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第三章「迷宮都市アイゼンシュタイン編」
第六十五話「正義の鉄槌」
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いつの間に眠りに落ちていたのか、目が覚めると俺はエルザの自宅に居た。シュヴァルツの魔法道具屋、二階にある居間のソファで目が覚めた俺はすっかり体が良くなっている事に気が付いた。
「ユリウスさん、あまり無茶をしないで下さい。ユリウスさんが殺されてしまうかと思いました……」
「心配させてごめん」
「いいえ、ヴァルターさんが駆け付けて来て下さったから助かりましたが、私達は本当はあの廃村で命を落としていたんです……やっぱり冒険者として地域を守るという事は難しい事なんですね」
「……」
守護者の指環が優しい光を放ちながら俺にリェジネレーションの魔法を掛けている事に気が付いた。ヴィクトリアが俺の体を癒してくれていたのだろう。
「さっきまでヴァルターさんもここに居たんですよ。本当に親切な方です。私、ああいう人が好みなのかもしれません。強くて優しくて、白馬の王子様って感じです」
「あんな奴が……」
忘れもしない、冒険者ギルド・レグルスにゲイザーに関する情報を聞きに行った時、俺はあの忌々しい男に剣を向けられたのだ。そして俺は石宝刀の柄を握り、ヴァルターに殺意を向けた瞬間、ヴァルターはだらしなく失禁したのだ。
他人のためにわざわざ廃村まで走り、新米冒険者を救う様な人間には思えなかったのだが、俺の人を見る目が間違っていたのだろうか。まさかヴァルターに助けられるとは思ってもみなかった。
「ヴァルターさんって本当に格好良いです。実は……明日デートする約束をしたんです! 私の初めてのデートなんですが、どんな服を着て行けばいいんでしょうか。ヴァルターさんに気に入って貰いたいです」
「……」
エルザはヴァルターに惚れているのだろう。この状況は一体なんなんだ。ガーゴイルとして敗北した自分自身にも腹が立つし、廃村で遭遇した冒険者狩りを仕留められなかった事にも苛立ちを感じる。
「エルザ、ちょっと俺は出かけてくるよ」
「大丈夫ですか? まだ傷が癒えたばかりなのに」
「ああ、平気だよ」
ヴァルターに対する怒りは無いが、廃村で俺の体を切り裂いた冒険者殺しを放置しておく訳にはいかない。まずはレオンハルトと合流するべきだろうか。それともレッドストーンのマスターであるエドヴィンさんと合流するべきだろうか。いや、今は一人で冒険者狩りを見つけ出して仕留めた方が良いだろう。
ソファから飛び上がると、俺はすぐにシュヴァルツの魔法道具屋を出た。魔法道具屋から離れた路地に着地すると、変化を解いて元の姿に戻った。ローブの内側に仕舞っておいた幸運のメダルが輝いている。
「冒険者狩りに反応したのか……?」
どれだけ意識を失っていたかは分からないが、廃村からアイゼンシュタインの街までは片道一時間の距離。という事は既に冒険者狩りと離れてから一時間は経過している筈だ。幸運のメダルが闇属性を秘める者を感知しているという事は、このメダルは闇属性を秘める者を見つけてから数時間が光る仕組みになっているのだろう。
錬金術師の指環が光り輝くと、ガチャが俺を心配そうに見上げた。
「ユリウス、今回ばかりは危なかったね」
「ああ、殺されるかと思ったよ」
「幸運のメダルについてもう少し教授する必要がありそうだね」
「具体的な効果は分かってるんだけど、輝く時間がどうも理解出来ない。闇属性を秘めた者を見つけると何時間も輝いているなら、どの人間が闇属性を秘めているか選別出来ないんじゃないのか?」
「何を言っているんだい? メダルが光り続けるのは三分間。メダルが光っているとしたら三分以内に闇属性を秘めた者が近くに居たという事だよ」
「この街には大勢の闇属性を秘めた者が居るのだろうか」
「いや、それはないだろうね。衛兵が街に入る事を許可しないと思うから。ギルベルトの様に、闇属性を秘めていても他人に貢献出来る冒険者でもない限り、基本的に闇属性を持つ者は街には入れないだろうね」
