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第1
12話
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気付いたら倒れていた、どうやら気を失っていたらしい。ナノニスはぼんやりする頭で起きなければ、と体を動かす。
「うああっぐぅ……がっ……」
鋭い痛みが全身を貫く。何がどうなっているのかさっぱり分からない。
「な、なに…………うっ……」
じっと横たわって、自分の体のどこがどう痛いのか意識を集中させる。全身が心臓になった気分だ、ドクンドクン脈打っている。
(腕、腕が……手まで……ずっと痛い……ヒリヒリする。足だ……足も痛い……あっナイフで……)
足の状態が気になって下を向く。ナイフが無くなっている。爆風に飛ばされた時にどこかに飛んで行ったのだろうか。ナイフが取れてしまうと、そこから血が流れていく。
(止めないと、でも……手が痛すぎて……動かせない……)
そしてハッと気付く。兄王子二人の会話を。
(僕のこと……身代わりって…最初から…)
「うっ……うぅ……」
全身も痛かったが、心も痛い。身体の内側も外側も痛い。兄が怖い、古城にいたナノニスを傷付けた男も怖い、奴隷と呼ばれていた人達も怖い、騎士団も大きな音ばかり出してちっとも助けてくれなくて、怖くて、何もかも怖くて。
命からがら古城を脱出した時は辛うじて陽の光が赤く照らしていたが、今は細長い月が空に浮かぶだけ。この暗闇も怖い、古城の狭い部屋を思い出してしまう。
「ラシュー、ラシュー、ラシュー……うぅ……」
(僕は、僕は……ここにいる意味が有るんだろうか…なんでこんな辛い思いまでして…ここに居るの?もぅ……いっその事…いっその事…)
気が遠くなってきた、目を閉じたら終わってくれるのではないだろうか。そんな気分になったナノニスだった。しかし、瞼を閉じてもなお分かる緑の光、ラシューが一生懸命ナノニスの顔の周りを飛び回っている。
「どうして……ラシューは…そんなに、僕の事を……助けてくれるの?」
痛い、苦しい、、、
だけど、無意識に身体を起こす。諦めかけたこの体と心は前へと進む。
ナノニスはまた倒れた。周りに目を向けるとさっきまでいた場所と違う場所にいた。記憶はないけれど、ここまで移動してきたみたいだ。生きようと本能的に動いたのだ。
「駄目…………かも……ごめ…………ラ、シュー…」
ナノニスは限界を迎え、遂には意識を手放した。古城の手前にある林から抜けた、草が雑多に生えている道に倒れていた。
ガラガラ
遠くから音が聞こえる。大きめの台車を押しながら女の人が独り言を呟いている。ナノニスの方へだんだんと近付いてくる。
「まったく、ボカンボカンすごい音させて…何やってんだか。こっちは野菜を運んでるんだっての。様子を見に行くんじゃなかったよ…ん?」
台車を押している女の人が何かに気がついた。倒れているナノニスだ。
「え……なんだい?……やだね……怖いじゃないか」
ソロリソロリと近付いて確認してみると、それは人だった。黒い塊が道の真ん中にいると思い、恐る恐る近付いていた女の人だったが人だとわかると驚いて、倒れている人の元へとかけつける。
「ちょっとちょっと……えぇ??……酷いね…血だらけで…あのボカンボカンしてた爆発に巻き込まれたのかい!?ちょっと、生きてる!?」
駆け寄ったはいいが、あまりの状態で手を触れていいものかどうか悩んでしまう。ピクリとも動かない様子を見て息をしているか確認する。
「あ、あぁ……良かった……生きてるよ…こりゃ…まだ子供だね…なんて酷い……なんて事だ…」
女の人はくしゃりと顔を歪ませてから意を決して上を向く。
「任せときなっ!私があんたを助けるよ!死ぬんじゃないよっ!!このシュガーレさんは力持ちなんだよ!」
