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第三章「魔王討伐編」
第百十一話「ゲルストナーの覚悟」
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〈ゲルストナー視点〉
そろそろ行動を始めるべきだろうか。潜伏生活を始めて十日が経った。食料を切り詰め、町を徘徊する幻獣や魔獣を倒すための作戦を練っているが、俺達だけで複数体の幻獣を相手に出来るとは思えない。
自分達が幻獣を倒している光景が全く想像出来ない。こちらには幻獣のユニコーン、幻魔獣のキングが居るが、ユニコーンは基本的に戦闘に参加しない。攻撃手段を持たない、回復魔法に特化した幻獣だ。キングは強力な攻撃魔法を使いこなす幻魔獣だが、戦い方は一撃必殺。膨大な魔力から作られた最強の魔法を作り出せるが、直ぐに魔力を使い果たしてしまう。
キングと幻獣が一対一で戦えば、間違いなくキングが勝つだろうが、敵が複数の場合は不利だ。魔力が枯渇してしまえば、俺達は幻獣を倒す手段を失う。キングの魔法だけが頼りだ。
それにしても、王国軍は何をしているんだ? 戦力不足にも程がある。魔王軍の魔物を駆逐する事すら出来ず、民を見捨てて逃げ出す者も居る。軍隊だとしても所詮は人間。命を懸けて民を守る事よりも、自分の命を優先して逃げ出す。幻獣相手に戦いを挑める者の方が異常だが、力の無い者を見捨てる人間にはなりたくないな。
どうにかしてこの状況を変えなければならない。サシャが居ればどうするだろうか。きっと自ら囮になり、街中を走り回って幻獣の注意を引く。敵を一箇所に集めてから、メテオストームを落とし、魔物の群れを蹴散らすだろう。そんな芸当はこの大陸でサシャ・ボリンガーにしか出来ない。
せめてもう一体、強力な召喚獣が居れば、幻獣を相手にしても対等にやりあえるかもしれない。キングの魔法は魔力の消費が多すぎる。魔法攻撃ではなく、力で敵をねじ伏せられる様な魔物が居れば良いだが。
二日前に、キングが町中でサンダーボルトを使い、サイクロプスを仕留めた。一つ目の魔物で、巨人族に分類されている。異常なまでに発達した筋肉に、獰猛な性格。とても並の冒険者が相手に出来る魔物では無いが、キングは魔法一発で敵の命を奪った。
サンダーボルトは一撃必殺の最強の攻撃魔法。しかし、魔法使用時の爆発音が大きすぎる。キングはサイクロプスを仕留めると、サイクロプスの目玉を回収して、急いで地下室に戻ってきた。
手元にあるのはサイクロプスの目玉だけだ。サシャなら、この素材から召喚して仲間を増やしただろうが、一人で幻獣を召喚出来る、天才的な召喚士など、サシャ以外には存在しない。絶望的だな……。
「ゲルストナー。地下に隠れ続けていても、いつかは魔王の手下に見つかるわ」
「確かにな。このまま町を捨てて逃げるしかないのだろうか」
「私は貴方達騎士団の判断に従うわ。どのみち、私一人では幻獣を相手にする事は出来ないのだから」
クラウディアは思い詰めた表情で俺を見つめた。王国から国防を任されているクラウディアでさえ、一人で幻獣を倒す事は不可能。高レベルの冒険者パーティーでも居ない限り、この状況を変える事は出来ないだろう。俺達がクラウディアに力を貸す事も出来るが、俺は仲間を死なせるつもりはない。
「ゲルストナー。逃げ出すにしても、早くした方がいいの」
「それはそうだな。しかし、民を守る騎士団としても、この町を捨てて逃げ出す事はいかがなものか……」
「それはそうですが、この状況ですから、無謀な戦いを挑むよりは逃げた方が良いのかもしれませんよ」
キングは決心した様な表情でサイクロプスの目玉を持った。
「ショウカン」
「え? サイクロプスを召喚するのか?」
「ウン……クリスタル」
キングはクリスタルに素材を渡すと、クリスタルは唖然とした表情でキングを見つめた。まさか、クリスタルが幻獣を召喚出来ると思っているのだろうか?