「衛兵の監視を掻い潜って都市に入った悪魔でも居るのだろうか」
「その可能性はあるだろうね。今僕が言える事は、三分以内にユリウスは闇属性を持つ者の近くに居たという事だ」
ガチャが再び指環に戻ると、俺は何とも言えない恐ろしさを感じた。この街は王都ベーレントよりも遥かに危険だ。ゲイザーを退ける力もなければ、ドラゴニュートの侵入まで許してしまう。
それに、何者かが十五人もの人間を殺害しているのだ。そして犯人は未だに捕まっていない。さっき廃村で出会った男がレオンハルトの両親を殺したのだろうか。その可能性は極めて高い。
俺は羽根付きグリーヴに力を込めて一気に飛び上がり、衛兵達の詰め所を目指して移動を始めた。正門にある詰め所の前に着地すると、衛兵達は俺の人相を覚えていたのか、俺を詰め所に歓迎してくれた。
俺は衛兵達を集め、廃村で起きた事を全て話した。現在、何者かが街に潜伏している事も伝えると、衛兵達は警備を強化すると言ってくれた。すぐに廃村に戻り、俺とエルザを狙った冒険者狩りを仕留めよう。
「それでは俺は廃村に戻ります。闇属性を持つ者にはくれぐれも気を付けて下さい!」
街の西口から外に出ると、俺は一気に跳躍し、両手から火の魔力を放出して空を飛んだ。跳躍と同時に両手から炎を噴射すれば着地までの時間を延ばせるのだ。全力で跳躍と炎の噴射を繰り返すと、僅か五分程で廃村に到着した。
廃村には相変わらずファイアゴブリンやスライムの群れが徘徊しており、俺は気配を消してゆっくりと廃村に入った。まだこの場所に冒険者狩りが居てくれれば良いのだが……。
暫く廃村を監視していると、例の男が公園の近くに歩いてきた。男が地面に残った俺の血を美味しそうに舐めると、俺は男の背後に立った。やはりこの者は人間ではないのだろう。
俺は男の肩を全力で握り、骨を砕いた。石宝刀を延々と振り続けて握力を鍛え、更に騎士のガントレットによって大幅に握力が向上している今の俺なら、握るだけで骨を砕ける力があるのだ。
男は肉体を破壊されても悲鳴すら上げず、ゆっくりと振り返ると、血走った瞳で俺を見つめた。
「何だ? 食事の邪魔をする気か?」
「お前は何者なんだ? 人間か?」
「俺は冒険者狩りさ! 人間を殺して肉を喰らっている者だ」
「お前がアイゼンシュタインで十五人もの人間を殺したのか?」
「十五人? 殺した人間の数なんて覚えている訳がないだろうが」
男がナイフに手を掛けた瞬間、俺は瞬時に石宝刀を握り締めた。
「雷光閃!」
瞬間的に男の左腕を切り裂く。男は痛みを感じない体をしているのか、自分の腕から流れる血を美味しそうに飲むと、俺は両手で石宝刀を握った。
「疾風閃!」
俺の攻撃に合わせ、男がナイフを引き抜くと、器用に俺の突きを受け流した。やはりこの者は人間ではない。左腕を切られても悲鳴すら上げず、俺の疾風閃を受け流すとは。こんな芸当が出来るのはエレオノーレ様やヴォルフ師匠クラスの冒険者以外にあり得ない。この男が偉大なる師達と同等の力を持っているとも思えない。
「俺も昔は冒険者をしていたんだ。だがある日、俺が狩りをしている最中に街で恋人を殺されてな。自分の力の無さを恨んだものだ。しかし、今はこうして最強の力を手に入れた! 俺は人間を辞めたんだよ」
「やはりお前は人間ではないのか」
「ああ、俺が魔物から都市を守るために討伐クエストを受け、命懸けで魔物と戦っていた時、街で婚約者が人間に殺されたんだ! 他人のために冒険者として都市を防衛している最中に俺のエルフリーデを殺した野郎が憎くて仕方がなかった」
「それで、お前は犯人に復讐したのか?」
男が鋭い目つきで俺を睨むと、男の頭部から角が生え始めている事に気が付いた。見た目は完璧な人間だったが、徐々に肉体が魔物化しているのだろう。次第に男の体が大きくなり、全身の筋肉が爆発的に成長すると、傷付いていた左腕が瞬く間に完治した。