勇ましく宣言したフドー食堂の女主人シュガーレ・フドーは倒れているナノニスを荷台に乗せようとした。勇ましい様子とは違い、ナノニスに触れる時は優しく優しく触れていた。意識があろが無かろうが、触れたらきっと痛いだろうと厳しい顔で慎重にナノニスに触れる。
「なんだいっもぅ……傷が無いとこはどこなんだよ……顔からも血を流して……まったく…可哀想に…あぁ、足は止血しておこうね。こんなになって…さぞ怖かったろうね…」
滲んでしまった涙をグイッと拭いてそーっと荷台に乗せた傷付いた少年を見る。
「頑張るんだよ、今私んちに連れてくからね」
シュガーレは気付いてしまった。爆発に巻き込まれたのだけの傷では無いと。背中に見える赤い線状の傷、きっと鞭で打たれたのだ。
「こんな子供に……何しやがるんだ。犬畜生めっ」
シュガーレは怒りのパワーも相まっていつもより早く家に着いた。
食堂で出す野菜の買い付けに知り合いの畑まで来ていたシュガーレ。いつもより長く話し込んでしまい、早く帰ろうとしていた。しかし、爆発音が何度も聞こえてきた。何事だと遠回りして様子を見た帰りだった。普段ならこんな夜にここを通らない。
「本当に良かったよ、今日ここを通って…あんた、私がここを通らなかったら…もしかしたら…あー!ヤメヤメ!!嫌なことは考えないよっ!こうして私が見つけたんじゃないか!それで良し!!」
食堂に着いて慌てて中に入る、そして夜遅くとも関係なく大きな声で言う。
「あんたー!外に出てちょうだい!!大変なんだよっ!まだ誰が他に残ってるかい!?医者に走ってっておくれ!死にそうなんだっ!!」
シュガーレが建物の中に入り開口一番そう言うと、ガタンっ!バタバタと足音が聞こえた。
「な、なに?」
「早く早く、外の荷台にいるんだよ。中に運んで急いで医者に見せなきゃっ!まだ子供なんだよ」
子供聞いてシュガーレの旦那、ストム・フドーはさらに慌てた。幸い、まだ従業員が残っていたので足が早そうな若い料理人を走らせる。
「酷いんだよ。可哀想に……絶対助けるよ!」
夫婦はお互い顔を合わせて頷く。
「うああっぐぅ……がっ……」
鋭い痛みが全身を貫く。何がどうなっているのかさっぱり分からない。
「な、なに…………うっ……」
じっと横たわって、自分の体のどこがどう痛いのか意識を集中させる。全身が心臓になった気分だ、ドクンドクン脈打っている。
(腕、腕が……手まで……ずっと痛い……ヒリヒリする。足だ……足も痛い……あっナイフで……)
足の状態が気になって下を向く。ナイフが無くなっている。爆風に飛ばされた時にどこかに飛んで行ったのだろうか。ナイフが取れてしまうと、そこから血が流れていく。
(止めないと、でも……手が痛すぎて……動かせない……)
そしてハッと気付く。兄王子二人の会話を。
(僕のこと……身代わりって…最初から…)
「うっ……うぅ……」
全身も痛かったが、心も痛い。身体の内側も外側も痛い。兄が怖い、古城にいたナノニスを傷付けた男も怖い、奴隷と呼ばれていた人達も怖い、騎士団も大きな音ばかり出してちっとも助けてくれなくて、怖くて、何もかも怖くて。
命からがら古城を脱出した時は辛うじて陽の光が赤く照らしていたが、今は細長い月が空に浮かぶだけ。この暗闇も怖い、古城の狭い部屋を思い出してしまう。
「ラシュー、ラシュー、ラシュー……うぅ……」
(僕は、僕は……ここにいる意味が有るんだろうか…なんでこんな辛い思いまでして…ここに居るの?もぅ……いっその事…いっその事…)
気が遠くなってきた、目を閉じたら終わってくれるのではないだろうか。そんな気分になったナノニスだった。しかし、瞼を閉じてもなお分かる緑の光、ラシューが一生懸命ナノニスの顔の周りを飛び回っている。
「どうして……ラシューは…そんなに、僕の事を……助けてくれるの?」
痛い、苦しい、、、
だけど、無意識に身体を起こす。諦めかけたこの体と心は前へと進む。
