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スピンオフ ステファニー
楽器職人の父
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「バカモンがっ」
一人声を抑えきれずに呟いているのは、先日酔った勢いで人を殺してしてしまった息子を持つ父親だった。
あいつは昔からそうだ。
器用で粗方の事は簡単に出来てしまうが故に、苦労を知らない。
なので、職人の功績が実るには長い年月が必要となるというのを理解していない。
あいつは短気というか、すぐに結果を求め認められたいという欲求が強く、末っ子と言うことで妻が甘やかしてしまった結果かもしれない。
あいつは幼い頃から、周囲にちやほやされるのが大好きだ。
そのせいか楽器職人と言うのを不満に思っていたのだろう。
素晴らしい楽器を製作しても誰かの引き立て役にしかならない。
そう思っていたから、自ら目立とうとした。
それがこんな結果をもたらすとは…
あのバカは今、牢屋にいる。
二度と出て来る事が出来ないかもしれない…
永遠とも思える時間を過ごすために楽器製作に必要な道具と木を差し入れた。
それからあいつは雑念を捨てバイオリン作りに向き合っている。
以前からあいつが楽器製作に関わらせてもらえていない事に不満を抱いていたのにも気が付いていた。
だが、あいつには最後の音の確認をさせていた。
職人は精巧に作るのは当然、同様のものを作り続ける忍耐も必要だが、それは習得できる。
一番必要なもんは「耳」だ。
同じものを作っても木が違えば音色も違う。
その音を聞き分けるのが重要となり、あいつは昔から耳が良かった。
だから、最後を任せていた…なのに…
「バカモンが…バカモンが…お前は…ほんとぅに…バカモンだっ…く…」
息子を思いながら涙を流す父親の姿があった。
数十年もするとある時から楽器事態が素晴らしいと評価されるような時代になった。
特にストランドバリトン親子が製作したものは宝石のような高値が着くこともあり、演奏家以外にもコレクターも生まれだした。
だが、その時代にはもう一人の無名の職人のバイオリンも注目されていた。
左右非対称で完璧とは言えない作りにも拘わらず、とても魅惑的な音色を奏でると演奏家達の間で話題となったバイオリンも存在していた。
何処の誰が製作したのか謎のバイオリン。
噂では獄中で作られたのではと囁かれることもあった。
一人声を抑えきれずに呟いているのは、先日酔った勢いで人を殺してしてしまった息子を持つ父親だった。
あいつは昔からそうだ。
器用で粗方の事は簡単に出来てしまうが故に、苦労を知らない。
なので、職人の功績が実るには長い年月が必要となるというのを理解していない。
あいつは短気というか、すぐに結果を求め認められたいという欲求が強く、末っ子と言うことで妻が甘やかしてしまった結果かもしれない。
あいつは幼い頃から、周囲にちやほやされるのが大好きだ。
そのせいか楽器職人と言うのを不満に思っていたのだろう。
素晴らしい楽器を製作しても誰かの引き立て役にしかならない。
そう思っていたから、自ら目立とうとした。
それがこんな結果をもたらすとは…
あのバカは今、牢屋にいる。
二度と出て来る事が出来ないかもしれない…
永遠とも思える時間を過ごすために楽器製作に必要な道具と木を差し入れた。
それからあいつは雑念を捨てバイオリン作りに向き合っている。
以前からあいつが楽器製作に関わらせてもらえていない事に不満を抱いていたのにも気が付いていた。
だが、あいつには最後の音の確認をさせていた。
職人は精巧に作るのは当然、同様のものを作り続ける忍耐も必要だが、それは習得できる。
一番必要なもんは「耳」だ。
同じものを作っても木が違えば音色も違う。
その音を聞き分けるのが重要となり、あいつは昔から耳が良かった。
だから、最後を任せていた…なのに…
「バカモンが…バカモンが…お前は…ほんとぅに…バカモンだっ…く…」
息子を思いながら涙を流す父親の姿があった。
数十年もするとある時から楽器事態が素晴らしいと評価されるような時代になった。
特にストランドバリトン親子が製作したものは宝石のような高値が着くこともあり、演奏家以外にもコレクターも生まれだした。
だが、その時代にはもう一人の無名の職人のバイオリンも注目されていた。
左右非対称で完璧とは言えない作りにも拘わらず、とても魅惑的な音色を奏でると演奏家達の間で話題となったバイオリンも存在していた。
何処の誰が製作したのか謎のバイオリン。
噂では獄中で作られたのではと囁かれることもあった。
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