まるで悪魔の様な体長二メートルを超える大男が俺を見つめると、彼の背中からは黒い翼が生えた。これがこの男の正体だったのか。以前魔物図鑑で見た事がある。確かアークデーモンという闇属性、Bランクの魔物。
「すぐには復讐出来なかった。人間のままでは倒せなかったんだよ。その忌々しい男は俺よりも遥かに強かった! だから俺は人間としての人生を捨て、悪魔の血を飲んだ。悪魔の血を飲み続け、俺は遂にBランクのアークデーモンに進化したのだ!」
「悪魔になって復讐し、今も尚人間を装って殺人を続けているという訳か」
「そうだ! 人間などは所詮下等生物! 魔物なら同種族を傷付ける事はない! 人間だけが唯一、同種族で殺し合う劣等種なのだ!」
確かに俺は今まで同種族で殺し合う魔物を見た事がない。他種族なら縄張り争い等で殺し合いをしたりするが、基本的に魔物は人間を殺めるために協力し合っている。
冒険者として他人を守るために働いていた彼は、自分が命懸けで魔物と戦っている時に婚約者を殺され、犯人に復讐を誓った。そして人間のままでは復讐は出来ないと考え、悪魔と化して犯人を殺したのだ。
「さぁお前の力を見せてみろ! アークデーモンとして相手してやる!」
「いいだろう!」
俺は魔石砲を引き抜くと、アークデーモンに向けて引き金を引いた。
「ホーリー!」
瞬間、銃口から巨大な聖属性の球が飛び出し、アークデーモンの皮膚を燃やした。アークデーモンの肉体は再生する仕組みになっているのか、ホーリーの魔法が皮膚を焼いてもすぐに再生をしているのだ。
「その程度の魔法で俺を殺せるとでも思ったか!」
アークデーモンが一気に俺の間合いに飛び込んでくると、鋭い爪で俺の腕を切り裂いた。
『ヴィクトリア、リジェネレーションを頼む!』
『わかったわ!』
遠く離れたラース大陸からヴィクトリアの魔法が守護者の指環を通して俺の肉体に流れると、腕の傷が瞬く間に塞がった。
「なんだ……? どうして傷が回復しているんだ?」
「俺も再生出来るんだよ」
「馬鹿な! 魔法を使った様子はなかったが、近くに仲間でも潜んでいるのか!?」
「いや、俺は一人だ。さぁ勝負を続けよう。ガーゴイルとしてお前に切られた痛みは忘れられないからな! それに、エルザを泣かせたお前を許すつもりはない!」
「久しぶりに骨のある人間を殺せるという訳か。お前を殺したらその鍛え上げた肉体をゆっくりと喰らってやる。そのあとはエルザ・シュヴァルツを殺して食うのも良いだろうな」
「やれるものならやってみろ」
再び銃口を向けて引き金を引く。
「サンダー!」
爆発的な雷撃がアークデーモンの肩を捉えると、アークデーモンは黒い翼を開いて一気に飛び上がった。アークデーモンが上空から急降下を始めると、俺は石宝刀を鞘に戻して精神を集中させた。
「封魔石宝流抜刀術・雷光閃!」
アークデーモンの爪の一撃に合わせて抜刀し、瞬時に敵の腕を切り落とす。右腕が地面い落ちた次の瞬間、アークデーモンの腕が再生した。これでは埒が明かない。一気に全身を切り刻まなければいつまでも再生を続けるだろう。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
超高速の七連撃を放ち、アークデーモンの体を切り刻む。四肢を切り落とし、心臓と頭部にも突きを放ったがアークデーモンは再び再生を始めた。
「俺は死なない……お前に俺は殺せない」
「それはどうかな」
俺は再び念話でヴィクトリアの魔法を頼む事にした。
『ヴィクトリア、合図をしたらグランドクロスを放ってくれるかな』
『わかったわ』
流石にSランクの称号を持つ魔術師だからか、こんな状況でも瞬時に俺の言葉を受け入れたくれた。普通の冒険者なら動揺して何度も俺の言葉を確認するだろうが、ヴィクトリアは動じない。
アークデーモンが再生を終えると、体が僅かに小さくなっている事に気が付いた。何度でも完璧に再生出来る訳ではないのだろう。Bランク程度の魔物にそこまで優れた身体能力はない筈だ。
短時間で肉体を再生すれば、再生のために体内の魔力を一気に使う事になるだろう。アークデーモンが両手に闇属性のエンチャントを掛けると、俺は石宝刀に火のエンチャントを掛けた。
