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第二章「王都イスターツ編」
第五十話「封魔師と王国騎士」
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食堂に入ると、席が三列に並んでおり、右から三年、二年、一年と決まっているらしい。1-Aの席は入り口から最も遠い場所にあった、どうやら席に着けばオーダーを取りに来てくれる仕組みになっているらしい。
ヴィクトリア、レベッカ、レーネ、ヘンリエッテと共に五人で座ると、食堂中の視線が一斉に注がれている事に気が付いた。第一王女の食事風景を見たいのか、それともケットシーであるレベッカが珍しいのか、貴族のレーネやヘンリエッテが美しすぎるのか。二年生も三年生も俺達を凝視しているのだ。
ヴィクトリアは俺の右側に座り、レーネは俺の左側に座っている。テーブルにはメニューが書かれた紙があり、食べたい料理名を指さすだけでテーブルに料理が現れる仕組みになっているのだとか。
料理は校内で働くフェアリー達が作っており、厨房で作られた料理は転移の魔法によってテーブル上に現れる仕組みになっているらしい。
レベッカは昼から大量の食事を注文した。というのも、ローゼンクロイツ魔法学校は寮費も食費も無料なので、いくら食べても負担にならないからだ。俺もレベッカと共に大量の肉料理を注文した。
「ユリウスさん、昼から随分沢山食べるんですね」
レーネは小さなパンと紅茶だけで済ませるみたいだ。魔大陸育ちのレベッカは、食べ物は食べられる時に食べる様にしているらしい。魔大陸ではいつ魔物に襲撃され、食料を奪われるか分からなかったからだ。
「筋肉を維持するためになるべく多く食べる様にしているんだよ。油断するとすぐ筋肉が落ちるから」
「ユリウスさん……あの、良かったら腕の筋肉を触らせて貰っても良いですか? 私、男の人の筋肉が好きなんです……!」
「いいよ」
「本当ですか!? それでは失礼します……」
レーネは頬を赤らめながら俺の腕に触れると、うっとりとした表情を浮かべ、何度も俺の腕を触った。まさかレーネが筋肉好きだとは思わなかった。それからヘンリエッテが近付いてくると、彼女は俺を後ろから抱きしめる要領で胸筋を触った。
「結構固くて大きいんですのね。立派ですわ、マスター」
ヘンリエッテの豊かな胸が俺の後頭部に当たり、何とも言えない喜びを感じる。隣で食事をしていたヴィクトリアが鋭い目つきで俺を見つめると、俺は幸せなひと時から現実に引き戻された。
「さて、食事も済んだし、昼の稽古でもしようかな」
ヘンリエッテとレーネが俺の体を触り続けたので、俺は彼女達から逃げるために立ち上がった。ヴィクトリアは口元に笑みを浮かべながらも、殺意を込めた瞳で俺を睨んでいる。平民の俺を震え上がらせるには十分すぎる程の王女の目つきに、俺は思わず逃げる様に食堂を出た。
レーネとヘンリエッテが妙にいやらしい手つきで俺を触ったので、思わず恥ずかしくなってしまった。それにしてもヘンリエッテの胸は驚く程大きくて柔らかかった。ヴィクトリアよりも先にレーネやヘンリエッテと出会っていたら、きっと俺は二人の内のどちらかを好きになっていただろう。
僅か十分で食事を済ませた俺は、エドガーとロビンにヴィクトリアの警護を任せ、大広間から外に出た。校内はなんだか魔術師が多いので、俺の居場所ではない様な感じがする。
冒険者ギルド・ファルケンハインでは重装備をした冒険者が多く、ローブを身に着ける者は少ない。あまりにも普段の居場所と雰囲気が違うので落ち着かないのだ。
まだ授業初日だという事もあるだろう。長く通っていればこの学校に馴染める筈だ。適当に学校の敷地内を散歩していると闘技場が見えてきた。確か闘技場は休み時間と放課後は自由に使う事が出来る。
範囲魔法等の、教室内で使用するには危険な魔法等は闘技場で使う決まりになっている。闘技場に入ると、地面はざらざらした砂になっており、魔物の牙や爪等が砂に含まれている事に気が付いた。
「ここはかつて奴隷剣闘士のための闘技場だったんだよ」
背後から副学長のゲオルグ・フォン・カーフェン先生が現れると、俺は彼が接近するまで気配すら感じる事が出来なかった。確かカーフェン先生のレベルは80。担当科目は実戦魔法。職業は悪魔討伐を生業とした悪魔祓いだ。
「ここで奴隷剣闘士達が戦っていたんですね」
「ああ。人間の奴隷制度が認められていた時代にね。シュタイン君、君は確かエレオノーレの弟子だったな」
「はい、師匠をご存じですか?」
「勿論だとも。私もエレオノーレも国王陛下から騎士の称号を授かった五人の冒険者の一人だからね。実は、私は以前エレオノーレに恋をしていたんだよ」
「え? カーフェン先生がですか!?」
黒のローブを身に着け、黒髪を長く伸ばした、三十代後半程のカーフェン先生は昔を懐かしむ様な口調で語り出した。
「私が独身だった頃、エレオノーレに一目ぼれしたんだよ。彼女がまだ十五の頃だ。私が三十歳の時、今から五年前の事だよ。まさか、自分が成人を迎えたばかりの小娘に惚れるとは思わなかったが、彼女はどんな歴戦の剣士よりも、どんな魔術師よりも強かった。当時から最強だったんだよ」
「なんだか想像出来ます」
「うむ。私は自分の年齢も考えず、若くて美しい、将来有望なエレオノーレに告白をした」
「それでどうなったんですか?」
「エレオノーレは笑みを浮かべながら私にこう言ったんだよ『私に勝てたら結婚してやろう』とね。あの鋭い三白眼を輝かせながら私を見つめる彼女の姿もまた美しかった。そして私は彼女と勝負をしたんだ。私は杖を抜くよりも先に彼女の剣を受け、遥か彼方まで吹き飛ばされた」
「なんだかエレオノーレ様の姿がはっきりと想像出来ます。それからどうなったんですか?」
「それから私は二カ月後に目を覚ましたんだ。あの一撃で死んだかと思ったよ。彼女が使ったのは確か、ライコウ何とかという剣技だったな」
「雷光閃ですね」
「それだ! そして私がこん睡状態に陥っていた時、私の看病をしてくれた聖属性の魔術師と結婚したんだ。結果的にエレオノーレに負けて、今の妻と出会う事が出来たが、まさかエレオノーレがヒュドラに敗北するとは思わなかった……」
俺だってエレオノーレ様が魔物に負けるとは思わない。俺と知り合った頃には既にヒュドラに敗北していたが、どんな魔物相手にも負けるとは思えない。
「シュタイン君、この世には人間では敵わない魔物が存在すると思うかい?」
「いいえ、俺はそうは思いません」
「うむ。君はそういう返事をする男だと思っていた。国王陛下もシュタイン君を高く評価しているよ。つい昔の話をしてしまったな。シュタイン君、一度だけ私と手合わせをしてくれないか? 君の本当の力が知りたい」
「分かりました」
きっと何か意味があって俺との勝負を望んでいるのだろう。国王陛下から騎士の称号を授かった副学長が、何の理由もなしに新入生である俺との手合わせを望む筈がない。
「私は悪魔討伐を専門とする悪魔祓いだが、元々ファルケンハイン王国の衛兵長でもあった。近い将来、ヒュドラが再び王国を襲撃するだろう。レッドドラゴンの活動が活発になっている事がその証拠だ」
「レッドドラゴンとヒュドラには何か関係があるんですか?」
「ああ。ヒュドラを恐れたレッドドラゴンが逃げ場所を求め、本来なら姿を現す事もない王都まで移動してきた。元々レッドドラゴンはクロノ山脈に生息する魔物だが、山脈から程遠い王都まで移動してきたとなると、ヒュドラに住処を襲撃されたのだろう。魔物にはそれぞれの居場所がある」
「そうなんですね……」
