レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

浦野影人

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1章 棄てられたテイマー

36話:<エヴォリューション・オブ・オールティングス>

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 ジェニスの父、バルトンに例の建築を任せたところで、再びダークエルフの村に向かうとしよう。
 
 スキルチェックのアイテムがあるらしいからな、俺のスキルを知るチャンスを逃すわけにはいかない。

 一人で行くのは心細いので、ここは霞にも一緒にきてもらう。
 霞はどこにいるか見渡すと、すぐに見つけることができた。
 
 ベヒーモスが水を当てられて満足そうにくつろぎ、水を当ててる霞も楽しそうだ。

「霞、村に行くから付いてきてくれないか?」

「主よ、村に向かうのか」

「ああ、族長に会いに行くから、霞も一緒にきてくれ」

「わかった」

「キ」
 おずおずとアトラがやってきたが……。

「すまない、アトラはベヒーモスたちとここを守っていてくれるか?」
 新しく張り直された結界を、魔物であるアトラたちは通ることができない。
 なのでここで待っていてもらうしかないのだが……少しアトラたちが気の毒に感じる。
 だが出来ないものは仕方ない。またすぐに戻ってくるんだ、少しの間だけ我慢していてもらおう。

「キ……」
 よしよし。ぽんぽんとお尻部分を軽く叩いてやる。頭よりも手が届きやすいので、触れやすい部分だ。お尻なのか背中なのかは分からないが、多分お尻部分だろう。

「アルやエリザベスたちも、作業してる人達を魔物から守ってやってくれ」

「クエッ!」

「ピィ」
 二人は無難に仕事をこなしてくれるだろう。あとは――

「アスラは……寝てるのか」
 目を瞑ってじっとしている。そっとしておいてやろう。多分大丈夫だ。

「じゃ、行くか」
 霞を連れてダークエルフの村に出発だ。



 ▽   ▽   ▽



 村に到着して早々に、待ち構えていたダークエルフたちに族長の家まで案内されたわけだが、俺がこなかったら、あのダークエルフたちはずっと待ちぼうけをくらっていたんだろうな……。

 あれよあれよと気づけば、あの長い謁見の間にやってきていた。

 昨日と違うのは、段差の上にいた二人の姿がなく、目の前に豪華な装飾が施された台座が置かれていた。
 
  台座の高さは腰くらいで、その上にあるクッションに水晶玉が乗せられているが……水晶玉だよな? 確か霞は宝珠と言っていたが、これでスキルチェックを行うのか? 台座の隣にはシーリアが鎮座しているが、彼女が何か行うのだろうか。
 なんにせよ、既にここまで用意周到とは恐れいった。

「キョータロー殿、よくぞ参られた」

「本日は私のためにご用意していただき、ありがとうございます」
 族長に声をかけられてから、それっぽい返事を返して頭を下げておく。

「ではさっそく、キョータロー殿のスキルチェックを執り行いたいと思うが、よろしいだろうか?」

「はい、よろしくお願いします」
 無駄話や長話が無いのはいいな。族長にはとても好感を持てる。

「それではキョータロー様、こちらへ」
 立ち上がったシーリアに促されたので、俺も立ち上がって、言われるがまま宝珠の前までやってきたが……。
 
「この玉でどうやってスキルを見るんだ?」

「キョータロー様の魔力を流し込めば、透明な球体の中に文字が浮かび上がります」
 なるほど、そういうタイプか。だが待てよ、文字って当然この世界の文字だよな?
 俺は読めないんじゃないか? まぁ霞かシーリアが教えてくれるだろう。

「わかった、やってみよう」
 テイムミートを作るときを思い出して手をかざすと、魔力が宝珠に流れ込んでいく。

 ――魔力が流れ込んだ宝珠は淡く光だし、その光が収まるとともに、宝珠の中に文字が浮かび上がった。
 
 文字は当然日本語ではない――いや違うな、よく見ると日本語のカタカナっぽい文字だ。カタカナを崩した記号のようなデザインに見える。
 一瞬で読み解くことはできないが、時間をかけて見れば読めそうだ。なんか一気に異世界っぽさが失われた気がするな……。

 だが今はそんなことよりも、肝心なのはスキルだ。
 数行に分かれているということは、スキルは一つだけじゃなさそうだな。

「……これは」
 シーリアが目を見開いて驚いている。複数持っていることが珍しいのか?
 それとも、珍しいスキルがあったか。

「シーリアよ、なんと出た」

「はい。一つ目は<クリエイト・テイムミート>、二つ目は<モンスターカーニバル>、三つ目は……<エヴォリューション・オブ・オールティングス>と出ています」
 族長の問いにシーリアが答えたが、俺が持っているスキルはどうやら三つのようだ。
 少ないように思えるが、俺も経験値を得て成長すれば増えるのか?

「なんだと!? <エヴォリューション・オブ・オールティングス>だと……!?」
 それまで物静かだった族長が狼狽えるように立ち上がったが……何か特別なスキルか?
 エヴォリューションは進化という意味だったと思うが、オールティングスってなんだ?

「間違いではないのだな?」

「はい……」

「そうか……」
 再度確認して落ち着きを取り戻した族長は、難しい顔をしながら座った。

 なんだこの反応、凄いのか、危険なのか、はたまた両方なのか……聞いてみる必要がありそうだな。
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