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不良グループの元総長に懐かれた06
しおりを挟む「そうか。おめでと」
不安に押し潰されそうになりながら付き合うことになったと告白したら、渡貫は相変わらずの無表情で頷いた。身構えていた佐奈田が、思わず拍子抜けするほどのあっさり具合だった。
「だから言ったろ? ハジなんてこんなもんだって」
心配するだけ無駄だとはじめから気楽に構えていた椎名は、佐奈田の憂慮が杞憂に終わったことにからからと笑っている。
「佐奈田くん、こいつ、不良グループの総長なんかやってたけどさ、悪い奴じゃねえんだ。一本芯の通った奴なんだよ。大事なことを、ちゃんと大事にできる男なんだ。だから、まあ、椎名のこと、末永くよろしく頼むよ」
あまりにもあっさり受け止められたので、それほど佐奈田と椎名の関係に興味がないのかと思ったら、渡貫は無表情な顔からは読み取れない熱い真剣さで頭を下げた。
「おまえは俺の保護者かよ」
照れくさかったのだろう。椎名は不自然に目をそらして、佐奈田に向かって垂れた渡貫の頭をぺしんと叩いた。
「保護者だよ」
顔をあげた渡貫が、べしんと椎名の肩を叩き返す。
「お前、ほんと、まじ、佐奈田くん大事にしろよ」
「するよ、当たり前だろ」
「大事にするって、佐奈田くんと喧嘩しないってことじゃねえからな? 遠慮するのは違うからな? わかってるな?」
「わかってんよ。うるさいなあ、ハジ。保護者かよ」
「保護者だよ」
「末永く大事にするために、お互いの意見はちゃんと言って、価値観を擦り合わせる、だろ?」
「そう。ーーな? 佐奈田くん。こいつ、ちゃんときみのこと大事にしてくれるわ。よかったな」
二人のテンポの噛み合った会話を楽しく聞いていたら矛先が自分に向いて、佐奈田は一瞬言葉に詰まった。しかしすぐさま受け取った言葉のボールを握り直して、笑顔で投げ返す。
「うん。ありがとう、ハジくん。末永くよろしくお願いします」
「ちょっと待て佐奈田? よろしくすんのは俺にだろ? こっち見て言え?」
渡貫に向かって頭を下げた佐奈田に、椎名がぐいぐい身を寄せてくる。
「ふふふ」
「あ、かわい。見たか、ハジ。佐奈田の笑顔、天使じゃん?」
「あ、やべえ。バカップルの予感」
堪えきれず漏れた笑いに、椎名が真顔で振り返り、同意を求められた渡貫が無表情にひたいをおさえる。
「あーやだやだ。バカップルバカップル。イチャつくならよそでやってくれ」
「惚気たっぷり聞かせてやるよハジ!」
あーやだやだと踵を返した渡貫を、いたずらっぽく笑った椎名が追いかけて。ふ、と足を止め振り返る。
「佐奈田! 行こ」
「うん」
差し伸べられた手に差し出し返した手を引かれて、佐奈田もまた寄り添って生きていく未来へと一歩踏み出した。
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