21 / 35
第五章:オルグの潜む遺跡
第21話 ホップ村
しおりを挟む
ホップ村の遺跡に潜むオルグ討伐の依頼受託から二日後。チャンス達は街道を歩いていた。
目的地であるホップ村はセブンブリッジから徒歩で二日。依頼を受託した日は旅道具を購入準備に費やし、翌日は体力を温存するために休暇をとった。
「正直、ちょっと警戒していました」
「まあ、俺達こんななりだからなぁ、ヒャッハー!」
ホップ村向かう途中、エリザベートはチャンス達と出会った日の感想を述べている。
エリザベートはナブーから海を渡って南部大陸にある魔術師たちが評議会を作り、国家運営をしているコレリアの片田舎出身の冒険者と名乗った。
セブンブリッジに到着し、路銀を稼ぐために冒険者ギルドでオルグ討伐の依頼を受けようとしたらモヒカン兄弟に一人は危険だ、一緒に行ってやると声をかけられた。
「えーっと……」
「必死にフォローしようとして言葉が浮かばないなら無理するな。逆にそっちがつらい」
チャンスは苦笑しながらモヒカン兄弟をフォローしようとするが言葉が浮かばない。モヒカン兄弟はチャンスのそんな様子を見て言葉をかけた。
「ところでエリザベートは何ができるの? ソロで受けようとしたぐらいだから戦闘能力はあると思うけど……」
「ええ、私はクロト・シュタットに仕える修行僧です。この両手足が武器であり防具です。あとわずかですが神聖魔法が使えます」
マトイがエリザベートの戦闘スタイルを質問すると、エリザベートは素手格闘と神聖魔法が使えると答える。
「クロト・シュタット?」
「ああ、どちらかというとマイナーな神格ですからねえ……ご存じないのも無理ありません」
チャンスがきょとんとした顔で聞き返せば、エリザベートは苦笑した顔で自分が信仰する神がマイナーであることにため息をつく。
「クロト・シュタット、黒いローブでその正体を隠し、人々の安らかな眠りを妨げる悪魔や不死の怪物を狩り立てた対不死者の暗殺者でもある神様。夜に関係することから盗賊やアンデッド除けの神様として軒口にホーリーシンボルを掲げたりする」
「ええ、そうですよ。よくご存じで」
マトイがクロトについて知っていることを説明すれば、エリザベートは拍手してマトイを誉める。
「そんな神様がいるんだ……」
「ところで皆様の戦闘スタイルは?」
「見てわかるのは俺達兄弟とチャンスぐらいか?」
兄のモヒが両腰にぶら下げている片手斧を叩き、弟のカンが鋲付きメイスでジャグリングする。
チャンスもエリザベートに見せるように背中に背負った双剣のファルシオンを見せる。
「僕はこれだよ」
マトイが胸の位置で手を叩くように合わせ、練成術で作り上げたマスケット銃を見せる。
互いに自身の戦闘スタイルを見せ合いながらチャンス達はホップ村へと向かう。
ホップ村は四十戸ばかりの家が立ち並ぶ小さな村。村の周囲には畑が開墾され、休耕地となっている畑では牛が放し飼いされている。
「依頼を受けてくださった冒険者の方々ですね。私はマレンゴ、この村の村長をやっています。まずは旅の疲れを癒すために細やかな宴を用意しました」
村にたどり着くと村長から歓迎を受ける。
宴は村の広場で行われ、屠殺したばかりの豚肉料理を振舞われる。
「こりゃかなり期待されてるな」
「え? そうなんですか」
ホップ村の歓迎ぶりを見てモヒが呟き、チャンスが聞き返す。
「こういった農村じゃ、豚肉料理なんて祭りや結婚式といった大きな祝い事でもないとでねぇ」
「そうですね、私がいた村でも豚肉はお祝い事の時ぐらいしか口にした記憶がありませんね」
モヒが豚肉料理に込められた意味をチャンスに説明し、エリザベートも子供のころを思い出したのか、同意する。
「ところで、オルグは何時頃から? 被害は?」
「……チャンスって真面目だね」