「うむ。そして国王陛下は王国で最高の実力を持つ五人の冒険者に騎士の称号を授ける決まりになっている。私とエレオノーレ以外の三人はヒュドラに挑んで命を落とした。どれもSランクの称号を持つ者達だった。今は三人分騎士の座が開いている。きっとシュタイン君が三人目の騎士になるのだろう。君が騎士の称号を授かるに相応しい男か、己の力を私に証明してくれ」
俺が騎士の称号を授かるのは今年の七月五日。ヴィクトリアの守護者として、一年間彼女を守り抜く事が出来れば、騎士の称号を授かる事になっている。きっと騎士であるカーフェン先生は俺が騎士の称号を授かる予定がある事を知っているのだろう。
「はい、それでは本気で挑ませて頂きます」
「うむ。全力で打ってみろ」
カーフェン先生が杖に手を触れた瞬間、俺は瞬時に石宝刀を引き抜いた。全ての魔力を体内から掻き集め、この一撃に勝負を賭ける。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
全魔力を込めた最速の七連撃を放つ。カーフェン先生は左手で氷の盾を作り上げ、右手に持った杖に雷の魔力を注ぎ、俺の七連撃に備えた。まさか、魔術師が俺の流星斬を防げるのだろうか。
一発目に雷光閃、二発目に一閃、三発目、四発目に裂空斬、五発目に円月閃を放った瞬間、カーフェン先生の杖が折れた。カーフェン先生は雷の魔力を纏わせた木製の杖で俺の五発の攻撃を防いだのだ。驚異的な防御力と反射速度だ。
残る二発で勝負を決める。回転切りである円月閃を放ち終えてからすぐに体制を整え、六発目に疾風閃を放つと、カーフェン先生の氷の盾が砕けた。防御手段を失ったカーフェン先生が後退した瞬間、俺は七発目に裂空斬を放った。
石宝刀から圧縮した魔力の刃を放つと、カーフェン先生は両方の腕を交差させ、聖属性の魔力を炸裂させた。闘技場全体が震える程の途方もない魔力が爆発すると、彼の手から十字の魔力の刃が飛び出した。
「グランドクロス!」
銀色に輝く十字の刃と裂空斬が空中で激突すると、暫くお互いの魔法を押し合い、遂に両方ともが消滅した。カーフェン先生は聖属性で最上級の攻撃魔法であるグランドクロスの使い手だったのだ。グランドクロスの驚異的な魔力に心底震え上がったが、威力は俺の裂空斬と同等だった。
全魔力を使い果たした俺は膝を着き、奥義を止められた事に驚愕した。カーフェン先生も最後の一撃で全ての魔力を使い果たしたのか、力なく膝を着いた。
これがレベル80、Aランクの悪魔祓い、国王陛下が直々に騎士の称号を授けた元衛兵長の実力なのか? あまりにも強すぎる。全力の流星斬を放ち、無傷で受け止められるとは思わなかった。
「強いな……最高の技だった。エレオノーレが弟子を信じ、自らを氷に封印した意味が分かったよ。エレオノーレはシュタイン君がヒュドラに勝つと確信し、自らを封印したのだ」
「エレオノーレ様が……?」
「うむ。いつヒュドラが王国を襲撃するか分からない状況で、エレオノーレはシュタイン君に王国を任せた。王国最強の騎士、エレオノーレ・フォン・クラインはヒュドラの呪いによって全盛期の力を失った。弱化した自分よりも遥かに強くなったシュタイン君に国防を任せたのだ。シュタイン君、いつの日か私達は共にヒュドラに挑む事になるだろう。その時は私を信じて戦って欲しい」
「勿論です、カーフェン先生」
俺とカーフェン先生は固い握手を交わすと、俺達はお互いの強さを称賛し合い、闘技場を後にした。
全ての魔力を使い果たした俺はマジックバックからマナポーションを取り出し、カーフェン先生と一緒に魔力を回復させた。闘技場を出てすぐの場所にあるベンチに腰をかけ、魔力の回復を待つ。
「シュタイン君、ヒュドラとの戦いで強力な戦力になる人物を知らないか? 戦闘経験が豊富で、ギルドマスタークラス以上の者だ」
「そうですね、それなら俺の父が居ます」
「ギルベルトさんか。確かに彼は適任だろうが、彼は攻撃よりも防御型の魔術師だからな。それに、万が一ギルベルトさんがヒュドラとの戦いで命を落とせば、王国を防衛出来る者が一人も居なくなってしまう。君が以前レッドドラゴンから王都を防衛した時、衛兵の実力を実感しただろう?」