「俺にここまでダメージを与えるとは、お前は何者だ?」
「ファルケンハイン王国の勇者だよ。死ぬ覚悟は出来たか? これ以上お前を野放しにしておく訳にはいかないからな」
流星斬の構えを取ると、アークデーモンが不敵な笑みを浮かべて咆哮を上げた。瞬間、廃村を取り囲む様に魔物の群れが一斉に現れた。Cランク、闇属性のデュラハンが十体、Bランク、風属性のドラゴニュートが八体、Cランク、火属性のブラックベアが七体現れると、俺は精神の高ぶりを覚えた。
こんな状況を望んでいた。強くなりすぎた俺を恐怖のどん底に叩き落とす様な魔物の群れ。この最悪な状況を覆し、アークデーモンを仕留め、ファルケンハイン王国の勇者として迷宮都市アイゼンシュタインを救う。
「いくぞ!」
一気に上空に飛び上がると、アークデーモンも同時に飛び上がった。地上に居るブラックベアの群れが一斉にフレイムを放ち、デュラハンの群れが同時にブラッドクロスを放ち、ドラゴニュートの群れがウィンドクロスを放った。
黙っていれば確実に命を落とす。強烈すぎる敵の一斉攻撃に魂が震えた。こんな戦いを望んでいたのだ。強さを得てからは戦闘中に恐怖を感じる事もなかった。ヒュドラ討伐以降、興奮する戦闘もなかった。
だが今は、この場に居る全ての魔物が俺を殺そうと全力を出しているのだ。最高の冒険者を目指して鍛え続けた魔力と剣技で人間を襲う魔物を討つ。
「封魔石宝流奥義・流星斬」
空から全力の裂空斬を七回地上に降らせると、俺に対して放たれた全ての魔法が消滅した。炎を纏った巨大な魔力の刃が魔物の群れを一斉に切り裂くと、魔物の死骸が次々と輝いて魔石に変わった。
それでもアークデーモンは器用に俺の裂空斬を回避し、右腕を振りかぶって攻撃の体制に入った。
『今だ!』
『グランドクロス!』
念話と共に守護者の指環をアークデーモンに向けると、三メートルを超える巨大な十字の魔力が飛び出し、アークデーモンを捉えた。銀色の魔力の刃がアークデーモンの体に触れた瞬間、闇属性のアークデーモンは聖属性の魔力に耐えきれず、空中で灰に変わった。
地上には何体か生き残った魔物が居たので、俺はダメ押しの一撃を放つ事にした。
「メテオストライク!」
瞬間、上空から爆発的な炎を纏う巨大な岩が落下を始め、魔物達が逃げる事すら出来ない速度で廃村に落ちた。メテオの落下音と衝撃が静かな森に轟くと、付近に潜んでいた魔物達が一斉に逃げ出した。
大岩が砕け、強烈な炎が廃村全体を燃やすと、俺は大岩の上に着地した。石宝刀で炎を切り裂き、急いで魔石を回収する。ブラックベアの魔石が三つ、デュラハンの魔石が二つ、ドラゴニュートの魔石が四つ。一度の戦闘でこれだけの魔石が手に入ったのは運が良かった。それからドラゴニュートの角も回収する事にした。素材があればエルザが魔法道具を量産出来るからだ。
『ユリウス、何があったの?』
『アークデーモンと遭遇したんだ。ヴィクトリアのお陰で何とか敵を倒せたよ』
『アークデーモンって、確かBランクの魔物だったわね。役に立てたなら嬉しいわ。だけど、私に攻撃魔法を頼むなんて本当に珍しいわね……離れているからユリウスが心配だわ』
『今回ばかりは傍に居て欲しかったよ。やっぱり闇属性の魔物を狩るには聖属性を持つ者の力が必要みたいだ』
『闇属性討伐に関しては自信があるからね。グランドクロスならどんな魔物でも狩れる気がするわ』
『ヒュドラの首を落とす程の魔法だしね。本当に助かったよ』
『ええ、くれぐれも無茶はしない様に』
常に俺を気遣ってくれるヴィクトリアはやはり最高の恋人なのだ。それに、グランドクロスの威力も最高だった。守護者の指環が無かったら、俺はアークデーモンを倒せていたのだろうか。
「しまった……村を一つ消滅させてしまった」
まぁいいだろう。もともと魔物が巣食う廃村だったのだ。それにしても、随分高ランクの魔物が周囲に潜んでいたが、一斉にアイゼンシュタインの街を襲撃するつもりだったのだろうか。俺以外の冒険者が魔物の群れと遭遇しなくて良かった。
