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第五章:オルグの潜む遺跡
第24話 オルグの族長
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屋敷廃墟を後にしたチャンス達は遺跡の探索に戻る。
いくつかの廃墟を探索するが、オルグが住んでいた痕跡だけだったり、散々荒らされて塵ぐらいしか残っていない廃墟だけだった。
「あとはあの廃墟ぐらいか」
「かなり大きいな……おそらく領主の城か?」
モヒカン兄弟が指さす場所には先ほどの屋敷よりも大きな廃墟がもう領主も民もいないのにまだ建っていた。
遺跡の北東側の奥まった場所に一区画丸々使った廃墟があった。壁には弦が鬱蒼と生い茂り、木々が廃墟の窓など突き破って建物内部に枝を伸ばしている。
マトイが先行して扉を調べる。罠も鍵もかかっていないことを確認すればチャンス達が城へと突入する。
扉を開けて中に入れば、元は豪華絢爛だったであろう朽ち果てたエントランスホールが広がる。だが 二階へと続く階段は朽ち果て崩落しており、瓦礫や蜘蛛の巣だらけだ。
「こっちに気配がある」
マトイは生物の気配を感じたのか、エントランスホールの右手の扉に近づく。
「食事中みたい。あんまり聞いていたくないような行儀の悪い音が聞こえてくる」
聴覚コーンを錬成して扉の向こうの音を聞けば扉の向こうの部屋で生物が食事をとっているらしい。
「数は?」
「ん……6? ……多分まだ気づいてない」
「では突入前に保護魔法を」
モヒが数を聞き、マトイが部屋にいる生物の数を聞き数える。
数を聞いたエリザベートが神聖魔法で補助を申し出る。
「おお、“静かなる夜の狩人”クロト・シュタットよ、祝福の息吹きを彼らに吹きかけたまえ 祝福」
エリザベートの祝詞に応えるように心地よい風と暖かい光がチャンス達を包み込む。
「おお、“静かなる夜の狩人”クロト・シュタットよ、邪悪を退ける帳を我らに 邪悪よりの保護」
さらにエリザベートは祝詞を唱え、銀の粉をチャンス達に振りかけると半透明のカーテンのようなものがチャンス達を纏う。
「ふう……私が今日使える力はあと少しです」
「十二分に助かってます。さあ、行きましょうか!」
「おう!!」
力を使いすぎたのか、エリザベートは疲れたような溜息を吐く。
労うようにチャンスが礼を述べ、突入の音頭をとり、全員が応える。
「オラァッ! ヒャッハー!!」
モヒカン兄弟がドアを蹴破り突入する。突入した部屋は元は食堂だったのだろうか足が折れて斜めになったテーブルの上で様々な体格のオルグ達が森で捕まえた動物や村から盗んだ農作物を生噛りして食べかすをまき散らしていた。
「せえっ!!」
最初に仕掛けたのはチャンス。両手のファルシオンを投擲する。ファルシオンの柄に焼き付けられた鎖を握り締め巧みに操り、根野菜に噛りついていた二体のオルグに突き刺さる。
「ギンビュグギャザ! ボソゲッ!!」
一番奥にいた王冠を被った一番体格のいいオルグが王酌を掲げて何かを命令する。
「あいつはバグベアード!?」
「知っているのか、兄者!?」
王冠を被ったオルグの姿を見てモヒがその正体を叫び、弟のカンが兄者のモヒに合の手を入れる。
「オルグの王と呼ばれる種族だ。さっき戦ったベルグより強いぞ!!」
モヒが注意を叫び、近くにいたオルグの脳天に斧を振り下ろす。
「ラショブジョ、ラゾグンジャドバシ、パガデビゾグデ!」
黒い布で身を包んだオルグが樫木の杖をチャンス達に向けると、杖の先から光の矢が複数現れる。
「ぐあっ!? くそっ! 賢いオルグって、オルグシャーマンかよ!」
「エリザベートの防護魔法がなかったらもっと酷かったよ」
