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スピンオフ ステファニー
ローニャ あれから
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あれから毎日がとても静かだ。
ストランドバリトンさんはお酒が原因で隔離されていると聞き、最近ではお兄さんが木を選びに来ている。
そして、しつこく言い寄ってきていた男爵の方にも天罰が下った。
何でも新しく制定された法に背き使用人達を過度に働かせ、給金も微々たるものしか払っていなかったのが暴かれたらしい。
働いてくれていた使用人達全員に慰謝料を払うと、殆どの人が辞めていき新たな人材を募集するも噂が広まりすぎて集まらないんだとか。
数回私にも声が掛かるも気付けばいなくなっていた。
私は今、とても働きやすい環境にあり、クローディを育てながら働けている。
問題は全て解決したのに私は未だにドリュアスさんの家にご厄介になっているということ。
なので、もうそろそろ家に戻ろうと思う。
「もう、懸念事項は無いのでクローディと共に家に戻ります。今までご迷惑をお掛けしました」
「…いや、まだ居て構わない」
「もう、本当に大丈夫ですよ?これ以上甘えるわけにはいきません」
ドリュアスさんの所は居心地が良すぎる。
見習いの人達が自然と動くので、掃除も食事も任せてしまっている。
この環境に慣れすぎてしまうとクローディと二人で生きていけなくなりそうで怖かった。
折角平民に慣れてきたのに…
「…甘えてほしい…」
「へ?」
「俺をもっと頼ってほしい」
「統括はとても頼りにしています」
「いや、一人の男として」
一人の男…それは…つまり…
「結婚しないか?」
「へっ?へっ?へっ?」
結婚って言った?お付き合いじゃなくて結婚?
色々すっ飛ばしているドリュアスさんの言葉にちゃんとした返事が出来なかった。
「考えてくれ」
ドリュアスさんは振り向くこと後なかったので、背中を見送っていた。
どうして私なんだろう…あの人は口数は少ないがとても頼りになり男性として魅力的な人。そんな人が何故私を?
ドリュアスさんの所でお世話になってから危険がない今も見習いの人と一緒にお店に向かっている。
「ローニャッ元気?」
久しぶりに声をかけてきたのはティティさんだ。
ティティさんと話すと貴族令嬢達のような腹の探りあいではなく、気楽に話せる友人のように感じている。
私は今、この世界に友人が居なかった事に気がついた…
見習いの人も気を利かせて先に店に向かい、私はティティさんと並んで歩いていた。
「んで?漸くドリュアスに思いを告げられたんでしょ?あ~焦れったかった」
「へ?」
何故それを?
「ローニャに変な男が近づく度に目をギラつかせるし、それとなく助けてやってくれとか態々うちまで押し掛けてくるし」
「そう…だったんですか?」
そんなことまで…
「そうよ」
全く気付かなかった。
「………」
「なによ、嬉しくないの?」
「嬉しく…ないわけではないんですが…」
誰かに…ドリュアスさんに好かれるのは嬉しい…
嬉しいけど私にはそんな資格がない…
「問題があるの?」
「…私…幸せになっちゃいけないんです…」
「…幸せになっちゃいけない?どうして?」
「…私は酷い女だからです…」
「…何かしたの?」
私は友人のようなティティさんに本当の私を知られるのが怖かった。
だって、私は酷いことを計画し実行した女だから…
…だけど、いつまでも隠しておくわけにはいかない。
「…私…婚約者がいたんです…」
私は過去に仕出かした事を包み隠さず全てティティさんに話した。
「…ふぅん。婚約者を取られた腹いせに犯罪に手を染めたと…」
「…はぃ」
ティティさんに長々と話したが、こんな簡単に纏められてしまった。
けど、訂正も反論もない事実だった。
「結果として事件は未然に防がれ、あんたが媚薬を飲んで雇った男の赤ちゃんを身籠り平民となった」
確認され、私は静かに頷いた。
改めて言われると、自業自得な展開だ…
「もう罰は受けたんだから幸せになっても良いんじゃない?」
「でも…」
私は本当に許されないことをしようとした。
同じ女性なのに…
男爵や楽器職人に強引に詰め寄られただけで恐ろしいと感じた以上の事を私は男に依頼していた…
「罰が平民落ちなら、あんたは既に罰を受けている。その後はあんた次第でしょう」
「だけど…私は幸せになっちゃ…」
あの人に被害がなかったとはいえ、そんなことを実行してしまった過去の私の醜さに嫌悪する。
「なら、いつまてグズグズしてるの?あんたはクローディの母親なんだ確りしなっ。あの子にもあんたの不幸に巻き込むつもりなの?」
「それは…」
あの子に罪はない…けど、私の娘が幸せになって良いのか…
「貴族が平民になるってかなりの罰よ。そこでどう生き抜くかが更正なんでしょ?結婚しても更正は続くの。幸せになるには努力をし続けなきゃいけないの」
「…私…幸せになっても良いんですか?」
「あんた簡単に幸せになれるなんて考えてんじゃないよ。幸せは誰でもなれるようなもんじゃない。努力が必要なの」
「努力…」
ストランドバリトンさんはお酒が原因で隔離されていると聞き、最近ではお兄さんが木を選びに来ている。
そして、しつこく言い寄ってきていた男爵の方にも天罰が下った。
何でも新しく制定された法に背き使用人達を過度に働かせ、給金も微々たるものしか払っていなかったのが暴かれたらしい。
働いてくれていた使用人達全員に慰謝料を払うと、殆どの人が辞めていき新たな人材を募集するも噂が広まりすぎて集まらないんだとか。
数回私にも声が掛かるも気付けばいなくなっていた。
私は今、とても働きやすい環境にあり、クローディを育てながら働けている。
問題は全て解決したのに私は未だにドリュアスさんの家にご厄介になっているということ。
なので、もうそろそろ家に戻ろうと思う。
「もう、懸念事項は無いのでクローディと共に家に戻ります。今までご迷惑をお掛けしました」
「…いや、まだ居て構わない」
「もう、本当に大丈夫ですよ?これ以上甘えるわけにはいきません」
ドリュアスさんの所は居心地が良すぎる。
見習いの人達が自然と動くので、掃除も食事も任せてしまっている。
この環境に慣れすぎてしまうとクローディと二人で生きていけなくなりそうで怖かった。
折角平民に慣れてきたのに…
「…甘えてほしい…」
「へ?」
「俺をもっと頼ってほしい」
「統括はとても頼りにしています」
「いや、一人の男として」
一人の男…それは…つまり…
「結婚しないか?」
「へっ?へっ?へっ?」
結婚って言った?お付き合いじゃなくて結婚?
色々すっ飛ばしているドリュアスさんの言葉にちゃんとした返事が出来なかった。
「考えてくれ」
ドリュアスさんは振り向くこと後なかったので、背中を見送っていた。
どうして私なんだろう…あの人は口数は少ないがとても頼りになり男性として魅力的な人。そんな人が何故私を?
ドリュアスさんの所でお世話になってから危険がない今も見習いの人と一緒にお店に向かっている。
「ローニャッ元気?」
久しぶりに声をかけてきたのはティティさんだ。
ティティさんと話すと貴族令嬢達のような腹の探りあいではなく、気楽に話せる友人のように感じている。
私は今、この世界に友人が居なかった事に気がついた…
見習いの人も気を利かせて先に店に向かい、私はティティさんと並んで歩いていた。
「んで?漸くドリュアスに思いを告げられたんでしょ?あ~焦れったかった」
「へ?」
何故それを?
「ローニャに変な男が近づく度に目をギラつかせるし、それとなく助けてやってくれとか態々うちまで押し掛けてくるし」
「そう…だったんですか?」
そんなことまで…
「そうよ」
全く気付かなかった。
「………」
「なによ、嬉しくないの?」
「嬉しく…ないわけではないんですが…」
誰かに…ドリュアスさんに好かれるのは嬉しい…
嬉しいけど私にはそんな資格がない…
「問題があるの?」
「…私…幸せになっちゃいけないんです…」
「…幸せになっちゃいけない?どうして?」
「…私は酷い女だからです…」
「…何かしたの?」
私は友人のようなティティさんに本当の私を知られるのが怖かった。
だって、私は酷いことを計画し実行した女だから…
…だけど、いつまでも隠しておくわけにはいかない。
「…私…婚約者がいたんです…」
私は過去に仕出かした事を包み隠さず全てティティさんに話した。
「…ふぅん。婚約者を取られた腹いせに犯罪に手を染めたと…」
「…はぃ」
ティティさんに長々と話したが、こんな簡単に纏められてしまった。
けど、訂正も反論もない事実だった。
「結果として事件は未然に防がれ、あんたが媚薬を飲んで雇った男の赤ちゃんを身籠り平民となった」
確認され、私は静かに頷いた。
改めて言われると、自業自得な展開だ…
「もう罰は受けたんだから幸せになっても良いんじゃない?」
「でも…」
私は本当に許されないことをしようとした。
同じ女性なのに…
男爵や楽器職人に強引に詰め寄られただけで恐ろしいと感じた以上の事を私は男に依頼していた…
「罰が平民落ちなら、あんたは既に罰を受けている。その後はあんた次第でしょう」
「だけど…私は幸せになっちゃ…」
あの人に被害がなかったとはいえ、そんなことを実行してしまった過去の私の醜さに嫌悪する。
「なら、いつまてグズグズしてるの?あんたはクローディの母親なんだ確りしなっ。あの子にもあんたの不幸に巻き込むつもりなの?」
「それは…」
あの子に罪はない…けど、私の娘が幸せになって良いのか…
「貴族が平民になるってかなりの罰よ。そこでどう生き抜くかが更正なんでしょ?結婚しても更正は続くの。幸せになるには努力をし続けなきゃいけないの」
「…私…幸せになっても良いんですか?」
「あんた簡単に幸せになれるなんて考えてんじゃないよ。幸せは誰でもなれるようなもんじゃない。努力が必要なの」
「努力…」
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