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08.ここにいる【白井】
しおりを挟む「あれが新堂蘭太」
近くで見たが、やっぱり普通だった。
ごくごく平凡な、特別劣っているところもなく、かといって突出したところもなさそうな、地味な男。
あんなつまらない凡人が、都築利音の飯炊き?
「おもしろくないなあ」
ご飯がそんなに好きなのかい、都築利音。
ボクより大事?
食の楽しみって、そんなに重要?
こんな人混みの中、わざわざ誕生日プレゼントなんて買いに出て、飯炊きのご機嫌を取るくらい普通の食事に恋い焦がれているのなら。
早くボクを捕まえに来てよ。
ボクだけが、きみの呪いを解ける。
ボクだけが、真にきみを救えるのに。
普通の食事を渇望するように、ボクのことを渇求してよ。
ここにいるよ、都築利音。
「ボクは、ここにいる」
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