主人公は魔法が使えないのである。

海底牢獄チュリマー編

第６７話 再会！

数分前ジェノンとリアムは山をさまよっていた。

「さっきの声はなんだ？」
「ジェノンさんも聞こえましたか？あのか細い声。」
「ああ、ネアドバラウドの鳴き声だ。よってここは魔空じゃない！」

ジェノンが嬉しそうに言う。

「ジェノンさん、行きましょう。リベンジです！」

二人が走っていくと途中でとんでもない音がした。
それにリアムは聞き覚えのある声に気づいた。

「ジェノンさん、兵士の悲鳴が聞こえました。」
「本当か？プラッセとフィッシュがいるからまあ全滅はありえないが死人は出るかもな。」
「プラッセとフィッシュ、そんなに強いんですか？」

ジェノンは少し考えて言う。

「あの二人と俺が戦ったら負けるな。プラッセは怪手サスピシャスマーノを完全に極めていてそれだけなら俺よりもリアムよりも強い。フィッシュはクランキスの息子でもともとの才能に加えてウェルムに一年半訓練したから複合魔法だって簡単に使える。それに炎の精霊アレスを召喚できる。」

リアムは驚きのあまり言葉も出なかった。

「彼らはそんな強い人たちだったんですね。」
「ほら見えてきた。」

林を抜けた先には、
ネアドバラウドの死骸と数人の死体とプラッセ、フィッシュ、騎士団のみんながあった。

「これお前らだけで倒したのか？」

プラッセが手を振る。

「リアムっ！なんか久しぶりだな！」
「あ、あぁ。ネアドバラウドがこんな奴に...」

フィッシュが満面の笑みを浮かべて言う。

「じゃあ元の世界に帰るとしますか！」

それにジェノンが驚く。

「元の世界？」
「ええ、実はここ魔空なんですよ！」

ジェノンとリアムが顔を見合わせて言う。

「なんで魔物がいんだよ。」
「入ってきたんだと思います。」
「なんでお前らがいんだよ。」
「入ってきたんです。」

ジェノンはさらに困った顔をする。

「どうやって？」
「魔力を集めて。」

ジェノンはもっと戸惑う。

「魔空に行くためには成人男性50人分の魔力がいるんだぞ？」
「全員で集めたらそんくらい行きますよ。」

ジェノンは納得の行かない顔で黙り込む。
プラッセが言う。

「んじゃ帰るか！」

彼らはまた手をかざして魔力を集め、元の世界へ帰って行った。