[完結]兄弟で飛ばされました

猫谷 一禾

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新たな事実

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「アウロンさん……」

「守りたい、守りたいんだよ…この何でもない毎日を望と一緒にいられる幸せな日々を…望を……全てのことから……守りたい。守らせてくれ………望には…いつも笑っていて欲しいんだ…」

切実たる想いをぶつけられた望は、拙いながらもその想いにほんの僅かでも応えねばと口を開く。

「俺は……本音を言うと……よく…分からなくて……やっぱり…ここに来て思ったんだけど…俺は子供で…人の想いにも疎くて…その、アウロンさんの事、嫌いじゃ無いです。嫌いじゃないって言うか…人間として好きです。ただ…それが……アウロンさんが言ってくれてる気持ちと一緒かどうかは…正直分かりません。例え、もし、仮に、その……同じような種類の気持ちだったとしても……えーと…アウロンさん程の大きな気持ちでは……ないような…」

何とか誤解のないように一生懸命に言葉を繋ぐ望。そんな望の態度に堪らない気持ちになったアウロンは望の小柄な体をさらに強く抱き締めた。

「ぎゅぇ……く、くる……強い……強いです」

ワタワタと腕の中の望が暴れていたがアウロンは焦ることなく力強く抱き締め続けた。そして、一呼吸の間抱き締めていた腕の力を緩め、望の頭のてっぺんに自分の頬を押し当てた。

「ありがとう、望。今の望の精一杯だったね」

ほっと一息吐いた望は後ろにいるアウロンを見上げてハニカミながら笑いかけた。

「次からは慎重に行動します」

「そうですね、是非ともお願いします」

やっといつものアウロンになって、望は安心出来た。と、思ったのだが

「では続きを再開しましょうか」

「でぇ?終わりじゃないんですか!?最後って雰囲気出しといてそりゃないですよっ」

「何を言ってるんですか?狡猾な者であればあるほど、見えにくい場所に何かの印を付けるものです」

まったく、と言わんばかりの顔だった。アウロンが望にこんな顔をするのは珍しい、余程の事である。

「あの~~今更なんですが……質問、いいですか?流されるまま印ってやつを探してるんですが…」

「その言い方だと分かってらっしゃいませんね」

「すみません…」

アウロンは片手で軽く抱きながら望の頭をなでなでしつつ話し出した。

「印……とは、魔力を通じて繋がった者に正しく印を付けるのです。目印、と言えば想像しやすいですか?」

どこか居心地悪そうにしながらコクコクと頷く望。

「印を付けられてしまうと、どこに居ても魔力と繋がった者に知られてしまうのです。それだけではなく繋がった相手の魔力が流れて来て、何が起こるか分からないのです…」

「え、マジですか」

「マジですよ望様。今までに報告された例によると体を支配されたとか、意識を乗っ取られたとか、付きまとわれたとか、毒の魔力を流された、などもありましたね…」

顔面蒼白で話を聞く望は、自分の仕出かしてしまった事がどれ程恐ろしい事かやっと分かった。それはアウロンもご立腹になるはずだ。

「無知ってヤバいんですね…」

「だから……お教えしたはずだったんですよ」

「……俺、もうちょっと正座してましょうか?」

「本当に…まったく……貴方は狡いですね…何でそんなに可愛らしいんでしょうか」

あはは…乾いた笑いしか出てこない望。

(どう反応すんのが正解なの?さっきまでシリアスモードだったよね??)

「望様、失礼してズボンを脱がしますね。お立ちになって頂いても宜しいでしょうか?」

「う、うぅ………は、い」

人の目の前でズボンを脱いで下着姿になるなんて、本来学生の望では体育の着替えか、銭湯や温泉ぐらいでしかありえない。しかも自分一人だけなんて状況は無い。そして信じられない事に他人の手によって脱がされるのだ。
しかし今この状況、望はアウロンに文句など言えなくなっている。

「あの…めっちゃ恥ずかしいので、なる早でお願いしても良いですか?」

「また難解なお言葉をお使いになられる…」

「ニュアンスで感じ取ってくださいよっ!」

望はソファーから立ち上がってお腹にアウロンの手が回ってくる。ストンとズボンが足首に溜まる。

「これは…」

「え!?印、印あるんですか!?」

「いいえ、それらしいものはパッと見ただけではないですね。それより…望様はおみ足まで綺麗で…」

「は、はぁ!?俺の足が綺麗??も、いい加減にして下さいよっ。サッサと印だか何だか無いかどうか確認してください!俺パンイチなんですよっ!チャチャチャ~っとして下さい」

「そうですね、下着も取りましょう」

目を見開いて固まる望。

「当然でしょう。どこにあるか分からないと再三申し上げていますでしょ?望様の可愛らしいお尻に無いとは言いきれないでしょう」

「ぎ、ぎゃあ!!痴漢っ!へへへ変態!パンツ下ろすなよっ!!自分で見る、自分で見るから!」

ペロンとアウロンの眼前に望の桃尻が出されてしまった。

(なんで俺がこんな目にっ!絶対絶対前だけは死守すんぞっ)

「ふむ、無いようですね。この可愛らしいお尻には、一安心ですね望様」

人の尻をマジマジと眺めながらキラキラした笑顔を向けないでほしいと思う望だった。

「これ以上は嫌だから、絶対!隅々まで自分で確認します。分かった!?」

「はいはい、分かりました望様。くれぐれもキチンと確認して下さいね。隅々まで」

そう言いながらアウロンの手は望の桃尻をモニっと掴んで来た。

「揉むなぁぁあーー!!」
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