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悪い事したい・その六……令嬢との嫌味合戦
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「アイゼンハワー公爵令嬢」
学園で女性に声を掛けられたのは初めてだ。
「はい」
「ご機嫌いかが? 」
「ん? 」
ご機嫌いかが?
そのような質問になんて答えたらいいのか分からなかった。
『機嫌はまずまずです』って答えるべき?
答えの範囲が広すぎて分かりません。
「婚約を解消されたと聞き、落ち込んでいるのではないかと思いまして」
心配している風を装っているが、令嬢の取り巻きのような人物は笑みを携えている。
「いえ、全く」
「そんな強がらなくて良いのですよ? 婚約解消して辛くない令嬢なんておりませんもの」
「そうでしょうか? 私は婚約を継続している方が苦行でしたので」
「何をおっしゃっているの? 」
「私は、婚約の段階で不貞を行う人物と結婚する方が辛い人生を送ると思っています」
「それは……貴族であれば愛人の一人や二人……」
同じくらいの年齢の子が、男性に愛人がいても構わない発言。
育った環境なのかもしれないが、私には理解できない。
「令嬢は寛大なのですね。ですが私には難しい事でした。信頼できない相手との長い結婚生活……今の絵画の流行も『夫が愛人と庭園で戯れている姿』です。堂々と愛人の存在を見せびらかし、本来不貞の証拠となる絵画を自ら作成する厚かましさ。それなのに、男性の行いに女性は慎ましやかに耐えなければならないなんて……私には我慢なりません。それに、お茶会やパーティーでも『あなたの夫の絵画、拝見しましたわ』なんて嫌味を言われても、笑顔で対応しなければならないなんて……そんな生活に幸せなんて無いわ。私は恋愛結婚をしたいというわけではありませんが、信頼できる方と結婚したいとは思っております。以前の婚約者は私にとっては『信頼に値する人物』ではなかった、という事です」
私の考えに婚約解消で甚振ってやると考えていた令嬢達からも笑みが消える。
「……それでも……婚約解消は令嬢にとっては傷となります」
育った環境もあるのだろう。
令嬢は私の価値観を受け入れる事に躊躇っているよう。
「今後一生背負う傷に比べたら、婚約解消など一時的な傷です」
「一時的な傷……」
「それに、本当に傷を負うのは令嬢だけなのでしょうか? 婚約は家と家の繋がり。彼は私だけでなく公爵家との信頼関係を破綻させたのです。それは貴族としての自覚が足りていない証拠なのではありませんか? そんな彼が社交界でどのような評価を受けるのでしょう? 伯爵家の彼が公爵家の私にしたことが、本当になんのお咎めもないのでしょうか? 」
「……そうよね……令嬢だけが傷を負うのは間違ってる……」
令嬢の呟きからして、焚きつけてしまったような気がしなくもない……
「令嬢のお名前を窺ってもよろしいかしら? 」
「私ですか? 」
「令嬢は婚約解消となった私を心配してくださったのですよね? ありがとうございます。新たな婚約についても何かあれば令嬢に相談に乗って頂けたらと思いまして……ご迷惑でしたか?」
「いえ、迷惑では……私の名前は、アイルリーン・ネルソンと申します。侯爵家の」
「ネルソン侯爵令嬢ですね。本日は私を心配してくださりありがとうございます。それでは、ごきげんよう」
「ごき……げんよう」
私は令嬢達の元を颯爽と去った……つもりだ。
誰にも呼び止められないので、私への興味も失ったと思っていいよね?
綺麗に去ったつもりなので、ここで振り向いたら台無しになると思い令嬢達の様子を確認するのは気になるが耐えた。
今回の件も話題となったのか、他の令嬢が私に絡んでくることは無かった。
本日の一言日記。
令嬢との嫌味合戦は緊張する。
学園で女性に声を掛けられたのは初めてだ。
「はい」
「ご機嫌いかが? 」
「ん? 」
ご機嫌いかが?
そのような質問になんて答えたらいいのか分からなかった。
『機嫌はまずまずです』って答えるべき?
答えの範囲が広すぎて分かりません。
「婚約を解消されたと聞き、落ち込んでいるのではないかと思いまして」
心配している風を装っているが、令嬢の取り巻きのような人物は笑みを携えている。
「いえ、全く」
「そんな強がらなくて良いのですよ? 婚約解消して辛くない令嬢なんておりませんもの」
「そうでしょうか? 私は婚約を継続している方が苦行でしたので」
「何をおっしゃっているの? 」
「私は、婚約の段階で不貞を行う人物と結婚する方が辛い人生を送ると思っています」
「それは……貴族であれば愛人の一人や二人……」
同じくらいの年齢の子が、男性に愛人がいても構わない発言。
育った環境なのかもしれないが、私には理解できない。
「令嬢は寛大なのですね。ですが私には難しい事でした。信頼できない相手との長い結婚生活……今の絵画の流行も『夫が愛人と庭園で戯れている姿』です。堂々と愛人の存在を見せびらかし、本来不貞の証拠となる絵画を自ら作成する厚かましさ。それなのに、男性の行いに女性は慎ましやかに耐えなければならないなんて……私には我慢なりません。それに、お茶会やパーティーでも『あなたの夫の絵画、拝見しましたわ』なんて嫌味を言われても、笑顔で対応しなければならないなんて……そんな生活に幸せなんて無いわ。私は恋愛結婚をしたいというわけではありませんが、信頼できる方と結婚したいとは思っております。以前の婚約者は私にとっては『信頼に値する人物』ではなかった、という事です」
私の考えに婚約解消で甚振ってやると考えていた令嬢達からも笑みが消える。
「……それでも……婚約解消は令嬢にとっては傷となります」
育った環境もあるのだろう。
令嬢は私の価値観を受け入れる事に躊躇っているよう。
「今後一生背負う傷に比べたら、婚約解消など一時的な傷です」
「一時的な傷……」
「それに、本当に傷を負うのは令嬢だけなのでしょうか? 婚約は家と家の繋がり。彼は私だけでなく公爵家との信頼関係を破綻させたのです。それは貴族としての自覚が足りていない証拠なのではありませんか? そんな彼が社交界でどのような評価を受けるのでしょう? 伯爵家の彼が公爵家の私にしたことが、本当になんのお咎めもないのでしょうか? 」
「……そうよね……令嬢だけが傷を負うのは間違ってる……」
令嬢の呟きからして、焚きつけてしまったような気がしなくもない……
「令嬢のお名前を窺ってもよろしいかしら? 」
「私ですか? 」
「令嬢は婚約解消となった私を心配してくださったのですよね? ありがとうございます。新たな婚約についても何かあれば令嬢に相談に乗って頂けたらと思いまして……ご迷惑でしたか?」
「いえ、迷惑では……私の名前は、アイルリーン・ネルソンと申します。侯爵家の」
「ネルソン侯爵令嬢ですね。本日は私を心配してくださりありがとうございます。それでは、ごきげんよう」
「ごき……げんよう」
私は令嬢達の元を颯爽と去った……つもりだ。
誰にも呼び止められないので、私への興味も失ったと思っていいよね?
綺麗に去ったつもりなので、ここで振り向いたら台無しになると思い令嬢達の様子を確認するのは気になるが耐えた。
今回の件も話題となったのか、他の令嬢が私に絡んでくることは無かった。
本日の一言日記。
令嬢との嫌味合戦は緊張する。
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