光の矢はチャンス達に降り注ぎ、回避しようとするが、光の矢は何処までも追いかけてきて命中し弾けて、火傷のような傷を作る。
カンが火傷部分を抑えて悪態をつき、マトイがエリザベートが付与してくれた防御魔法のおかげで軽症で済んだと伝える。
「シャーマンを優先で排除」
マトイが淡々と呟きながらマスケット銃を錬成し、オルグシャーマンを狙う。
「ラショブジョ、ジャゾギシゾベスダデドバシ、パガゾラロセ!」
自分が狙われていることを察したオルグシャーマンは杖で地面を叩いて呪文を唱える。
同時にマトイが引き金を引いて射撃するが、弾丸は不可視の盾に阻まれて空中で止められる。
「これだから、矢除けの魔法嫌い!」
不可視の盾を見てマトイはイラついたように呟く。
「ハァァッッ!!」
エリザベートがマトイの脇を駆け抜けてオルグシャーマンに蹴りをお見舞いしようとする。
「ガゲン!」
妨害するように一体のベルグがエリザベートの前に立ちはだかり、両手をクロスすしてエリザベートの蹴りを受け止める。
「シッ!」
そのままエリザベートは妨害してきたベルグと対峙して蹴りを繰り返し、ベルグをオルグシャーマンから引きはがす。
「いくぞ、カン!!」
「おう、兄者! ヒャッハー!!」
モヒとカンのモヒカン兄弟が武器を持ってオルグシャーマンへと向かう。
「ゴセダヂグガギデザ!」
もう一体のベルグが錆びたグレートソードでモヒとカンの武器を受け止める。
「にゃろうっ!」
「俺たち兄弟をなめるなっ!!」
モヒカン兄弟は阿吽の呼吸のコンビネーションでグレートソードを持ったベルグに攻撃を繰り返す。
「ゴラゲパゴセグガギデザ」
「くっ……」
鎖を引き戻し双剣のファルシオンを手元に戻したチャンスに、オルグの王バグベアードが王酌を右手に、錆びたショートソードを左手に構えて立ちはだかる。
「ギブゾッ!」
バグベアードは王酌を振り下ろす、チャンスはそれを左手のファルシオンで受け止める。
即座にバグベアードは錆びたショートソードを突き刺そうとする。チャンスは右手のファルシオンで打ち払い、逆に突き返し、バグベアードの脇腹を斬った。
一方マトイはマスケット銃を消滅させ、ダガーを二本錬成しオルグシャーマンと戦っている。
マトイは二本のダガーを巧みにクルクルと回転させてオルグシャーマンに向かう。
「パガギヅビジョ、ゾボゴドバセ! ゾボゴンギヅビ!!」
オルグシャーマンは自分に向かってくるマトイに向かって一握りの灰を吹きかける。吹きかけた灰は炎となってマトイに襲い掛かるが、マトイは炎に巻き込まれる前に姿を消す。
「バビ? ゾボビビゲ―――」
急に姿を消したマトイの行方を探そうとするオルグシャーマン。何か喋っている途中言葉が途切れ血を吐く。オルグシャーマンが視線を下に向けると自らの腹部からダガーの切っ先が突き出ていた。
「この力、好きじゃないんだけど……さっさとチャンスを助けに行かないといけないから……じゃあね」
いつの間にかオルグシャーマンの背後に忍び寄っていたマトイがそう呟き、ダガーを捻りながら抜く。オルグシャーマンはゆっくりと崩れ落ちる。
マトイは振り返ることなく、ラストチャンスの元へと走り出した。
「フッ!!」
バシンッと肉体同士がぶつかり合う音が廃墟の食堂に響き渡る。
エリザベートの蹴りによる怒涛の連撃がベルグを襲い、ベルグは防戦一方だ。
「グギャアア!!」
ベルグの上半身に蹴りを集中させて防御の意識を上部へと持っていかせれば、エリザベートは変幻自在の蹴りでベルグの膝の皿を割るような前蹴り、足の甲に突き刺すような踵落とし、強烈なローキックを食らわせ、ベルグは悲鳴を上げて膝をつく。
そしてエリザベートは後方に跳躍してから助走をつけて駆けだし、ベルグの膝に右足をのせて勢いを載せた左膝でベルグの側頭部を蹴る。
「ゴッ!?」