宴会の最中、チャンスは村長にオルグの被害を聞く。そんなチャンスを見てマトイは料理を堪能しながら呟く。
「オルグ達が現れたのは20日ぐらい前です。その日の夜に畜産を営んでいるテッドの番犬が殺されて家畜が盗まれました。それから頻繁に畑を荒らしたり家畜を盗んだりと……」
オルグの被害は深刻なのか村長のマレンゴは気苦労の絶えない顔で話を続ける。
「対策として自警団を作ったのですが……二週間ほど前オルグと遭遇して戦闘になったのですが……村の若い者が一人殺され、二人が重傷を負いました。これ以上犠牲者を出したくなく、今回あなた方冒険者に依頼したのです」
「そうだったんですか……僕たちが必ず退治して見せます!」
チャンスが胸を叩いて宣言すると、村長のマレンゴはよろしくお願いしますと深々と頭を下げた。
「被害を受けたテッド、オルグと戦闘した自警団長のアーロ、オルグの住処を見つけた猟師のルガードが宴に参加しています。よろしければ話を聞いてあげてください、何か役に立つかもしれません」
村長のマレンゴは口にした名前の人物を指さす。チャンス達は手分けして話を聞き、宴会を終えた後村長宅に用意された部屋で報告しあう。
「一番最初に被害を受けたテッドさんの話だと家畜を盗んだオルグはだぶだぶの衣類のようなものを着て走りずらそうだったって。あと翌朝家畜小屋調べたら銀の指輪が落ちててオルグが代金を置いていったのかって首をひねってたって」
最初にオルグの被害にあったテッドに聞き込みをしたマトイが報告する。
「こっちは自警団長に話を聞いたけどよぉ、嬢ちゃんの言った通り、オルグはぶかぶかの衣装を着て飾り物を身に着けてたとか?」
「武装はショートソードやハンドアックス……あまり手入れはされていなかったらしいぜ。あと、オルグにしちゃ勇敢だったとか?」
モヒカン兄弟は自警団長アーロからオルグとの遭遇戦の様子を聞き出していた。
マトイと同じくぶかぶかの衣服を着ていた特徴を伝える。
「私は猟師のアーロさんからお話を聞いたのですが、依頼書に書いてあった通りの遺跡を住処にしている模様です。遺跡からは狼の声も聞こえたとか」
エリザベートは猟師のアーロが森で獲物を探している途中にオルグの集団と遭遇し、追跡して遺跡を住処にしていることを探り当てた事を知らせる。
「ところで……オルグってどんなモンスターなんです?」
「えっ……チャンスさん、本気で言ってます?」
チャンスは申し訳なさそうに手を挙げてオルグについて仲間たちに聞く。
エリザベートは最初チャンスが冗談で言っているのかと思ったが、表情と様子から本気で言ってることにエリザベートは戸惑う。
「あー……チャンスは記憶喪失でね。オルグっていうのはそうだね……異常な繁殖力と狂暴性持ってる人間の子供の体に猿の毛が生えたモンスターでね」
「まあ、そうだったんですか……」
マトイがエリザベートに向かってチャンスが記憶喪失であることを知らせ、チャンスにはオルグについて説明する。
エリザベートはチャンスの境遇を聞いて同情的な視線を送る。
「オルグはよぉ、武器を使うぐらいの知恵はもってやがるし、女子供老人といった弱者に対しては残虐にもなるし、農村部では略奪者として忌み嫌われてるぜぇ」
「ちょっと、僕が今説明してる最中なんだけどぉ……」
途中でモヒカン兄弟の弟カンが割り込むようにオルグの説明をし、マトイが頬を膨らませてカンの肩を叩く。
「ハハハッ、ワリィワリィ」
「とにかく、オルグは可能な限り討伐を最優先したいモンスターというのを覚えておいて」
マトイの抗議にカンが笑いながら謝り、マトイはまた割り込まれる前にとオルグについての説明をチャンスにする。
「そろそろ休むぞ、明日朝から目的の遺跡に行くからな。しっかり眠れよ、ヒャッハー!」
