召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第四章「騎士団編」

第百三十四話「報酬」

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 俺達はゲルストナー率いるアルテミシア防衛パーティーと無事に合流した。アルテミシア区に入ると、背の高い城壁に守られたアルテミシア城が見えた。城はこれといった損壊はなく、ほぼ無傷の様に見える。

 城の前に到着すると、一人の女性がゲルストナーに駆け寄ってきた。種族はエルフ族だろうか。人間よりも耳が長く、金髪で容姿の整った美しい女性だ。年齢は二十五歳ほどだろうか、クーデルカより少し年上に見える。だが、エルフ族は見た目の年齢と実年齢が比例しない。人間よりも遥かに長く生きる種族だ。

「サシャ、こちらは聖戦士のクラウディア・ファッシュだよ」

 聖戦士という事はヘルフリートの部下だろうか。ヘルフリートの死についても話さなければならないだろう。

「クラウディアさん、ボリンガー騎士団、団長。サシャ・ボリンガーです」

 俺が名前を名乗ると、クラウディアは嬉しそうに俺の手を取った。

「あなたが勇者様ね! 私の事はクラウディアと呼んで頂戴。国を救った勇者様にさん付けで呼ばれるほど身分は高くないのよ」
「分かりました。クラウディア! 少し二人で話したい事があるのですが……」

 俺はヘルフリートの死についてクラウディアにありのままの事実を伝えた。

「そう……彼とは短い間だけどパーティーを組んだ事もあったの。アルテミシアで最強の聖戦士だったわ。スケルトンキングに殺されたのね。わかりました、ヘルフリートの亡骸は王国が丁重に埋葬します」

 それから、俺はヘルフリートの遺品のであるタワーシールドを渡した。

「彼が使っていたシールドね。これは国王から授かったアイテムよ。国に返還しましょう」

 クラウディアはヘルフリートの死を知っても動揺はしなかった。話を聞くと、今回の戦いでクラウディア以外のアルテミシアを防衛していた三人の聖戦士は全て殺されたらしい。残る聖戦士はクラウディア一人という訳だ。

「勇者様。陛下がお呼びよ。早速参りましょう」
「勇者様だなんて……サシャでいいですよ」

 クラウディアはゲルストナーと共に騎士団のメンバーを守ってくれた。仲間の命の恩人だ。堅苦しい関係ではなく、もっと彼女の事を知りたいと思う。俺達はクラウディアに連れられてアルテミシア城に入城した。城には俺達の訪問を歓迎する国王軍の兵士が集まっていた。城の中に入ると、ゲルストナーは戦友を何人か紹介してくれた。

 紹介されたのは魔術師ギルドのギルドマスター。金髪の髪を長く伸ばし、目は青色で美男子だ。年齢はゲルストナーより少し若い位だろう。腰には短めのロッドを提げている。彼の体からは力強い魔力がほとばしっている。

 暗殺者ギルドのギルドマスター。三十代くらいだろうか、黒い髪を逆立てて、腰には短めのダガーを二本装備している。機動性を重視した軽装で、いかにも暗殺者と言った感じだ。この二人はアルテミシア防衛において、騎士団と共に戦ってくれた仲間らしい。俺達は二人に挨拶をすると、王の間に通された。

「ここが王の間よ、陛下は既にお待ちだわ」

 クラウディアが王の間の扉を開けると、王の間には立派な椅子に腰を掛ける国王が居た。年齢は四十代だろうか。立派な髭を蓄えて柔和な表情を浮かべている。クラウディアが王の間に入ると、国王はすぐに椅子から降りてこちらに駆け寄ってきた。

「勇者ボリンガー殿! 私はアルテミス王国国王、 バルトロメウス・ベルヴァルトだ!」

 国王は俺の前に立つや否や、片膝を折って跪いた。

「ボリンガー騎士団の活躍、勇者殿の活躍が無ければ、今頃アルテミシアは崩壊していた。この命はボリンガー騎士団によって救われた。アルテミシアの市民も……冒険者も……感謝する」

 国王は涙を流しながら微笑んだ。俺は大粒の涙を流す国王の手を取って立たせた。

「情けない姿を見せたな。私は王ではあるが、まだ王になって日が浅い……言い訳になるかもしれないが、アルテミス王国の国防は聖戦士や王国で活動していたギルドに任せ切りだった。我が王国がこれ程までに無力だったとは思わなかった……ボリンガー騎士団の団員には心から感謝している……」
「アルテミス王国が魔王に支配されずに済んだのも、冒険者や市民、それに王国軍が力を合わせて戦ったからだと思います。一介の冒険者である私達が、今回の戦いにおいて、少しでも国の役に立てたのなら嬉しい限りです……」
「一介の冒険者とは、勇者ともあろうお方が……これ程までに謙虚な者が国を救い、魔王を討伐した事は喜ぶべき事だな。さて、堅苦しい話ここまでにしようではないか。ボリンガー騎士団の団員には、今回の活躍の報酬を与える。大広間に移動しよう」

