透明の「扉」を開けて

美黎

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24の扉 クリスタル

新しい展開

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  そもそも「外」を観ていないと不安なのは
  「侵される意識がある」からで
  それが無ければ外など気にしていなくとも
   なんともない。


 だから
 「実際 世界と距離を置いていた自分の行動」を眺めながら
 眼鏡の視線が「私」へ止まるまで待つことにて。

 その間にお茶を持って来てくれたイストリアに微笑みながら
 共にトレーに乗っているオヤツに目を輝かせていた。



「   イストリアさん、なんですか?コレ。 新しいやつ、美味しいですね。」

「ああ、それはリトリが作ったものらしい。手が変わると味も変わるのだね。面白いだろう。」

「 へぇ! なるほど?  そうか、うむ。」

 いつもと「見た目は似ているが 味が全く違うクッキー」

 それをパクりと頬張りながら、「リトリが細い手指でクッキーを整形する姿」を 思い浮かべて。

 「成る程」と思いながらも、
「それって 各々の持つエネルギーのいろが違うからそうなる味が変わるのかな」なんて
くるくると想像が巡ってゆく。


 が そうしているうちに、イストリアはテーブルの上に散らかった書類を纏め直していて
順に並べ慣れたそれにはチラリと目に入るだけでも 色々な「こと」が書かれているのが目に入る。


  「偽物の金の蜜にヨークのガラスが使われていて 
   見た目だけでの判別は難しいこと」
  「薄めて販売しているものと
   全く中身が異なるものがあること」
  「購入した後 帰りに奪われる際
   怪我をした人が数人いること」
  「偽物を買った人から訴えがあること」


「   てか。 そもそもヨークさん、売らなくないか?  それに   」

「そこが悪質なんだよね。………ほら、今教室をやっているだろう、あそこは。そこからの流出らしいんだ。ヨークの作った見本から、生徒の作った練習品まで、まあ色々あるが見分けられない者は見分けられないからね。あそこのガラスは特徴的だし、色と形だけでしか判断できないと難しいだろう。」

「    なる ほど。」

   私の 視線を見ていたのだろう

 書類を纏め終わった彼女は少し困った顔をして、「偽物のガラス瓶」が描かれた報告書をピラリと見せてくれる。

「 てか、絵 上手いな。」

「だろう?シャットに移動してて、丁度帰って来てた子にお願いしたんだ。確かにその子は。「見ればわかるのに」とは、言っていたけどね。まあ、それは仕方がない。」

「  ですね。」

 確かに「わかる」「わからない」は「選択の結果」だ。

「いろんな」生きていれば、それ技術は必ず身に付くものであるし
 だが「それを身に付けるかどうか」は選択でしかない。

だけど 「その 色形はそっくりな瓶」のスケッチが
 「全然ヨークのガラスと違うことが」、
と思って
 つい、まじまじと絵を楽しんでしまうが いる。


   てか、この なんだ?

     「エッジ」?


  確かに ガラスって 
  ヨークさんのとこ以外もあるけど
   
   ヨークさんとこの「違い」はこの「エッジ」なんだよね

  だが 「これ」を「絵で表現」、出来るとは。


   それも凄いな


    この人に会いたいなぁ  うん

   成る程 シャットか

    ? 「絵」教えてるとこもあるんだ

  それも
   めっちゃ
      楽しそう じゃん。



「  なるほど  う~む、思わぬところから新しい芽が。 ふむ、しかし私が創り続けるから在庫がもっとぐっと増えたら出せる? いや、根本解決してから   でもそれじゃ長すぎるか。  うーん、あ。」

「うん?」

「  そう言えば、ラピスは確か。 みんな「悪いことすると自分に返ってくる」  ?んじゃなくて、「力が落ちる」の、知ってますよね??」

 確か ずっと前に。

 青の少女像で「そう思っていた私」が観えるから
 それは住民にとって周知の事実である筈だ。

「…………うん、それなんだけどね。ソフィアが言うには。………その、なんだ、「いい事をしているのに報われないから」。まあ、良い事をしているのに、どんどん力が強くなるわけじゃないのなら、その逆に悪い事をしても力が弱まらないと思っている連中がいるらしいんだ。まあ、取り調べをしていたらそう言ったらしいんだけどね。端的に言えば「責任転嫁」だよ。」

「 ほう 」

「他にもいろんな事がこれには書いてあったけれど。結局、「自分の不幸は誰かの所為」、そういう事さ。勿論、未だそれ言い伝えを信じてか、真面目にやっている者も多い。だが、それだけではなくなっている、そういう事だね。」

「    ふぅん。 でも。 「そう思って」「そうしている」なら、いいことですね。」

「ん?」

「  だって、確かに。 「なんで真面目にやっているのにこうならないんだ」、って じゃ。 その自分に対しての疑問は解決しませんもんね。 またこうして、「やってわかる」んじゃないですか。 わかるには時間がかかるかもしれないけど。」

  こう言った瞬間、ピタリと本部長の足が止まる。

「…………成る程。」
「ほう?」
「ふぅん、ヨルがそう言うなんて意外だ。だが成長したな。」


 そうして三人が 三者三様の「納得」をしているうちに。

本部長の 頭の中がくるくると動いているのが視えて
 「次の計算式」が 組み替えられているのがわかるんだ。


「君が気に病まないかだけ、心配だったんだが。もう、それは大丈夫そうだね。」

「  はい。 多分、ちらっと思うことはありますけど。 「私の所為だ」とは 思わないでしょうね。 それにある意味、私の役目は「それを引き起こすこと」にも、あるのかも知れないな  」

「そこまで言うかい?……それも否めないけどね。でも、それだけ君が「自分の立ち位置」を前向きに捉えられているという事か。」

「   そうとも言えます。 勿論、問題を起こしたい訳じゃないけど。 実際「何も起きない」のはし 「ほんとうは起きてます」からね。 それでいいんじゃないでしょうか。」

「フフッ、頼もしいな。それならとりあえず、この件の報告はお終いでいいね?ああ、ちょっと待ってやってくれるか。多分、次の資料を持ってくると思う。」

「  はい。 うふふ」

 ピタリと足を止めていた白衣の姿は いつの間にか観えず
 だけど彼女の視線は 奥の小部屋へ向いているから。

 そこに 彼がいるのがわかって
  「仲の良い二人の様子」がほっこりと
 真ん中クリスタルに温もりを与える。


 だから その様子を見守りながら
  「ガサガサ言う ごちゃごちゃの部屋」を想像して。

 直ぐに 書類が見つかる様、整えながら
  「良い方の話」を 待っていたので ある。





 
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