主人公は魔法が使えないのである。

王都エルメニスト編

第１７話 決闘 炎の使い手グリム・フィッシュ

突然周りで見ていたやつの一人が言った。

「決闘なら外でやりなよ。」

すると後ろの方の状況がよく分かっていなかったやつらがその声を聞いて騒ぎ出す。

「なんだ決闘してんのか。」
「グリム・フィッシュと喧嘩してんのかよあいつ。」
「さっさとやっちまえ。グリム・フィッシュ!!」

フィッシュは後ろにも聞こえるようわざと叫んだ。

「じゃあ、外で戦おうか。アルバート・プラッセ。」

プラッセは行かざるを得ない状況に仕方なく外へ出た。
それに引き換えフィッシュは皆に自分の強さをもっと広めたいのか、全身に炎属性の魔素マナをまとわせたりしていてやる気満々だ。

「さぁ行こうかプラッセ。」

そう言うといきなりフィッシュは跳んできて炎属性の魔素マナをまとわせた拳で殴りかかってきた。
しかしそれをプラッセは後ろに跳んでかわす。
周りはざわめく。

「かわしやがった。」
「でも、逃げてるだけじゃないか。」

その後もフィッシュの猛攻は続いたがプラッセは全て避ける。

「それは俺の魔素マナを切らそうとしてるのか?残念だがお前が思っているより俺の魔素マナは多い。」

フィッシュは様々な箇所に炎属性の魔素マナをまとわせて器用に攻撃してくる。それをプラッセが後ろに跳んでかわしている。
しかしやはり限界が来た。プラッセのすぐ後ろは校舎の壁になっていた。

「逃げてばかりの弱虫め。だがこれで終わりだ。炎烈えんれつ。」

そう言ったフィッシュは炎属性の魔素マナをまとわせた手を振り上げて斬撃を作って攻撃してくる。
紅く燃え盛った斬撃が地面を削ってとてつもないスピードでプラッセに迫ってきた。　
しかしプラッセはその斬撃に対して思い切り蹴りを入れた。
すると弾き返されたその斬撃は今度はフィッシュめがけて飛んでいった。

「次は俺の番だ。」