「はい、何とも頼りない衛兵達でした」
「うむ。だから衛兵の力は当てにならない。もし全ての騎士が命を落としたとしても、ギルベルトさんが居れば優秀な冒険者を育成出来るだろう。だが、ギルベルトさんまで命を落とせば王国に未来はない。以前ギルベルトさんはバハムートの討伐に成功し、魔法道具屋としての最高傑作を息子に授けたと言っていたが、何か受け取ったのか?」
「はい、この武器です」
俺は魔石砲の効果をカーフェン先生に説明すると、彼は無邪気な笑みを浮かべた。
「カーフェン先生、ヒュドラとはどんな魔物なんですか? 魔物図鑑にも詳しい事があまり書かれていないんです」
「それは、記録する者がヒュドラを見て生還出来なかったからだろう。だが私は一度だけこの目でヒュドラを見た。ヒュドラは九つの首を持つ、闇属性、Sランクの魔物。体長は三十メートルを超え、九つの首は切り落としても自動的に再生する。これが非常に厄介で、エレオノーレの敗因でもある」
「エレオノーレ様の敗因……ですか?」
「そうだ。ヒュドラは全ての首を切り落とさなければ決して命を落とさない。いにしえの時代に勇者が一度ヒュドラを討伐したが、その時は炎を纏わせた剣でヒュドラの首を切り落としたらしい。首が再生するまでは五分も掛からない、極めて短時間で全ての首を切り落とさなければ、ヒュドラは永遠と再生を続ける」
体長三十メートルのヒュドラに対し、どうやって相手の首に攻撃を仕掛ければ良いのだろうか。自動的に再生する九つの首を持っており、牙の攻撃を受ければ呪いが肉体を蝕む。人間が勝負を挑んで良い相手ではない。あまりにも生物としての強さが違いすぎるのだ。
休み時間は残り十五分、俺は五時間目の魔法史が行われる教室に向かいながら、カーフェン先生のヒュドラに関する考察を聞く事にした。
ヴィクトリア、レベッカ、レーネ、ヘンリエッテと共に五人で座ると、食堂中の視線が一斉に注がれている事に気が付いた。第一王女の食事風景を見たいのか、それともケットシーであるレベッカが珍しいのか、貴族のレーネやヘンリエッテが美しすぎるのか。二年生も三年生も俺達を凝視しているのだ。
ヴィクトリアは俺の右側に座り、レーネは俺の左側に座っている。テーブルにはメニューが書かれた紙があり、食べたい料理名を指さすだけでテーブルに料理が現れる仕組みになっているのだとか。
料理は校内で働くフェアリー達が作っており、厨房で作られた料理は転移の魔法によってテーブル上に現れる仕組みになっているらしい。
レベッカは昼から大量の食事を注文した。というのも、ローゼンクロイツ魔法学校は寮費も食費も無料なので、いくら食べても負担にならないからだ。俺もレベッカと共に大量の肉料理を注文した。
「ユリウスさん、昼から随分沢山食べるんですね」
レーネは小さなパンと紅茶だけで済ませるみたいだ。魔大陸育ちのレベッカは、食べ物は食べられる時に食べる様にしているらしい。魔大陸ではいつ魔物に襲撃され、食料を奪われるか分からなかったからだ。
「筋肉を維持するためになるべく多く食べる様にしているんだよ。油断するとすぐ筋肉が落ちるから」
「ユリウスさん……あの、良かったら腕の筋肉を触らせて貰っても良いですか? 私、男の人の筋肉が好きなんです……!」
「いいよ」
「本当ですか!? それでは失礼します……」
レーネは頬を赤らめながら俺の腕に触れると、うっとりとした表情を浮かべ、何度も俺の腕を触った。まさかレーネが筋肉好きだとは思わなかった。それからヘンリエッテが近付いてくると、彼女は俺を後ろから抱きしめる要領で胸筋を触った。
「結構固くて大きいんですのね。立派ですわ、マスター」
ヘンリエッテの豊かな胸が俺の後頭部に当たり、何とも言えない喜びを感じる。隣で食事をしていたヴィクトリアが鋭い目つきで俺を見つめると、俺は幸せなひと時から現実に引き戻された。