すぐにレオンハルトと合流しよう。今日のダンジョンでの狩りの成果を聞かなければならないからな。それから夜にはエルザの自宅に戻ろう。暫くは彼女の傍に居てあげたいし、エルザに近付くヴァルターの存在も気になるからな……。
「ユリウスさん、あまり無茶をしないで下さい。ユリウスさんが殺されてしまうかと思いました……」
「心配させてごめん」
「いいえ、ヴァルターさんが駆け付けて来て下さったから助かりましたが、私達は本当はあの廃村で命を落としていたんです……やっぱり冒険者として地域を守るという事は難しい事なんですね」
「……」
守護者の指環が優しい光を放ちながら俺にリェジネレーションの魔法を掛けている事に気が付いた。ヴィクトリアが俺の体を癒してくれていたのだろう。
「さっきまでヴァルターさんもここに居たんですよ。本当に親切な方です。私、ああいう人が好みなのかもしれません。強くて優しくて、白馬の王子様って感じです」
「あんな奴が……」
忘れもしない、冒険者ギルド・レグルスにゲイザーに関する情報を聞きに行った時、俺はあの忌々しい男に剣を向けられたのだ。そして俺は石宝刀の柄を握り、ヴァルターに殺意を向けた瞬間、ヴァルターはだらしなく失禁したのだ。
他人のためにわざわざ廃村まで走り、新米冒険者を救う様な人間には思えなかったのだが、俺の人を見る目が間違っていたのだろうか。まさかヴァルターに助けられるとは思ってもみなかった。
「ヴァルターさんって本当に格好良いです。実は……明日デートする約束をしたんです! 私の初めてのデートなんですが、どんな服を着て行けばいいんでしょうか。ヴァルターさんに気に入って貰いたいです」
「……」
エルザはヴァルターに惚れているのだろう。この状況は一体なんなんだ。ガーゴイルとして敗北した自分自身にも腹が立つし、廃村で遭遇した冒険者狩りを仕留められなかった事にも苛立ちを感じる。
「エルザ、ちょっと俺は出かけてくるよ」
「大丈夫ですか? まだ傷が癒えたばかりなのに」
「ああ、平気だよ」
ヴァルターに対する怒りは無いが、廃村で俺の体を切り裂いた冒険者殺しを放置しておく訳にはいかない。まずはレオンハルトと合流するべきだろうか。それともレッドストーンのマスターであるエドヴィンさんと合流するべきだろうか。いや、今は一人で冒険者狩りを見つけ出して仕留めた方が良いだろう。
ソファから飛び上がると、俺はすぐにシュヴァルツの魔法道具屋を出た。魔法道具屋から離れた路地に着地すると、変化を解いて元の姿に戻った。ローブの内側に仕舞っておいた幸運のメダルが輝いている。
「冒険者狩りに反応したのか……?」
どれだけ意識を失っていたかは分からないが、廃村からアイゼンシュタインの街までは片道一時間の距離。という事は既に冒険者狩りと離れてから一時間は経過している筈だ。幸運のメダルが闇属性を秘める者を感知しているという事は、このメダルは闇属性を秘める者を見つけてから数時間が光る仕組みになっているのだろう。
錬金術師の指環が光り輝くと、ガチャが俺を心配そうに見上げた。
「ユリウス、今回ばかりは危なかったね」
「ああ、殺されるかと思ったよ」
「幸運のメダルについてもう少し教授する必要がありそうだね」
「具体的な効果は分かってるんだけど、輝く時間がどうも理解出来ない。闇属性を秘めた者を見つけると何時間も輝いているなら、どの人間が闇属性を秘めているか選別出来ないんじゃないのか?」
「何を言っているんだい? メダルが光り続けるのは三分間。メダルが光っているとしたら三分以内に闇属性を秘めた者が近くに居たという事だよ」
「この街には大勢の闇属性を秘めた者が居るのだろうか」
「いや、それはないだろうね。衛兵が街に入る事を許可しないと思うから。ギルベルトの様に、闇属性を秘めていても他人に貢献出来る冒険者でもない限り、基本的に闇属性を持つ者は街には入れないだろうね」
「衛兵の監視を掻い潜って都市に入った悪魔でも居るのだろうか」
「その可能性はあるだろうね。今僕が言える事は、三分以内にユリウスは闇属性を持つ者の近くに居たという事だ」
