161 / 188
第四章「騎士団編」
第百六十話「本拠地づくりのために」
しおりを挟む
エミリアが無事にマジックシールドを覚えたところで、俺は次の魔法を教える事にした。ファイアだ。小さな炎を手の中で起こす魔法。火属性の基本的な魔法。
「エミリア、マジックシールドは暇がある時に常に練習する事! 次に教える魔法は攻撃魔法だよ。火と炎の魔法の中でも最も簡単な魔法、ファイアを教える事にする」
俺は今回も口で説明するよりはまず実演する事にした。
『ファイア!』
俺が右手を出して魔法を唱えると、右手の上には小さな炎が発生した。
「これがファイアだよ。エミリア、君ならこの魔法をどう使う?」
エミリアは俺の作り出した炎を見て嬉しそうに目を輝かせている。
「炎を当てて攻撃かな? それとも炎で盾を作る!」
なかなか魔法に対して理解がある様だ。エミリアの回答はどちらも正解。
「エミリア、正解だよ。炎を盾にする事も出来るし、炎で攻撃する事も出来る。まずはやってみようか。杖を出してごらん」
エミリアは業火の杖をベルトから引き抜いて杖を構えた。
「その杖は炎の魔力を高める効果がある杖だよ。炎の魔法に特化した杖だから魔力を杖に込めるだけでも炎を作り出せるはずだよ」
俺がアドバイスをすると、エミリアは杖の先端に魔力を集中させた。
『ファイア!』
エミリアが自分の魔力を杖に込めると、杖の先端のブルーサファイアは小さな炎に包まれた。
「サシャ! 出来たよ! 炎が出た!」
杖の力を借りたと言っても、一発で炎を作り出すとは……。エミリアはかなり魔法のセンスが良い。いや、炎と相性が良いといった方が良いだろうか。
「更に魔力を込めてごらん」
だが、エミリアが作り出した炎は余りにも弱弱しく、敵に対して使えるような炎ではない。まずは炎の威力を強める感覚を身に着ける事が大切だ。エミリアの潜在能力なら簡単に炎を使うこなせるようになるだろう。
エミリアは右手で持った杖に更に魔力を込めた。すると、杖の先からは炎が激しく燃えた。一瞬だが強い炎を発した後、炎はすぐに燃え尽きた。
「今のはなかなかの威力だったね。何度も練習してごらん」
俺はしばらくエミリアに自由に練習をさせる事にした。俺自身も自分の魔法の開発や今後の事を考えたかったからだ。今考えなければならない事は、主に復興が終わった後の事だ。
まず本拠地を作るための建築士を探す必要がある。それから本拠地での産業等も考える必要がある。広い土地に家を建てて完成と言う訳にもいかない。せっかく土地が有るなら、観光客や冒険者が訪れるような町を作りたい。観光者や冒険者が訪れるとなると、何らかの店は必要だろう。やはりゲルストナーにもう一度店を開いてもらった方が良いだろうか?
というか、今のボリンガー騎士団はアルテミシアではかなりの知名度があるから、俺達が町を作ると言えば、出店したい者はいくらでも集まるのではないだろうか? 町の商業面ついては詳しく考える必要があるな。
それから、町での食料の栽培。基本的には自給自足。町で暮らす者の食料は町で作りたい。町で暮らす「者」と表現するのは、人間以外にも様々な種族に住んで欲しいからだ。獣人、魔族、召喚獣に野生の魔物。
もし、俺達の町に移住したい者がいるなら、自由に土地を与えて食料を栽培させるのもいいかもしれない。今回の魔王軍との戦いで家や仕事を失った人達を俺達の町で受け入れれば一石二鳥ではないだろうか。大臣か陛下に相談して、騎士団の本拠地に移住したい市民を募集しよう。資金なら十分すぎる程ある。お金の面で困る事は無いだろう。
それから町の施設だ。農作物の畑と店だけあっても本拠地とは言えない。騎士団を象徴とする建物が無ければならないだろう。実はこれには考えがある。「ボリンガー騎士団の冒険者ギルド」だ。通常の冒険者ギルドの強化版。
通常の冒険者ギルドではクエストは自由に冒険者達がこなす事が出来るが、「ボリンガー騎士団の冒険者ギルド」では、ボリンガー騎士団のメンバーに対してクエストを依頼する事が出来る。これなら俺達に仕事を頼みたい人達が町を訪れるに違いない。
俺達は今回の魔王討伐以来、かなりの知名度と地位を得た。きっと騎士団にクエストを依頼したい冒険者や国などが存在するに違いない。よし……。冒険者ギルドを作ろう。俺は今日考えた内容についてまとめる事にした。
『ボリンガー騎士団、本拠地について』
1.アルテミス王国市民の受け入れ。(魔王軍の襲撃で家を失くした者には無償で家を与える。新しい環境で生活したいと思う人も多いだろう)
2.市民が住む家を建てる。
3.農作物について考える。(特産品になるような物を探す)
4.有能な建築士を探す。(なるべくすぐに。王国の復興と平行して本拠地作りの計画をしたい)
5.ボリンガー騎士団の冒険者ギルドをはじめ、服や雑貨、武器屋、食料品店等、生活に必要な施設を建てる。
こんな所でいいだろう。今日俺がしなければならない事は、エミリアとの授業を終えてからエイブラハムからマントを受け取る事。それから本拠地作りについて行動を始める前に、事前に国王から貰った土地の確認をしたい。今日もやる事は多いな……。俺が考え事をしていると急にシャーロットの声が聞こえた。
『デスサイズ!』
敵か? 急いでシャーロット達を探すと、シルフとシャーロットは楽しそうにシュルスクの木から果実を採っていた。おいおい……。シュルスクを採るために大鎌を飛ばすなんて。エミリアは魔法で作り出した大鎌を自由自在に扱うシャーロットに尊敬の眼差しを向けている。
「サシャ! 沢山採れたよ!」
シルフとシャーロットは両手一杯に美味しそうなシュルスクを持っていた。そんなに採ってどうするのだろうか? エミリアの方を見てみると魔力を使いすぎたのか、少し疲れている様子だ。今日はここまでにしよう。
消費した魔力を回復させる事も覚えさせたい。もし、今が冒険中だとしたら魔力を使い切ってしまう事は命取りだからな。いつ魔力を使って、いつ回復させるか。戦闘において魔力の配分は重要だ。
「エミリア、今日はここまでにしようか」
「そうだね! ちょっと疲れちゃったし。サシャ! パイを食べましょう!」
そうだ、エミリアはパイと言う食べ物を持って来てくれていた。一体どんな食べ物なのだろうか……。
「これがパイよ。サクサクした生地で美味しいんだ。作り方は知らないんだけどね。中には昨日収穫したシュルスクが入っているんだよ」
パイは通常のパンとは生地が違う様だ。俺はエミリアからパイを受け取って食べてみると、中にはぎっしりとシュルスクが入っていた。口の中でシュルスクの甘味とみずみずしさが広がり、パイ特有のサクサクした触感の生地がとても美味しい。こんな食べ物が存在していたとは……。もしかしてこれはエミリアのような王族だけが食べられるような高級な食べ物なのではないだろうか?
「エミリア、パイって美味しいね。シュルスクの味もとても美味しいよ」
「そうでしょう? 料理長が作ってくれたの。今頃お父様もお昼のデザートとしてパイを食べているはずよ。サシャが持ってきてくれたシュルスクだって伝えておいたからね。お父様、美味しいパイには目が無いのよ」
パイがこんなに美味しいとは……。他の仲間にも食べさせてあげたい。シルフとシャーロットが収穫したシュルスクを持ち帰って料理長にもう一度パイを作ってもらおう。それからシュルスクの果実の中に入っている種は魔力を回復するポーションの原料としても使えるらしい。新しい本拠地にシュルスクを植えるのも良いかもしれない。シュルスクの木は新しい町のシンボルになるかもしれない。
俺達は美味しいパイを食べた後、皆でシュルスクを収穫した。この場所にはいくら採っても採り切れない程のシュルスクの果実が生っている。俺達はしばらく収穫を楽しむと、戻ってきたワイバーンに乗ってアルテミス王国に戻った。
「エミリア、マジックシールドは暇がある時に常に練習する事! 次に教える魔法は攻撃魔法だよ。火と炎の魔法の中でも最も簡単な魔法、ファイアを教える事にする」
俺は今回も口で説明するよりはまず実演する事にした。
『ファイア!』
俺が右手を出して魔法を唱えると、右手の上には小さな炎が発生した。
「これがファイアだよ。エミリア、君ならこの魔法をどう使う?」
エミリアは俺の作り出した炎を見て嬉しそうに目を輝かせている。
「炎を当てて攻撃かな? それとも炎で盾を作る!」
なかなか魔法に対して理解がある様だ。エミリアの回答はどちらも正解。
「エミリア、正解だよ。炎を盾にする事も出来るし、炎で攻撃する事も出来る。まずはやってみようか。杖を出してごらん」
エミリアは業火の杖をベルトから引き抜いて杖を構えた。
「その杖は炎の魔力を高める効果がある杖だよ。炎の魔法に特化した杖だから魔力を杖に込めるだけでも炎を作り出せるはずだよ」
俺がアドバイスをすると、エミリアは杖の先端に魔力を集中させた。
『ファイア!』
エミリアが自分の魔力を杖に込めると、杖の先端のブルーサファイアは小さな炎に包まれた。
「サシャ! 出来たよ! 炎が出た!」
杖の力を借りたと言っても、一発で炎を作り出すとは……。エミリアはかなり魔法のセンスが良い。いや、炎と相性が良いといった方が良いだろうか。
「更に魔力を込めてごらん」
だが、エミリアが作り出した炎は余りにも弱弱しく、敵に対して使えるような炎ではない。まずは炎の威力を強める感覚を身に着ける事が大切だ。エミリアの潜在能力なら簡単に炎を使うこなせるようになるだろう。
エミリアは右手で持った杖に更に魔力を込めた。すると、杖の先からは炎が激しく燃えた。一瞬だが強い炎を発した後、炎はすぐに燃え尽きた。
「今のはなかなかの威力だったね。何度も練習してごらん」
俺はしばらくエミリアに自由に練習をさせる事にした。俺自身も自分の魔法の開発や今後の事を考えたかったからだ。今考えなければならない事は、主に復興が終わった後の事だ。
まず本拠地を作るための建築士を探す必要がある。それから本拠地での産業等も考える必要がある。広い土地に家を建てて完成と言う訳にもいかない。せっかく土地が有るなら、観光客や冒険者が訪れるような町を作りたい。観光者や冒険者が訪れるとなると、何らかの店は必要だろう。やはりゲルストナーにもう一度店を開いてもらった方が良いだろうか?
というか、今のボリンガー騎士団はアルテミシアではかなりの知名度があるから、俺達が町を作ると言えば、出店したい者はいくらでも集まるのではないだろうか? 町の商業面ついては詳しく考える必要があるな。
それから、町での食料の栽培。基本的には自給自足。町で暮らす者の食料は町で作りたい。町で暮らす「者」と表現するのは、人間以外にも様々な種族に住んで欲しいからだ。獣人、魔族、召喚獣に野生の魔物。
もし、俺達の町に移住したい者がいるなら、自由に土地を与えて食料を栽培させるのもいいかもしれない。今回の魔王軍との戦いで家や仕事を失った人達を俺達の町で受け入れれば一石二鳥ではないだろうか。大臣か陛下に相談して、騎士団の本拠地に移住したい市民を募集しよう。資金なら十分すぎる程ある。お金の面で困る事は無いだろう。
それから町の施設だ。農作物の畑と店だけあっても本拠地とは言えない。騎士団を象徴とする建物が無ければならないだろう。実はこれには考えがある。「ボリンガー騎士団の冒険者ギルド」だ。通常の冒険者ギルドの強化版。
通常の冒険者ギルドではクエストは自由に冒険者達がこなす事が出来るが、「ボリンガー騎士団の冒険者ギルド」では、ボリンガー騎士団のメンバーに対してクエストを依頼する事が出来る。これなら俺達に仕事を頼みたい人達が町を訪れるに違いない。
俺達は今回の魔王討伐以来、かなりの知名度と地位を得た。きっと騎士団にクエストを依頼したい冒険者や国などが存在するに違いない。よし……。冒険者ギルドを作ろう。俺は今日考えた内容についてまとめる事にした。
『ボリンガー騎士団、本拠地について』
1.アルテミス王国市民の受け入れ。(魔王軍の襲撃で家を失くした者には無償で家を与える。新しい環境で生活したいと思う人も多いだろう)
2.市民が住む家を建てる。
3.農作物について考える。(特産品になるような物を探す)
4.有能な建築士を探す。(なるべくすぐに。王国の復興と平行して本拠地作りの計画をしたい)
5.ボリンガー騎士団の冒険者ギルドをはじめ、服や雑貨、武器屋、食料品店等、生活に必要な施設を建てる。
こんな所でいいだろう。今日俺がしなければならない事は、エミリアとの授業を終えてからエイブラハムからマントを受け取る事。それから本拠地作りについて行動を始める前に、事前に国王から貰った土地の確認をしたい。今日もやる事は多いな……。俺が考え事をしていると急にシャーロットの声が聞こえた。
『デスサイズ!』
敵か? 急いでシャーロット達を探すと、シルフとシャーロットは楽しそうにシュルスクの木から果実を採っていた。おいおい……。シュルスクを採るために大鎌を飛ばすなんて。エミリアは魔法で作り出した大鎌を自由自在に扱うシャーロットに尊敬の眼差しを向けている。
「サシャ! 沢山採れたよ!」
シルフとシャーロットは両手一杯に美味しそうなシュルスクを持っていた。そんなに採ってどうするのだろうか? エミリアの方を見てみると魔力を使いすぎたのか、少し疲れている様子だ。今日はここまでにしよう。
消費した魔力を回復させる事も覚えさせたい。もし、今が冒険中だとしたら魔力を使い切ってしまう事は命取りだからな。いつ魔力を使って、いつ回復させるか。戦闘において魔力の配分は重要だ。
「エミリア、今日はここまでにしようか」
「そうだね! ちょっと疲れちゃったし。サシャ! パイを食べましょう!」
そうだ、エミリアはパイと言う食べ物を持って来てくれていた。一体どんな食べ物なのだろうか……。
「これがパイよ。サクサクした生地で美味しいんだ。作り方は知らないんだけどね。中には昨日収穫したシュルスクが入っているんだよ」
パイは通常のパンとは生地が違う様だ。俺はエミリアからパイを受け取って食べてみると、中にはぎっしりとシュルスクが入っていた。口の中でシュルスクの甘味とみずみずしさが広がり、パイ特有のサクサクした触感の生地がとても美味しい。こんな食べ物が存在していたとは……。もしかしてこれはエミリアのような王族だけが食べられるような高級な食べ物なのではないだろうか?
「エミリア、パイって美味しいね。シュルスクの味もとても美味しいよ」
「そうでしょう? 料理長が作ってくれたの。今頃お父様もお昼のデザートとしてパイを食べているはずよ。サシャが持ってきてくれたシュルスクだって伝えておいたからね。お父様、美味しいパイには目が無いのよ」
パイがこんなに美味しいとは……。他の仲間にも食べさせてあげたい。シルフとシャーロットが収穫したシュルスクを持ち帰って料理長にもう一度パイを作ってもらおう。それからシュルスクの果実の中に入っている種は魔力を回復するポーションの原料としても使えるらしい。新しい本拠地にシュルスクを植えるのも良いかもしれない。シュルスクの木は新しい町のシンボルになるかもしれない。
俺達は美味しいパイを食べた後、皆でシュルスクを収穫した。この場所にはいくら採っても採り切れない程のシュルスクの果実が生っている。俺達はしばらく収穫を楽しむと、戻ってきたワイバーンに乗ってアルテミス王国に戻った。
1
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる