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12.触って、いいですよ
しおりを挟む「都築さ……っ」
事務所ビルに帰ってくると、蘭太は問答無用で風呂場に押し込まれた。眼鏡をそっと洗面台に避難させられ、常の都築からは想像できないほど強引に服を剥かれる。されるがままになってしまったのは、都築からピリピリした雰囲気が伝わってきてちょっぴり怖かったのと、しかしそれでいてなお、都築が自分に危害を加えるとは、微塵も考えていなかったからだった。
「都築さん、どうしたの」
シャワーの温度を調節して、蘭太に手早くお湯を掛けた都築は、無言で石けんを泡立てはじめる。
「都築さん、都築さん」
「どこを触られた?」
ようやく聞けた声は、恐れていた怒りを含んではいなかった。むしろ、いつもよりも優しいくらいだった。それでいて、答えを誤魔化すことを許さない圧を感じられる。蘭太が口ごもっている間にも、泡をまとった都築の両手のひらが、蘭太の身体を丁寧に撫で回す。
「ここは?」
「都築さっ、」
躊躇なく股間に触れられそうになって、手首を掴んで止めていた。無言で見下ろしてくる都築と見つめ合う。怒ってる? 悲しんでる? どっちも合ってて、どちらかではない。ただ、都築がとても辛そうなのはわかる。
「どうしたんですか、都築さん」
ゆっくり、幼い子どもに言い含めるように、問いかける。
「…………時間が経ったら、」
「うん」
「なんか、ムカついてきて」
「うん」
「他の男が、」
「うん」
「蘭太くんの身体を触ったのが、許せない」
くしゃり。都築の美しい顔が、歪む。
ご飯食べたわけじゃないのに泣きそうだな、と、こんな時にそんなことを思った。
「なら、仕方ないですね」
他の男が、蘭太の身体に触ったのが泣きそうなほど許せないなら、仕方ない。
「触って、いいですよ」
蘭太が手首を放せば、都築の手を止めるものはもういない。
泡まみれの大きな手が、蘭太の性器を包む。ぬるぬる摩り付けるように泡を広げられて、指で作った輪の間を往復させられるごとに、むくむくと硬くなっていく。
「ん……、は……っ」
気持ちがよかった。
自分以外の手に触れられるという初めての経験に、腰が蕩けそうだ。
「ふ、ん……っ」
意図せず甘い声が漏れる口を、両手で覆う。熱を持った身体から吐き出される息も、熱かった。
「らんたくん」
舌足らずな声が、耳元で名前を呼ぶ。耳朶にかかった吐息も、蘭太に負けず劣らず熱を孕んでいる。
「ん……!」
もはや都築の手の中で、蘭太のものは完全に反り返っていた。溢れた先走りを、長い指がすくって竿に擦り付け、ぐちゅぐちゅ音を立てながら扱きあげられる。
「腰、揺れてる」
無意識だった。
火照っていた顔が、さらに赤くなる。
「恥ずかし、」
「気持ちいいんだよね?」
「……ん」
鼻にかかった声が出た。
立っているのが辛くなってきて、目の前の都築の肩にしがみつく。首筋にひたいを寄せると、頭にほおを乗せられた。
「ん、ぁ……あ、あ、」
上下に擦る手の動きが速くなって、浴室内に響く卑猥な音で耳からも犯されて。あと少し。もう少しーー
「あ……っ」
小さく声をあげて、達していた。
くたり、と都築に身を預ける。
独特な精の匂いが広がった。
乗せられていた都築のほおが引く気配に、つられて蘭太も顔をあげる。
なんだろう。雰囲気のせいか? そういう流れだったのだろうか。
蘭太と都築はごくごく自然に、引き寄せられるようにして、唇を重ねていた。
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