召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第二十話「騎士団の長」

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 どうやら宴は町長の屋敷で行われるらしい。

「やっと主役が来たか」
「ゲルストナー。待ちましたか?」
「さっき来たところだよ」

 ゲルストナーと合流し、町長の屋敷に入った。屋敷の一階部分が来客スペースになっているみたいだ。屋敷に入るや否や、町長が駆けつけてきた。

「ボリンガー様。本日はお越し頂き、ありがとうございます」
「ご招待ありがとうございます。これ、俺の村のお酒なんです。良かったらどうぞ」
「リーシャ村の酒ですか。ありがたく頂きます。さぁ、どうぞ中へお入り下さい」

 屋敷の中にはテーブルが並べられており、テーブルの上には様々な料理が置かれている。肉料理やサラダ、デザートなど。随分とお金が掛かった宴なんだな。ますます招待された意図を知りたくなった。町長の隣の席に座ると、町長が乾杯の音頭をとった。

「町長、今日は招待して下さってありがとうございます」
「いえいえ。私は是非、ボリンガー様にお会いしたかったのですよ」
「お会い出来て光栄です。しかし、招待された意図が分からないのですが…… 俺達は町の周辺に巣食う魔物を倒しただけですし」
「実は……ボリンガー様。このフィッツ町は魔物からの襲撃で人口が減りつつあるのです。最近、冒険者の間では、『フィッツ町は魔物すら自分達の手で退治出来ない、観光する価値も無い町』と噂されております。そんな噂がしばらく続いた頃、町にボリンガー様が来られました」
「そんな噂が流れていたんですね」
「はい。ボリンガー様が来られてからは、廃坑内から湧いて出た魔物が町を襲撃したり田畑を荒らす事もなくなりました。目に見えて町周辺の環境が変わったのです。そこで私は考えました……フィッツ町をボリンガー様の配下に入れては貰えないでしょうか?」

 配下だって? 駆け出しの冒険者である俺の配下に入って何の意味があるのだろうか。きっと俺のレベルの高さや称号を知ってこの様な頼みをしているのだろう。高レベルの冒険者の配下に入るメリットが存在するのだろうか。勇者や賢者などの称号を持つ人間でもせいぜいレベル60程度だ。

 レベル85か……キングを召喚した事により、石碑から生前のキングの魔力が流れ、俺自身が強力な魔力の使い手になってしまったのだろう。町長の話によると、町に召喚獣を滞在させて、フィッツ町周辺に巣食う魔物を討伐して欲しいのだとか。報酬として、町の税収の5パーセントを頂けるらしい。契約金として千ゴールド、それから召喚獣のための屋敷を頂けるらしい。

 ゲスルトナーの方を見てみると、彼は俺に向かってウィンクをした。ゲルストナーはこの申出を受けた方が良いと判断しているみたいだ。

「その提案、是非受けさせて下さい」
「という事は、ボリンガー様の配下に入れて下さるのですね?」
「はい。俺達の力で町をお守りします」

 フィッツ町が俺の配下に入る事が決まった瞬間、会場には熱狂的な歓声が沸き起こった。ゲルストナーが葡萄酒の入ったゴブレットを俺に渡すと、俺は葡萄酒を飲んだ。爽やかな酸味が口に広がった。まさか町を一つ配下に入れる事になるとは思いもしなかったな……。

 それから俺は宴の参加者達に挨拶をして回った。参加者の中に馬車を作る職人も居たので、馬車の注文をしておいた。馬車は一週間もあれば完成するらしい。それからルナやキングと一緒に料理を頂き、葡萄酒を飲んだ。仲間達と次の目的地について相談すると、アルテミス王国に行く事が決まった。大陸で最高の冒険者になると決めているのだから、冒険者が最も多い国で名を上げる事にした。

 暫く葡萄酒を飲んでいると、酔いが回ってきたので、俺達はゲルストナーよりも一足先に会場を後にした……。


 宴の翌日から旅の支度とフィッツ町の警護を始めた。まずはフィッツ町の警護のために新しい仲間を召喚する必要がある。ゲルストナーから頂いた素材から新たな魔物を召喚した。

『魔獣 LV0 コボルド』×3
『魔獣 LV0 ゴブリン』×1
『魔獣 LV0 ガーゴイル』×4

 魔獣クラスの魔物だが、召喚に必要な魔力も少なく、命令を忠実に聞く者達だ。それから俺は、町長から頂いた屋敷を冒険者ギルド風に改築した。住人や町に滞在する冒険者が、誰でも直接依頼を出せるシステムを作った。この施設を『ボリンガー騎士団・フィッツ町拠点』と名付けた。

 施設の運営や、町の人達とのコミュニケーションを取るためにも、俺は新しい魔物を召喚し、フィッツ町拠点の拠点長を任せる事にした。俺が選んだ魔物は幻獣のミノタウロスだ。ミノタウロスは皮膚が赤く、まるで人間の様な体をしているが、筋骨隆々の魔物だった。スケルトン達には町に残ってもらい、ミノタウロスの補佐をして頂く事にした。

『ボリンガー騎士団・フィッツ町拠点』
 拠点長:『幻獣 LV0 ミノタウロス』
 団員:『魔獣 LV6 スケルトン』×3
 団員:『魔獣 LV0 コボルド』×3
 団員:『魔獣 LV0 ゴブリン』
 団員:『魔獣 LV0 ガーゴイル』×4

 これだけ居れば低級の魔物は町を襲おうともしないだろう。拠点長に幻獣を任命したのは犯罪に対する抑止力にもなると思ったからだ。ざわざ幻獣が守る町を襲う者は居ないだろう。それから冒険者ギルドで発行して貰った表札を入り口に取り付けた。

 建物名:『ボリンガー騎士団・フィッツ町拠点』
 管理者:『幻魔獣の召喚士 LV85 サシャ・ボリンガー』

 これで町の護衛は完璧だろう。それから俺はルナとキングを連れてシャーローンさんの屋に向かった。ガントレットから首飾りに作り変えを頼んでおいた品の受取日だ……。
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