ナノニスはまた倒れた。周りに目を向けるとさっきまでいた場所と違う場所にいた。記憶はないけれど、ここまで移動してきたみたいだ。生きようと本能的に動いたのだ。
「駄目…………かも……ごめ…………ラ、シュー…」
ナノニスは限界を迎え、遂には意識を手放した。古城の手前にある林から抜けた、草が雑多に生えている道に倒れていた。
ガラガラ
遠くから音が聞こえる。大きめの台車を押しながら女の人が独り言を呟いている。ナノニスの方へだんだんと近付いてくる。
「まったく、ボカンボカンすごい音させて…何やってんだか。こっちは野菜を運んでるんだっての。様子を見に行くんじゃなかったよ…ん?」
台車を押している女の人が何かに気がついた。倒れているナノニスだ。
「え……なんだい?……やだね……怖いじゃないか」
ソロリソロリと近付いて確認してみると、それは人だった。黒い塊が道の真ん中にいると思い、恐る恐る近付いていた女の人だったが人だとわかると驚いて、倒れている人の元へとかけつける。
「ちょっとちょっと……えぇ??……酷いね…血だらけで…あのボカンボカンしてた爆発に巻き込まれたのかい!?ちょっと、生きてる!?」
駆け寄ったはいいが、あまりの状態で手を触れていいものかどうか悩んでしまう。ピクリとも動かない様子を見て息をしているか確認する。
「あ、あぁ……良かった……生きてるよ…こりゃ…まだ子供だね…なんて酷い……なんて事だ…」
女の人はくしゃりと顔を歪ませてから意を決して上を向く。
「任せときなっ!私があんたを助けるよ!死ぬんじゃないよっ!!このシュガーレさんは力持ちなんだよ!」
勇ましく宣言したフドー食堂の女主人シュガーレ・フドーは倒れているナノニスを荷台に乗せようとした。勇ましい様子とは違い、ナノニスに触れる時は優しく優しく触れていた。意識があろが無かろうが、触れたらきっと痛いだろうと厳しい顔で慎重にナノニスに触れる。
「なんだいっもぅ……傷が無いとこはどこなんだよ……顔からも血を流して……まったく…可哀想に…あぁ、足は止血しておこうね。こんなになって…さぞ怖かったろうね…」
滲んでしまった涙をグイッと拭いてそーっと荷台に乗せた傷付いた少年を見る。
「頑張るんだよ、今私んちに連れてくからね」
シュガーレは気付いてしまった。爆発に巻き込まれたのだけの傷では無いと。背中に見える赤い線状の傷、きっと鞭で打たれたのだ。
「こんな子供に……何しやがるんだ。犬畜生めっ」
シュガーレは怒りのパワーも相まっていつもより早く家に着いた。
食堂で出す野菜の買い付けに知り合いの畑まで来ていたシュガーレ。いつもより長く話し込んでしまい、早く帰ろうとしていた。しかし、爆発音が何度も聞こえてきた。何事だと遠回りして様子を見た帰りだった。普段ならこんな夜にここを通らない。
「本当に良かったよ、今日ここを通って…あんた、私がここを通らなかったら…もしかしたら…あー!ヤメヤメ!!嫌なことは考えないよっ!こうして私が見つけたんじゃないか!それで良し!!」
食堂に着いて慌てて中に入る、そして夜遅くとも関係なく大きな声で言う。
「あんたー!外に出てちょうだい!!大変なんだよっ!まだ誰が他に残ってるかい!?医者に走ってっておくれ!死にそうなんだっ!!」
シュガーレが建物の中に入り開口一番そう言うと、ガタンっ!バタバタと足音が聞こえた。
「な、なに?」
「早く早く、外の荷台にいるんだよ。中に運んで急いで医者に見せなきゃっ!まだ子供なんだよ」
子供聞いてシュガーレの旦那、ストム・フドーはさらに慌てた。幸い、まだ従業員が残っていたので足が早そうな若い料理人を走らせる。
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夫婦はお互い顔を合わせて頷く。
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