膝蹴りを受けたベルグの側頭部は陥没してリ、目や鼻から血を流して崩れ落ち、陸に上がった魚のようにビクビクと痙攣して……絶命したのか動かなくなった。
いくつかの廃墟を探索するが、オルグが住んでいた痕跡だけだったり、散々荒らされて塵ぐらいしか残っていない廃墟だけだった。
「あとはあの廃墟ぐらいか」
「かなり大きいな……おそらく領主の城か?」
モヒカン兄弟が指さす場所には先ほどの屋敷よりも大きな廃墟がもう領主も民もいないのにまだ建っていた。
遺跡の北東側の奥まった場所に一区画丸々使った廃墟があった。壁には弦が鬱蒼と生い茂り、木々が廃墟の窓など突き破って建物内部に枝を伸ばしている。
マトイが先行して扉を調べる。罠も鍵もかかっていないことを確認すればチャンス達が城へと突入する。
扉を開けて中に入れば、元は豪華絢爛だったであろう朽ち果てたエントランスホールが広がる。だが 二階へと続く階段は朽ち果て崩落しており、瓦礫や蜘蛛の巣だらけだ。
「こっちに気配がある」
マトイは生物の気配を感じたのか、エントランスホールの右手の扉に近づく。
「食事中みたい。あんまり聞いていたくないような行儀の悪い音が聞こえてくる」
聴覚コーンを錬成して扉の向こうの音を聞けば扉の向こうの部屋で生物が食事をとっているらしい。
「数は?」
「ん……6? ……多分まだ気づいてない」
「では突入前に保護魔法を」
モヒが数を聞き、マトイが部屋にいる生物の数を聞き数える。
数を聞いたエリザベートが神聖魔法で補助を申し出る。
「おお、“静かなる夜の狩人”クロト・シュタットよ、祝福の息吹きを彼らに吹きかけたまえ 祝福」
エリザベートの祝詞に応えるように心地よい風と暖かい光がチャンス達を包み込む。
「おお、“静かなる夜の狩人”クロト・シュタットよ、邪悪を退ける帳を我らに 邪悪よりの保護」
さらにエリザベートは祝詞を唱え、銀の粉をチャンス達に振りかけると半透明のカーテンのようなものがチャンス達を纏う。
「ふう……私が今日使える力はあと少しです」
「十二分に助かってます。さあ、行きましょうか!」
「おう!!」
力を使いすぎたのか、エリザベートは疲れたような溜息を吐く。
労うようにチャンスが礼を述べ、突入の音頭をとり、全員が応える。
「オラァッ! ヒャッハー!!」
モヒカン兄弟がドアを蹴破り突入する。突入した部屋は元は食堂だったのだろうか足が折れて斜めになったテーブルの上で様々な体格のオルグ達が森で捕まえた動物や村から盗んだ農作物を生噛りして食べかすをまき散らしていた。
「せえっ!!」
最初に仕掛けたのはチャンス。両手のファルシオンを投擲する。ファルシオンの柄に焼き付けられた鎖を握り締め巧みに操り、根野菜に噛りついていた二体のオルグに突き刺さる。
「ギンビュグギャザ! ボソゲッ!!」
一番奥にいた王冠を被った一番体格のいいオルグが王酌を掲げて何かを命令する。
「あいつはバグベアード!?」
「知っているのか、兄者!?」
王冠を被ったオルグの姿を見てモヒがその正体を叫び、弟のカンが兄者のモヒに合の手を入れる。
「オルグの王と呼ばれる種族だ。さっき戦ったベルグより強いぞ!!」
モヒが注意を叫び、近くにいたオルグの脳天に斧を振り下ろす。
「ラショブジョ、ラゾグンジャドバシ、パガデビゾグデ!」
黒い布で身を包んだオルグが樫木の杖をチャンス達に向けると、杖の先から光の矢が複数現れる。
「ぐあっ!? くそっ! 賢いオルグって、オルグシャーマンかよ!」
「エリザベートの防護魔法がなかったらもっと酷かったよ」
光の矢はチャンス達に降り注ぎ、回避しようとするが、光の矢は何処までも追いかけてきて命中し弾けて、火傷のような傷を作る。
カンが火傷部分を抑えて悪態をつき、マトイがエリザベートが付与してくれた防御魔法のおかげで軽症で済んだと伝える。
「シャーマンを優先で排除」
