あなたが落としたのはイケメンに「溺愛される人生」それとも「執着される人生」ですか?(正直に答えたら異世界で毎日キスする運命が待っていました)

にけみ柚寿

文字の大きさ
45 / 93
1部

第44話 えっと、精霊さんはどんな2択クイズをだしたんだっけ?(1/2)

しおりを挟む
≪約120字あらすじ・異世界トリップした主人公・唯花は不思議なうさぎティコティスからチョーカーをもらう。このチョーカーをつけると副作用があらわれる場合があると判明。ティコティスは通信機にもなるチョーカーを使って、唯花はどの副作用が出始めてるのかフローチャートで診断することに!≫

『それじゃ、はじめるね。問題数はそんなに多くないよ。質問は 《イエス》 か 《ノー》 の2択だけど、 《わからない》 や 《どちらでもない》 の場合も 《ノー》 で答えてね』

―― 《イエス》 か 《ノー》 の2択 ――

 そうティコティスが言った瞬間、私の頭がツキーンと痛んだ。
 正確にいえば、『2択』という単語を聞いた瞬間に、こめかみに一瞬だけど痛みが走った。

(……や、なに……この感じ)

 べつに私、『2択クイズ』にトラウマなんてないよね。
 それにいまの私は、心が痛んだわけじゃなくて、頭に痛みが走った感じ。
 ただの一瞬の痛みなら気にせず、問題に答えよう。

 そう思った刹那せつな。ふたたび、頭が痛くなった。
 今度の頭痛は、まるで私の行動を邪魔するようにズキズキ、ズキズキと、一瞬では終わらない痛みをあたえる。

「ちょ、ちょっと待って、ティコティス」

 頭痛を理由に、私はティコティスに少しだけ待ってほしいと言うつもりだった。

『ど、どうしたの? 大丈夫、唯花? まさかっ……――』

「あ、副作用じゃ、ないはず。単なる頭痛だと思うんだけど……『2択』って聞いたら、急に頭が……」

『えっ、2択? 唯花は二択クイズに、何かトラウマがあるとか?』

 ……私とおなじこと、言ってる……。
 べつに、ないよね。

 たとえば学生時代。2択の問題さえ、まちがえなければ。あの入学試験、もしくは、この入社試験に、合格できたかもしれないのに、とか。
 そういう2択問題をめぐる苦い思いは、とくに思いあたらない。

 苦い思い出自体は、20年以上生きているのだから、複数あるけど。
 2択クイズに特化したトラウマは、これといって思いあたるものが――。

 あ! 2択といえば。

 今日。私がこの世界に、とばされてしまうことになったのは!
 地元の公園の池に落ちてしまった私のまえにあらわれた、謎の女性。
 彼女は、池の精霊さんだった。

 精霊さんは、私に2択クイズを出題。
 そして、私の答えを聞いて、精霊さんは私をこの世界に送ったんだ。
 
 それは、おぼえている。……でも、私。


 あ
 れ
 っ
 ?

 今日、精霊さんに、どんなクイズをだされたのか、……思いだせない。

 なんで――!?

 この世界にきてからの私が、どんな相手に会って、何を話したのか、どういうことをしたのかは、ちゃんとおぼえている。
 多少の記憶ちがいがあるにしたって、これを忘れちゃった……というものは、特に思いつかない。 (おぼえることが多すぎて、この国の名前を忘れかけたことはあったけど、ちゃんと思いだしたし!)

 でも、この国、ノイーレ王国にやってくる直前のこと。
 私が精霊さんに2択クイズを出題されたのは、おぼえているけれど、どんな内容だったのかは――忘れちゃってる。

(まだ、今日のできごとだよ。しかも、私の異世界トリップにかかわる、重要な質問だったはずなのに……)

 私がなんて答えたのか以前に、どんなことを聞かれたのか、……まったく記憶にない。
 クイズの問題と答えだけを忘れているのも、記憶喪失に入るのかな。
 べつに私は、いわゆる完全記憶能力の持ち主――とかじゃないよ。

 『完全』どころか、特に記憶力がいいほうってわけでもない。
 何か忘れることなんて、しょっちゅうだ。

 だけど、たった1問  (だされたのは2択クイズで、一問きりだったということなら、おぼえている) 質問されただけなのに、何を聞かれたのか、さっぱり記憶にない。

「……ティコティス……」

『どうしたの、唯花』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

処理中です...