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第43話 なんらかの対策は、あるはず……
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≪約90字あらすじ・主人公・唯花は異世界にとばされ、不思議なうさぎティコティスにチョーカーをもらう。ティコティスが善意で渡した、このチョーカー、実はとんでもない秘密があるかもしれないらしくて……!?≫
『ひっく、ひっく……ごめん、ごめんね。唯花……』
ティコティスの泣き声が、私の首についているチョーカーを伝わって聞こえてきた。
「どうしたの、ティコティス!?」
ティコティスは、涙声で言った。
『……お、落ちついて聞いてね、唯花。一度でもチョーカーの通信機能を使ってしまうと……。副作用を引き起こす確率はグンとあがってしまうって……事例が報告されてる……』
一度でもチョーカーの通信機能を使ってしまうと……。副作用を引き起こす確率はグンとあがってしまう。
(な、なんでそんなことに?)
あ、副作用って、ある薬とある食べ物を同時に摂取すると、その薬だけなら何もなかった人まで副作用を引き起こしやすくなることがあるって聞いたことがある――それと似たようなこと?
でもいまは、なぜ通信機能を使ったら副作用の確立があがるのかという理由よりも――。
副作用が起きてしまったら、どう対処すべきかの情報をさがしたほうが、いい気がしてきた。
『グンと確率があがる』って情報だけだと、50パーセント以下の確率から、いったい何パーセントになったのかはナゾだけど……。
『……唯花……ぼく……ひっく、ひっく……』
ティコティスは涙声で話を続けようとするけれど、上手く話せない。
いまは私がしっかりしないといけない。
もともとティコティスは、異世界の言葉がわからない私を助けるためにこのチョーカーをくれたのだから。
副作用がでるでないにかかわらず、魔石のついたチョーカーは、いまの私には手離せないものなんだ。
「泣かないで、ティコティス。通信機能を使わなくても副作用がでるときはでるんだし……。私ね、あなたが連絡をくれて、いろいろなこと聞けて、すごく心づよく思ってたところなの。あなたの石版には、どういった症状が副作用としてあらわれて、そしてどうすべきかは書いてあるの?」
チョーカー越しに聞こえていたティコティスの泣く声は、とまってくれた。
ひとまずほっとする私にティコティスは告げた。
『……あ、ありがとう、唯花。ぼくが泣いてちゃだめだよね。ぼくのできることでよかったら、きみのためにがんばるよ。あ、チョーカーの副作用の症状について説明するね。ちょっと長くなるかもしれないけど――』
「『ちょっと長くなる』って?」
『うん、チョーカーの副作用には、すごくたくさんのパターンがあるらしくてね。話すと長くなるかも。いま初めて知ったことなんだけど、ぼくの世界のあるドクターが、副作用の回復のためにいろいろ奮闘してるって。このドクターはうさぎだけど、うさぎも、うさぎ以外のすべての生物も、ともに平和で安全な日常を送ることができるようにって理想があるらしい』
……ずいぶん立派な理想に燃えるうさぎドクターがいるのね。
でも、うさぎ以外の生き物にも理解ある先生でよかった。
そのおかげで、私も、チョーカーの副作用について知ることができそうなんだから。
『まあ、このドクターがすべての生物とともに――って言ってるのは将来の選挙のためのイメージアップだって意見が、いま石版に目をとおしただけでも、だいぶ多いけどね』
……!?
うさぎのお医者さん (獣医という意味ではなくて、うさぎが医師として医療に従事しているという意味) は選挙のために、うさぎ以外の生物のことにも心をくだいてるんだよアピール!?
そもそもこの選挙って、病院内の選挙のこと? 政界入りするための選挙のこと?
それにしても、このドクターがうさぎもうさぎ以外の生物も、ともに――っていうスローガンがまことの信念なのか、未来の選挙のためのものか、真意はまったくわからないけど。どちらにせよ、ネット (……のような異世界のシステム) で、いろいろ意見されちゃうなんて、うさぎの世界のお医者さんも大変だなぁ。
医師が政治家立候補することは、地球でも普通にあることだけど。
病院内の理事を選出する選挙も、そりゃあ熾烈をきわめるって、人気医療ドラマをかかさず観ていた友達の苑子がよく言っていた。
(本当の大病院の選挙がどういう感じなのかは、苑子もまったくわからないそうだ。私も知らない)
とにかくいまは、うさぎには副作用はないアイテムなのに、うさぎ以外の生物にあらわれるという副作用の回復に奮闘しているというドクターがいること自体が、ありがたい。
ティコティスは、おそらく石版のデータをすごい速度で読みこんでいるんだろう。
しばらく無言になってから、私に話しかける。
『チョーカーの副作用は、症状によって対処方法や回復方法がちがうらしいんだ。ドクターはフローチャートを共有すべき情報として公開してる』
「フローチャートを公開?」
やっぱりティコティスの世界は、科学と魔術があわさったような、SF的な世界みたいだ。
「私の世界でも、健康状態チェックのためのフローチャートは、よく目にするけど……。チョーカーの副作用のためのフローチャートも、自分の状態をイエスかノーで答えていって、自分がどのタイプなのか知ることができるの? フローチャートの診断が正確性の高いものなら、診察まえでも、ある程度、自分の状態のめやすになるってこと?」
『そうだよ。いまからぼくが石版にうつしだされたフローチャートの質問を読みあげるから、唯花はそれに答えてね』
「うん、わかった、質問して」
『ひっく、ひっく……ごめん、ごめんね。唯花……』
ティコティスの泣き声が、私の首についているチョーカーを伝わって聞こえてきた。
「どうしたの、ティコティス!?」
ティコティスは、涙声で言った。
『……お、落ちついて聞いてね、唯花。一度でもチョーカーの通信機能を使ってしまうと……。副作用を引き起こす確率はグンとあがってしまうって……事例が報告されてる……』
一度でもチョーカーの通信機能を使ってしまうと……。副作用を引き起こす確率はグンとあがってしまう。
(な、なんでそんなことに?)