チャンス達は明日に備えて就寝した。
目的地であるホップ村はセブンブリッジから徒歩で二日。依頼を受託した日は旅道具を購入準備に費やし、翌日は体力を温存するために休暇をとった。
「正直、ちょっと警戒していました」
「まあ、俺達こんななりだからなぁ、ヒャッハー!」
ホップ村向かう途中、エリザベートはチャンス達と出会った日の感想を述べている。
エリザベートはナブーから海を渡って南部大陸にある魔術師たちが評議会を作り、国家運営をしているコレリアの片田舎出身の冒険者と名乗った。
セブンブリッジに到着し、路銀を稼ぐために冒険者ギルドでオルグ討伐の依頼を受けようとしたらモヒカン兄弟に一人は危険だ、一緒に行ってやると声をかけられた。
「えーっと……」
「必死にフォローしようとして言葉が浮かばないなら無理するな。逆にそっちがつらい」
チャンスは苦笑しながらモヒカン兄弟をフォローしようとするが言葉が浮かばない。モヒカン兄弟はチャンスのそんな様子を見て言葉をかけた。
「ところでエリザベートは何ができるの? ソロで受けようとしたぐらいだから戦闘能力はあると思うけど……」
「ええ、私はクロト・シュタットに仕える修行僧です。この両手足が武器であり防具です。あとわずかですが神聖魔法が使えます」
マトイがエリザベートの戦闘スタイルを質問すると、エリザベートは素手格闘と神聖魔法が使えると答える。
「クロト・シュタット?」
「ああ、どちらかというとマイナーな神格ですからねえ……ご存じないのも無理ありません」
チャンスがきょとんとした顔で聞き返せば、エリザベートは苦笑した顔で自分が信仰する神がマイナーであることにため息をつく。
「クロト・シュタット、黒いローブでその正体を隠し、人々の安らかな眠りを妨げる悪魔や不死の怪物を狩り立てた対不死者の暗殺者でもある神様。夜に関係することから盗賊やアンデッド除けの神様として軒口にホーリーシンボルを掲げたりする」
「ええ、そうですよ。よくご存じで」
マトイがクロトについて知っていることを説明すれば、エリザベートは拍手してマトイを誉める。
「そんな神様がいるんだ……」
「ところで皆様の戦闘スタイルは?」
「見てわかるのは俺達兄弟とチャンスぐらいか?」
兄のモヒが両腰にぶら下げている片手斧を叩き、弟のカンが鋲付きメイスでジャグリングする。
チャンスもエリザベートに見せるように背中に背負った双剣のファルシオンを見せる。
「僕はこれだよ」
マトイが胸の位置で手を叩くように合わせ、練成術で作り上げたマスケット銃を見せる。
互いに自身の戦闘スタイルを見せ合いながらチャンス達はホップ村へと向かう。
ホップ村は四十戸ばかりの家が立ち並ぶ小さな村。村の周囲には畑が開墾され、休耕地となっている畑では牛が放し飼いされている。
「依頼を受けてくださった冒険者の方々ですね。私はマレンゴ、この村の村長をやっています。まずは旅の疲れを癒すために細やかな宴を用意しました」
村にたどり着くと村長から歓迎を受ける。
宴は村の広場で行われ、屠殺したばかりの豚肉料理を振舞われる。
「こりゃかなり期待されてるな」
「え? そうなんですか」
ホップ村の歓迎ぶりを見てモヒが呟き、チャンスが聞き返す。
「こういった農村じゃ、豚肉料理なんて祭りや結婚式といった大きな祝い事でもないとでねぇ」
「そうですね、私がいた村でも豚肉はお祝い事の時ぐらいしか口にした記憶がありませんね」
モヒが豚肉料理に込められた意味をチャンスに説明し、エリザベートも子供のころを思い出したのか、同意する。
「ところで、オルグは何時頃から? 被害は?」
「……チャンスって真面目だね」
宴会の最中、チャンスは村長にオルグの被害を聞く。そんなチャンスを見てマトイは料理を堪能しながら呟く。
