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しおりを挟む瀬野を自宅に送り届けたユルシィはそのまま出勤した。
「セノ、酷い顔をしています」
今日は休日のルタが、出迎えて開口一番そう言った。
瀬野はどっと身体の力が抜けて、華奢な体躯に縋りつく。2人してずるずるその場に崩れ落ちて、瀬野は座り込んだルタの膝にひたいを押し付けた。
「セノ、しんどいですか? 痛いですか?」
優しい手に、頭を撫でられる。
「苦しいですか?」
苦しかったんだ。
ルタの体温はただただ安心する。瀬野を抱きにくる客相手に安心などできようもないが、あんなにも触れて苦しいのはユルシィだけだ。
抱きしめられて苦しいのも、抱かれて苦しいのも、抱かれないのに苦しいのも、ユルシィだけ。
「…………ああ……ごめん、セクハラだな」
ふと今の体勢に気づいて、離れようとする。ルタは、両腕で抱きとめてそれを阻んだ。
「苦しいのは、つらいですか?」
つらいよ。
「どうしたら、苦しくなくなりますか?」
そうだな……、
「そうだ……優しくキスしてくれたら……きっと…………大丈夫……」
目尻に、柔らかな唇が押し当てられた。
「キスしてほしいのは、私にじゃないです。私にじゃ、ないですね……セノ」
どこか遠くで、ルタの声がした。
おまわりさん、事案です。
10代少女の腕の中で寝落ちしたおっさんは俺です。
「足痺れました」
「ごめんなさい」
速やかに身を引いて土下座した。
「昨日、眠れなかったのですか?」
「まあ、ちょっと……」
ユルシィに抱き枕にされたせいで、肉体的にも精神的にも苦しくて、いまいち眠れなかったのだ。
「今日はユルシィにおやすみのキスをもらってください」
「ーーは、」
「私からも言っておきます」
「ちょっと待て、ルタ」
「唇にです。いいですか? 口と口で! キスです!」
「ルタ!」
「そうすれば許してあげます。セクハラされたこと」
「ごめんなさい…………」
「おまわりさんはユルシィです。事案はユルシィに、です」
「はい……すみませんでした……」
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