主人公は魔法が使えないのである。

ice cocoア

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海底牢獄チュリマー編

第58話 騎士団の訓練-1-

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リアムはその大きな小屋から5分ほどで出てきた。
リアムの後ろからは鍛え上げられた男性が20人ほど付いてきた。

「こいつらがここの見習いだ。」

見習いの人達の中で一番体の大きな奴がプラッセを見て言う。

「なぁんでこんなちびと訓練しなきゃなんねぇんだ。」
「おい、ビル!」

仲間に注意されるが全く気にしないビルと呼ばれたそいつは指の関節をボキボキ鳴らす。
そしていきなりプラッセに飛びかかる。

雷撃サンダーボルト!」

プラッセの足元にそれは放たれ、
プラッセは咄嗟に飛び退いたがそこにはビルの拳を中心に大きなクレーターが広がっていた。

「おい卑怯だろ!」
「よく避けられたなそのひょろひょろな体で。」

ビルは腕に雷属性の魔素マナをまとわせて攻撃してくる。
しかしプラッセは全て回避する。

「くそっなんで当たんねぇんだ!」

そしていきなりプラッセがそのビルの腕を掴む。

「“破手”」

ビルは一瞬顔を歪め、白目を向いて倒れた。
そのビルの腕からは一筋、いや何筋もの血であふれていた。

「プラッセ、これは怪手サスピシャスマーノだな?」

リアムがプラッセに聞く。

「ああ。俺がエルメニスト学園でずっと学んできた技だ。」
「エ、エルメニスト学園の生徒か!?」

驚きの表情を浮かべたリアムにジェノンが言う。

「言ってなかったか?この二人はエルメニスト学園の一位と二位だ。」
「な、なぁんだと!?」

ビルが起き上がって叫ぶ。
それにジェノンが呆れ気味に言う。

「もう目を覚ましたのか。さすがリアムの見習いだ。」

リアムがプラッセに近付いて言う。

「先ほどは俺の見習いが無礼を働いてしまった。すまない。」
「いいよ、いいよ。」

後ろでビルも頭を下げている。

「お前も頭上げろよ。俺は気にしてねぇから。」
「そ、そうか!くっそなんでこんな雑魚そうなガキにこの俺が、、、」
「やっぱ許さねぇ!」

ジェノンとリアムが肩をすくめる。

「じゃあ訓練を再開するぞ!」
「リアム、プラッセとフィッシュは任せた。俺は久しぶりに毒海で泳いでくるよ。」

ジェノンはいつの間に水着に着替えたのかもう海で泳いでいた。

「プラッセ、君は物理戦闘兵の訓練を受けてくれ。さっきのビル達と同じだ。そしてフィッシュ、君は魔法戦闘兵の訓練を受けてくれ。」

見習いの中でも2つに分かれているらしくプラッセとフィッシュは別々のところに行った。
リアムがそんなに怖いのか見習いの人たちはすぐに並び、背筋を伸ばして待っていた。

「今日はプラッセとフィッシュがいるから訓練内容を説明しようと思う。まず物理戦闘兵!これから2時間休むことなく腹筋をしろ。終わったらさらに2時間腕立て伏せ。その後はまた説明する。でははじめっ!次に魔法戦闘兵!2キロ先にあるあの輪に魔法射撃を通せ。100回連続で通したら全員が終わるまで休憩。ただし外したら毒を飲ませる。プラッセ、フィッシュ共に容赦はしないぞ、はじめっ!」
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