ガチャが再び指環に戻ると、俺は何とも言えない恐ろしさを感じた。この街は王都ベーレントよりも遥かに危険だ。ゲイザーを退ける力もなければ、ドラゴニュートの侵入まで許してしまう。
それに、何者かが十五人もの人間を殺害しているのだ。そして犯人は未だに捕まっていない。さっき廃村で出会った男がレオンハルトの両親を殺したのだろうか。その可能性は極めて高い。
俺は羽根付きグリーヴに力を込めて一気に飛び上がり、衛兵達の詰め所を目指して移動を始めた。正門にある詰め所の前に着地すると、衛兵達は俺の人相を覚えていたのか、俺を詰め所に歓迎してくれた。
俺は衛兵達を集め、廃村で起きた事を全て話した。現在、何者かが街に潜伏している事も伝えると、衛兵達は警備を強化すると言ってくれた。すぐに廃村に戻り、俺とエルザを狙った冒険者狩りを仕留めよう。
「それでは俺は廃村に戻ります。闇属性を持つ者にはくれぐれも気を付けて下さい!」
街の西口から外に出ると、俺は一気に跳躍し、両手から火の魔力を放出して空を飛んだ。跳躍と同時に両手から炎を噴射すれば着地までの時間を延ばせるのだ。全力で跳躍と炎の噴射を繰り返すと、僅か五分程で廃村に到着した。
廃村には相変わらずファイアゴブリンやスライムの群れが徘徊しており、俺は気配を消してゆっくりと廃村に入った。まだこの場所に冒険者狩りが居てくれれば良いのだが……。
暫く廃村を監視していると、例の男が公園の近くに歩いてきた。男が地面に残った俺の血を美味しそうに舐めると、俺は男の背後に立った。やはりこの者は人間ではないのだろう。
俺は男の肩を全力で握り、骨を砕いた。石宝刀を延々と振り続けて握力を鍛え、更に騎士のガントレットによって大幅に握力が向上している今の俺なら、握るだけで骨を砕ける力があるのだ。
男は肉体を破壊されても悲鳴すら上げず、ゆっくりと振り返ると、血走った瞳で俺を見つめた。
「何だ? 食事の邪魔をする気か?」
「お前は何者なんだ? 人間か?」
「俺は冒険者狩りさ! 人間を殺して肉を喰らっている者だ」
「お前がアイゼンシュタインで十五人もの人間を殺したのか?」
「十五人? 殺した人間の数なんて覚えている訳がないだろうが」
男がナイフに手を掛けた瞬間、俺は瞬時に石宝刀を握り締めた。
「雷光閃!」
瞬間的に男の左腕を切り裂く。男は痛みを感じない体をしているのか、自分の腕から流れる血を美味しそうに飲むと、俺は両手で石宝刀を握った。
「疾風閃!」
俺の攻撃に合わせ、男がナイフを引き抜くと、器用に俺の突きを受け流した。やはりこの者は人間ではない。左腕を切られても悲鳴すら上げず、俺の疾風閃を受け流すとは。こんな芸当が出来るのはエレオノーレ様やヴォルフ師匠クラスの冒険者以外にあり得ない。この男が偉大なる師達と同等の力を持っているとも思えない。
「俺も昔は冒険者をしていたんだ。だがある日、俺が狩りをしている最中に街で恋人を殺されてな。自分の力の無さを恨んだものだ。しかし、今はこうして最強の力を手に入れた! 俺は人間を辞めたんだよ」
「やはりお前は人間ではないのか」
「ああ、俺が魔物から都市を守るために討伐クエストを受け、命懸けで魔物と戦っていた時、街で婚約者が人間に殺されたんだ! 他人のために冒険者として都市を防衛している最中に俺のエルフリーデを殺した野郎が憎くて仕方がなかった」
「それで、お前は犯人に復讐したのか?」
男が鋭い目つきで俺を睨むと、男の頭部から角が生え始めている事に気が付いた。見た目は完璧な人間だったが、徐々に肉体が魔物化しているのだろう。次第に男の体が大きくなり、全身の筋肉が爆発的に成長すると、傷付いていた左腕が瞬く間に完治した。
まるで悪魔の様な体長二メートルを超える大男が俺を見つめると、彼の背中からは黒い翼が生えた。これがこの男の正体だったのか。以前魔物図鑑で見た事がある。確かアークデーモンという闇属性、Bランクの魔物。
「すぐには復讐出来なかった。人間のままでは倒せなかったんだよ。その忌々しい男は俺よりも遥かに強かった! だから俺は人間としての人生を捨て、悪魔の血を飲んだ。悪魔の血を飲み続け、俺は遂にBランクのアークデーモンに進化したのだ!」