「さて、食事も済んだし、昼の稽古でもしようかな」
ヘンリエッテとレーネが俺の体を触り続けたので、俺は彼女達から逃げるために立ち上がった。ヴィクトリアは口元に笑みを浮かべながらも、殺意を込めた瞳で俺を睨んでいる。平民の俺を震え上がらせるには十分すぎる程の王女の目つきに、俺は思わず逃げる様に食堂を出た。
レーネとヘンリエッテが妙にいやらしい手つきで俺を触ったので、思わず恥ずかしくなってしまった。それにしてもヘンリエッテの胸は驚く程大きくて柔らかかった。ヴィクトリアよりも先にレーネやヘンリエッテと出会っていたら、きっと俺は二人の内のどちらかを好きになっていただろう。
僅か十分で食事を済ませた俺は、エドガーとロビンにヴィクトリアの警護を任せ、大広間から外に出た。校内はなんだか魔術師が多いので、俺の居場所ではない様な感じがする。
冒険者ギルド・ファルケンハインでは重装備をした冒険者が多く、ローブを身に着ける者は少ない。あまりにも普段の居場所と雰囲気が違うので落ち着かないのだ。
まだ授業初日だという事もあるだろう。長く通っていればこの学校に馴染める筈だ。適当に学校の敷地内を散歩していると闘技場が見えてきた。確か闘技場は休み時間と放課後は自由に使う事が出来る。
範囲魔法等の、教室内で使用するには危険な魔法等は闘技場で使う決まりになっている。闘技場に入ると、地面はざらざらした砂になっており、魔物の牙や爪等が砂に含まれている事に気が付いた。
「ここはかつて奴隷剣闘士のための闘技場だったんだよ」
背後から副学長のゲオルグ・フォン・カーフェン先生が現れると、俺は彼が接近するまで気配すら感じる事が出来なかった。確かカーフェン先生のレベルは80。担当科目は実戦魔法。職業は悪魔討伐を生業とした悪魔祓いだ。
「ここで奴隷剣闘士達が戦っていたんですね」
「ああ。人間の奴隷制度が認められていた時代にね。シュタイン君、君は確かエレオノーレの弟子だったな」
「はい、師匠をご存じですか?」
「勿論だとも。私もエレオノーレも国王陛下から騎士の称号を授かった五人の冒険者の一人だからね。実は、私は以前エレオノーレに恋をしていたんだよ」
「え? カーフェン先生がですか!?」
黒のローブを身に着け、黒髪を長く伸ばした、三十代後半程のカーフェン先生は昔を懐かしむ様な口調で語り出した。
「私が独身だった頃、エレオノーレに一目ぼれしたんだよ。彼女がまだ十五の頃だ。私が三十歳の時、今から五年前の事だよ。まさか、自分が成人を迎えたばかりの小娘に惚れるとは思わなかったが、彼女はどんな歴戦の剣士よりも、どんな魔術師よりも強かった。当時から最強だったんだよ」
「なんだか想像出来ます」
「うむ。私は自分の年齢も考えず、若くて美しい、将来有望なエレオノーレに告白をした」
「それでどうなったんですか?」
「エレオノーレは笑みを浮かべながら私にこう言ったんだよ『私に勝てたら結婚してやろう』とね。あの鋭い三白眼を輝かせながら私を見つめる彼女の姿もまた美しかった。そして私は彼女と勝負をしたんだ。私は杖を抜くよりも先に彼女の剣を受け、遥か彼方まで吹き飛ばされた」
「なんだかエレオノーレ様の姿がはっきりと想像出来ます。それからどうなったんですか?」
「それから私は二カ月後に目を覚ましたんだ。あの一撃で死んだかと思ったよ。彼女が使ったのは確か、ライコウ何とかという剣技だったな」
「雷光閃ですね」
「それだ! そして私がこん睡状態に陥っていた時、私の看病をしてくれた聖属性の魔術師と結婚したんだ。結果的にエレオノーレに負けて、今の妻と出会う事が出来たが、まさかエレオノーレがヒュドラに敗北するとは思わなかった……」
俺だってエレオノーレ様が魔物に負けるとは思わない。俺と知り合った頃には既にヒュドラに敗北していたが、どんな魔物相手にも負けるとは思えない。
