識に膝蹴りしてしまったらしい。
苦痛に顔を歪ませ、股間を抑えながら、膝から崩れ落ちる伊藤。
「あっ、ごめんなさい。大丈夫?」
慌てて、背中をさする。
伊藤はこちらに手のひらを見せて、小刻みに頷いた。
「つい、体が反応しちゃって……」
これは事故よ。
引き続き、小刻みに首を上下させる伊藤。
これは、別に気にしないでという意味だろうか?
顔は真っ青だが――。
数分後、壁に手を付きながら、ようやく立ち上がった。
「あーー、死ぬかと思った」
そう言いながら垂直にジャンプしている。
「ごめんなさい。本当に」
「ああ、気にするな」
そう言って、引きつった笑顔でフロアの方に親指を向けた。
席に戻れという意味だ。
「うん。先に行くね」
席に戻ると、心配そうにこちらを見遣る泉君。
指で丸を作って、『大丈夫』と合図した。
「私もトイレ行ってこようかな。あ、こういう時はお化粧直しっていうのよね?」
梨々花はバッグの中から小さなポーチを取り出した。
「うん。行ってらっしゃい」
泉君は弾むような口調で梨々花を見送った。
彼女は背中で長い巻き髪を揺らしながら、伊藤がいるあの通路へと消えて行った。
泉君と視線が交差する。
伊藤は今、セックスしたくてたまらないはずだ。
「ねぇ、泉君。男性が、股間を強く打った場合、性欲に何らかの影響があるかしら?」
「え? なにそれ?」
「いや、何でもないの」
さすがに変な質問だった。
「う~ん、程度にもよると思うけど?」
「そう。参考になったわ。ありがとう」
Side-梨々花
トイレに行こうと狭い通路に差し掛かると、壁に両手を突いて俯く伊藤さんが見えた。
「伊藤さん? どうしたの?」
「へ? ああ、君か。別に何でもないよ。大丈夫だ」
「もしかして具合悪いの?」
「いやいや、ちょっと酔っただけだ」
優しそうな視線がこちらに向く。
私はそっと彼の背中をさすった。
なんだかとても具合が悪そうに見えたから。
「ありがとう、優しいんだな、君って」
褒められるともっと頑張りたくなる。
「お腹が痛い?」
そう言いながら、お腹も摩ってあげた。
彼はその手をそっと掴んだ。
次の瞬間、ひゅっと体に引力を感じて、伊藤さんの両腕の中にいた。
「本当に、君は可愛いなぁ。泉なんかにはもったいないよ」
彼の手が、私の髪を梳く。
ぞわっと血がざわめいた。
私は、その手に頬を寄せてみた。
この後、どうなるんだろう?
「もう、泉とはやったの?」
「え?」
「大人にしてもらった?」
頬が熱くなる。
大牙君とはまだキスだけ。
友達は次々に処女卒業していくのに、私だけまだなんて、恥ずかしい。
だから嘘を吐いた。
「もうとっくに」
「へぇ、何回ぐらい?」
「んーーと」
わざと指を折って数えるふりをする。
「10回ぐらいかな?」
そう言った瞬間、伊藤さんは私を抱きしめた。
首元に顔をうずめて、息をスーハーしている。
「あいつと、どんな風にエッチしたの? 気持ちよくしてもらったの?」
そんな質問になぜかお腹の下あたりがムズムズと疼きだした。
もっと、この続きが見たい。
嘘がバレないように、私は彼の首に軽くキスをした。
こんなの、なんて事ないの。
私はもう、大人なの。
「ふふ、悪い女だな」
伊藤さんは、そう言って私にキスをした。
ねっとりと深く熱い、大人のキスだった。
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