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第一章「冒険者編」
第八話「モンスター娘」
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夕食は大きな堅焼きパンが二つに乾燥肉の塊、それからチーズがひとかけらだ。一日中モンスターと戦ったから、すっかりお腹が減ってしまった。俺はローラをソファに座らせて、彼女の隣に腰を掛けた。小さなソファに二人で座っているからか、ローラの肩が俺の肩に触れ、ローラは楽しそうに俺を見上げている。
ゴールデンスライムとしてこの世に生を受けたローラは、見る物全てが新鮮なのだろう。今は堅焼きパンが気になる様だ。森で食べた堅焼きパンの味が忘れられなかったのか、ローラは小さな手で顔よりも大きな堅焼きパンを持つと、おもむろに齧り付いた。
あっと言う間に大きな堅焼きパンを平らげると、それからチーズを手に取った。ローラは暫くチーズを不思議そうに眺めたあと、口に放り込んだ。それから風味を味わうと、殆ど噛まずに飲み込んでしまった。
「ローラ。人間の体になったんだから、食べ物は噛んで食べるんだよ」
「そうなの? わかった!」
「乾燥肉も食べるんだよ」
俺は乾燥肉をスライスしてローラに渡すと、ローラは乾燥肉を大切そうにゆっくりと食べ始めた。俺は堅焼きパンを半分に裂き、まだまだ食べ足りない様子のローラに渡した。
「食べても良いの?」
「ああ。食べ足りないんだろう?」
「ありがとう! ギルベルト大好き!」
ローラは堅焼きパンを小さく裂き、ゆっくりと噛んで食べる事を学んだのか、時間を掛けて大切そうに堅焼きパンを食べ始めた。俺はそんなローラの姿を見ているだけで、何だか無性に幸せを感じるのだ。自分の手で救ったゴールデンスライムが、今こうして人間として生きている。自分の力でローラを守っているという事実が、俺の冒険者としての気持ちを高ぶらせているのだろう。
『ローラばっかり美味しそうだな……』
「ガチャも食事をするのかい?」
『大抵の物は食べられるよ。だってあんなに硬い魔石だって体内に取り込めるんだよ? ギルベルト、僕の中に乾燥肉を入れてよ』
指環が優しく輝くと、目の前の空間にガチャが現れた。初めて出会った時よりも体格は良くなり、所々綺麗な宝石で装飾が施されている。二つの石が前方に付いており、まるで人間の顔の様に見える。
『さぁ、ここに入れるんだ』
ガチャの中央に開く穴に乾燥肉を入れると、ガチャはゆっくりと味わいながら乾燥肉を食べ始めた。ガチャの体が優しく輝くと、次の瞬間、箱の下部から二本の足が生えたのだ。それから暫くして箱の側面から二本の手が生えると、まるで人間の様に二本の足で歩き、自分の手で乾燥肉を裂いて食べ始めた。
「やっと歩ける様になったよ」
「え……? 声が普通に聞こえる!」
「ああ。今までは念話をしていたけど、僕自身が強化されたから、会話も出来る様になったんだね。それに、こうして自分の足で歩ける様になった。それでも僕はガチャだから冒険の手伝いは出来ないけどね」
「ギルベルト! ガチャが歩いてるよ!」
「信じられないよ……。何が起こっているのか理解が追いつかない……」
「僕だって理解出来ないよ。僕の生みの親のジェラルドが言っていたけど、僕は魔石の力で進化出来る仕組みになっているらしい。それに、ギルベルトがゴールデンスライムを封印したからか、僕の体内にはゴールデンスライムの持つ魔力が流れている」
「聖属性の魔力という訳かい?」
「多分。だからマナポーション製造機の様な、強い聖属性を持つ特殊なマジックアイテムを作れたんだと思うよ」
モンスターを封印し、魔石を使ってガチャを強化すれば、カプセルのレア率も上がり、より強い力を持つマジックアイテムを入手出来るという訳だ。明日は更に多くの魔石を入手し、ガチャを回さなければならないな。
「食事も済んだし、僕は指環に戻る事にするよ」