「シュタイン君、この世には人間では敵わない魔物が存在すると思うかい?」
「いいえ、俺はそうは思いません」
「うむ。君はそういう返事をする男だと思っていた。国王陛下もシュタイン君を高く評価しているよ。つい昔の話をしてしまったな。シュタイン君、一度だけ私と手合わせをしてくれないか? 君の本当の力が知りたい」
「分かりました」
きっと何か意味があって俺との勝負を望んでいるのだろう。国王陛下から騎士の称号を授かった副学長が、何の理由もなしに新入生である俺との手合わせを望む筈がない。
「私は悪魔討伐を専門とする悪魔祓いだが、元々ファルケンハイン王国の衛兵長でもあった。近い将来、ヒュドラが再び王国を襲撃するだろう。レッドドラゴンの活動が活発になっている事がその証拠だ」
「レッドドラゴンとヒュドラには何か関係があるんですか?」
「ああ。ヒュドラを恐れたレッドドラゴンが逃げ場所を求め、本来なら姿を現す事もない王都まで移動してきた。元々レッドドラゴンはクロノ山脈に生息する魔物だが、山脈から程遠い王都まで移動してきたとなると、ヒュドラに住処を襲撃されたのだろう。魔物にはそれぞれの居場所がある」
「そうなんですね……」
「うむ。そして国王陛下は王国で最高の実力を持つ五人の冒険者に騎士の称号を授ける決まりになっている。私とエレオノーレ以外の三人はヒュドラに挑んで命を落とした。どれもSランクの称号を持つ者達だった。今は三人分騎士の座が開いている。きっとシュタイン君が三人目の騎士になるのだろう。君が騎士の称号を授かるに相応しい男か、己の力を私に証明してくれ」
俺が騎士の称号を授かるのは今年の七月五日。ヴィクトリアの守護者として、一年間彼女を守り抜く事が出来れば、騎士の称号を授かる事になっている。きっと騎士であるカーフェン先生は俺が騎士の称号を授かる予定がある事を知っているのだろう。
「はい、それでは本気で挑ませて頂きます」
「うむ。全力で打ってみろ」
カーフェン先生が杖に手を触れた瞬間、俺は瞬時に石宝刀を引き抜いた。全ての魔力を体内から掻き集め、この一撃に勝負を賭ける。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
全魔力を込めた最速の七連撃を放つ。カーフェン先生は左手で氷の盾を作り上げ、右手に持った杖に雷の魔力を注ぎ、俺の七連撃に備えた。まさか、魔術師が俺の流星斬を防げるのだろうか。
一発目に雷光閃、二発目に一閃、三発目、四発目に裂空斬、五発目に円月閃を放った瞬間、カーフェン先生の杖が折れた。カーフェン先生は雷の魔力を纏わせた木製の杖で俺の五発の攻撃を防いだのだ。驚異的な防御力と反射速度だ。
残る二発で勝負を決める。回転切りである円月閃を放ち終えてからすぐに体制を整え、六発目に疾風閃を放つと、カーフェン先生の氷の盾が砕けた。防御手段を失ったカーフェン先生が後退した瞬間、俺は七発目に裂空斬を放った。
石宝刀から圧縮した魔力の刃を放つと、カーフェン先生は両方の腕を交差させ、聖属性の魔力を炸裂させた。闘技場全体が震える程の途方もない魔力が爆発すると、彼の手から十字の魔力の刃が飛び出した。
「グランドクロス!」
銀色に輝く十字の刃と裂空斬が空中で激突すると、暫くお互いの魔法を押し合い、遂に両方ともが消滅した。カーフェン先生は聖属性で最上級の攻撃魔法であるグランドクロスの使い手だったのだ。グランドクロスの驚異的な魔力に心底震え上がったが、威力は俺の裂空斬と同等だった。
全魔力を使い果たした俺は膝を着き、奥義を止められた事に驚愕した。カーフェン先生も最後の一撃で全ての魔力を使い果たしたのか、力なく膝を着いた。
これがレベル80、Aランクの悪魔祓い、国王陛下が直々に騎士の称号を授けた元衛兵長の実力なのか? あまりにも強すぎる。全力の流星斬を放ち、無傷で受け止められるとは思わなかった。
「強いな……最高の技だった。エレオノーレが弟子を信じ、自らを氷に封印した意味が分かったよ。エレオノーレはシュタイン君がヒュドラに勝つと確信し、自らを封印したのだ」
「エレオノーレ様が……?」
「うむ。いつヒュドラが王国を襲撃するか分からない状況で、エレオノーレはシュタイン君に王国を任せた。王国最強の騎士、エレオノーレ・フォン・クラインはヒュドラの呪いによって全盛期の力を失った。弱化した自分よりも遥かに強くなったシュタイン君に国防を任せたのだ。シュタイン君、いつの日か私達は共にヒュドラに挑む事になるだろう。その時は私を信じて戦って欲しい」
「勿論です、カーフェン先生」
俺とカーフェン先生は固い握手を交わすと、俺達はお互いの強さを称賛し合い、闘技場を後にした。
全ての魔力を使い果たした俺はマジックバックからマナポーションを取り出し、カーフェン先生と一緒に魔力を回復させた。闘技場を出てすぐの場所にあるベンチに腰をかけ、魔力の回復を待つ。
「シュタイン君、ヒュドラとの戦いで強力な戦力になる人物を知らないか? 戦闘経験が豊富で、ギルドマスタークラス以上の者だ」
「そうですね、それなら俺の父が居ます」
「ギルベルトさんか。確かに彼は適任だろうが、彼は攻撃よりも防御型の魔術師だからな。それに、万が一ギルベルトさんがヒュドラとの戦いで命を落とせば、王国を防衛出来る者が一人も居なくなってしまう。君が以前レッドドラゴンから王都を防衛した時、衛兵の実力を実感しただろう?」
「はい、何とも頼りない衛兵達でした」
「うむ。だから衛兵の力は当てにならない。もし全ての騎士が命を落としたとしても、ギルベルトさんが居れば優秀な冒険者を育成出来るだろう。だが、ギルベルトさんまで命を落とせば王国に未来はない。以前ギルベルトさんはバハムートの討伐に成功し、魔法道具屋としての最高傑作を息子に授けたと言っていたが、何か受け取ったのか?」
「はい、この武器です」
俺は魔石砲の効果をカーフェン先生に説明すると、彼は無邪気な笑みを浮かべた。
「カーフェン先生、ヒュドラとはどんな魔物なんですか? 魔物図鑑にも詳しい事があまり書かれていないんです」
「それは、記録する者がヒュドラを見て生還出来なかったからだろう。だが私は一度だけこの目でヒュドラを見た。ヒュドラは九つの首を持つ、闇属性、Sランクの魔物。体長は三十メートルを超え、九つの首は切り落としても自動的に再生する。これが非常に厄介で、エレオノーレの敗因でもある」
「エレオノーレ様の敗因……ですか?」
「そうだ。ヒュドラは全ての首を切り落とさなければ決して命を落とさない。いにしえの時代に勇者が一度ヒュドラを討伐したが、その時は炎を纏わせた剣でヒュドラの首を切り落としたらしい。首が再生するまでは五分も掛からない、極めて短時間で全ての首を切り落とさなければ、ヒュドラは永遠と再生を続ける」
体長三十メートルのヒュドラに対し、どうやって相手の首に攻撃を仕掛ければ良いのだろうか。自動的に再生する九つの首を持っており、牙の攻撃を受ければ呪いが肉体を蝕む。人間が勝負を挑んで良い相手ではない。あまりにも生物としての強さが違いすぎるのだ。
休み時間は残り十五分、俺は五時間目の魔法史が行われる教室に向かいながら、カーフェン先生のヒュドラに関する考察を聞く事にした。
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いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
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私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
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