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第44話 えっと、精霊さんはどんな2択クイズをだしたんだっけ?(1/2)
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≪約120字あらすじ・異世界トリップした主人公・唯花は不思議なうさぎティコティスからチョーカーをもらう。このチョーカーをつけると副作用があらわれる場合があると判明。ティコティスは通信機にもなるチョーカーを使って、唯花はどの副作用が出始めてるのかフローチャートで診断することに!≫
『それじゃ、はじめるね。問題数はそんなに多くないよ。質問は 《イエス》 か 《ノー》 の2択だけど、 《わからない》 や 《どちらでもない》 の場合も 《ノー》 で答えてね』
―― 《イエス》 か 《ノー》 の2択 ――
そうティコティスが言った瞬間、私の頭がツキーンと痛んだ。
正確にいえば、『2択』という単語を聞いた瞬間に、こめかみに一瞬だけど痛みが走った。
(……や、なに……この感じ)
べつに私、『2択クイズ』にトラウマなんてないよね。
それにいまの私は、心が痛んだわけじゃなくて、頭に痛みが走った感じ。
ただの一瞬の痛みなら気にせず、問題に答えよう。
そう思った刹那。ふたたび、頭が痛くなった。
今度の頭痛は、まるで私の行動を邪魔するようにズキズキ、ズキズキと、一瞬では終わらない痛みをあたえる。
「ちょ、ちょっと待って、ティコティス」
頭痛を理由に、私はティコティスに少しだけ待ってほしいと言うつもりだった。
『ど、どうしたの? 大丈夫、唯花? まさかっ……――』
「あ、副作用じゃ、ないはず。単なる頭痛だと思うんだけど……『2択』って聞いたら、急に頭が……」
『えっ、2択? 唯花は二択クイズに、何かトラウマがあるとか?』
……私とおなじこと、言ってる……。
べつに、ないよね。
たとえば学生時代。2択の問題さえ、まちがえなければ。あの入学試験、もしくは、この入社試験に、合格できたかもしれないのに、とか。
そういう2択問題をめぐる苦い思いは、とくに思いあたらない。
苦い思い出自体は、20年以上生きているのだから、複数あるけど。
2択クイズに特化したトラウマは、これといって思いあたるものが――。
あ! 2択といえば。
今日。私がこの世界に、とばされてしまうことになったのは!
地元の公園の池に落ちてしまった私のまえにあらわれた、謎の女性。
彼女は、池の精霊さんだった。
精霊さんは、私に2択クイズを出題。
そして、私の答えを聞いて、精霊さんは私をこの世界に送ったんだ。
それは、おぼえている。……でも、私。
あ
れ
っ
?
今日、精霊さんに、どんなクイズをだされたのか、……思いだせない。
なんで――!?
この世界にきてからの私が、どんな相手に会って、何を話したのか、どういうことをしたのかは、ちゃんとおぼえている。
多少の記憶ちがいがあるにしたって、これを忘れちゃった……というものは、特に思いつかない。 (おぼえることが多すぎて、この国の名前を忘れかけたことはあったけど、ちゃんと思いだしたし!)
でも、この国、ノイーレ王国にやってくる直前のこと。
私が精霊さんに2択クイズを出題されたのは、おぼえているけれど、どんな内容だったのかは――忘れちゃってる。
(まだ、今日のできごとだよ。しかも、私の異世界トリップにかかわる、重要な質問だったはずなのに……)
私がなんて答えたのか以前に、どんなことを聞かれたのか、……まったく記憶にない。
クイズの問題と答えだけを忘れているのも、記憶喪失に入るのかな。
べつに私は、いわゆる完全記憶能力の持ち主――とかじゃないよ。
『完全』どころか、特に記憶力がいいほうってわけでもない。
何か忘れることなんて、しょっちゅうだ。
だけど、たった1問 (だされたのは2択クイズで、一問きりだったということなら、おぼえている) 質問されただけなのに、何を聞かれたのか、さっぱり記憶にない。
「……ティコティス……」
『どうしたの、唯花』
『それじゃ、はじめるね。問題数はそんなに多くないよ。質問は 《イエス》 か 《ノー》 の2択だけど、 《わからない》 や 《どちらでもない》 の場合も 《ノー》 で答えてね』
―― 《イエス》 か 《ノー》 の2択 ――
そうティコティスが言った瞬間、私の頭がツキーンと痛んだ。
正確にいえば、『2択』という単語を聞いた瞬間に、こめかみに一瞬だけど痛みが走った。
(……や、なに……この感じ)
べつに私、『2択クイズ』にトラウマなんてないよね。
それにいまの私は、心が痛んだわけじゃなくて、頭に痛みが走った感じ。
ただの一瞬の痛みなら気にせず、問題に答えよう。
そう思った刹那。ふたたび、頭が痛くなった。
今度の頭痛は、まるで私の行動を邪魔するようにズキズキ、ズキズキと、一瞬では終わらない痛みをあたえる。
「ちょ、ちょっと待って、ティコティス」
頭痛を理由に、私はティコティスに少しだけ待ってほしいと言うつもりだった。
『ど、どうしたの? 大丈夫、唯花? まさかっ……――』
「あ、副作用じゃ、ないはず。単なる頭痛だと思うんだけど……『2択』って聞いたら、急に頭が……」
『えっ、2択? 唯花は二択クイズに、何かトラウマがあるとか?』
……私とおなじこと、言ってる……。
べつに、ないよね。
たとえば学生時代。2択の問題さえ、まちがえなければ。あの入学試験、もしくは、この入社試験に、合格できたかもしれないのに、とか。
そういう2択問題をめぐる苦い思いは、とくに思いあたらない。
苦い思い出自体は、20年以上生きているのだから、複数あるけど。
2択クイズに特化したトラウマは、これといって思いあたるものが――。
あ! 2択といえば。
今日。私がこの世界に、とばされてしまうことになったのは!
地元の公園の池に落ちてしまった私のまえにあらわれた、謎の女性。
彼女は、池の精霊さんだった。
精霊さんは、私に2択クイズを出題。
そして、私の答えを聞いて、精霊さんは私をこの世界に送ったんだ。
それは、おぼえている。……でも、私。
あ
れ
っ
?
今日、精霊さんに、どんなクイズをだされたのか、……思いだせない。
なんで――!?
この世界にきてからの私が、どんな相手に会って、何を話したのか、どういうことをしたのかは、ちゃんとおぼえている。
多少の記憶ちがいがあるにしたって、これを忘れちゃった……というものは、特に思いつかない。 (おぼえることが多すぎて、この国の名前を忘れかけたことはあったけど、ちゃんと思いだしたし!)
でも、この国、ノイーレ王国にやってくる直前のこと。
私が精霊さんに2択クイズを出題されたのは、おぼえているけれど、どんな内容だったのかは――忘れちゃってる。
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私がなんて答えたのか以前に、どんなことを聞かれたのか、……まったく記憶にない。
クイズの問題と答えだけを忘れているのも、記憶喪失に入るのかな。
べつに私は、いわゆる完全記憶能力の持ち主――とかじゃないよ。
『完全』どころか、特に記憶力がいいほうってわけでもない。
何か忘れることなんて、しょっちゅうだ。
だけど、たった1問 (だされたのは2択クイズで、一問きりだったということなら、おぼえている) 質問されただけなのに、何を聞かれたのか、さっぱり記憶にない。
「……ティコティス……」
『どうしたの、唯花』
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