ガチャはヨチヨチと歩いて俺の膝の上によじ登ると、ガチャの体が輝いた。一瞬で指環に姿を変えると、俺は錬金術師の指環を嵌めた。モンスターを封印すれば、ガチャはモンスターが持つ属性を得られるのだろう。マナポーションはシュルスクの果実に聖属性の魔霊を込めて煮込んだ物。ガチャ自身が聖属性の使い手になったから、作り出せるマジックアイテムが変化したと推測出来る。
『僕は元々全ての属性を体内に秘めているんだけど、封印したモンスターの属性に対応して、マジックアイテムがより高位な物に変わっている気がするんだ』
「全属性の使い手という訳か……」
『そういう事だよ。人間が魔法を使い続ければ属性を強化出来る様に、僕自身も封印したモンスターの魔力を頂いて更に強くなれるんだ』
様々な属性のモンスターを封印してガチャを強化すれば、より強い効果を持つマジックアイテムが出やすくなると言う訳だ。
「乾燥肉美味しかった! ギルベルト、明日も堅焼きパンと乾燥肉が食べたい!」
「ああ。明日も食べさせてあげるからね」
「うん。沢山食べたら眠くなっちゃった……」
「寝る前に着替えるんだよ。レザーメイルのままだと眠れないだろう?」
「着替え……?」
俺はローラの体を見ないようにレザーメイルを脱がせ、ホワイトベアの着ぐるみを着させた。レザーメイルを着たまま眠るよりはマシだろう。ローラは着ぐるみがすっかり気にいったのか、満面の笑みを浮かべてベッドに倒れ込んだ。
俺は荷物の整理をしてから、ローラの隣に横になった。ローラは幸せそうに眠りながら、俺の手を握っている。俺はそんなローラの頭を撫でると、彼女は可愛らしい笑みを浮かべた。ゴールデンスライムが人間になるとローラの様な美少女になるんだな。もし、ゴブリンが人間化したなら、一体どんな容姿の人間になるのだろうか。
『まぁ、ゴブリンがギルベルトを気に入る事はないと思うから、実際に試す事は出来ないだろうね』
「俺と波長が合わないという意味かい?」
『そういう事。大抵のゴブリンは人間を襲うだろう? 基本的に、人間を襲う悪質なモンスターを封印する事は出来ないんだよ』
「善良なモンスターを見つけて封印すれば良いという訳だね」
『モンスターから虐められたり、生きづらい思いをしているモンスターなら、喜んで封印されると思うよ』
「早く新たなモンスターと出会いたいよ」
『焦らずにゆっくり生きるんだよ。ギルベルトがモンスターに殺されたら僕はまた一人になってしまうからね……』
それから俺は暫く目を瞑っていると、猛烈な眠気に襲われて、ローラを抱きしめながら眠りに就いた……。
朝から裸のローラが俺の上に覆い被さっている。ゴールデンスライムとして生まれたローラは服を着る習慣が無かったからだろう、ホワイトベアの着ぐるみを脱いだローラの美しい裸体が俺の体に触れている。
彼女の豊かな胸が俺の顔に当たった。驚くほど柔らかくて暖かい。朝からこんなに幸せな思いが出来るなんて、やはり冒険者になったのは正解だった様だ。俺はローラの体を見ない様にローラを引き離すと、彼女の体にタオルを巻いた。まずはローラの普段着を買わなければならないな。
「おはよう、ギルベルト!」
「おはよう、ローラ。随分早くに起きたんだね」
「うん! ギルベルトと遊びたかったから!」
俺は小さなローラの頭を撫でると、彼女は満面の笑みを浮かべた。ガチャも言っていた様に、魔物は好きなものは好きとはっきり言うのだな。こんなに自分の感情を素直に表現する相手と出会った事が無いから、時折、ローラとどう接して良いのか分からなくなる。
「まずはシャルロッテと合流してから服を買いに行こうか」
「服を買ってくれるの?」
「ああ。レザーメイル以外にも普段着る服が必要だろう?」
「やった……!」
ローラは小さく飛び上がって喜ぶと、彼女の豊かな胸が大きく揺れた。相手はモンスターだというのにも拘らず、ローラの胸に視線が行ってしまう自分が嫌いになりそうだ。
『素直になりなよ、ギルベルト。モンスターみたいに本能に任せて生きれば良いのさ! ギルベルトはローラが好きなんだろう?』