「ゲルストナー。幻獣を召喚するには、私達の魔力では足りないでしょう。アルテミシア城に行けたら、陛下や魔術師の力を借りられるかもしれません」
「避難している人達の魔力を全て借りれば、もしかすると幻獣を召喚出来るかもしれんな……」
悩み続けていても状況は変わらない。こちらには幻獣の素材があるんだ。サイクロプスが生まれれば、キングと協力して戦況を変えられるかもしれない。挑戦してみる価値はあるだろう。逃げずに戦うか……。
「私、師匠みたいに召喚出来るかな。もし失敗したら、貴重な魔力を失う事になる……」
「ダイジョウブ……キングイッショ」
「クリスタル。あたし達が付いているから大丈夫なの」
「そうですね……前向きに考える事にします。召喚を成功させるしかないのですから」
キングはクリスタルの肩を抱いた。騎士団でサシャの次に魔力が高いキングが召喚の際に魔力を注げば、幻獣をも召喚出来るかもしれない。それに、クリスタルとてサシャの弟子。旅の間に魔力を鍛え続けてきたのだ。クリスタルの召喚能力を信じるしかないだろう。
「俺達は今からアルテミシア城に向かう! 一人でも多くの市民を救助しながら、城内に逃げ込む。それからクリスタルを代表として幻獣のサイクロプスを召喚する! いいな!」
ここから城まではそう遠い距離ではない。俺達なら出来るだろう。そう信じて作戦を実行するしかない……。
そろそろ行動を始めるべきだろうか。潜伏生活を始めて十日が経った。食料を切り詰め、町を徘徊する幻獣や魔獣を倒すための作戦を練っているが、俺達だけで複数体の幻獣を相手に出来るとは思えない。
自分達が幻獣を倒している光景が全く想像出来ない。こちらには幻獣のユニコーン、幻魔獣のキングが居るが、ユニコーンは基本的に戦闘に参加しない。攻撃手段を持たない、回復魔法に特化した幻獣だ。キングは強力な攻撃魔法を使いこなす幻魔獣だが、戦い方は一撃必殺。膨大な魔力から作られた最強の魔法を作り出せるが、直ぐに魔力を使い果たしてしまう。
キングと幻獣が一対一で戦えば、間違いなくキングが勝つだろうが、敵が複数の場合は不利だ。魔力が枯渇してしまえば、俺達は幻獣を倒す手段を失う。キングの魔法だけが頼りだ。
それにしても、王国軍は何をしているんだ? 戦力不足にも程がある。魔王軍の魔物を駆逐する事すら出来ず、民を見捨てて逃げ出す者も居る。軍隊だとしても所詮は人間。命を懸けて民を守る事よりも、自分の命を優先して逃げ出す。幻獣相手に戦いを挑める者の方が異常だが、力の無い者を見捨てる人間にはなりたくないな。
どうにかしてこの状況を変えなければならない。サシャが居ればどうするだろうか。きっと自ら囮になり、街中を走り回って幻獣の注意を引く。敵を一箇所に集めてから、メテオストームを落とし、魔物の群れを蹴散らすだろう。そんな芸当はこの大陸でサシャ・ボリンガーにしか出来ない。
せめてもう一体、強力な召喚獣が居れば、幻獣を相手にしても対等にやりあえるかもしれない。キングの魔法は魔力の消費が多すぎる。魔法攻撃ではなく、力で敵をねじ伏せられる様な魔物が居れば良いだが。
二日前に、キングが町中でサンダーボルトを使い、サイクロプスを仕留めた。一つ目の魔物で、巨人族に分類されている。異常なまでに発達した筋肉に、獰猛な性格。とても並の冒険者が相手に出来る魔物では無いが、キングは魔法一発で敵の命を奪った。
サンダーボルトは一撃必殺の最強の攻撃魔法。しかし、魔法使用時の爆発音が大きすぎる。キングはサイクロプスを仕留めると、サイクロプスの目玉を回収して、急いで地下室に戻ってきた。
手元にあるのはサイクロプスの目玉だけだ。サシャなら、この素材から召喚して仲間を増やしただろうが、一人で幻獣を召喚出来る、天才的な召喚士など、サシャ以外には存在しない。絶望的だな……。
「ゲルストナー。地下に隠れ続けていても、いつかは魔王の手下に見つかるわ」
「確かにな。このまま町を捨てて逃げるしかないのだろうか」
「私は貴方達騎士団の判断に従うわ。どのみち、私一人では幻獣を相手にする事は出来ないのだから」
クラウディアは思い詰めた表情で俺を見つめた。王国から国防を任されているクラウディアでさえ、一人で幻獣を倒す事は不可能。高レベルの冒険者パーティーでも居ない限り、この状況を変える事は出来ないだろう。俺達がクラウディアに力を貸す事も出来るが、俺は仲間を死なせるつもりはない。
「ゲルストナー。逃げ出すにしても、早くした方がいいの」
「それはそうだな。しかし、民を守る騎士団としても、この町を捨てて逃げ出す事はいかがなものか……」
「それはそうですが、この状況ですから、無謀な戦いを挑むよりは逃げた方が良いのかもしれませんよ」
キングは決心した様な表情でサイクロプスの目玉を持った。
「ショウカン」
「え? サイクロプスを召喚するのか?」
「ウン……クリスタル」
キングはクリスタルに素材を渡すと、クリスタルは唖然とした表情でキングを見つめた。まさか、クリスタルが幻獣を召喚出来ると思っているのだろうか?
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「避難している人達の魔力を全て借りれば、もしかすると幻獣を召喚出来るかもしれんな……」
悩み続けていても状況は変わらない。こちらには幻獣の素材があるんだ。サイクロプスが生まれれば、キングと協力して戦況を変えられるかもしれない。挑戦してみる価値はあるだろう。逃げずに戦うか……。
「私、師匠みたいに召喚出来るかな。もし失敗したら、貴重な魔力を失う事になる……」
「ダイジョウブ……キングイッショ」
「クリスタル。あたし達が付いているから大丈夫なの」
「そうですね……前向きに考える事にします。召喚を成功させるしかないのですから」
キングはクリスタルの肩を抱いた。騎士団でサシャの次に魔力が高いキングが召喚の際に魔力を注げば、幻獣をも召喚出来るかもしれない。それに、クリスタルとてサシャの弟子。旅の間に魔力を鍛え続けてきたのだ。クリスタルの召喚能力を信じるしかないだろう。
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