「悪魔になって復讐し、今も尚人間を装って殺人を続けているという訳か」
「そうだ! 人間などは所詮下等生物! 魔物なら同種族を傷付ける事はない! 人間だけが唯一、同種族で殺し合う劣等種なのだ!」
確かに俺は今まで同種族で殺し合う魔物を見た事がない。他種族なら縄張り争い等で殺し合いをしたりするが、基本的に魔物は人間を殺めるために協力し合っている。
冒険者として他人を守るために働いていた彼は、自分が命懸けで魔物と戦っている時に婚約者を殺され、犯人に復讐を誓った。そして人間のままでは復讐は出来ないと考え、悪魔と化して犯人を殺したのだ。
「さぁお前の力を見せてみろ! アークデーモンとして相手してやる!」
「いいだろう!」
俺は魔石砲を引き抜くと、アークデーモンに向けて引き金を引いた。
「ホーリー!」
瞬間、銃口から巨大な聖属性の球が飛び出し、アークデーモンの皮膚を燃やした。アークデーモンの肉体は再生する仕組みになっているのか、ホーリーの魔法が皮膚を焼いてもすぐに再生をしているのだ。
「その程度の魔法で俺を殺せるとでも思ったか!」
アークデーモンが一気に俺の間合いに飛び込んでくると、鋭い爪で俺の腕を切り裂いた。
『ヴィクトリア、リジェネレーションを頼む!』
『わかったわ!』
遠く離れたラース大陸からヴィクトリアの魔法が守護者の指環を通して俺の肉体に流れると、腕の傷が瞬く間に塞がった。
「なんだ……? どうして傷が回復しているんだ?」
「俺も再生出来るんだよ」
「馬鹿な! 魔法を使った様子はなかったが、近くに仲間でも潜んでいるのか!?」
「いや、俺は一人だ。さぁ勝負を続けよう。ガーゴイルとしてお前に切られた痛みは忘れられないからな! それに、エルザを泣かせたお前を許すつもりはない!」
「久しぶりに骨のある人間を殺せるという訳か。お前を殺したらその鍛え上げた肉体をゆっくりと喰らってやる。そのあとはエルザ・シュヴァルツを殺して食うのも良いだろうな」
「やれるものならやってみろ」
再び銃口を向けて引き金を引く。
「サンダー!」
爆発的な雷撃がアークデーモンの肩を捉えると、アークデーモンは黒い翼を開いて一気に飛び上がった。アークデーモンが上空から急降下を始めると、俺は石宝刀を鞘に戻して精神を集中させた。
「封魔石宝流抜刀術・雷光閃!」
アークデーモンの爪の一撃に合わせて抜刀し、瞬時に敵の腕を切り落とす。右腕が地面い落ちた次の瞬間、アークデーモンの腕が再生した。これでは埒が明かない。一気に全身を切り刻まなければいつまでも再生を続けるだろう。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
超高速の七連撃を放ち、アークデーモンの体を切り刻む。四肢を切り落とし、心臓と頭部にも突きを放ったがアークデーモンは再び再生を始めた。
「俺は死なない……お前に俺は殺せない」
「それはどうかな」
俺は再び念話でヴィクトリアの魔法を頼む事にした。
『ヴィクトリア、合図をしたらグランドクロスを放ってくれるかな』
『わかったわ』
流石にSランクの称号を持つ魔術師だからか、こんな状況でも瞬時に俺の言葉を受け入れたくれた。普通の冒険者なら動揺して何度も俺の言葉を確認するだろうが、ヴィクトリアは動じない。
アークデーモンが再生を終えると、体が僅かに小さくなっている事に気が付いた。何度でも完璧に再生出来る訳ではないのだろう。Bランク程度の魔物にそこまで優れた身体能力はない筈だ。
短時間で肉体を再生すれば、再生のために体内の魔力を一気に使う事になるだろう。アークデーモンが両手に闇属性のエンチャントを掛けると、俺は石宝刀に火のエンチャントを掛けた。
「俺にここまでダメージを与えるとは、お前は何者だ?」
「ファルケンハイン王国の勇者だよ。死ぬ覚悟は出来たか? これ以上お前を野放しにしておく訳にはいかないからな」
