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マイナスからのスタート
マイナスからのスタート Part3
しおりを挟む-----英加-----
『英加っ』
ハッと飛び起きる。隣を見ると母さんが立っていた。
『母さん、、』
バチンッ!
豪快にぶたれる。
『このバカもの、あんな交差点で赤信号で渡ったらこうなるに決まってるでしょ。』母親は泣いていた。
『...』
『あんたが、なんにもうまくいかなくて人生思い悩んでることぐらいわかってた。でもね、命だけは大切にしなさい。』
英加は何も言う事が出来なかった。元々は自殺するつもりだった、なんて死んでも言えない。
『ごめんなさい。』
素直に謝る以外無かった。
『もう、プラプラ引きこもってないで、今回を機に人生リセットしなさい。父さんの知り合いの今野さんっているでしょ?あの人がやってる水産工場の正社員候補としてまずはアルバイトから始めなさい。あんたなんて若さくらいしか取り柄がないんだから、19の今のうちが勝負よ。』
そのあとも母親の話は続く。
母親とちゃんと話したのはいつぶりだろうか。。
でも英加は改めて思う。
この母親は"俺"の事を全く見てくれていないと、俺の夢は?俺の苦しみは?
離婚した時だってそうだ、俺は父さんも母さんも好きだった。だから、話し合えば解決できると思っていた。でも母親は子供にはわからない、と俺の話すら聞かなかった。
どうでもいい。
そう思い眠ったふりをした後、母親は溜息を吐き病室を後にした。
同じ病室の人と目があった。彼は気まずそうに目を逸らし雑誌に目を戻す。
こんな場所すぐに出てやる。英加はそう思う。
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