 報酬か……。一体何を貰えるんだろう。報酬を目当てに魔王を倒した訳ではないが、これまでの行いが認められ、報酬を頂けるのは嬉しい限りだ。俺達は国王や大臣の後に続き、大広間に移動した。

 大広間には正装をした王国軍の兵士が直立不動の姿勢で立っていた。俺達騎士団の団員が横一列に整列すると、国王陛下は俺達の前に立ち、懐から羊皮紙を取り出した。今回の報酬の内容が書かれている羊皮紙だろうか。羊皮紙に目を落とすと、国王は大広間に響き渡る程の声で読み上げた。

「まずはゲルストナー・ブラック殿。今回の魔王軍との戦いにおいて、市民を救出し、冒険者と国王軍の兵士に的確な指示をし、アルテミシアの被害を最小限に留めた。貴殿の英雄的な行いに敬意を表し、『聖戦士』としての地位を授ける!」

 ゲルストナーは国王の言葉を聞いて鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしている。

「次に、幻魔獣のスケルトンキング殿。召喚獣であるにも関わらず、自らの意思で市民の救済を行い、魔王軍との戦いにおいては常に最前線で戦い続けた。貴殿の行いに敬意を表し、ここに『賢者』の称号を与える!」

 キングは国王に対して跪き、右手を心臓の位置に当てている。

「アイリーン・チェンバーズ殿。貴殿は今回の魔王軍と戦いにおいて、率先して魔王軍の軍勢と戦い、見事アルテミシアから魔王軍を撤退させた。貴殿の英雄的な行いに敬意を表し、ここに『聖戦士』の地位を与える!」

 アイリーンは嬉しそうに尻尾を振っている。魔王軍の軍勢とアイリーンの戦い方は、その場に居なくても容易に想像できる。きっとアイリーンは敵に気づかれる前に一撃で敵の脳天に槍を突き立てて倒したに違いない。隠密行動でアイリーンの右に出る者は居ない。

「クリスタル・ニコルズ殿、貴殿は召喚士見習いでありながら、市民や冒険者達と協力して幻獣を召喚し、的確な指示でサイクロプスやユニコーンを操り、市民の救出、負傷者の手当てを行い続けた。その努力に対し敬意を表し、ここに『大召喚士』の称号を与える!」

 クリスタルは大召喚士の称号を得て心から喜んでいる様だ。大粒の涙を目に浮かべながら、嬉しそうに微笑んでいる。

「勇者、サシャ・ボリンガー殿。この度の魔王との戦において、自ら魔王の討伐に赴き、仲間と協力して見事魔王を討ち取った。貴殿の英雄とも言える行いは、大陸全土に希望の光をもたらした。貴殿のこの度の活躍に対して最大限の敬意を表し、ここに『アルテミスの勇者』の称号を与える!」

 国王からの報酬と称号の授与は全てのボリンガー騎士団のメンバーに対して行われた。ルナは『聖戦士』に任命され、クーデルカとシャーロットは『大魔術師』の称号を得た。シルフは『大精霊』の称号を、ワイバーンは『勇者ボリンガーの飛竜』の称号、ユニコーンは『勇者ボリンガーの一角獣』の称号を得た。ガーゴイルとサイクロプスは『大召喚士ニコルズの守護者』としての称号を得た。

 称号と地位以外の報酬として、アルテミス大陸内の土地を頂いた。ゲルストナーが予め、ボリンガー騎士団が拠点地を探して居る事を国王に伝えておいてくれたらしい。

 それから、武器の製造や強力なエンチャントなどの必要な鉱石や宝石。『オリハルコンのインゴット』『白銀のインゴット』『金のインゴット』『銀のインゴット』『ミスリルのインゴット』。その他、ありとあらゆる宝石が詰め込まれた宝箱が3箱。金貨が詰まった宝箱が十箱。数えきれない程の金貨が宝箱からキラキラと光輝いている。こんなに貰っていいのだろうか。ありがたく頂こう。俺達の報酬の授与が終わると、国王は気を利かせて大広間で宴を開いてくれた。
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