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そして回る
《42》
しおりを挟む皇輝と緋縁が出て行ってからの教材室。頭にきた弥菜は皇輝によって伸びている3人を足蹴にして幾分か気が晴れた。
「弥菜さん、会長のこと止めてたのに…やり過ぎですよ」
「俺のお気に入りの子に手ぇ出しといて、タダで済むと思ってんの?俺だから良いんだよ。コウなら骨までいってる」
修次に諌められるとは弥菜もキレかかっていたという事だった。
「どんな弥菜さんでも素敵ですっ」
「黙れ駄犬。修次、こいつ追っ払ってこい」
「酷いですよ~俺の愛を分かって下さい~」
「お前無駄にデカくて邪魔くさいんだよ」
「弥菜さん…俺に対して当たり強くないですか?」
弥菜はこの背の高い後輩、1年の風紀委員の生徒から懐かれていて、暑苦しい存在に辟易していた。
「せめて名前で呼んでください…」
「修次、こいつの名前知ってる?」
「俺は同じS組なんで…」
「相沢仁(あいざわ じん)です!相沢でも、仁でもジンジンでも好きなように呼んでください!」
「ポチ、ハウス」
「弥菜さぁ~ん」
教材室に新たな人物が2人来た。
「相沢、まだ弥菜にくっ付いてんの?」
「山岡!お前の所の奴持って帰って。風紀は無能揃いなの?」
「いやいや~キツいね相変わらず弥菜は…今回は確かに、うちの空振り。マークしてた所全滅だったからね。でもだからこそ、生徒会がここ見つけられたんだろ?ちょっとは役に立ったっしょ」
「まだ早目に見つけられたから良かったものの…遅かったら緋縁くんは、コイツらに…」
弥菜はギロリと睨みつける。匠は修次にずっと腕を掴まれていた。カタカタと震え、爪を噛んでいる。ブツブツと僕は悪くないと呟いている。
「委員長!副委員長!お疲れ様です!現行犯です」
「あぁ、それで?そいつらか?」
「はい!」
「これで全員なのか?」
仁が風紀委員長にキビキビと答えている。
「あー…どうなんでしょう…」
チラッと部屋の中を見渡す。
「生徒会に報告された話ではちょっと怪しいです」
弥菜が変わりに答える。風紀委員長は3年S組だ。
「俺も連絡受けた話では、騒ぎを起こして協力した奴らがまだいると思います」
「分かった。とりあえず、こいつらを風紀室に運んで話を聞く」
「委員長っヘルプに来ました」
廊下からもう1人やって来て風紀は全員で4人になった。
「歩けんの?この3人…大分やられてるけど…」
「人を呼びますか?」
「そうだな、この潰れてる3人を運ぶのは人手がいるな。後2人呼べ、運べそうなやつで」
「はい」
山岡と呼ばれた副委員長はジロジロと3人を観察していた。一番最後に来た風紀委員がテキパキと連絡をしている。
「弥菜、これ…誰やった?」
「さぁ?」
「やり過ぎじゃね?」
「…………」
「仁、お前知ってるか?」
「え!?あ、お、俺ですか?」
「…分かった」
山岡は仁の反応で察した。弥菜は仁を憎々しく睨み、見えない所で尻に蹴りを入れていた。
「わっわっ弥菜さんに触られたっ」
「ぅわ~…ヤバい奴なんだポチは…風紀は風紀の中の風紀をどうにかして欲しいわ…」
「早口言葉みたいですね」
修次のトンチンカンな感想をむかえた頃人数の揃った風紀が3人を連れて出て行く。匠は引っ張られながら後に続いた。弥菜はポケットのカメラを服の上から確認して最後に部屋を出た。
里葉、井上、佐藤は生徒会室に待機していた。報告をした後、皇輝が少し考え込んでから走って生徒会室を出て行った。その後すぐに弥菜が修次を連れて追いかけて行った。貴一と将は別ルートを行くと言って、3人に生徒会室で待つように指示を出して出て行った。里葉は気が気じゃなかった。
(悠長なことしてたのは、僕だ…直ぐに行動に移すべきだったんだ…保身なんか考えないで会長にすぐ言えば…)
「あの~親衛隊の人…聞いてもいいですか?」
「え?僕……?」
「何がどうなってるんですか?」
佐藤はやっと疑問を口にできた。
「多咲が制裁されるって…本当ですか?」
「あ……うん……そう聞いたから……」
「多咲くんと知り合いなんですか?この間、教室に来てましたよね?」
井上も疑問をぶつけてきた。2人とも友達が良くない事に巻き込まれているのでは、と心配な気持ちと目の前に制裁をする親衛隊がいることで、怒りもフツフツと湧いてくる。
「えぇ~と…注意してたの、この間は…。多咲ぃ…緋縁くんとは~友達?かな?」
「あ、あ、会長と多咲って知り合いなんですか?」
1人何も知らない佐藤の最もな疑問だ。
「んぅ~と…僕も詳しくは知らないんだけどね……何かぁここに来る前の知り合い?みたいで…」
「はぁ~…そう、だったんだ…」
井上は鋭い目付きで里葉を見ていた。緊迫した状況ではあったが、先程の態度とあまりにも違いすぎる。しかも色々と知っていそうな口振りだったが、今はとぼけているように見える。
「先輩は、風紀委員ともお知り合いなんですか?」
「え、あー…うん。ちょっとねぇ」
(この子、鋭いな…面倒臭い)
「緋縁くん、大丈夫かな……心配だよ」
「なんで、親衛隊の方が心配を?」
「色々聞いてくるね…僕に興味があるのぉ?な~んてね、いいけどぉ…最近の隊長に付いていってる隊員なんて、いないよぉ。横暴なんだもん。制裁だってぇやりたくない子、多いんだよぉ?」
「あーこの前の朝の…そうなんだぁ」
佐藤は納得していたが、井上はどこか違和感を感じていた。しかし、今の問題は緋縁だ。
(この人のことは、まぁいいか…制裁に加わってる感じしないし…)
ブブッブブッ
井上のスマホが鳴った。
「もしもし、あぁ…見つかった?良かった…」
緋縁発見の連絡だった。里葉を見ると、彼もスマホを出して確認していた。
「緋縁くん無事だって!良かった……」
スマホを胸に抱きしめて心底安心した里葉の素直な反応に井上と佐藤は思わず見てしまう。さっきまでの喋り方じゃない方が良いのに…と。
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