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第一章「迷宮都市フェーベル編」
第三十六話「魔族討伐」
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一階の大広間には、三十人を超える精霊狩りを従えた魔族が俺達を待ち構えていた。魔族は体内に精霊石を取り込む事により、精霊の力を得るが、精霊石が体を蝕み、魔族化が完了すると額から精霊石が飛び出す。フードを被っているから表情までは見えないが、額から剥き出しになった精霊石があるので、間違いなく魔族だと分かる。
魔族は俺達の姿を見るや否や、二階に続く階段を急いで登り始めた。魔族を守る様に大勢の精霊狩りが俺達を一気に取り囲んだ。全身に黒い金属から出来た防具を纏っており、ロングソードを構える者も居ればダガーを両手に持つ者も居る。
杖を持つ者は魔術師なのだろう、前衛職の後方から俺達に向けて杖を構えている。エミリアとシャルロッテさんが囚われているのは、大広間から続く階段を上がった二階だと聞いた。
「レオン様! ここは私達に任せて先に行って下さい!」
「クリステルさん……。わかりました! 俺が魔族を仕留めます!」
クリステルさんがレイピアを引き抜くと、剣には鋭い炎が発生した。それから左手に地属性の魔力を発生させると、おもむろに左手を床に叩きつけた。
「ソーンバインド!」
クリステルさんが魔法を唱えた瞬間、無数の茨が精霊狩りの下半身に絡みついた。これは大地の精霊の得意魔法であるソーンバインド。クリステルさんが精霊狩りを拘束するや否や、俺は左手にラウンドシールドを持ち、右手にブロードソードを構え、正門に続く階段に走り出した。
ティナはクリステルさんを援護するために彼女の頭上を旋回し、天井付近から炎の矢を次々と飛ばして精霊狩りにダメージを与えている。精霊狩りは防御が困難な高速のファイアボルトを何とか回避すると、冒険者達が一斉に武器を突き立てた。
クリステルさんのソーンバインドを力づくで破る精霊狩りも居たが、ダニエルさんがクリステルさんを守る様に立ち、二本のブロードソードを引き抜いて火と風のエンチャントを同時に発生させた。
左右に持った剣に異なるエンチャントを掛けられるダニエルさんは間違いなく天才的な魔法剣士なのだ。俺もダニエルさんの真似をして、左右別々のエンチャントを練習したが、一度も成功しなかった。
精霊狩りの中でも一際体格の良い大男が階段の前に立った。身長は二メートルを超えており、まるでグレートゴブリンを彷彿させる筋肉の大きさに狼狽した。それでも俺はデーモンとの戦いを乗り越え、幻獣のアラクネにも勝負を挑んだ事があるから、精霊狩りがどれだけ巨体でも恐れはしない。
今日のために死ぬ気で己を追い込んで来たのだ。どんな敵が立ちはだかろうが、エミリアは俺が取り戻す。巨大なクレイモアを持った大男が鋭い水平斬りを放った。俺は敵の攻撃をラウンドシールドで受け、瞬時にブロードソードで反撃を放った。
冷気を纏わせたブロードソードで水平斬りを放ち、大男の頬を切り裂くと、剣に掛かっていたエンチャントが敵の頬を凍らせた。大男は火の魔法の使い手だったのか、頬に手を当てて氷を溶かすと、怒り狂って体当たりをかましてきた。
俺は回避が間に合わず、大男の体当たりをもろに直撃したが、デーモンの殺人的な体当たりに比べれば痛くもない。すぐに立ち上がり、ラウンドシールドを投げ捨てて、左手で大男の顔面を殴りつけた。
身長二メートルを超える巨体の精霊狩りが突然の拳の攻撃に狼狽した瞬間、俺は右手に持ったブロードソードを敵の首元に突き立てた。爆発的な冷気が精霊狩りを一瞬で氷漬けにすると、仲間を失った精霊狩りが恐れおののきながら攻撃の手を止めた。
恐らく俺が今仕留めた精霊狩りが魔族の次に強い者だったのだろう。最も体格が良く、二階に続く階段という砦の防衛に重要な場所を守っていたのだ。クリステルさんは精霊狩りが見せた一瞬の隙きを見逃さず、炎を纏わせたレイピアで次々と精霊狩りを切り裂いた。
精霊狩りは鎧を着込んでいるが、レイピアに纏う炎が鎧と全身を包み込み、強烈な炎を散らして火柱が上がった。既に敵の数は二十人程に減っている。冒険者も精霊狩りの攻撃を受けて倒れ、味方の戦力も減り始めた時、俺は急いで階段を駆け上がった。
火の微精霊は俺の背後から付いて来ている。死のダンジョンで出会ってから、毎日全ての時間を共に過ごしている小さな微精霊は、怯える事も無く俺の近くを漂っている。何と頼もしい微精霊なのだろうか。
階段を一気に駆け上がると、そこには銀の杖を持つ魔族が背を向けて立っていた。石造りの広々とした空間には、鎖に繋がれた美しい女性、恐らくシャルロッテさんと、氷漬けにされたエミリアが居た。
「何故エミリアが氷漬けに……!?」
まさか、無事だと思っていたエミリアが氷漬けにされているとは想像すらしなかった。精霊狩りがエミリアを殺したのか? いや、エミリアはまだ死んでいない。氷の中からはっきりとエミリアの魔力を感じる。
シャルロッテさんは魔法で眠らされているのか、地面に倒れて身動き一つしない。怪我は一切無い様だ。長く伸びた緑色の髪に、体内に秘める強い地属性の魔力。彼女がクリステルさんと共に育った大地の精霊なのだ。
俺は左手でダガーを引き抜き、右手に持ったブロードソードを強く握りしめると、二本の剣に氷のエンチャントを掛けた。エミリアから授かった力で魔族を討ち、愛する氷姫を取り戻すのだ。
「姿を見せろ!」
俺が叫ぶと、魔族がゆっくりと振り返った。火の微精霊と地の微精霊から加護を授かっているのだろう、魔族の背後には二体の微精霊が浮いており、体内に秘める魔力も、一階に居る精霊狩りとは比較にならない程高い。
幻獣のアラクネやグレートゴブリンがと同等の力を持っている事は間違いない。一体どんな精霊を殺して精霊石を体内に取り入れたのだろうか。敵の戦い方が一切分からないから、俺は慎重に魔族との距離を取った。
魔族がフードを脱ぐと、そこにはシュルツ村の忌々しい隣人、アレックス・グリムの姿があった……。
魔族は俺達の姿を見るや否や、二階に続く階段を急いで登り始めた。魔族を守る様に大勢の精霊狩りが俺達を一気に取り囲んだ。全身に黒い金属から出来た防具を纏っており、ロングソードを構える者も居ればダガーを両手に持つ者も居る。
杖を持つ者は魔術師なのだろう、前衛職の後方から俺達に向けて杖を構えている。エミリアとシャルロッテさんが囚われているのは、大広間から続く階段を上がった二階だと聞いた。
「レオン様! ここは私達に任せて先に行って下さい!」
「クリステルさん……。わかりました! 俺が魔族を仕留めます!」
クリステルさんがレイピアを引き抜くと、剣には鋭い炎が発生した。それから左手に地属性の魔力を発生させると、おもむろに左手を床に叩きつけた。
「ソーンバインド!」
クリステルさんが魔法を唱えた瞬間、無数の茨が精霊狩りの下半身に絡みついた。これは大地の精霊の得意魔法であるソーンバインド。クリステルさんが精霊狩りを拘束するや否や、俺は左手にラウンドシールドを持ち、右手にブロードソードを構え、正門に続く階段に走り出した。
ティナはクリステルさんを援護するために彼女の頭上を旋回し、天井付近から炎の矢を次々と飛ばして精霊狩りにダメージを与えている。精霊狩りは防御が困難な高速のファイアボルトを何とか回避すると、冒険者達が一斉に武器を突き立てた。