「勿論。俺はローラが好きだよ」
『これからも沢山のモンスターを封印し、人間になったモンスターと共に暮らす事になると思うけど、気がない相手に優しくし過ぎたらだめだよ。ジェラルドが言っていたけど、モンスターは恩を受けた人間に惚れやすいんだってさ』
「錬金術師のジェラルドさんって、随分モンスターに詳しいんだね」
『ああ。モンスターが好きすぎて、彼は人間化したモンスター娘と重婚したんだよ。全く凄い男だろう?』
世の中には特殊な好みを持つ人間が居るんだな。錬金術師、ジェラルド・ベルギウスか。魔石ガチャの様なマジックアイテムを作り出せる圧倒的な天才ではあるが、大の女好きらしい。それも、元々モンスターだったモンスター娘以外は眼中にないのだとか。
人間化した元モンスターをモンスター娘と呼ぶ理由が分からないので、俺はガチャに聞いてみると、モンスターが封印される際に、モンスターの体を残して人間化される事が多いのだとか。
『例えばドラゴンを封印したらドラゴンの角や尻尾が付いた人間が生まれたりするんだよ。ジェラルドはドラゴン娘とも結婚したんだ!』
「ジェラルドさんって本当に凄い方なんだね。だけど、人間に敵意を向けないドラゴンなんて居るのかい?」
『聖属性のホワイトドラゴンは人間を襲わないんだよ。ギルベルト、全てのモンスターが人間を襲うという訳ではないんだ。例え人間を襲う悪質なモンスターだとしても、ギルベルトの事を受け入れてくれる可能性だってあるんだよ』
「どんなモンスターも仲間になる可能性があるという訳かい?」
『そういう事だよ』
「しかし、人間化したモンスターをモンスター娘と呼ぶのはどうしてだい? 雄のモンスターも居るのだろう?」
『錬金術師の指環によってモンスターを封印すると、使用者と反対の性別の人間が生まれるんだ。ギルベルトが男だから女のモンスター娘が生まれるという訳』
「そういう事か……」
それから暫くガチャと他愛のない会話をし、荷物をマジックバッグに仕舞ってから、ローラにレザーメイルを着させた。レザーメイルの胸の部分がはちきれそうになっており、ローラは少しきついと言ったが、新しい服を買うまでは我慢して貰おう。
それからローラは楽しそうに俺の手を握ると、俺達はシャルロッテと合流する事にした……。
ゴールデンスライムとしてこの世に生を受けたローラは、見る物全てが新鮮なのだろう。今は堅焼きパンが気になる様だ。森で食べた堅焼きパンの味が忘れられなかったのか、ローラは小さな手で顔よりも大きな堅焼きパンを持つと、おもむろに齧り付いた。
あっと言う間に大きな堅焼きパンを平らげると、それからチーズを手に取った。ローラは暫くチーズを不思議そうに眺めたあと、口に放り込んだ。それから風味を味わうと、殆ど噛まずに飲み込んでしまった。
「ローラ。人間の体になったんだから、食べ物は噛んで食べるんだよ」
「そうなの? わかった!」
「乾燥肉も食べるんだよ」
俺は乾燥肉をスライスしてローラに渡すと、ローラは乾燥肉を大切そうにゆっくりと食べ始めた。俺は堅焼きパンを半分に裂き、まだまだ食べ足りない様子のローラに渡した。
「食べても良いの?」
「ああ。食べ足りないんだろう?」
「ありがとう! ギルベルト大好き!」
ローラは堅焼きパンを小さく裂き、ゆっくりと噛んで食べる事を学んだのか、時間を掛けて大切そうに堅焼きパンを食べ始めた。俺はそんなローラの姿を見ているだけで、何だか無性に幸せを感じるのだ。自分の手で救ったゴールデンスライムが、今こうして人間として生きている。自分の力でローラを守っているという事実が、俺の冒険者としての気持ちを高ぶらせているのだろう。
『ローラばっかり美味しそうだな……』
「ガチャも食事をするのかい?」
『大抵の物は食べられるよ。だってあんなに硬い魔石だって体内に取り込めるんだよ? ギルベルト、僕の中に乾燥肉を入れてよ』
指環が優しく輝くと、目の前の空間にガチャが現れた。初めて出会った時よりも体格は良くなり、所々綺麗な宝石で装飾が施されている。二つの石が前方に付いており、まるで人間の顔の様に見える。
『さぁ、ここに入れるんだ』
ガチャの中央に開く穴に乾燥肉を入れると、ガチャはゆっくりと味わいながら乾燥肉を食べ始めた。ガチャの体が優しく輝くと、次の瞬間、箱の下部から二本の足が生えたのだ。それから暫くして箱の側面から二本の手が生えると、まるで人間の様に二本の足で歩き、自分の手で乾燥肉を裂いて食べ始めた。
「やっと歩ける様になったよ」
「え……? 声が普通に聞こえる!」
「ああ。今までは念話をしていたけど、僕自身が強化されたから、会話も出来る様になったんだね。それに、こうして自分の足で歩ける様になった。それでも僕はガチャだから冒険の手伝いは出来ないけどね」
「ギルベルト! ガチャが歩いてるよ!」
「信じられないよ……。何が起こっているのか理解が追いつかない……」
「僕だって理解出来ないよ。僕の生みの親のジェラルドが言っていたけど、僕は魔石の力で進化出来る仕組みになっているらしい。それに、ギルベルトがゴールデンスライムを封印したからか、僕の体内にはゴールデンスライムの持つ魔力が流れている」
「聖属性の魔力という訳かい?」
「多分。だからマナポーション製造機の様な、強い聖属性を持つ特殊なマジックアイテムを作れたんだと思うよ」
モンスターを封印し、魔石を使ってガチャを強化すれば、カプセルのレア率も上がり、より強い力を持つマジックアイテムを入手出来るという訳だ。明日は更に多くの魔石を入手し、ガチャを回さなければならないな。
「食事も済んだし、僕は指環に戻る事にするよ」
ガチャはヨチヨチと歩いて俺の膝の上によじ登ると、ガチャの体が輝いた。一瞬で指環に姿を変えると、俺は錬金術師の指環を嵌めた。モンスターを封印すれば、ガチャはモンスターが持つ属性を得られるのだろう。マナポーションはシュルスクの果実に聖属性の魔霊を込めて煮込んだ物。ガチャ自身が聖属性の使い手になったから、作り出せるマジックアイテムが変化したと推測出来る。
『僕は元々全ての属性を体内に秘めているんだけど、封印したモンスターの属性に対応して、マジックアイテムがより高位な物に変わっている気がするんだ』
「全属性の使い手という訳か……」
『そういう事だよ。人間が魔法を使い続ければ属性を強化出来る様に、僕自身も封印したモンスターの魔力を頂いて更に強くなれるんだ』
様々な属性のモンスターを封印してガチャを強化すれば、より強い効果を持つマジックアイテムが出やすくなると言う訳だ。
「乾燥肉美味しかった! ギルベルト、明日も堅焼きパンと乾燥肉が食べたい!」
「ああ。明日も食べさせてあげるからね」
「うん。沢山食べたら眠くなっちゃった……」
「寝る前に着替えるんだよ。レザーメイルのままだと眠れないだろう?」
「着替え……?」
俺はローラの体を見ないようにレザーメイルを脱がせ、ホワイトベアの着ぐるみを着させた。レザーメイルを着たまま眠るよりはマシだろう。ローラは着ぐるみがすっかり気にいったのか、満面の笑みを浮かべてベッドに倒れ込んだ。
俺は荷物の整理をしてから、ローラの隣に横になった。ローラは幸せそうに眠りながら、俺の手を握っている。俺はそんなローラの頭を撫でると、彼女は可愛らしい笑みを浮かべた。ゴールデンスライムが人間になるとローラの様な美少女になるんだな。もし、ゴブリンが人間化したなら、一体どんな容姿の人間になるのだろうか。
『まぁ、ゴブリンがギルベルトを気に入る事はないと思うから、実際に試す事は出来ないだろうね』
「俺と波長が合わないという意味かい?」
『そういう事。大抵のゴブリンは人間を襲うだろう? 基本的に、人間を襲う悪質なモンスターを封印する事は出来ないんだよ』
「善良なモンスターを見つけて封印すれば良いという訳だね」
『モンスターから虐められたり、生きづらい思いをしているモンスターなら、喜んで封印されると思うよ』
「早く新たなモンスターと出会いたいよ」
『焦らずにゆっくり生きるんだよ。ギルベルトがモンスターに殺されたら僕はまた一人になってしまうからね……』
それから俺は暫く目を瞑っていると、猛烈な眠気に襲われて、ローラを抱きしめながら眠りに就いた……。
朝から裸のローラが俺の上に覆い被さっている。ゴールデンスライムとして生まれたローラは服を着る習慣が無かったからだろう、ホワイトベアの着ぐるみを脱いだローラの美しい裸体が俺の体に触れている。
彼女の豊かな胸が俺の顔に当たった。驚くほど柔らかくて暖かい。朝からこんなに幸せな思いが出来るなんて、やはり冒険者になったのは正解だった様だ。俺はローラの体を見ない様にローラを引き離すと、彼女の体にタオルを巻いた。まずはローラの普段着を買わなければならないな。
「おはよう、ギルベルト!」
「おはよう、ローラ。随分早くに起きたんだね」
「うん! ギルベルトと遊びたかったから!」
俺は小さなローラの頭を撫でると、彼女は満面の笑みを浮かべた。ガチャも言っていた様に、魔物は好きなものは好きとはっきり言うのだな。こんなに自分の感情を素直に表現する相手と出会った事が無いから、時折、ローラとどう接して良いのか分からなくなる。
「まずはシャルロッテと合流してから服を買いに行こうか」
「服を買ってくれるの?」
「ああ。レザーメイル以外にも普段着る服が必要だろう?」
「やった……!」
ローラは小さく飛び上がって喜ぶと、彼女の豊かな胸が大きく揺れた。相手はモンスターだというのにも拘らず、ローラの胸に視線が行ってしまう自分が嫌いになりそうだ。
『素直になりなよ、ギルベルト。モンスターみたいに本能に任せて生きれば良いのさ! ギルベルトはローラが好きなんだろう?』
「勿論。俺はローラが好きだよ」
『これからも沢山のモンスターを封印し、人間になったモンスターと共に暮らす事になると思うけど、気がない相手に優しくし過ぎたらだめだよ。ジェラルドが言っていたけど、モンスターは恩を受けた人間に惚れやすいんだってさ』
「錬金術師のジェラルドさんって、随分モンスターに詳しいんだね」
『ああ。モンスターが好きすぎて、彼は人間化したモンスター娘と重婚したんだよ。全く凄い男だろう?』
世の中には特殊な好みを持つ人間が居るんだな。錬金術師、ジェラルド・ベルギウスか。魔石ガチャの様なマジックアイテムを作り出せる圧倒的な天才ではあるが、大の女好きらしい。それも、元々モンスターだったモンスター娘以外は眼中にないのだとか。
人間化した元モンスターをモンスター娘と呼ぶ理由が分からないので、俺はガチャに聞いてみると、モンスターが封印される際に、モンスターの体を残して人間化される事が多いのだとか。
『例えばドラゴンを封印したらドラゴンの角や尻尾が付いた人間が生まれたりするんだよ。ジェラルドはドラゴン娘とも結婚したんだ!』
「ジェラルドさんって本当に凄い方なんだね。だけど、人間に敵意を向けないドラゴンなんて居るのかい?」
『聖属性のホワイトドラゴンは人間を襲わないんだよ。ギルベルト、全てのモンスターが人間を襲うという訳ではないんだ。例え人間を襲う悪質なモンスターだとしても、ギルベルトの事を受け入れてくれる可能性だってあるんだよ』
「どんなモンスターも仲間になる可能性があるという訳かい?」
『そういう事だよ』
「しかし、人間化したモンスターをモンスター娘と呼ぶのはどうしてだい? 雄のモンスターも居るのだろう?」
『錬金術師の指環によってモンスターを封印すると、使用者と反対の性別の人間が生まれるんだ。ギルベルトが男だから女のモンスター娘が生まれるという訳』
「そういう事か……」
それから暫くガチャと他愛のない会話をし、荷物をマジックバッグに仕舞ってから、ローラにレザーメイルを着させた。レザーメイルの胸の部分がはちきれそうになっており、ローラは少しきついと言ったが、新しい服を買うまでは我慢して貰おう。
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