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王都エルメニスト編
第13話 プラッセの入学試験-2-
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黒スーツの男はまた銃のような物を上に上げて言った。
「位置について、よーい、ドンッ!!」
プラッセは勢いよく走り出し、みるみる加速していった。瞬く間にトラックを一周、二周、三周し、ついに残り200mになった頃、冷や汗を浮かべたゼネセストは何かをもぞもぞと呟いた。
「魔力解除、砂切り。」
その瞬間プラッセはあっ、と声を上げて転んだ。
が、すぐに立ち上がってゴールまで走った。
「記録は、2分ぴったりだ。こけなかったら凄かっただろうね。でも学校で2位だ。」
「はっはっは。やはり世界記録の壁は高かったなぁ。アルバート・プラッセ。」
額の汗を拭きながらゼネセストは笑う。
デネヒーはゼネセストに小声で言う。
「ほんと卑怯ね。せっかく魔力消去がかかってるのに解除しちゃうなんて。」
ゼネセストはなにも言わずにデネヒーを睨んで黒スーツの男に言った。
「次だ。握力だったっけな。」
「そうです。握力です。握力計はここにありますのですぐに測れます。ちなみにグリム・フィッシュさんは右手で80kgでしたよ。ゼネセストさん。」
「そうか。80kgか。」
ゼネセストは不安な表情を浮かべる。
プラッセは握力計を受けとり、力を入れて握ると、鈍い音がして潰れた。
「うっわマジか。まじですまん。今度ちゃんと同じやつ買ってくるよ。」
「こいつ、まじか。この握力計で測れるのは150kgまで。それを越えたということか。」
「記録用紙には測定不能と書いておきます。次は走幅跳びです。」
校庭のすみに砂場があってそこで準備がなされた。
「よし。プラッセさん、跳んで大丈夫ですよ。」
「よーし。行くぞ。」
とてつもない速さで助走を終え、すぐに跳んだ。するとみるみる距離は伸び、砂場を越えて固い地面に着地した。
「痛ってぇ。なんで砂場ねえんだよ。」
「測定不能で良いですかね。それとも正確に測りますか?」
「いや、いいや。めんどくさいし。」
「かしこまりました。ではこれにて試験終了でございます。お疲れさまでした。プラッセさん。試験は確実に合格です。おめでとうございます。」
丁寧にお辞儀する黒スーツの男にプラッセも軽く会釈する。
「ではアルバート・プラッセ君には明日から学校に来てもらおう。クラスとしてはおそらくA組に空きがあるようだからそこで。A組にはグリム・フィッシュもいるぞ。」
ゼネセストは不敵な笑みを浮かべ去っていった。
「位置について、よーい、ドンッ!!」
プラッセは勢いよく走り出し、みるみる加速していった。瞬く間にトラックを一周、二周、三周し、ついに残り200mになった頃、冷や汗を浮かべたゼネセストは何かをもぞもぞと呟いた。
「魔力解除、砂切り。」
その瞬間プラッセはあっ、と声を上げて転んだ。
が、すぐに立ち上がってゴールまで走った。
「記録は、2分ぴったりだ。こけなかったら凄かっただろうね。でも学校で2位だ。」
「はっはっは。やはり世界記録の壁は高かったなぁ。アルバート・プラッセ。」
額の汗を拭きながらゼネセストは笑う。
デネヒーはゼネセストに小声で言う。
「ほんと卑怯ね。せっかく魔力消去がかかってるのに解除しちゃうなんて。」
ゼネセストはなにも言わずにデネヒーを睨んで黒スーツの男に言った。
「次だ。握力だったっけな。」
「そうです。握力です。握力計はここにありますのですぐに測れます。ちなみにグリム・フィッシュさんは右手で80kgでしたよ。ゼネセストさん。」
「そうか。80kgか。」
ゼネセストは不安な表情を浮かべる。
プラッセは握力計を受けとり、力を入れて握ると、鈍い音がして潰れた。
「うっわマジか。まじですまん。今度ちゃんと同じやつ買ってくるよ。」
「こいつ、まじか。この握力計で測れるのは150kgまで。それを越えたということか。」
「記録用紙には測定不能と書いておきます。次は走幅跳びです。」
校庭のすみに砂場があってそこで準備がなされた。
「よし。プラッセさん、跳んで大丈夫ですよ。」
「よーし。行くぞ。」
とてつもない速さで助走を終え、すぐに跳んだ。するとみるみる距離は伸び、砂場を越えて固い地面に着地した。
「痛ってぇ。なんで砂場ねえんだよ。」
「測定不能で良いですかね。それとも正確に測りますか?」
「いや、いいや。めんどくさいし。」
「かしこまりました。ではこれにて試験終了でございます。お疲れさまでした。プラッセさん。試験は確実に合格です。おめでとうございます。」
丁寧にお辞儀する黒スーツの男にプラッセも軽く会釈する。
「ではアルバート・プラッセ君には明日から学校に来てもらおう。クラスとしてはおそらくA組に空きがあるようだからそこで。A組にはグリム・フィッシュもいるぞ。」
ゼネセストは不敵な笑みを浮かべ去っていった。
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