あ、副作用って、ある薬とある食べ物を同時に摂取すると、その薬だけなら何もなかった人まで副作用を引き起こしやすくなることがあるって聞いたことがある――それと似たようなこと?
でもいまは、なぜ通信機能を使ったら副作用の確立があがるのかという理由よりも――。
副作用が起きてしまったら、どう対処すべきかの情報をさがしたほうが、いい気がしてきた。
『グンと確率があがる』って情報だけだと、50パーセント以下の確率から、いったい何パーセントになったのかはナゾだけど……。
『……唯花……ぼく……ひっく、ひっく……』
ティコティスは涙声で話を続けようとするけれど、上手く話せない。
いまは私がしっかりしないといけない。
もともとティコティスは、異世界の言葉がわからない私を助けるためにこのチョーカーをくれたのだから。
副作用がでるでないにかかわらず、魔石のついたチョーカーは、いまの私には手離せないものなんだ。
「泣かないで、ティコティス。通信機能を使わなくても副作用がでるときはでるんだし……。私ね、あなたが連絡をくれて、いろいろなこと聞けて、すごく心づよく思ってたところなの。あなたの石版には、どういった症状が副作用としてあらわれて、そしてどうすべきかは書いてあるの?」
チョーカー越しに聞こえていたティコティスの泣く声は、とまってくれた。
ひとまずほっとする私にティコティスは告げた。
『……あ、ありがとう、唯花。ぼくが泣いてちゃだめだよね。ぼくのできることでよかったら、きみのためにがんばるよ。あ、チョーカーの副作用の症状について説明するね。ちょっと長くなるかもしれないけど――』
「『ちょっと長くなる』って?」
『うん、チョーカーの副作用には、すごくたくさんのパターンがあるらしくてね。話すと長くなるかも。いま初めて知ったことなんだけど、ぼくの世界のあるドクターが、副作用の回復のためにいろいろ奮闘してるって。このドクターはうさぎだけど、うさぎも、うさぎ以外のすべての生物も、ともに平和で安全な日常を送ることができるようにって理想があるらしい』
……ずいぶん立派な理想に燃えるうさぎドクターがいるのね。
でも、うさぎ以外の生き物にも理解ある先生でよかった。
そのおかげで、私も、チョーカーの副作用について知ることができそうなんだから。
『まあ、このドクターがすべての生物とともに――って言ってるのは将来の選挙のためのイメージアップだって意見が、いま石版に目をとおしただけでも、だいぶ多いけどね』
……!?
うさぎのお医者さん (獣医という意味ではなくて、うさぎが医師として医療に従事しているという意味) は選挙のために、うさぎ以外の生物のことにも心をくだいてるんだよアピール!?
そもそもこの選挙って、病院内の選挙のこと? 政界入りするための選挙のこと?
それにしても、このドクターがうさぎもうさぎ以外の生物も、ともに――っていうスローガンがまことの信念なのか、未来の選挙のためのものか、真意はまったくわからないけど。どちらにせよ、ネット (……のような異世界のシステム) で、いろいろ意見されちゃうなんて、うさぎの世界のお医者さんも大変だなぁ。
医師が政治家立候補することは、地球でも普通にあることだけど。
病院内の理事を選出する選挙も、そりゃあ熾烈をきわめるって、人気医療ドラマをかかさず観ていた友達の苑子がよく言っていた。
(本当の大病院の選挙がどういう感じなのかは、苑子もまったくわからないそうだ。私も知らない)
とにかくいまは、うさぎには副作用はないアイテムなのに、うさぎ以外の生物にあらわれるという副作用の回復に奮闘しているというドクターがいること自体が、ありがたい。
ティコティスは、おそらく石版のデータをすごい速度で読みこんでいるんだろう。
しばらく無言になってから、私に話しかける。
『チョーカーの副作用は、症状によって対処方法や回復方法がちがうらしいんだ。ドクターはフローチャートを共有すべき情報として公開してる』
「フローチャートを公開?」
やっぱりティコティスの世界は、科学と魔術があわさったような、SF的な世界みたいだ。
「私の世界でも、健康状態チェックのためのフローチャートは、よく目にするけど……。チョーカーの副作用のためのフローチャートも、自分の状態をイエスかノーで答えていって、自分がどのタイプなのか知ることができるの? フローチャートの診断が正確性の高いものなら、診察まえでも、ある程度、自分の状態のめやすになるってこと?」
『そうだよ。いまからぼくが石版にうつしだされたフローチャートの質問を読みあげるから、唯花はそれに答えてね』
「うん、わかった、質問して」
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