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第二章「王国を目指して」
第八十八話「新たな仲間」
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「ボリンガー様! 是非私達に協力させて下さい!」
「本当ですか? アルベルトさん」
「はい。私達召喚士も、魔物達と共に暮らしていきたいと思っています。私も以前から、『人間と魔物が共存できる町』があれば良いのにと思っていました」
「実は新しく作る本拠地は、魔物だけではなく、迫害されている種族や、元奴隷の様な人間なども暮らしていける地域にしたいと思っているんです」
「元奴隷ですか? 奴隷を解放するという事ですか?」
「はい。騎士団の団員の中にも、不当に奴隷にされた人が居ます。将来的には、奴隷制度を崩壊させ、騎士団の本拠地で元奴隷の人達を招くのも良いかなと思っています」
「奴隷制度を崩壊させる……ですか。確かに、私も奴隷制度には反対ですが、崩壊させようと思った事はありませんでした」
正直に言えば、奴隷制度を崩壊させる手段は分からない。今はまず本拠地を作る事が先決だ。本拠地が完成してから、奴隷を開放するために動けば良い。
「素晴らしい考えですね! 是非、私にも協力させてください!」
召喚士の女性が嬉しそうに言った。年齢は二十代ほどだろうか、長く伸ばした栗色の髪を綺麗に巻いている。彼女はギルドの幹部なのだろう。体から強い魔力を感じる。
「本拠地を作るには、まずお金が必要なのですが、効率良くお金を稼げるクエスト等をご存知でしたら教えて頂きたいです」
「難易度が高く、報酬が多いクエストは冒険者ギルドで受けられますよ。召喚士ギルドでもクエストをご紹介する事は出来ますが、報酬は決して高くありません……」
「やはり冒険者ギルドですか」
「はい。クエストの種類も豊富ですし、幻獣討伐などの高難易度のクエストもあるみたいです。それから素材の件ですが、我々のギルドには目ぼしい素材は少ないかと思います。以前、ギルドの経営が厳しくなった時に、価値ある魔物の素材を全て売ってしまったのです」
「そうだったんですね……」
「一つだけ幻魔獣の素材があるのですが、魔物の性格と経歴に問題がありまして……幻魔獣・デスという魔物なのですが」
アルベルトさんは随分と怯えた表情をしている。一体、どれだけ凶悪な魔物なのだろう? しかし、幻魔獣の素材は魅力的だ。強い仲間は多ければ多い方が良いからな。
「問題のある性格と経歴というのは……?」
「文献によれば、幻魔獣・デスは魔王の手下として魔王城内で召喚されたようです。それから、デスは召喚されてすぐに召喚士達を殺してしまったらしいのです。召喚士達を殺してからは、魔王城に居た魔物や、魔王討伐のために城を訪れていた勇者等を全て一人で消し去ってしまったそうです。デスの見境の無い殺戮に、魔王は激怒してデスを拷問にかけて殺してしまったのだとか。どこまでが本当の話なのかは分かりませんが……」
「本当ですか? アルベルトさん」
「はい。私達召喚士も、魔物達と共に暮らしていきたいと思っています。私も以前から、『人間と魔物が共存できる町』があれば良いのにと思っていました」
「実は新しく作る本拠地は、魔物だけではなく、迫害されている種族や、元奴隷の様な人間なども暮らしていける地域にしたいと思っているんです」
「元奴隷ですか? 奴隷を解放するという事ですか?」
「はい。騎士団の団員の中にも、不当に奴隷にされた人が居ます。将来的には、奴隷制度を崩壊させ、騎士団の本拠地で元奴隷の人達を招くのも良いかなと思っています」
「奴隷制度を崩壊させる……ですか。確かに、私も奴隷制度には反対ですが、崩壊させようと思った事はありませんでした」
正直に言えば、奴隷制度を崩壊させる手段は分からない。今はまず本拠地を作る事が先決だ。本拠地が完成してから、奴隷を開放するために動けば良い。
「素晴らしい考えですね! 是非、私にも協力させてください!」
召喚士の女性が嬉しそうに言った。年齢は二十代ほどだろうか、長く伸ばした栗色の髪を綺麗に巻いている。彼女はギルドの幹部なのだろう。体から強い魔力を感じる。
「本拠地を作るには、まずお金が必要なのですが、効率良くお金を稼げるクエスト等をご存知でしたら教えて頂きたいです」
「難易度が高く、報酬が多いクエストは冒険者ギルドで受けられますよ。召喚士ギルドでもクエストをご紹介する事は出来ますが、報酬は決して高くありません……」
「やはり冒険者ギルドですか」
「はい。クエストの種類も豊富ですし、幻獣討伐などの高難易度のクエストもあるみたいです。それから素材の件ですが、我々のギルドには目ぼしい素材は少ないかと思います。以前、ギルドの経営が厳しくなった時に、価値ある魔物の素材を全て売ってしまったのです」
「そうだったんですね……」
「一つだけ幻魔獣の素材があるのですが、魔物の性格と経歴に問題がありまして……幻魔獣・デスという魔物なのですが」
アルベルトさんは随分と怯えた表情をしている。一体、どれだけ凶悪な魔物なのだろう? しかし、幻魔獣の素材は魅力的だ。強い仲間は多ければ多い方が良いからな。
「問題のある性格と経歴というのは……?」
「文献によれば、幻魔獣・デスは魔王の手下として魔王城内で召喚されたようです。それから、デスは召喚されてすぐに召喚士達を殺してしまったらしいのです。召喚士達を殺してからは、魔王城に居た魔物や、魔王討伐のために城を訪れていた勇者等を全て一人で消し去ってしまったそうです。デスの見境の無い殺戮に、魔王は激怒してデスを拷問にかけて殺してしまったのだとか。どこまでが本当の話なのかは分かりませんが……」
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