マトイが淡々と呟きながらマスケット銃を錬成し、オルグシャーマンを狙う。
「ラショブジョ、ジャゾギシゾベスダデドバシ、パガゾラロセ!」
自分が狙われていることを察したオルグシャーマンは杖で地面を叩いて呪文を唱える。
同時にマトイが引き金を引いて射撃するが、弾丸は不可視の盾に阻まれて空中で止められる。
「これだから、矢除けの魔法嫌い!」
不可視の盾を見てマトイはイラついたように呟く。
「ハァァッッ!!」
エリザベートがマトイの脇を駆け抜けてオルグシャーマンに蹴りをお見舞いしようとする。
「ガゲン!」
妨害するように一体のベルグがエリザベートの前に立ちはだかり、両手をクロスすしてエリザベートの蹴りを受け止める。
「シッ!」
そのままエリザベートは妨害してきたベルグと対峙して蹴りを繰り返し、ベルグをオルグシャーマンから引きはがす。
「いくぞ、カン!!」
「おう、兄者! ヒャッハー!!」
モヒとカンのモヒカン兄弟が武器を持ってオルグシャーマンへと向かう。
「ゴセダヂグガギデザ!」
もう一体のベルグが錆びたグレートソードでモヒとカンの武器を受け止める。
「にゃろうっ!」
「俺たち兄弟をなめるなっ!!」
モヒカン兄弟は阿吽の呼吸のコンビネーションでグレートソードを持ったベルグに攻撃を繰り返す。
「ゴラゲパゴセグガギデザ」
「くっ……」
鎖を引き戻し双剣のファルシオンを手元に戻したチャンスに、オルグの王バグベアードが王酌を右手に、錆びたショートソードを左手に構えて立ちはだかる。
「ギブゾッ!」
バグベアードは王酌を振り下ろす、チャンスはそれを左手のファルシオンで受け止める。
即座にバグベアードは錆びたショートソードを突き刺そうとする。チャンスは右手のファルシオンで打ち払い、逆に突き返し、バグベアードの脇腹を斬った。
一方マトイはマスケット銃を消滅させ、ダガーを二本錬成しオルグシャーマンと戦っている。
マトイは二本のダガーを巧みにクルクルと回転させてオルグシャーマンに向かう。
「パガギヅビジョ、ゾボゴドバセ! ゾボゴンギヅビ!!」
オルグシャーマンは自分に向かってくるマトイに向かって一握りの灰を吹きかける。吹きかけた灰は炎となってマトイに襲い掛かるが、マトイは炎に巻き込まれる前に姿を消す。
「バビ? ゾボビビゲ―――」
急に姿を消したマトイの行方を探そうとするオルグシャーマン。何か喋っている途中言葉が途切れ血を吐く。オルグシャーマンが視線を下に向けると自らの腹部からダガーの切っ先が突き出ていた。
「この力、好きじゃないんだけど……さっさとチャンスを助けに行かないといけないから……じゃあね」
いつの間にかオルグシャーマンの背後に忍び寄っていたマトイがそう呟き、ダガーを捻りながら抜く。オルグシャーマンはゆっくりと崩れ落ちる。
マトイは振り返ることなく、ラストチャンスの元へと走り出した。
「フッ!!」
バシンッと肉体同士がぶつかり合う音が廃墟の食堂に響き渡る。
エリザベートの蹴りによる怒涛の連撃がベルグを襲い、ベルグは防戦一方だ。
「グギャアア!!」
ベルグの上半身に蹴りを集中させて防御の意識を上部へと持っていかせれば、エリザベートは変幻自在の蹴りでベルグの膝の皿を割るような前蹴り、足の甲に突き刺すような踵落とし、強烈なローキックを食らわせ、ベルグは悲鳴を上げて膝をつく。
そしてエリザベートは後方に跳躍してから助走をつけて駆けだし、ベルグの膝に右足をのせて勢いを載せた左膝でベルグの側頭部を蹴る。
「ゴッ!?」
膝蹴りを受けたベルグの側頭部は陥没してリ、目や鼻から血を流して崩れ落ち、陸に上がった魚のようにビクビクと痙攣して……絶命したのか動かなくなった。
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