クリステルさんのソーンバインドを力づくで破る精霊狩りも居たが、ダニエルさんがクリステルさんを守る様に立ち、二本のブロードソードを引き抜いて火と風のエンチャントを同時に発生させた。
左右に持った剣に異なるエンチャントを掛けられるダニエルさんは間違いなく天才的な魔法剣士なのだ。俺もダニエルさんの真似をして、左右別々のエンチャントを練習したが、一度も成功しなかった。
精霊狩りの中でも一際体格の良い大男が階段の前に立った。身長は二メートルを超えており、まるでグレートゴブリンを彷彿させる筋肉の大きさに狼狽した。それでも俺はデーモンとの戦いを乗り越え、幻獣のアラクネにも勝負を挑んだ事があるから、精霊狩りがどれだけ巨体でも恐れはしない。
今日のために死ぬ気で己を追い込んで来たのだ。どんな敵が立ちはだかろうが、エミリアは俺が取り戻す。巨大なクレイモアを持った大男が鋭い水平斬りを放った。俺は敵の攻撃をラウンドシールドで受け、瞬時にブロードソードで反撃を放った。
冷気を纏わせたブロードソードで水平斬りを放ち、大男の頬を切り裂くと、剣に掛かっていたエンチャントが敵の頬を凍らせた。大男は火の魔法の使い手だったのか、頬に手を当てて氷を溶かすと、怒り狂って体当たりをかましてきた。
俺は回避が間に合わず、大男の体当たりをもろに直撃したが、デーモンの殺人的な体当たりに比べれば痛くもない。すぐに立ち上がり、ラウンドシールドを投げ捨てて、左手で大男の顔面を殴りつけた。
身長二メートルを超える巨体の精霊狩りが突然の拳の攻撃に狼狽した瞬間、俺は右手に持ったブロードソードを敵の首元に突き立てた。爆発的な冷気が精霊狩りを一瞬で氷漬けにすると、仲間を失った精霊狩りが恐れおののきながら攻撃の手を止めた。
恐らく俺が今仕留めた精霊狩りが魔族の次に強い者だったのだろう。最も体格が良く、二階に続く階段という砦の防衛に重要な場所を守っていたのだ。クリステルさんは精霊狩りが見せた一瞬の隙きを見逃さず、炎を纏わせたレイピアで次々と精霊狩りを切り裂いた。
精霊狩りは鎧を着込んでいるが、レイピアに纏う炎が鎧と全身を包み込み、強烈な炎を散らして火柱が上がった。既に敵の数は二十人程に減っている。冒険者も精霊狩りの攻撃を受けて倒れ、味方の戦力も減り始めた時、俺は急いで階段を駆け上がった。
火の微精霊は俺の背後から付いて来ている。死のダンジョンで出会ってから、毎日全ての時間を共に過ごしている小さな微精霊は、怯える事も無く俺の近くを漂っている。何と頼もしい微精霊なのだろうか。
階段を一気に駆け上がると、そこには銀の杖を持つ魔族が背を向けて立っていた。石造りの広々とした空間には、鎖に繋がれた美しい女性、恐らくシャルロッテさんと、氷漬けにされたエミリアが居た。
「何故エミリアが氷漬けに……!?」
まさか、無事だと思っていたエミリアが氷漬けにされているとは想像すらしなかった。精霊狩りがエミリアを殺したのか? いや、エミリアはまだ死んでいない。氷の中からはっきりとエミリアの魔力を感じる。
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俺は左手でダガーを引き抜き、右手に持ったブロードソードを強く握りしめると、二本の剣に氷のエンチャントを掛けた。エミリアから授かった力で魔族を討ち、愛する氷姫を取り戻すのだ。
「姿を見せろ!」
俺が叫ぶと、魔族がゆっくりと振り返った。火の微精霊と地の微精霊から加護を授かっているのだろう、魔族の背後には二体の微精霊が浮いており、体内に秘める魔力も、一階に居る精霊狩りとは比較にならない程高い。
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