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第一章「迷宮都市フェーベル編」
第三十七話「決戦」
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幼い頃から執拗に俺を虐めてきたグリムが俺からエミリアを奪ったのだ。魔族と化しても俺がグリムを見間違える事は無い。額からは黒く変色した精霊石が飛び出ており、人間を捨てたグリムの姿に愕然としながらも、心の底からグリムに対する憎しみが溢れ出した。
「グリム! お前がエミリアを誘拐したのか!」
「そうだ、シュタイナー。落ちこぼれのシュタイナーを殺すために氷の精霊を誘拐したのだ。俺は遂に魔族になった! 精霊の加護を持つお前を殺すため、全ての魔族の頂点に立つために、二体の精霊を誘拐したのだ! 俺はお前に死霊の精霊の殺害を命じたが、まさかお前が死霊の精霊を味方に引き入れたとはな。お前が砦に近付いた瞬間、俺はお前に敬意を抱いたよ」
「敬意だって?」
「ああ。まさか落ちこぼれのシュタイナーが死霊の精霊から加護を授かっているとはな! 体内に秘める魔力の強さに、俺は正直驚いた。だが、魔族と化した俺には敵わないだろう。だから俺は逃げも隠れもしなかった。さぁ、決着を付けようではないか! 俺がこの手でお前を殺し、氷の精霊と大地の精霊を殺して精霊石を体内から取り出す。そして俺は三種類の精霊石を持つ最強の魔族になる! このアレックス・グリムが魔族の王となって大陸を支配するのだ!」
グリムが叫んだ瞬間、俺は頭に血が上って一気に距離を詰めた。グリムは瞬間的に銀の杖を俺の腹部に突き立て、魔力を放出した。
「サンダーボルト!」
グリムが魔法を唱えた瞬間、俺の体には電撃が走り、強烈な魔法の威力に全身の力が抜けた。全身に激痛を覚えながらも、俺は震えながら立ち上がった。グリムは雷属性の精霊の精霊石を体内に取り込んだのだ。
「お前が精霊の加護を授かってから俺はすぐにお前を殺す事を誓った。出来損ないのシュタイナーが俺よりも強いなんて我慢出来ないからな! お前は今日、俺の糧になるために命を落とすのだ。お前の死体を氷の精霊に見せるのが楽しみだぞ。さぁ俺のために死ぬんだ。出来損ないのシュタイナー」
グリムが杖を向けた瞬間、俺は死を悟った。次の一撃で間違いなく命を落とす。今の俺にはグリムの魔法を回避出来る力は残っていない。幼い頃から天才的な魔法能力を持っていたグリムが魔族と化したのだ。精霊の加護を授かっただけの俺が歯向かえる相手ではない。
生命の終わりを感じながらも、俺はブロードソードを握り締めたままグリムを睨みつけた。グリムが気味の悪い笑みを浮かべながら俺に杖を向けた瞬間、俺の背後から強烈な魔力を感じた。死のダンジョン五階層で感じた禍々しい闇の魔力。この力は間違いなくギレーヌだろう。
薔薇色のドレスを着た美しい精霊が黒い魔力から作り上げた大鎌を両手で持ち、目にも留まらぬ速度でグリムの背後に回ると、グリムはギレーヌの移動速度を目で追う事すら出来ず、ギレーヌの一撃を背中に受けた。
手負いのデーモンの首を切り落とす程の圧倒的な破壊力を持つ大鎌がグリムの背中を深々と切り裂くと、グリムの血が床に滴り落ちた。
「私のレオンに手を出すとは随分命知らずなのね。私は魔族という生き物が嫌いなの。精霊でも人間でもない中途半端な弱者……」
「俺が弱者だと!? 人間の魔力なしには生きられない精霊風情が知ったような口を利くな!」
「人間もまた精霊の加護なしには生きられない。本来は人間と精霊は守り合いながら生きる様に出来ている。あなたは自然の摂理に逆らって精霊を殺めた。同じ神から生まれた精霊を殺したあなたを許すつもりはないわ」
「許さなければどうするんだ……? シュタイナーの魔力なしには生きられない下等種族が俺に敵うとでも……?」
「ええ、確かに私はレオンの魔力なしには生きられない。だけど私はレオンの魔力があればどこまでも強くなれる。魔族程度のあなたでは及ばない力を引き出す事も出来る」
ギレーヌはグリムの注意を引こうとしているのか、俺の体力が回復するまで話を引き延ばそうとしている。グリムは自分自身の力では死霊の精霊・ギレーヌには敵わないと悟っている。だから俺とクリステルさんにギレーヌの殺害を命じたのだ。
まさか俺がギレーヌを連れて砦を襲撃するとは思わなかったのだろう。口では随分強がっているが、僅かに震えながら杖を握り締め、ギレーヌからゆっくりと離れる様に後ずさりしている。グリムはギレーヌを恐れているのだ。
グリムが放った雷撃によって体力が大幅に削がれたが、ギレーヌの登場によって死を免れた俺はブロードソードに氷のエンチャントを掛けた。圧倒的な力を持つ相手に死ぬ気で挑むのは初めてではない。初めてエミリアと出会った時もグレートゴブリンに立ち向かった。ギレーヌを守るために死のダンジョンでデーモンに立ち向かった。
俺からエミリアを奪ったグリムはこの手で仕留めなければならない。魔族の王となり、フリート大陸の支配を目論んでいるのだ。更に力を付ける前に生命を刈り取る。
「レオン! 私の力を使いなさい! この男は死霊の精霊である私の魔法を恐れている」
「わかった……」
ギレーヌの加護を授かった時、俺は闇属性を得た。普段は殆ど使う事はない。それでも俺はギレーヌの精霊魔法を身に付けるために訓練を積んできた。借りるぞ……、ギレーヌの魔法。
「精霊魔法・デスサイズ……」
左手から魔力を放出し、黒い魔力から出来た大鎌を作り上げた。その状態で更にエンチャントを掛ける。
「エンチャント・ファイア」
普段なら決して成功しない左右別々のエンチャントも、グリムに対する怒りと、魔法を成功させなければならない状況が俺の魔法能力を底上げしているのだろう、黒い大鎌には強烈な炎が発生し、空間全体を支配する程の強烈な魔力が流れ出した。
一度に三種類の属性魔法を使用しているからか、体内からは瞬く間に魔力が消費されている。恐らく一撃で勝負を決めなければならないだろう。魔力が枯渇すればグリムの雷撃が俺の心臓を撃つだろう。
グリムが左手に地属性の魔力を込めると、頭上には無数の石の槍が生まれた。シュルツ村に居た頃とは比較にならない圧倒的な攻撃魔法に狼狽しながらも、俺はギレーヌと共に勝負を挑んだ……。
「グリム! お前がエミリアを誘拐したのか!」
「そうだ、シュタイナー。落ちこぼれのシュタイナーを殺すために氷の精霊を誘拐したのだ。俺は遂に魔族になった! 精霊の加護を持つお前を殺すため、全ての魔族の頂点に立つために、二体の精霊を誘拐したのだ! 俺はお前に死霊の精霊の殺害を命じたが、まさかお前が死霊の精霊を味方に引き入れたとはな。お前が砦に近付いた瞬間、俺はお前に敬意を抱いたよ」
「敬意だって?」
「ああ。まさか落ちこぼれのシュタイナーが死霊の精霊から加護を授かっているとはな! 体内に秘める魔力の強さに、俺は正直驚いた。だが、魔族と化した俺には敵わないだろう。だから俺は逃げも隠れもしなかった。さぁ、決着を付けようではないか! 俺がこの手でお前を殺し、氷の精霊と大地の精霊を殺して精霊石を体内から取り出す。そして俺は三種類の精霊石を持つ最強の魔族になる! このアレックス・グリムが魔族の王となって大陸を支配するのだ!」
グリムが叫んだ瞬間、俺は頭に血が上って一気に距離を詰めた。グリムは瞬間的に銀の杖を俺の腹部に突き立て、魔力を放出した。
「サンダーボルト!」
グリムが魔法を唱えた瞬間、俺の体には電撃が走り、強烈な魔法の威力に全身の力が抜けた。全身に激痛を覚えながらも、俺は震えながら立ち上がった。グリムは雷属性の精霊の精霊石を体内に取り込んだのだ。
「お前が精霊の加護を授かってから俺はすぐにお前を殺す事を誓った。出来損ないのシュタイナーが俺よりも強いなんて我慢出来ないからな! お前は今日、俺の糧になるために命を落とすのだ。お前の死体を氷の精霊に見せるのが楽しみだぞ。さぁ俺のために死ぬんだ。出来損ないのシュタイナー」
グリムが杖を向けた瞬間、俺は死を悟った。次の一撃で間違いなく命を落とす。今の俺にはグリムの魔法を回避出来る力は残っていない。幼い頃から天才的な魔法能力を持っていたグリムが魔族と化したのだ。精霊の加護を授かっただけの俺が歯向かえる相手ではない。
生命の終わりを感じながらも、俺はブロードソードを握り締めたままグリムを睨みつけた。グリムが気味の悪い笑みを浮かべながら俺に杖を向けた瞬間、俺の背後から強烈な魔力を感じた。死のダンジョン五階層で感じた禍々しい闇の魔力。この力は間違いなくギレーヌだろう。
薔薇色のドレスを着た美しい精霊が黒い魔力から作り上げた大鎌を両手で持ち、目にも留まらぬ速度でグリムの背後に回ると、グリムはギレーヌの移動速度を目で追う事すら出来ず、ギレーヌの一撃を背中に受けた。
手負いのデーモンの首を切り落とす程の圧倒的な破壊力を持つ大鎌がグリムの背中を深々と切り裂くと、グリムの血が床に滴り落ちた。
「私のレオンに手を出すとは随分命知らずなのね。私は魔族という生き物が嫌いなの。精霊でも人間でもない中途半端な弱者……」
「俺が弱者だと!? 人間の魔力なしには生きられない精霊風情が知ったような口を利くな!」
「人間もまた精霊の加護なしには生きられない。本来は人間と精霊は守り合いながら生きる様に出来ている。あなたは自然の摂理に逆らって精霊を殺めた。同じ神から生まれた精霊を殺したあなたを許すつもりはないわ」
「許さなければどうするんだ……? シュタイナーの魔力なしには生きられない下等種族が俺に敵うとでも……?」
「ええ、確かに私はレオンの魔力なしには生きられない。だけど私はレオンの魔力があればどこまでも強くなれる。魔族程度のあなたでは及ばない力を引き出す事も出来る」
ギレーヌはグリムの注意を引こうとしているのか、俺の体力が回復するまで話を引き延ばそうとしている。グリムは自分自身の力では死霊の精霊・ギレーヌには敵わないと悟っている。だから俺とクリステルさんにギレーヌの殺害を命じたのだ。
まさか俺がギレーヌを連れて砦を襲撃するとは思わなかったのだろう。口では随分強がっているが、僅かに震えながら杖を握り締め、ギレーヌからゆっくりと離れる様に後ずさりしている。グリムはギレーヌを恐れているのだ。
グリムが放った雷撃によって体力が大幅に削がれたが、ギレーヌの登場によって死を免れた俺はブロードソードに氷のエンチャントを掛けた。圧倒的な力を持つ相手に死ぬ気で挑むのは初めてではない。初めてエミリアと出会った時もグレートゴブリンに立ち向かった。ギレーヌを守るために死のダンジョンでデーモンに立ち向かった。
俺からエミリアを奪ったグリムはこの手で仕留めなければならない。魔族の王となり、フリート大陸の支配を目論んでいるのだ。更に力を付ける前に生命を刈り取る。
「レオン! 私の力を使いなさい! この男は死霊の精霊である私の魔法を恐れている」
「わかった……」
ギレーヌの加護を授かった時、俺は闇属性を得た。普段は殆ど使う事はない。それでも俺はギレーヌの精霊魔法を身に付けるために訓練を積んできた。借りるぞ……、ギレーヌの魔法。
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