流星斬の構えを取ると、アークデーモンが不敵な笑みを浮かべて咆哮を上げた。瞬間、廃村を取り囲む様に魔物の群れが一斉に現れた。Cランク、闇属性のデュラハンが十体、Bランク、風属性のドラゴニュートが八体、Cランク、火属性のブラックベアが七体現れると、俺は精神の高ぶりを覚えた。
こんな状況を望んでいた。強くなりすぎた俺を恐怖のどん底に叩き落とす様な魔物の群れ。この最悪な状況を覆し、アークデーモンを仕留め、ファルケンハイン王国の勇者として迷宮都市アイゼンシュタインを救う。
「いくぞ!」
一気に上空に飛び上がると、アークデーモンも同時に飛び上がった。地上に居るブラックベアの群れが一斉にフレイムを放ち、デュラハンの群れが同時にブラッドクロスを放ち、ドラゴニュートの群れがウィンドクロスを放った。
黙っていれば確実に命を落とす。強烈すぎる敵の一斉攻撃に魂が震えた。こんな戦いを望んでいたのだ。強さを得てからは戦闘中に恐怖を感じる事もなかった。ヒュドラ討伐以降、興奮する戦闘もなかった。
だが今は、この場に居る全ての魔物が俺を殺そうと全力を出しているのだ。最高の冒険者を目指して鍛え続けた魔力と剣技で人間を襲う魔物を討つ。
「封魔石宝流奥義・流星斬」
空から全力の裂空斬を七回地上に降らせると、俺に対して放たれた全ての魔法が消滅した。炎を纏った巨大な魔力の刃が魔物の群れを一斉に切り裂くと、魔物の死骸が次々と輝いて魔石に変わった。
それでもアークデーモンは器用に俺の裂空斬を回避し、右腕を振りかぶって攻撃の体制に入った。
『今だ!』
『グランドクロス!』
念話と共に守護者の指環をアークデーモンに向けると、三メートルを超える巨大な十字の魔力が飛び出し、アークデーモンを捉えた。銀色の魔力の刃がアークデーモンの体に触れた瞬間、闇属性のアークデーモンは聖属性の魔力に耐えきれず、空中で灰に変わった。
地上には何体か生き残った魔物が居たので、俺はダメ押しの一撃を放つ事にした。
「メテオストライク!」
瞬間、上空から爆発的な炎を纏う巨大な岩が落下を始め、魔物達が逃げる事すら出来ない速度で廃村に落ちた。メテオの落下音と衝撃が静かな森に轟くと、付近に潜んでいた魔物達が一斉に逃げ出した。
大岩が砕け、強烈な炎が廃村全体を燃やすと、俺は大岩の上に着地した。石宝刀で炎を切り裂き、急いで魔石を回収する。ブラックベアの魔石が三つ、デュラハンの魔石が二つ、ドラゴニュートの魔石が四つ。一度の戦闘でこれだけの魔石が手に入ったのは運が良かった。それからドラゴニュートの角も回収する事にした。素材があればエルザが魔法道具を量産出来るからだ。
『ユリウス、何があったの?』
『アークデーモンと遭遇したんだ。ヴィクトリアのお陰で何とか敵を倒せたよ』
『アークデーモンって、確かBランクの魔物だったわね。役に立てたなら嬉しいわ。だけど、私に攻撃魔法を頼むなんて本当に珍しいわね……離れているからユリウスが心配だわ』
『今回ばかりは傍に居て欲しかったよ。やっぱり闇属性の魔物を狩るには聖属性を持つ者の力が必要みたいだ』
『闇属性討伐に関しては自信があるからね。グランドクロスならどんな魔物でも狩れる気がするわ』
『ヒュドラの首を落とす程の魔法だしね。本当に助かったよ』
『ええ、くれぐれも無茶はしない様に』
常に俺を気遣ってくれるヴィクトリアはやはり最高の恋人なのだ。それに、グランドクロスの威力も最高だった。守護者の指環が無かったら、俺はアークデーモンを倒せていたのだろうか。
「しまった……村を一つ消滅させてしまった」
まぁいいだろう。もともと魔物が巣食う廃村だったのだ。それにしても、随分高ランクの魔物が周囲に潜んでいたが、一斉にアイゼンシュタインの街を襲撃するつもりだったのだろうか。俺以外の冒険者が魔物の群れと遭遇しなくて良かった。
すぐにレオンハルトと合流しよう。今日のダンジョンでの狩りの成果を聞かなければならないからな。それから夜にはエルザの自宅に戻ろう。暫くは彼女の傍に居てあげたいし、エルザに近付くヴァルターの存在も気になるからな……。
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