「オルグ達が現れたのは20日ぐらい前です。その日の夜に畜産を営んでいるテッドの番犬が殺されて家畜が盗まれました。それから頻繁に畑を荒らしたり家畜を盗んだりと……」
オルグの被害は深刻なのか村長のマレンゴは気苦労の絶えない顔で話を続ける。
「対策として自警団を作ったのですが……二週間ほど前オルグと遭遇して戦闘になったのですが……村の若い者が一人殺され、二人が重傷を負いました。これ以上犠牲者を出したくなく、今回あなた方冒険者に依頼したのです」
「そうだったんですか……僕たちが必ず退治して見せます!」
チャンスが胸を叩いて宣言すると、村長のマレンゴはよろしくお願いしますと深々と頭を下げた。
「被害を受けたテッド、オルグと戦闘した自警団長のアーロ、オルグの住処を見つけた猟師のルガードが宴に参加しています。よろしければ話を聞いてあげてください、何か役に立つかもしれません」
村長のマレンゴは口にした名前の人物を指さす。チャンス達は手分けして話を聞き、宴会を終えた後村長宅に用意された部屋で報告しあう。
「一番最初に被害を受けたテッドさんの話だと家畜を盗んだオルグはだぶだぶの衣類のようなものを着て走りずらそうだったって。あと翌朝家畜小屋調べたら銀の指輪が落ちててオルグが代金を置いていったのかって首をひねってたって」
最初にオルグの被害にあったテッドに聞き込みをしたマトイが報告する。
「こっちは自警団長に話を聞いたけどよぉ、嬢ちゃんの言った通り、オルグはぶかぶかの衣装を着て飾り物を身に着けてたとか?」
「武装はショートソードやハンドアックス……あまり手入れはされていなかったらしいぜ。あと、オルグにしちゃ勇敢だったとか?」
モヒカン兄弟は自警団長アーロからオルグとの遭遇戦の様子を聞き出していた。
マトイと同じくぶかぶかの衣服を着ていた特徴を伝える。
「私は猟師のアーロさんからお話を聞いたのですが、依頼書に書いてあった通りの遺跡を住処にしている模様です。遺跡からは狼の声も聞こえたとか」
エリザベートは猟師のアーロが森で獲物を探している途中にオルグの集団と遭遇し、追跡して遺跡を住処にしていることを探り当てた事を知らせる。
「ところで……オルグってどんなモンスターなんです?」
「えっ……チャンスさん、本気で言ってます?」
チャンスは申し訳なさそうに手を挙げてオルグについて仲間たちに聞く。
エリザベートは最初チャンスが冗談で言っているのかと思ったが、表情と様子から本気で言ってることにエリザベートは戸惑う。
「あー……チャンスは記憶喪失でね。オルグっていうのはそうだね……異常な繁殖力と狂暴性持ってる人間の子供の体に猿の毛が生えたモンスターでね」
「まあ、そうだったんですか……」
マトイがエリザベートに向かってチャンスが記憶喪失であることを知らせ、チャンスにはオルグについて説明する。
エリザベートはチャンスの境遇を聞いて同情的な視線を送る。
「オルグはよぉ、武器を使うぐらいの知恵はもってやがるし、女子供老人といった弱者に対しては残虐にもなるし、農村部では略奪者として忌み嫌われてるぜぇ」
「ちょっと、僕が今説明してる最中なんだけどぉ……」
途中でモヒカン兄弟の弟カンが割り込むようにオルグの説明をし、マトイが頬を膨らませてカンの肩を叩く。
「ハハハッ、ワリィワリィ」
「とにかく、オルグは可能な限り討伐を最優先したいモンスターというのを覚えておいて」
マトイの抗議にカンが笑いながら謝り、マトイはまた割り込まれる前にとオルグについての説明をチャンスにする。
「そろそろ休むぞ、明日朝から目的の遺跡に行くからな。しっかり眠れよ、ヒャッハー!」
チャンス達は明日に備えて就寝した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる