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第19話 この館は、なぜモフモフうさぎの聖地になっているの?(1/2)
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「きみがどこからやってきたのか、オレがあててみようか」
ロエルはニッと私にわらいかける。口角があがっているだけでなく、私をみる目つきまでおもしろそうだ。青い瞳が生き生きと輝く。
ロエルの発言に私は目を丸くする。
「……えっ、あててみる……? そんなこと、できるの!? あ、ロエルはもしかして占い師さん?」
人気占い師の中には、巨万の富を得ている人もいる。
少なくとも私がいた世界ではそうだった。
人気のある占い師ならば、ロエルの屋敷が大層りっぱなのも納得がいく。
いま私とロエルのふたりがいる、この客間だってとても素敵な部屋だ。
維持するのにはお金がかかりそうだと、さっきこの部屋に通されたばかりの私でもわかるくらい、よく手入れされている。
はたして、ロエルは本当に、いまをときめく大人気占い師なのか。
私の予想はよく、はずれるけど……今度こそ、あたるかな?
期待と不安でロエルをみつめる。
「オレは占い師ではない。みてのとおり、オレは普通の人間だ」
……ロエルが、みてのとおりの普通の人間?
私の予想がはずれることは、もう慣れっこになってるから、ロエルが占い師じゃなくても、別におどろかない。
この国の一般的な職業とか、どんな職種が多いかとかも知らないし、第一ロエルは私がどこからきたのか、まだ口にしていない。
だけど……。
サラサラしたまっすぐな金髪に、長いまつげにふちどられた、澄んだ青色の目。りりしく整った顔だち。
やせ型だけど筋肉質な体にスラリとのびた手足。全体のバランスといい、部分部分といい、すばらしく美しい見た目なのでは?
これほどの美貌の持ち主が、普通って――謙遜?
でも、いまのロエルは自分のことを謙遜して「普通」と言った感じではなかった。
……じゃあ、この国には美男美女しか住んでいないとか?
さっきまで私にからんできた、黒ずくめ集団も、体つきは筋骨隆々でマッチョでゴツかったけど、フードの下の顔は、みんなキラキラの美形とか?
まあ、言葉を話せる不思議なうさぎ、ティコティスを『聖兎さま~!』とあがめ、神聖視している、黒ずくめの団体のことは、いまは置いとくとして。
ロエルは占い師じゃないけど、私がどこからきたのか、あてられるっていうのは、どうして?
疑問だらけの私に、ロエルは語りかける。
「ユイカは、今日、中庭にやってきた聖兎が住んでいる世界とは、他の世界から……。この世界とも、聖兎の住む世界とも、別の世界からきたんじゃないか。何か、きみ以外の……強大な魔術のような力に引き寄せられるように――」
すごい……。ほとんどあたってる。
強大な力に「引き寄せられる」っていうより、私の地元の公園にいた精霊さんの持つ謎の力で、私はこの世界に「とばされた」って感覚だけど。
それにしたって、ここまで言いあてられるなんて、おどろきだ。
おもわず声がふるえてしまう。
「なんで……わかったの。私が別の世界からきたって。もしかして――」
ロエル自身は人間でも、精霊という存在と、知りあいだったりするの?
そんな考えが頭にうかぶ。
私がその疑問を口にするよりまえに、あらたな疑問がポンとうかんでくる。
……あれ? 中庭にロエルがあらわれたときの状況は――。
たしか、体のほとんどを不思議な光に飲み込まれた、うさぎのティコティスと、かろうじて会話が可能な状態で、私が黒づくめの5人に囲まれていた、そんな状況だったはず。
ロエルは、ほとんど姿のみえなくなったティコティスをうさぎだと、どうして認識できたの?
……それと、聖兎という呼びかた……。
「聖兎って――ロエルはあの5人とちがって、『聖兎さま』とは言わないのね」
「ああ、オレはあの黒ずくめの連中とはちがう」
うん、ちがう気はしていた。
最初こそ、ロエルもティコティスをあがめている集団のひとりの可能性もありうると予想した私だけど……。
おそろいの黒い服を着ていないというだけでなく、なんというか、あの5人とは雰囲気が異なる。
あの人たちは、人の話をろくに聞いてくれなかったけど、ロエルは私の話に耳をかたむけてくれるし。
「そもそもあの5人は……どういう集団なの? なんでこの屋敷にいたの?」
ロエルはニッと私にわらいかける。口角があがっているだけでなく、私をみる目つきまでおもしろそうだ。青い瞳が生き生きと輝く。
ロエルの発言に私は目を丸くする。
「……えっ、あててみる……? そんなこと、できるの!? あ、ロエルはもしかして占い師さん?」
人気占い師の中には、巨万の富を得ている人もいる。
少なくとも私がいた世界ではそうだった。
人気のある占い師ならば、ロエルの屋敷が大層りっぱなのも納得がいく。
いま私とロエルのふたりがいる、この客間だってとても素敵な部屋だ。
維持するのにはお金がかかりそうだと、さっきこの部屋に通されたばかりの私でもわかるくらい、よく手入れされている。
はたして、ロエルは本当に、いまをときめく大人気占い師なのか。
私の予想はよく、はずれるけど……今度こそ、あたるかな?
期待と不安でロエルをみつめる。
「オレは占い師ではない。みてのとおり、オレは普通の人間だ」
……ロエルが、みてのとおりの普通の人間?
私の予想がはずれることは、もう慣れっこになってるから、ロエルが占い師じゃなくても、別におどろかない。
この国の一般的な職業とか、どんな職種が多いかとかも知らないし、第一ロエルは私がどこからきたのか、まだ口にしていない。
だけど……。
サラサラしたまっすぐな金髪に、長いまつげにふちどられた、澄んだ青色の目。りりしく整った顔だち。
やせ型だけど筋肉質な体にスラリとのびた手足。全体のバランスといい、部分部分といい、すばらしく美しい見た目なのでは?
これほどの美貌の持ち主が、普通って――謙遜?
でも、いまのロエルは自分のことを謙遜して「普通」と言った感じではなかった。
……じゃあ、この国には美男美女しか住んでいないとか?
さっきまで私にからんできた、黒ずくめ集団も、体つきは筋骨隆々でマッチョでゴツかったけど、フードの下の顔は、みんなキラキラの美形とか?
まあ、言葉を話せる不思議なうさぎ、ティコティスを『聖兎さま~!』とあがめ、神聖視している、黒ずくめの団体のことは、いまは置いとくとして。
ロエルは占い師じゃないけど、私がどこからきたのか、あてられるっていうのは、どうして?
疑問だらけの私に、ロエルは語りかける。
「ユイカは、今日、中庭にやってきた聖兎が住んでいる世界とは、他の世界から……。この世界とも、聖兎の住む世界とも、別の世界からきたんじゃないか。何か、きみ以外の……強大な魔術のような力に引き寄せられるように――」
すごい……。ほとんどあたってる。
強大な力に「引き寄せられる」っていうより、私の地元の公園にいた精霊さんの持つ謎の力で、私はこの世界に「とばされた」って感覚だけど。
それにしたって、ここまで言いあてられるなんて、おどろきだ。
おもわず声がふるえてしまう。
「なんで……わかったの。私が別の世界からきたって。もしかして――」
ロエル自身は人間でも、精霊という存在と、知りあいだったりするの?
そんな考えが頭にうかぶ。
私がその疑問を口にするよりまえに、あらたな疑問がポンとうかんでくる。
……あれ? 中庭にロエルがあらわれたときの状況は――。
たしか、体のほとんどを不思議な光に飲み込まれた、うさぎのティコティスと、かろうじて会話が可能な状態で、私が黒づくめの5人に囲まれていた、そんな状況だったはず。
ロエルは、ほとんど姿のみえなくなったティコティスをうさぎだと、どうして認識できたの?
……それと、聖兎という呼びかた……。
「聖兎って――ロエルはあの5人とちがって、『聖兎さま』とは言わないのね」
「ああ、オレはあの黒ずくめの連中とはちがう」
うん、ちがう気はしていた。
最初こそ、ロエルもティコティスをあがめている集団のひとりの可能性もありうると予想した私だけど……。
おそろいの黒い服を着ていないというだけでなく、なんというか、あの5人とは雰囲気が異なる。
あの人たちは、人の話をろくに聞いてくれなかったけど、ロエルは私の話に耳をかたむけてくれるし。
「そもそもあの5人は……どういう集団なの? なんでこの屋敷にいたの?」
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