30 / 35
30.
しおりを挟む「ルタ、おこ?」
夕食を終え、ルタが風呂へ向かうと、ユルシィがこそっと瀬野に聞きにきた。
「おこ」
簡潔に返答する。ルタはユルシィが帰ってきてから、夕食中もずっとぷりぷりしていたのだ。
「ユルシィ!」
瀬野とユルシィのこそこそ話に被せるように、風呂場からルタが声を張る。
「今日はセノにおやすみのキスをしてください! 口にです! 熱烈に! 情熱的に愛を交わして朝まで絡み合うがいいです! おやすみなさい!」
バンッとガラス戸を閉める音。
シャワーの水音。
静まり返るリビング。
「…………ユルシ、」
「セノ」
ユルシィは腕を組み、首を捻って紅い光を複雑に絡ませた。
「きす、くちをつける、あってる?」
急に何を言い出すのか。
「……あぁ」
「きす、する、あい、かわす? なぜ?」
「……なぜ? 愛し合ってる者同士は、キスをすると……幸せに、なる……から?」
「きす、とは、しあわせ?」
一体何が彼の心に引っ掛かったのか。数瞬考えをめぐらせてーー
「ユルシィもしかして、」
キスしたことないのではーーと、聞こうとした口を塞がれた。
つるつるのゼリーに唇を押し当てている感覚。
「ん?」
首を傾げたユルシィが、もう一度触れてくる。
ただくっつけているだけで、感覚的にはこちらからは唇かどうかもわからない。でも、じわじわと、身体の奥から湧き出て、胸に広がっていく熱の流れを感じる。
至近距離にある2つの紅い光が、追いかけっこをするように高速旋回していた。
「これが、きす……」
顔を離したユルシィが、きゅっと抱きしめてきた。
声音には、確かな感動が混じっていた。
ああ……好きだ……。
ユルシィに惹かれている。
もう、認めるしかない。
そうだよ。好きだよ。悪いか。
122
あなたにおすすめの小説
余命半年の俺を、手酷く振ったはずの元カレ二人が手を組んで逃がしてくれません
ユッキー
BL
半年以内に俺は一人寂しく死ぬ。そんな未来を視た。きっと誰も悲しむ人は居ないだろう。そう思っていたから何も怖くなかった。なのにそんな俺の元に過去手酷く振り、今では世界的スターとなった元カレ二人がやってきた。彼らは全てを知っていた。俺がどうして彼らを振ったのか、そして俺の余命も。
全てを諦めた主人公と、主人公を諦めきれないイケメンサッカー選手とシンガーソングライターの再会が導く未来は?
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる